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焦燥 ◆6lu8FNGFaw氏


「…ぅあ…、あああっ…!!」
佐原はその場に崩れ落ち、頭をかかえて蹲った。
取り返しのつかないことをしてしまった…その後悔、焦りっ…!

佐原にはわかっていた。失ったのは…「仲間」だけではない…
同時に「信頼」も失ってしまった…!
板倉と…板倉がかばい、連れ去った女…そいつらの心にはっきりと刻まれたであろう…
俺が非情な裏切り者だと…!

俺自身が『殺人鬼』であれば、この状況、別段どうということはない…
だが…俺はそんなにあっさり人を殺せるようなタマじゃない…!
今後、殺し合いで人数が減り、そんな中…もし悪い風評を流されれば…

板倉は『対主催』の同志を集めている…あの男ならうまく人数を集めるに違いない。
もし数日経ち…『対主催』と『殺し合いに乗っている者』との戦争にでもなれば…
俺は『対主催』の仲間に入れない…!「裏切り者」だから…!
むしろ…危険人物として、命を狙われる…!
ましてや、『俺が狙撃手としての腕がない』ことは今の発砲で板倉にばれてしまっているっ…!
警戒されない…あっさり殺されてしまう…!

佐原は頭を抱えたまま呻き声をあげた。

実際には、佐原の考えは悲観的にすぎる。
掠めただけとはいえ、弾は命中しているのだ。もちろん佐原はそれを望んでいなかったわけだが。
的になった方からすれば、『狙撃手としての腕がある』と認識するだろう…。
だが…佐原はそこまで頭が回らない…。
初めて銃を使ってみて…こんなに扱いにくいものだとは思ってもみなかったから…!
その現実に縛られる…!

もう一つ…、「裏切った」ことにより自分が排除されるという幻想…恐怖…
その恐怖も、この『殺し合いゲーム』という舞台…特殊事情から考えると、被害妄想に過ぎるといえる。
どこで誰に襲われるかわからない…他人を信用できない…。
『日常』と切り離されたこの島…、舞台では、「裏切り」などよくあること…。
異常こそが正常…!


だが…、佐原は、一般人としての正常な感覚を持ちすぎていた。
ゆえに…孤立することへの本能的な恐れがあった。
今までは意識したこともなかった。が…、今は縛られる…その幻想に…!

「……あ、ああっ…!?」
恐怖に支配され、蹲っていた佐原だが…、もう一つ思い当たることがあり、再び大声をあげた。
ここにいたら危ない…!!板倉…そして仲間になった女が…俺を狙ってくるかもしれない…!
板倉は銃の類は持っていなかったようだが、あの女はわからない…!
もし奴らが…『不穏分子…危険な芽は早いうちに摘んでしまおう』などと考えたら…
襲ってくるっ…!?今にも…こうしている間にも…!

心が恐怖に侵食され、過敏になった神経は窓の外の風の音にも反応する。
自身がたてる足音にも怯える…世界が音を立てて歪む………。

いてもたってもいられなくなり、考えもなしに佐原はホテルの部屋を飛び出し、外へ…
玄関から外へと飛び出し、板倉やしづかのいた方向とは逆の方角へと走り去った。

とにかく少しでも安全なところへ…!少しでも見つかりにくいところへ…!
できれば身を隠し…長時間待機できそうな建物の中に…!


どれくらい走ったろうか。
ふと木々の向こうにショッピングモールの建物が見えた。

【E-6/道沿い/夕方】
【佐原】 
 [状態]:恐慌状態 首に注射針の痕
 [道具]:レミントンM24(スコープ付き)、弾薬×29 通常支給品
 [所持金]:1000万円
 [思考]:己のミスに対する深い後悔と絶望、板倉としづかに自分が狙われていると妄想
      一条を血の痕から見て危険人物と認識


055:魔弾 投下順 057:手足
055:魔弾 時系列順 057:手足
055:魔弾 佐原 071:それぞれの試金石(前編)(後編)




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