とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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だれでも歓迎! 編集

右手のため



「佐天さ~ん、もう帰りましょうよ。」
「お願い初春!あと一回だけ」

初春と佐天はゲームセンターにいる。最初はプリクラを撮ったりといかにも女の子らしい
遊びをしていたのだが佐天が以前美琴と死闘を繰り広げたパンチングマシンを見つけ、
『御坂さんにどれだけやっても超えられない記録を出してやる』と張り切ってかれこれ
パンチングマシンに財布の中にあったお金をつぎ込み、しかも今は初春の小銭を使って
やっている最中だ。

「これが私の全力・・・・だあああああああああああああ!!!!!」

どこかで聞いたことがあるような誰かの台詞を吐きながら佐天はミットを殴ったが今回はどうも
調子が出ないみたいで、前回の美琴の記録に並ぶのがやっとだった。

「初春、もう一回だけ!!」
「ダメです。誰のせいで私のお金減っていると思ってるんですか?」
「あはは・・・今回は諦めて帰るかな。風紀委員の仕事が非番の時また行くからね!」

え~!と初春が嘆いているが佐天はその困った顔をみて楽しみ、二人はゲームセンターから
出て行った。

佐天と初春は何気ない会話をしながらそれぞれの寮に向かって歩いている。だがその時、

「おーい!!」
前方から誰かがこっちに向かって手を振っているのが見えた。
二人は「誰だろう?」と目を懲らしながら相手に近づき、やがて数メートルまで近づいた時
には顔がはっきりとわかった。大人の男性で背が高く、ジーパンにYシャツとラフな格好
をした人だが佐天も初春も知っている人ではない顔だ。

「君たち、初春さんと佐天さんだね?」
「はい、そうですけどどちら様ですか?」
「くぅ・・・やっと会えた。君たちに出逢うまで俺がどれだけ苦労した事か・・・」
「いや、どちら様・・・」
「しかしこれでアイツの居場所がわかるかもしれない!今日の俺は不幸じゃない!!」
「「人の話を聞いてください!!」」
初春と佐天が一人でブツブツ言っている大人に喝を入れるように叫び、その声にひるんだ
男はこほんと咳払いをして、

「ごめんなさい。俺は上条当麻と言います。実は二人に人捜しを手伝ってもらいたいんですが・・・」
上条当麻という名前に初春はどこかで聞いた事あるような名前だと思ったが多分きのせいだろうと決めつけた。

「でも何故私達なんですか?」
「初春さんは風紀委員だろ?情報処理の速さは天下一だと聞いて。佐天さんも情に熱い人
だーって聞いたから。それと、二人にしかお願いできない頼みなんだ」
どこから自分たちの情報を得ているんだろうと疑問に思ったが男の顔が真剣だったので深く
追求することができなかった。それにこの男性・・・

右腕の手首から上がない。

今気付いたのだがそれを見ただけで二人はぎょっとした。それに気付いた男は
「あっ!悪い!別に怖がらせるつもりじゃなかったんだけど・・・」

サッと右手を背中に隠した。でもこの男性の表情や雰囲気などを見ると不思議と恐くない。
「あの、それで人捜しって誰を捜しているんですか?」
おずおずと初春が男性に聞いた。

「俺の妻を探しているんだ。君たちもよく知っている美琴をね。多分この世界にいるハズなんだけどなー」

「「・・・・・・・・・・・・・」」

最後の言葉は訳がわからなすぎて初春と佐天の耳に入らなかった。



三人は場所を変えてファミレスに入り、初春と佐天は男性の説明を受けた。信じられない
話だろうが二人を信用してと先に言って。


上条当麻と名乗るこの男性は未来から来た。今この世界にいる上条当麻は高校一年生。
数年後に御坂美琴と結婚し子供もいる。未来でも美琴は初春と佐天との交流も続いているが、
未来の初春と佐天の事は「未来を変えてしまうかもしれないから」との理由で教えてくれなかった。
未来の初春に調べてもらった所、妻である美琴はこの世界にいると知り、時間移動機(タイムマシン)
で自分もここまでやってきたとのこと。
未来に残っている子供は未来の白井黒子の熱い要望により心配だが彼女に預かってもらっていること。
美琴の事で頼れるのはこの世界では君たちしかいないとお願いをされた。


