とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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美琴:本当の気持ち



上条当麻が好き。
この思いを自覚してからその気持ちはどんどん強くなっている。
もっとアイツと一緒にいたい。
もっとアイツの笑顔が見たい。
もっとアイツとの思い出が欲しい。
もっとアイツと――
とにかく願望いろいろとある。

けど思いに反してアイツの前に出るとどうにも上手くいかない。
いつも電撃を放って、逃げられてしまう。
その度、次こそは素直になろう。と思うけど結局その繰り返しになってしまっている。
自分の決意の弱さが嫌になってくる。

また今日もいつもの公園でやってしまった。
アイツは面倒そうに電撃を消していた。
土煙が消えたらアイツは逃げようとしているだろう。
だから、今日も追いかける。
少しでもアイツと一緒にいたいから。

だけど今日はいつもと少し、いや、かなり違っていた。
まだアイツはいて、ちょっと悲しそうな顔をしてこっちを見ていた。

「なぁ、御坂」
「な、なによ」

予想外の出来事にすこし戸惑う。

「何で、いつもいつも電撃うってくるんだ?」
「そんなの、アンタに当てるために決まってるじゃない!」

また素直になれない。
そんな自分に自己嫌悪。

「あのなぁ、何回も言うけど一発でも当たったら速攻であの世行きですよ?
できれば止めていただきたいのですが」
「なによ。いいじゃない。どうせ当たんないんだし。
一発当たったら止めてあげないこともないわよ?」

何回か交わしたことがある会話。
これでまたアイツがなんか言って、私が素直になれず怒って
電撃うって、アイツが逃げて、追いかけっこだなぁ、なんて思っていた。
けど今日だけは、素直になっとけば良かったとすぐに後悔した。

アイツがさらにちょっとだけ悲しそうな顔になり

「なぁ。なんで、お前そんなに俺が嫌いなんだ?」
「…………え?」

「確かにさ、無能力者の俺に超能力者のお前が勝てないから、
嫌いなのはわかんなくもないけどさ、
けどそれにしたってなぁ。
俺、なんかお前を怒らせるようなこと他にしたか?」

「ち、ちがっ」
「上条さん的には結構、悲しいんですよ?」

お前は知ったこっちゃないかもしれないけどな、と付け足す。
さらに、

「俺はどうしたら許してもらえるんだ?
……ってやっぱ無理だよな。
俺の存在が気にくわないんだもんな。
お前に会わないようにしたほうが御坂はいいのか?
俺はイヤだけどお前が言うなら仕方ないし、
けど、あの約束を破る気もないしな~、う~ん…」
「…」
アイツ今何て言った?会わないようにする?
何で?私がアイツを嫌ってる?存在が気にくわない?
そんな事ありえない!
アイツがいるから今の私がいるのに。
言わないと。違うって言わないと。
もぅ、会えないなんて絶対にイヤ!

「御坂?」
「…ゃだ」

気が付いたらアイツに抱きついていて
いつの間にか泣いていた。

「えっ!?み、御坂!?」
「やだやだやだやだ!絶対ヤダ!!!」
「ど、どうした!?」
「謝るから、何回でも謝るから!だからどこにも行かないで!!」
「わ、わかった!わかったから!まず、落ち着け―――!!!」




しばらくしたら少し落ち着いてきたみたいで、
涙も止まっていた。

「落ち着いたか?」
「うん。」
「んじゃ、1回離れ「イヤ」て…」
「あの~、何ででしょうか?」
「どっか行きそうだから。このまま話して。」
「行かないって。だから「絶対にイヤ」」
「…不幸だ。わかったよ。んで、何でいつも電撃うってきたんだ?」
「…」

まったくコイツは。
何でここまでやって、コイツはわかってないのよっ、鈍感馬鹿!!
って思ったけど、今は心の中にしまっておく。
今は、今だけは絶対、素直にならなきゃいけないと思ったから。
私の本当の気持ちをコイツに――

「………………………アンタにかまって欲しかったから。」
「…はい?」
上条はきょとんとした顔をした。

「えーと、それは、つまり、どういう…?」
「だ、だから、アンタの、と、当麻のことが好きだから…。」

声はだんだん小さくなっていったが、
この距離なので、なんとか聞くことができた。

「…え?」
(コイツは今なんて言った?俺のことが好き?あんなに攻撃しといて?
もしかして嘘??
じゃ、ねぇよな。この雰囲気は。)
上条は意を決して尋ねる。

「本当なのか?御坂」
「うん。いつも電撃うって、追いかけ回して、憎まれ口叩いてるけど
本当は当麻のことが大好きだった。
けど、当麻の前に出るとどうしたらいいかわかんなくなっちゃって。
素直になれなくて。」

上条は黙って聞いていた。

「街で会った時、勝負しなさい、なんて言ってたけどあんなの嘘。
ホントは普通に遊びたかった。」
「…」
「当麻が、【腹減って、疲れて、へとへとだから今は無理!】って言った時ご飯作ってあげたでしょ?
そんな状態で勝ってもうれしくないから私がご飯作ってあげる、何て言って。
あれも嘘。当麻と少しでも一緒にいたかったの。」
「…」
「病院にお見舞いに行った時、私が勝つ前に死なれたら困るのよ、なんて事も言った
けど、ホントはいつも心配で心配で、不安でたまらなかった。」
「…」
「今まで、こんな付き合い方で、当麻は信じられないかもしれないけど、
私の気持ちは嘘なんかじゃない!
だから、だからっ!――嫌いにならないで…。お願い…。」
「……んなわけねーだろ」
「え?」
「嫌いになんてなる訳ないだろ!」

上条は抱き締める力を強めた。
いきなりの事で美琴は頭がパンクしそうになる。
(えっ!?ちょっ!?えーーー!!??)

「ゴメンな。美琴。
お前の気持ちに気づいてやれなくて。あんなこと言って、お前を悲しませて。
俺はな完全に嫌われてると思ってたから、諦めて普通の友達になろうって思ってたんだ。」
「あ、諦めるってなにをよ?」
「だから、その、美琴が好きだっていう気持ちを。」
「!!」
「けど、諦めなくていいんだよな?
美琴。俺も美琴の事が好きだ。だから俺と付き合ってくれないか?」
「……え?」
「ずっと守るって約束する。
だから、ずっと俺のそばにいてくれないか?」
「……うん。嬉しい。ずっとそばにいる。もぅ逃がさないから覚悟しなさい!」
「俺は逃げないし、美琴のこと逃がさないからお前こそ覚悟しとけよ?」

そういって二人は笑いあう。
そしてそのまま、二人の距離はゼロになった。
これが夢じゃないとお互いに確かめるように。

どれくらい時間がたったかわからない。
けど二人には、とても長く感じられた。

「―はっ」
「…」
「み、美琴?」
「えへ、えへへへ~。………ふにゃぁ~~~」
「ど、どうした!?おい!美琴!?お~い!?」

嬉しさが限界突破した美琴は気絶した。
けど、その顔はだれが、どう見ても幸せそうだった。
そんな美琴を見て上条はもう一度何があっても守り抜くと心に誓い、
今まで遠回りしてきた分をこれから取り戻そうと、決意した。


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