とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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策士な後輩



とある公園にて。
「うーいーはーるーん!パンツはーいてーるかーい?」
その掛け声と共に舞い上がるスカートがあった
スカートを捲られた少女初春は一瞬フリーズしつつも顔を赤く染め上げながら

「いい加減にしてください佐天さん!それにちゃんと穿いてますよ佐天さん」
「いいじゃん初春。どうせ私しか見た人はいないし。じゃあおわびにハイッ!」
そう言って佐天は自分のスカートをたくし上げて初春に見せた瞬間

「おがっ……」
佐天は(あれ?)と思いつつ周りを見回すと一人の少年が固まった状態でいた
「みっ 見られた」
そう呟き次の行動も取れない状況でいると
何故かさっきまで固まっていた少年が目の前で土下座をしていた

「あ…あの?」
「すみませんでした。この不肖上条当麻はうっかりにも貴女のパンツを見てしまいました。どうぞ煮るなり焼くなり…」

佐天と初春は見ず知らずの人にいきなり頭を下げる上条に驚きつつも
「頭を上げてください上条さんでしたっけ私がいけないのですから」
「そうです上条さんは悪くないです悪いのは隣にいる佐天さんなんですから」

と…。佐天が悪いと言うことで話がまとまりそうになったときに上条の背中にいつも感じている悪寒が走った

「あー、んー、たー、は。…いつもいつも私を不愉快にしたいみたいだねしかも私の友達にまでてをだして…」
「ゲッ……ビリビリ……二人とも逃げてくださいここは戦場になります」
「だから…私は御坂美琴って名前があるのをいい加減に覚えんかーーー!」

普段見る美琴とは言動が違うことに二人は緊張しつつも、美琴の視線の先の上条に目をやった瞬間
美琴から雷撃の槍が上条に襲いかかった。しかしいつものごとく上条はあっさり右手で打ち消してそのまま逃げ出した

「あいかわらずあっさりと私の攻撃を……ちょっとアンタ待ちなさい」
逃げる上条を追いかけるべく美琴は走り出そうとした瞬間

「御坂さん。ちょっと待って下さい、上条さんは悪くないですから」
そう叫んで美琴を止めにはいった
「へっ?佐天さんどういう事?」
佐天と初春は事の経緯を美琴に話した。

「そうなんだ。じゃあ別にアイツにフラグがたった訳じゃないんだ」
「……フラグ?」
「あっ…何でもない。何でもないから」

「それより御坂さんに聞きたいことがあるのですが…ちょっとそこのファミレスに行きませんか」
美琴はそんな黒い笑顔の佐天にどうせアイツ(上条)のことを聞かれるんだろうと思いつつも言われるがままファミレスに向かった。

佐天に連行されて数分、とあるファミレスにて
「さて御坂さん。単刀直入に聞きます上条さんとはどんな関係なんですか?」

やっぱりなと思いつつも、ある程度覚悟を決めていたので向かうときにシュミレーションした通りに
「アイツとの関係?」
二人にはさとられないようにとぼけてみるようにしてみた。
「そうです。友達?それとも恋人ですか?」
「あーーそういうことね。アイツは宿敵よ宿敵」
「そうなんですか……」

宿敵発言に二人は納得したようにうなずいたが、
しかし、佐天聞き逃さなかった。美琴のフラグ発言に美琴は誤魔化していると感じた佐天は

「でも…御坂さんは学園都市に7人しかいないlevel5でしかも第三位、そんな人の宿敵ってドンだけすごい人なんですか?教えてください」
「そうですよ!さっきも御坂さんの電撃を上条さんはあっさり退けましたけど、どんな能力なんですか?」

美琴は電撃が効かないことから始まり、上条に対しての不平不満を並べて愚痴った。
しかし話している姿はなにか嬉しそうであった。
そんな美琴を見て佐天は(惚れているな)と感じとり揺さぶりにかかった。

「それで御坂さんは上条さんの事が好きなんですか?それとも嫌いなんですか?」
「きっ…嫌いよあんな奴。私の話し聞いていたでしょ。あんな失礼なやつ」
「へーそうなんですか」
にまーっと更に凶悪な笑みを浮かべて佐天は美琴に対して衝撃的な言葉を放った
「じゃあ。私狙っちゃおうかなー」
「へっ?狙う?」
「だって学園都市に7人しかいないlevel5それも第三位の御坂さんが勝てない凄い人なのに全く偉ぶっていないし、それに顔もそんなに悪くないですから」
「駄目よ。駄目って。あんな奴、好きになってもろくな事ないよ。やめた方がいいよ佐天さん」
焦る美琴を見て更に悪知恵を働かせた佐天は美琴を窮地に立たせるべく

