孤高の書 > 序章 > 1 高校


【BG:星空(セピア)】
:二ノ姫
|「こんな夜遅くに、
 姉様、本当に行くの?」
:一ノ姫@
|「仕方がないわ
 龍神の許しが
 顕れなかったのですもの」
:二ノ姫
|「でも……」
:一ノ姫@
|「母様も許しては
 くださらなかった
 仕方のないことなのよ」
「幼いあなたを
 残していくことだけが
 気がかりだけれど…」
「きっと、
 この弓が導いてくれる」

【スチル:託された弓】
【SE:共鳴音】
:一ノ姫@
|「私が戻るまで、
 母様をお願いね」

【暗転】
:二ノ姫@
|「姉は優しい人だったが
 ひとつだけ嘘をついた」
「あの夜以来、姉が
 国に戻ることはなかった」
「龍の加護を受けたこの国で
 姫が龍の許しなく
 恋をすることなどできない」
「中つ国の一ノ姫
 恋のため国を捨てたと
 言われて数年ののち」
「私の国は滅んだ」


【BG:伝承絵巻】
:***@
|豊葦原の瑞穂の地に
龍のまします中つ国あり。


天地に満つる八百万の神々
ことごとに惠をたたえ、
水清く、実り豊けく栄えたり。


ここに異国の皇(おう)、
数多の兵を連ね
波の穂を渡りて攻め来たる。


中つ国の女王、龍神に祈れども、
異国の剣にかかりて息絶ゆる。
宮は陥ち、国傾きて、龍黙せり。


これより中つ国に
龍の声を聞く者なく、
荒ぶる神々さざめき
わざわい満ちて、
豊葦原は常夜の如くなれり。


人皆、天を仰ぎて願う。
黄金の光差す雲間より
天つ鳥に乗りて舞い降りつる、
龍神の神子の来臨を。


【BG:夕焼け】
:葦原千尋
|(もう、日が沈んでく)
(夕日って
 どうしてこんなに
 赤いんだろう)
(まるで炎の中に
 とけていくみたい)
:那岐@
|「…夕焼け、
 そんなに気になる?」

【スチル:試験勉強】
:葦原千尋
|「え?
 あっ、ごめん!」
:那岐@
|「別に
 いつまでも
 ぼーっと見てるからさ」
「そんなに
 面白いものでも
 ないだろう」
:葦原千尋
|「ううん……
 那岐
 気になったことない?」
:那岐@
|「何が」
:葦原千尋
|「子供の頃のことなら
 那岐が知っているかと
 思ったんだけど」
「なんだか、夕陽の
 あの赤い色を見ていると
 不思議な気持ちになるの」
「誰かに
 せきたてられて
 いるみたいに…」
「何か、しなきゃいけない
 ことがあるんじゃないか」
:那岐
|「………………」
:葦原千尋
|「何か、忘れていることが
 あるんじゃないかって…」

【白転】
:NA:一ノ姫@
|――きっと、この…

【スチル:試験勉強】
:葦原千尋
|「……何か、
 大切なことを――」

【BG:教室】
:那岐@
|「…千尋が
 逃避したいのは
 わかったけど」
「今、実力テストの
 対策よりも、やんなきゃ
 ならないことって何?」
:葦原千尋
|「あっ、いけない
 そうだったね」
:那岐@
|「……やる気ない
 みたいだし
 終わりにしようか」
「どうせ葦原千尋も、
 物理以外、たいして
 困ってないんだから」
「僕も疲れた」

◆今日はもう終わろうと言うけど…

+ 那岐、なんだか 不機嫌みたいだね

:葦原千尋
|「那岐、なんだか
 不機嫌みたいだね」
:那岐@
|「…そうか?
 ………気のせいだよ」 ☆☆☆ UP
「千尋は
 考えすぎなんだ」
「もともとたいして
 思慮深いほうでも
 ないんだから」
「余計なこと
 考えなくていいよ」
:葦原千尋
|「えっ? ひどいよ
 余計なことかどうか
 わからないじゃない」
:那岐@
|「そうか?」
「忘れて、思い出せないなら
 今の自分に必要ない
 ものだってことさ」
「考えるだけ無駄だよ」
+ そうだね、もう 終わりにしよう

:葦原千尋
|「そうだね、もう
 終わりにしよう」
「ずいぶん
 遅くなってしまった
 みたいだもの」
:那岐@
|「うれしそうだね
 本当は、さっさと
 帰りたかった?」
:葦原千尋
|「違うよ!
 そういう意味じゃ――」
:那岐@
|「嘘だよ
 別にいいさ」
「なにも学校に残って
 勉強する必要ないし」
+ 那岐のほうは 余裕みたいだね

