ギコ冒険 第一話

 第一話 『一度目のバトル』

「ポケモン図鑑に全ポケモンを乗せると言う課題を与える。これを最優先にしてほしい。それと、二人に言っておくが、途中で常盤のフレンドリィショップに行ってほしい。図鑑は修理中でな」
擬古は、『なんとめんどくさい事を』と思っていたに違いないだろう。苦笑している。
茂名は、その反対で、心から笑っているようだ。目をパッチリ開けて、万歳をしている。
 「そしてもう一つは、ポケモンマスターになってもらおう!」
今度は、好戦的な擬古が喜んで、まったりタイプの茂名は悲しんでいる。
「だが、そのためにはポケモンがいる。そこで、私が、カントー中探し回ったポケモン三匹の内、一匹をやろう」
少し前から大城戸の助手が持ってきていたボールが、今になって急に光り始めた。大城戸が言うには、所有権を移す時に光るらしい。
「俺は――ヒトカゲだ」
擬古が先に選び、その後に茂名が選んだ。因みに、茂名はゼニガメだ。

 擬古は、早速モンスターボールを握り、地面に向かって投げつけた。
「出て来い。ヒトカゲ」
『ボンッ』と言う音とともに、ボールからヒトカゲが飛び出した。
「な……なんでしょうか?」
ヒトカゲは、頬を赤くしている。そして、そのまま顔を隠してしまった。
「おい。擬古。俺のポケモンのほうがマターリしてるぜ」
「いやいや。俺の方が強そうだろ」
「ムッ……じゃあポケモン勝負するぞ」
結構長い会話が続き、結局はバトルをする事になった。相性こそヒトカゲの方が不利だが、LVの低い今は、ノーマル系の技しか使えず、相性は関係無いのだ。
「ヒトカゲ。引掻け」
擬古の命令に従うヒトカゲ。爪が伸び、ゼニガメに向かって行く。
「ゼニガメぇ。殻に篭ってね」
こちらは、ゆっくりと殻に篭るので、引掻くが直撃した。
「鈍間だな。御前もポケモンも!」
「酷いぞ! 擬古」
バトルと同じように擬古と茂名の口喧嘩が繰り広げられる。


 結局は、引き分けだったが、擬古が賞金として300円をカツアゲた。(理由は最後の「ぶち殺すぞ」)

 「擬古さん……あんなことしていいんでしょうか?」
「んーー良いんじゃねーの?」
ヒトカゲは苦笑し、「ボールに戻してください」といったきり、しばらく擬古とは口を聞かなかった。


      ――茂名――

「おい! そこの少年! 傷薬でも喰らえーー!」
道端にいたM字ハゲが、傷薬と言う万能商品を投げ付けた。その様子は、まるでエネルギー光線だ。
「ワハハハハ! ぜひとも我が店の商品を愛用してくれ!」
「(エ……M字ハゲ……キモッ)」


続く
最終更新:2008年06月28日 18:13