「という訳で、初春早速だけど上条さんの情報教えてくれないかな?ここのパフェ奢るから」
「えーっ駄目ですよ佐天さん。個人情報を人に教えるのは違反なんですから」
「じゃあせめて通っている学校だけでもお願い。私の為にね」
少し悩みながらもパフェの誘惑に負けた初春は
「わかりましたよ。学校だけですよ」
そう言って初春はバンクで上条当麻を検索し始めた
「えっ……あの…ふたりとも?」
あまりにも佐天の積極的な行動に美琴は何か喋ろうとしても言葉が出ない状況になりオロオロしはじめた

「えっとですね。学校は……えっ?」
「どうしたの初春?」
「上条さんバンクでは無能力者で登録されています」
上条当麻は無能力者という事に初春と佐天は嘘だろうと思った。
学園都市第三位の美琴が無能力者上条当麻に手も足も出なかった事。
そして美琴の雷撃の槍を右手一つであっさり打ち消してしまったのを二人は目の前で見てしまったからだ

「上条さん無能力者って本当ですか?」
二人はバンクの情報は信じられません本当はどうなんですか?と美琴に質問してきた。
そんな二人にこれ以上は隠せないと感じた美琴は
「あーもうわかったわよ!話すから。でもこの話は私達だけの秘密にして」
そう話して上条の右手の能力そして美琴が助けたことになっているグラビトン事件の事まで話してしまった。
その話を聞いて二人は

「えーっ!グラビトン事件で初春達が助かったのは上条さんが能力を打ち消したからなんですか!でも何で名乗らなかったんですか?ヒーローですよ」
「だってアイツは、全員助かったから誰が助けたかなんてどうでもいいの一言で私だけカッコつけんのよ。あーっ!今思い出してもムカつくーー!ってあれ?二人とも?」
美琴の話を聞いて二人は頬を赤くしてポーっとしはじめた。
それを見て(しまったー!初春さんにもフラグがたってしまった)と思っても後の祭り二人は完全に恋する乙女の目をしていた。
「私。佐天さんの気持ちわかりました。上条さん素敵な人ですね」
「初春。私、自分のパンツに感謝する。あんなカッコいい人と巡り合わせてくれた事に」
佐天は当初は美琴をからかうつもりで上条の情報を聞いていたが、予想を超える人物像に目的を忘れ陶酔していた。
そんな二人を見て面白くないのは美琴である。ライバルが増えるばかりではなくそのライバルが友達である事に
そして助け船として上条を嫌っている黒子に応援を頼む為に電話をかけた
美琴が電話をするなりものの数分で黒子はファミレスに現れた。

「どうしたのですのお姉様?」
美琴は二人が上条に惚れてしまったのを考え直させるようにお願いをしてみたが黒子から出た言葉は

「お二人ともお目が高いですの。上条さんはわたくしが唯一お姉様を託せると思った殿方ですの」

予想を裏切りというか予想通りというか
黒子は二人に上条はどれだけ素晴らしい人物なのか、そして付き合う男として申し分無いことを話した。

「ちょっと黒子!いつもの類人猿発言はどうしたの?」
「あら?お姉様。わたくしがいつ上条さんのような素晴らしい人物に対して類人猿などと申したのですの?」
美琴は二人の素敵発言からまともな思考がなくなっていた事に今気がついた。
上条と美琴がくっつくのを面白く思わない黒子が美琴以外の人物に上条に惚れるなと言うわけが無いことに。
完全に別の意味で追い込まれた美琴はただ唖然と恋する乙女となった二人を見ることしか出来なくなってしまった。

佐天と初春に黒い笑みを浮かべた黒子が、楽しく上条の事を話すのをただ見つめる事しか出来ない美琴は心の中で
(こうなったらやるしかない)と、覚悟を決めて誓うだけであった。

佐天と初春の衝撃的発言から次の日、美琴は思いきって上条にメールを送った

「物凄く大事な話があるの夕方の5時にいつもの公園の自販機の前で」

確実に約束を取り付けるには電話をすればいいのだが、美琴は電話だといつもの如く喧嘩になると思いメールで連絡をとってみた。
メールを送ってから数分で上条から返信が来た

「なにがあったんだ?それで御坂は大丈夫か?いつもの自販機に必ず5時までに行く」

上条としては珍しく緊張感を感じるメールが返ってきた。
約束を取り付けた美琴は心の中で(今日は素直に自分の気持ちを打ち明ける。素直に…素直に…)
そう繰り返して頭の中では告白迄のシミュレーションを何度も練っていた。

そして約束の時間。黒子を振り切る為に少し回り道をしながらも30分前に公園に着き自販機の前に向かったが、
そこで美琴が見たのは予想を覆していつも遅刻をする上条が既に自販機の前に立っていたのだった。
先に待っていた上条は、周りをキョロキョロ見回し美琴を見かけるなり猛ダッシュで近づき両肩に手を置き顔を近づけ

