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想い ◆.Gw5emrGiE氏


ギュルルルルル……

別荘の一室に轟音が鳴り響く。
緊張の所為だろうか。 
再びやってきた……便意……!!
便意は二度黒沢を刺す……!!
黒沢は目の前の愛らしい女性に照れ隠しの笑顔を見せ、万一に備え手に持ったグレネードランチャーを彼女に渡し、素早くトイレへと消えた。


美心はようやく胸を撫で下ろす。

「カイジくん……」

両親(特に父親)に大切に育てられた美心にとって、父親以外の男性とここまで行動を共にするのは生まれて初めてのことだった。
しかし、頭に浮かぶのは想い人……カイジの姿。
カイジ……そして大切な父親は今どこで何をしているのだろうか。
不安な気持ちと一緒に、美心の目から涙が溢れ出した。



そんな美心と黒沢のいる別荘を見上げる一人の男。
精神の疲労、そして森の中をさ迷ったことで体力までも使い果たし、その姿から生気を感じ取ることは出来ない。

「少し、休もう……」

男はそう呟くと、別荘の扉に手を掛けた。
別荘の中へと入る。
一応人がいないかを気にはするが、その集中力はすでに切れていた。
寝室らしき部屋の扉を見つけると、一気に緊張の糸が切れ、思いっきりその扉を開いた。



「キャアアアアアッッ」

その瞬間、建物内に響き渡る悲鳴。
不意に現れた見知らぬ男に思わず声を上げてしまった美心。
そしてその声をトイレで聞いた黒沢。
しかし一番驚いたのは、銃を持った女性とその周りに散らばる武器を目にした男……三好であった。

――コロサレル コロサレル コロサレル

三好の脳は一瞬の内に美心を殺人犯とみなした。

――ヒトゴロシ コロサナキャ コロサレル

「うわああァァァ!!」

三好は手に持ったイングラムを敵に向けて無茶苦茶に発砲した。
目の前に広がる鮮烈な赤色。
その色の持ち主である美心は、上半身に数ヵ所の穴を開け、まるで眠りに就くかの様にベットに倒れ込んだ。

バァァァァァン

同時……!!
それとほぼ同時に、三好も床に倒れ込む。
美心の声と銃声を聞き駆けつけた黒沢の平手打ちを喰らい、その衝撃で床に頭を打ち付け、三好は意識を失った。



黒沢は一目散に美心の元へ走った。

「おい……!!おい……!!」

黒沢の声に、美心は僅かに反応する。

「大丈夫か……!?ごめんな……一人にして……ごめん……」

確かにそこにいるのは黒沢。
しかし朦朧とする美心の目には、愛しいカイジの姿が映っていた。

――何で謝るのカイジくん。
ああ、泣かないでよカイジくん。
カイジくんが泣くと美心まで泣きたくなっちゃうじゃない。
美心はあなたに出会えただけで幸せよ。
パパを助けてくれてありがとう。
デートしてくれてありがとう。
砂まみれのサンドイッチを食べてくれてありがとう。
大好きよ……カイジくん……

美心は最期に優しい笑みを浮かべた。



「ウオオオォォォォ!!」

黒沢は腹の底から悲しみの叫びを放った。
抱き締めた美心の体は急速に体温を無くしていく。
初めて出会えた、自分を愛してくれる女性。
守るべき存在……そのお陰で黒沢はここまで強く進んで来れた。
しばらくの時を経て、黒沢は二人分の支給品を持ち美心の亡骸を抱え寝室を去った。
大切な人を失った忌まわしい場所に居たくなかった。
有賀の武器が置かれた寝室には、哀しみと意識の途切れたままの三好だけが残された。


【D-5/別荘/夕方】

【黒沢】
 [状態]:精神消耗
 [道具]:不明支給品0~6 支給品一式×2 美心の亡骸
 [所持金]:2000万円
 [思考]:美心を守れなかった自分を責める 美心の亡骸を安置したい

【三好智広】
 [状態]:失神
 [道具]:イングラムM11 30発弾倉×5 包丁 支給品一式
 [所持金]:1000万円
 [思考]:カイジに会う カイジの敵となる人物は殺す 生還する

【坂崎美心 死亡】
【残り 30人】


057:手足 投下順 059:子供
057:手足 時系列順 059:子供
047:純愛 黒沢 072:埋葬
044:彼我 三好智広 066:夢現




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