「でも何故御坂さんがこの世界に来たんでしょうか・・・」
「わかんねえ。出かけてくるとだけ言ってここに行ったみたいだし。別に家庭の事情が
よろしくないとかではないんですかね・・・」
上条はため息を吐きながら愚痴た。

「ほほう。是非家庭ではどんな生活をされているか聞きたいですね~」
佐天がニヤリと笑い出した。初春は知っている。この顔をした時は悪い事を考えてる時の顔だと。

「まだ中学生のあなた達には早いですよ」
上条はあしらうように言い切った。

「じゃあ御坂さんを探す事に協力できません」
「うっ・・・それは脅しか?」
「違いますよ、交渉ですよ」
ドンっと肘をついて構える佐天。上条は気付いた。この子、マジだと。

「俺の印象なんか知らんが美琴のイメージが大幅に変わると思うぞ?」
「構いません。最低5個のエピソード言ってもらわないと交渉は不成立ですよ」
「・・・・・・・わかった。後悔するなよ」

その後、5つのエピソードを上条が話し終えるまで初春と佐天は顔を真っ赤にしたままだった。



「・・・・これで満足かい?」
「そりゃあもう、ごちそうさまでした。喜んで未来の御坂さんを探します!」

交渉成立。初春が早速監視カメラで探し始めた。佐天、上条は何もできないので初春の作業を
黙って見るしかなかったが佐天が

「上条さん、この日何をしていたか覚えていますか?」
と質問した。
「高一のこの日か・・・あ~・・・よ~く覚えていますとも」
何故か上条はどんよりとした空気を出しながら続けた。
「家の近くで犬に追いかけられているはずですよ・・・」
「ブフー!い、犬!?」
たまらず佐天と初春は吹きだしてしまった。
「あのですね、不幸なことに尻尾を踏んでしまって。とてもでかい犬で恐かったから逃げたんですよ!
君たちだって大型犬に追われると恐いだろ!?」
「いや、大人がそんなこと言っても説得力ないですよ」
「ちなみにどのへんにいたんですか?」
初春の問いかけに上条はパソコンに表示してある学園都市の地図を見てここだと指をさした。

指をさした場所をクリックして拡大し、いくつかのカメラを見ているとマッハの速さで
カメラを駆け抜ける少年が見えた。
「これが今の上条さんですね!?若い!!」
「でもさほど変わっていませんね」

しかし少年が走り去っても犬が追いかけてくる気配は一行に見えない。もしかして逃げ切れた?
と初春と佐天は思っていたが上条が
「何か記憶と違うな・・・ずっと犬に追いかけられたのに」
と呟いた。
カメラに少年の上条が走り去った数秒後、上条を追いかけているであろう物体が横切った。
だがこれもあまりの速さでよく見えなかった。青色の何かを出しながら。
「初春、今の何!?犬にしては変だよね?」
「速すぎてわからなかったです。上条さん、どんな犬だったんですか?」

初春がぱっと上条を見たが上条は顔を青くしながらカメラを見ていた。
「どうしました上条さん?」

「今のは多分・・・美琴だ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「待てって言ってんでしょうがあぁ!」
「そんなビリビリしながら追いかけてくる人を待てる人なんていないですよー!」
「アナタね!一回でいいから私の攻撃受け止めろ!」
「死ぬからやめてください!まさか御坂以外にこんなことしてくる人間なんていると思わなかった。不幸だー!!」
「うわぁ!その言葉心に響くわ!何回でも言わせてやるわよー!!」