:葦原千尋
|「那岐のほうは
 余裕みたいだね」
「一学期始まって
 すぐテストなのに
 もう準備終わってるんだ…」
「今回の範囲って、
 結構広いでしょう
 大変じゃなかった?」
:那岐@
|「別に
 点が低いほうが
 面倒だからね」
:葦原千尋
|「…追試とかあるものね」
:那岐@
|「いくらなんでも
 千尋じゃあるまいし」
「そんなに
 しくじったりしないさ
 ただ――」
「テストの点が
 低けりゃ干渉される
 よっぽど面倒だ」
:葦原千尋
|「先生たちも
 期待してるんだよ」
:那岐@
|「教師に
 限ったことじゃない」
「やることをやっておけば
 誰にも、何も
 口出しされないですむ」
「自由のための対価なら
 安いものだよ」
:???@
|「二人とも、
 まだ教室に
 いたんですか」

【風早表示】
:???@
|「そろそろ下校時間ですよ」
「あんまり遅くまで
 残っているのは
 感心できませんね」
:葦原千尋
|「風早
:那岐@
|「そういうあんたは?
 ずいぶん遅くまで
 残ってるんだね」
:風早@
|「ふふっ、
 二人と同じです
 テストに追われていて」
「先生も問題を作るの
 楽じゃないんですよ」
:葦原千尋
|「先生って
 毎年、同じ範囲で
 テストするんじゃないの?」
:風早@
|「範囲は同じでも
 問題まで同じじゃ
 つまらないでしょう?」

◆風早はテスト問題を作ってたんだ

+ 先生も 大変なんだね

:葦原千尋
|「先生も
 大変なんだね」
:風早@
|「そうなんですよ」
「どこからどんな
 問題を出そうか」
「どんな問題なら
 生徒の意表をつけるか
 悩ましいですね」
:那岐@
|「…あんた、絶対
 楽しんでるだろ」
:風早@
|「せっかくだから
 いい仕事しないとね」
+ また変わった問題 作ろうとしてるの?

:葦原千尋
|「また変わった問題
 作ろうとしてるの?」
「困るよ
 せっかく
 普通に勉強したのに」
:風早@
|「大丈夫
 普通の問題も
 出しますから」
:那岐@
|「でも、教科書の
 端っこのほうからも
 問題出すだろ」
「趣味が
 マニアックなんだよ」
:風早@
|「ひどいな
 教科書で大きく
 取り上げられてなくたって」
「当時の人には、
 大事件なんだよ」
「それに、あんまり
 ありきたりな問題だと
 点差もつかないし」
:葦原千尋
|「みんながいい点なら
 それで
 いいんじゃないの?」
:風早@
|「はは、生徒のみんなが
 いい点だと
 俺もうれしいですけど」
「……成績つけるときに
 大変なんです」
+ 早くテストが 終わるといいね

:葦原千尋
|「早くテストが
 終わるといいね」
:風早@
|「そうですね、
 テストが終われば……」
「実は俺には、次に
 採点が待ってるんですが」
「それも終われば
 肩の荷が下ります」
「ええ、早く
 テスト、終わると
 いいですね」
:葦原千尋
|「風早…
 本当に気楽なんだから」
「先生がこんな調子で
 いいのかしら…」
:風早@
|「けど、そろそろ
 俺も切り上げようかなと
 思っていたところです」
「一緒に帰りましょうか
 葦原さん」
:那岐@
|「…「葦原さん」ね」
:風早@
|「校門を出るまでは、
 一応、教師ですから」
「ちゃんとけじめは
 つけないとね」
:那岐@
|「…学校出たって、
 教師だろ」

:***
|この二人は、風早那岐
私たちは小さい頃から、
一緒に暮らしている。


私の父と母はずっと昔に
死んでしまったそうだ。


その時のショックのせいか、
私は子供の頃のこと
よく覚えていないのだけど…


二人はずっとそばにいてくれて、
あまり寂しいと
思ったことはない。

:風早@
|「じゃあ……」

【SE:異音】
:那岐@
|「!」
:風早@
|「!」
:葦原千尋
|「どうしたの?
 二人とも」
:風早@
|「いえ…………」
「すみません、
 ちょっと用事を
 思い出しました」
「うっかりしていて
 先に
 帰っていてもらえますか?」
:那岐@
|「今日の放課後は
 僕の担当だったと
 思うけど」
:風早@
|「ああ、だけど、
 知った相手かも
 しれないから」
:那岐@
|「ふぅん」
「まあ、そっちで
 面倒引き受けてくれる
 ならそれもかまわないさ」
:葦原千尋
|「何の話?
 意味がよく
 わからないんだけど」
「何か
 大変なことなの?」
:風早@
|「大丈夫ですよ
 ちょっと友人に
 会うだけなんです」
「そうだ…これを」

【アイテム入手】
「宝玉」を
手に入れました

:風早@
|「預かっていて
 もらえますか?」
「なくすと困るものなので
 念のために」
:葦原千尋
|「うん、けど
 この石って何?」
:風早@
|「まあ、お守りみたいな
 ものです」
「じゃあ、すみません
 またあとで」
:那岐@
|「言いたいだけ
 言ってでてったな
 勝手なやつ」
:葦原千尋
|「しょうがないよ
 私たちも帰ろう?」
:那岐@
|「……疲れたから
 先に廊下に行ってる
 準備できたらきなよ」
:葦原千尋
|「えっ、
 ちょっと待って
 準備なんてすぐ――」
(もう行っちゃった)
(那岐も人のこと
 言えないと思うけどな)

