概要
辻ミステリの原点となったシリーズ。
推理作家志望の中学生・ポテトこと
牧薩次と、そのガールフレンド・スーパーこと
可能キリコとのコンビが、学園周辺で起こる事件を追うパターンから事件が始まった。また、薩次が書く推理小説内の事件がドラマにからんでいくメタ・フィクション的な展開もある。
基本的には薩次が推理担当、百芸に秀でたキリコが行動担当であったが、二人が大人になるに従ってキリコの超人性は影を潜め、現実的なカップル探偵になっていく。
二人はシリーズを重ねるにつれて、友達から恋人へと関係を深めていき、薩次は本職の推理作家業の傍ら、キリコと共に実際の殺人事件にも数多く出会っていく。
キリコの兄・
可能克郎は、その後多くのシリーズにも出演し、辻ミステリワールドの顔となっていく。また、第6作の「
TVアニメ殺人事件」では
近江由布子をはじめとして、スナック
蟻巣ゆかりの面々がデビューしている。そうしたクロスオーバー的な面からも、本シリーズが辻ミステリワールドの中心であることは間違いない。
「
本格・結婚殺人事件(未)」を最後に、しばらく長編からは遠ざかっていたが、2008年に牧薩次名義で現実に新作「
完全恋愛(未)」が出版された。
そして、2013年にキリコの出産がテーマになる完結編「戯作・誕生殺人事件」が出版され、40年に及んだシリーズにピリオドが打たれた。
タイトルについて
辻ミステリ作品の中では作者のこだわりにより、本シリーズのみ「~殺人事件」のタイトルで統一するというルールが存在した。そのルールが定着する以前の'79年に出版された単発作品「離島ツアー殺人事件」は、ルールに合わせるために'82年のFUTABA NOVELS収録時に「紺碧(スカイブルー)は殺しの色」に改題されている。
しかし、'92年に単発作品の「安曇野殺人事件」が出版されて以降、上記の縛りはなくなっている。
また、'93年の「
湾岸鉄道殺人事件」は、
克郎&智佐子シリーズでありながら、ストーリーは薩次・キリコシリーズの体裁に近いという番外編的な造りになっている。
シリーズリスト
長編
牧薩次名義の長編
短編
- 特急『燕』驀進す(『死ぬほど愛した』に収録)
- 一件落着!(『合本・青春殺人事件』に収録)
- 祖神の声(新潮文庫『ミステリー大全集2 ミステリー日本地図』に収録)
- 臼杵2時間52分の危機(天山文庫『トラベル推理傑作選 日本縦断殺人』に収録)
最終更新:2013年12月09日 22:16