ネタバレ注意!
辻作品の特色として、牧薩次を中心に劇中の人物が小説を書き、その劇中劇と劇中現実が入れ子になって、読者にトリックを仕掛けるというパターンが多々あります。特に、「
仮題・中学殺人事件」から「
TVアニメ殺人事件」までの初期6部作は、「TVアニメ殺人事件」のエピローグで、薩次とその友人皿塚麻樹による創作と明言されてしまっています。(一部、現実か創作か曖昧な部分はある)
そうすると、薩次とキリコは少年時代に殺人事件に遭遇したことはなく、二人の探偵としての実績は薩次がミステリ作家としてデビューしてからのものということになります。
しかし、その後の作品で二人が数々の事件に遭遇する中で、中学時代以来の探偵としての実績は随所に語られています。また、後年辻ミステリ世界を支えることになるレギュラー陣のほとんどは「TVアニメ殺人事件」でデビューしており、これを劇中劇と割り切ってしまうと、「
アリスの国の殺人(未)」以降の作品と大きく矛盾してしまいます。
さて、この混乱を読者としてはどう受け止めれば良いのでしょうか。(つづく)
最終更新:2010年03月28日 13:48