+ 自分の机

:葦原千尋
|(えーと
 忘れ物は…)
(…うん、大丈夫)
(さ、那岐が待ってるから
 急がないと)
+ 本棚

:葦原千尋
|(先生が用意してくれた
 本や参考書が
 いろいろ並んでる)
(あっ、この本はきっと
 風早が置いていったものね)
+

:葦原千尋
|(もうこんな時間なのに、
 陸上部はまだ
 練習してるんだ…)
(そういえば、那岐は
 いつも部活とか
 やらないよね)
(どうしてだろう)
+ 時間割

:葦原千尋
|(ええと
 明日の時間割は…)
(あっ、そうだ
 英語の小テストが
 あるんだっけ)
+

:葦原千尋
|(あれ…?
 机の上に、何か
 刻まれてる…)
(「既定…」)
(うーん
 かすれていて
 よく読めないな)
+ 掃除用具入れ

:葦原千尋
|(掃除用具が
 きちんと整理して
 片付けられている)
(私の掃除当番は、
 再来週…かな)

◆廊下に出ようかな?
→そうしよう
→やめておこう


【BG:廊下】
◆教室に入ろうかな?
→そうしよう
→やめておこう

+ 女子生徒

:女子生徒
|「あ、千尋、聞いてよ~
 私、今度の日曜
 初デートなんだ」
「ねえ、何着て行ったら
 いいと思う?」
「やっぱり初デートは
 女の子っぽく
 攻めたほうがいいかなあ?」
+ 男子生徒(A)

:男子生徒(A)
|「おっ、葦原
 お疲れ~
 今日も那岐と一緒か?」
「相変わらず、
 仲いいなあ、お前ら」
:男子生徒(B)
|「おいおい、やめとけよ
 また那岐に怒られるぜ」
:男子生徒(A)
|「那岐が怒る?
 あいつ、そんなに
 怒りっぽかったっけ?」
:男子生徒(B)
|「この前、ものすごい勢いで
 無視されただろ~
 気づいてなかったの?」
:葦原千尋
|「まあ…
 那岐らしい反応だよね」
+ 男子生徒(B)

:男子生徒
|「なあ、知ってるか?
 耳成山に出る
 …って話」
「出るって言ったら、
 幽霊に決まってるだろ」
「夜中になると、
 突然稲光が走ったり、
 いろいろ凄いらしいぜ」
「テストが終わったら、
 クラスのみんなで
 肝試しでも行ってみようぜ」
+ テストの時間割

:葦原千尋
|(テストの時間割だ
 もうすぐ…だね)
+ 保健便り

:葦原千尋
|(保健便り…か)
(「成人病に注意」とか
 言われても
 実感がわかないよね)
(風早も野菜好きだから
 平気そうだし)
+ 廊下から出ようとする

:葦原千尋
|「あっ!」
「帰るなら那岐に
 声を掛けないと」
+ 那岐

:那岐@
|「支度できた?
 なら、帰ろうか」
「さっさと出ないと
 真っ暗になる」

◆そろそろ家に帰ろうか…

+ そうだね、おなかも すいてきたし、帰ろうか

:葦原千尋
|「そうだね、おなかも
 すいてきたし、帰ろうか」
+ あっ、ごめん もう少し待ってて

:葦原千尋
|「あっ、ごめん
 もう少し待ってて」
「やらなきゃいけないこと
 何か忘れてるような
 気がする」
:那岐@
|「ええ?
 今すぐやんなきゃ
 いけないことなのか?」
:葦原千尋
|「そういうわけじゃ
 ないかもしれないけど
 ちょっとだけ…」
:那岐@
|「いいけど
 あんまり待たせるなら
 先に帰るよ?」
:葦原千尋
|「すぐだから!」
+ 女子生徒

:女子生徒
|「あれ? また那岐くんを
 待たせてるの?
 早く行ってあげなよ」
+ 男子生徒(A)

:男子生徒(A)
|「那岐って
 意外と運動神経
 いいんだよな」
「ウチのサッカー部に
 入ってくれないかな…」
+ 男子生徒(B)

:男子生徒(B)
|「テストを直前に控えて
 学校でだらだら過ごす…
 学生の醍醐味だよな~」
+ 那岐

:那岐@
|「遅いよ
 待ちくたびれた」
「もう「忘れ物」とか
 言い出さないだろうな」


:那岐@
|「今日の夕飯、何?」
:葦原千尋
|「えっ?
 今日は那岐の
 当番のはずだよ?」
:那岐@
|「僕が作ると、
 ろくなものに
 ならないよ」
「せっかくの夕飯なら
 おいしいもの
 食べたいだろ?」
:葦原千尋
|「この間もそんなこと
 言ってたじゃない
 ずるいよ!」

【学校から出る】






最終更新:2008年06月27日 12:20