「御坂なにがあったんだ大事な話ってなんだ」
「顔が近い!顔が!」
普段とは違う上条に美琴は頭の中で作られた告白迄のシミュレーションが全て崩れ、パニックになり泣き出してしまった。

「わわわわ…御坂大丈夫か?」
急に美琴が泣き出したのには上条はただ事ではないと思い

「御坂なにがあったんだ!俺に全部話せ俺に出来る事なら何でもするから」
心配かけまいとそう声をかける上条であった。
「えぐっ…本当に何でもしてくれるの?…ひっく…」
「ああ何でも言ってくれ」
「ひっく…じゃあ私の恋人になって…」
「えっ?」

衝撃の言葉に上条は動かなくなった。そして
「……………」
「……………」
二人の間にしばらくの静寂が続いて

「やっぱり駄目なんだ…ひっく…ひっく…ごめんね」
返事がないことで振られたと感じた美琴はその場から逃げるように立ち上がったが上条に腕を捕まえられて

「あのう御坂さん……上条さんは告白されたんですよね?」
「そうよ!大事な話って言ったじゃない」
「大事な話ではありますが…俺の返信でおかしいと思わないか?メールだと事件に巻き込まれています風だったから」
「だって今から告白しますから公園に来てくださいって恥ずかしくて打ち込めないじゃない!」
「じゃあ告白だけなんだな……事件に巻き込まれていないんだな。よかったー」
そう言って上条は

「おうっ!いいぜ付き合おうか」
「えっ?いいのこんな私だけど?」
「いつもビリビリしているみことたんと一緒にいられるのはこの右手を持つ上条さんのほかに誰がいるのですか?」
「それって、私には恋人ができそうもないからしょうがなく付き合ってあげるって意味なのかしら?」
「あわわわわ……落ち着いてください御坂さんそう言う意味じゃないですから。今のは軽いジョークです」
「たくっ…まあ癪だけど、私の恋人としていられるのはアンタしかいないんだから」
「不幸な上条さんのことを好きといってくれる人は御坂様しかいないですよ。逆に上条さんは御坂様を離しませんよ」
「ならよろしい」

晴れて上条と恋人になれた美琴は普通なら夢心地でいられるはずだが心の中では引っ掛かるものがあった。
それは二人の年下の友達である佐天と初春で存在であった。
(二人には謝罪を込めて報告しなくちゃね)と思い、上条に

「ねぇ。今から会ってもらいたい人がいるんだけどいい?」
そう話して電話をかけはじめた
電話をかけると何故か後ろの茂みの中からガサゴソと音を立てて二人の少女が出てきた。

二人の少女はしかめっ面をしながら美琴に近づき
「御坂さん」
「佐天さん…初春さん…」
「あっ…あの二人は」

美琴は二人に謝ろうと頭を下げようとした瞬間

「おめでとうございます」

二人からは怒りの言葉ではなく祝福の言葉であった。

何が何だかわからない顔をした美琴に佐天は
「御坂さんと上条さん。ごめんなさい」と謝罪し事の真相を話しはじめた。

佐天は美琴とファミレスに向かう時に初春に美琴が上条に惚れているようなら告白せざるをえない状況に持っていこうと計画をたてていたのだった。
そして上条にも朝方学校の近くで初春と一緒に待ち伏せて「美琴が何かを隠している」告げていたのだ。
そんな告白に唖然とした二人に佐天は

「恋人になれてお幸せなところ申し訳ないですが、今から大ボスと戦ってください」
「大丈夫です。私たちも一緒に戦いますから」
二人はそう言って携帯にメールを打ち込みはじめた。
メールを送信してすぐに大ボス黒子が現れた。

「この類人猿……覚悟はよろしいのですの」

そう言って上条に近づき、今から惨劇が始まろうとした時に初春から
「あれーーー?白井さん、昨日上条さんの事をお姉様を託せる人と言っていなかったですか?」
とぼけた風に言う初春に美琴は話を合わせて。
「黒子っ!アンタ、私ばかりではなく初春さんにも嘘をつくのね。そんな後輩とは一緒の部屋にもいたくないし話したくない」

その言葉に黒子は崩れ落ちるようにひれ伏して、ピクリとも動かなくなってしまった。
(少し言い過ぎたかな?)と思いつつも美琴は「いいお灸ね」と呟き上条の手をとり恋人繋ぎで
「みんなありがとう」
そう言って二人で町中に消えていった

「うまくいって良かったね。初春」
「良かったですねー。佐天さん」
あまりにも理想的な展開に満足した二人は帰ろうとした時に別な意味での恐怖の惨劇を見た。

「ハァ…」ゴンッ!
「ハァ…」ゴンッ!
「ハァ…」ゴンッ!
「ハァ…」ゴンッ!

そう呟きながら地面に頭突きを繰り返す黒子がそこにいた。


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