この時、未来の美琴は少年の上条を追いかけてただ楽しんでいるだけであった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そんな事は知らずにこの様子を見てパニくっている三人は、
「もしかして未来の御坂さんは上条さんを亡き者にして結婚した事をなかった事にしたいと?」
「冗談でもねえ!」
「そうですよ佐天さん!とりあえず現場に向かいましょう!」
「うん!」
初春と佐天は急いで席を立ったが

「俺は行けない」

その言葉に初春と佐天はえ!?と驚きを隠せなかった。その様子を見た上条は
「何か俺とこの世界の俺が出逢うとまずいらしいんだ。よくわからないんだけどハリウッドの
映画でもあっただろ?」
「バックナントカフューチャーでしたっけ?あんな風になると?」
「とりあえず絶対ダメだと大人になった初春さんに注意されたんだ」
「じゃあ私達だけでも現場に向かいます!上条さんはここで待機していてください!」
「ああ、悪いな。頼んだぞ」

初春と佐天はファミレスを飛び出した。二人を見送った上条は一人残され、
「待機つってもな。確かにやることないけど」
ファミレスのお姉さんでも眺めながら時間を潰すしかないと思いただただぼーっとするしかできなかった。

数十分が経ち、上条はいつのまにか寝てしまっていた。店側からすれば迷惑な客だろう。
慌てて起きた上条は初春と佐天が先程まで座っていた向かい側の席をふと見たが、ここで一気に眠気が
覚めた。こっちをジーっとみている少女が座っていたからだ。


常盤台中学の制服を着た御坂美琴が。



「アンタ、一人でファミレスの中で居眠り?随分暇みたいね」

話しかけてきたこの世界の美琴だが顔を赤くしていた。

上条は美琴と結婚して子供もいる。つまり美琴とは長くいるわけだ。美琴に対する免疫力は
相当ついたがこのもじもじした様子を見るとこっちがドキドキしてきた。

上条は付き合い始めた頃に美琴が言っていた事を思い出した。美琴が俺のことを気になった
のは一方通行との戦いの後。電撃飛ばしたり嫌みを言ってくるのは愛情の裏返しだったこと。
何よりまずは気付いてよバカとまで言われたのだからこの時既に美琴は俺の事を好きだった訳だ。

失った右手はテーブルの下に隠れているから見えていないはず。
(この様子だと大人の俺とは気付いてないみたいだな)
態度でそう思った。
「アンタ、髪型変えたの?それ似合ってないわよ」
「・・・・・・・・そうか」
確信した。間違いなく美琴は気付いていない。

「お前が似合うと言ってくれると思ってイメチェンしたのに。上条さんは不幸だ」
今となっては美琴対応マニュアルを全て把握している上条なので軽くあしらうような感じで
返した。恐らく美琴は顔を余計真っ赤にして何も言えなくなるだろう。

「っ!・・・・・・・・私はツンツン頭が良かったけどね」
「!!」

これは驚きだ。この世界の美琴が素直な意見を言ってくれた。それだけで上条は嬉しくなり

「何か飲むか?上条さんは今凄く機嫌がいいからご馳走してあげますぞ姫」
「ひ、姫!?あ、あ、あ、アンタいつから私の事を姫って」
これは面白い反応だ。ゆでだこのように真っ赤になりやがった。しかし一つ不安なのが
美琴の電撃を打ち消せる右手がないので彼女を漏電させないこと。
右手を失ってから何回か美琴の電撃の被害に遭ったのでこりごりなのだ。

美琴はじゃあアイスティーでとウエイトレスに注文しておとなしくなってしまった。
上条はニコニコしながら美琴を眺め、美琴は上条に見つめられているため今にも気絶しそうで視線があちこちに逸れていた。
お互いがそれぞれの行動をとりながら数分が経ち、美琴が意を決して上条に話しかけた。

「アンタ。ここで何やってんの?」
「人捜ししてんだけどちょっとここで待機していろと言われてな。しかしここでお前と会える
なんて夢にも思わなかったぞ~」
「ぶは!げほげほ!!ななななな何を言って!!」
「あ、漏電は絶対するなよ。悪いが今の俺は何もやらないぞ」
「う、うん・・・」

そして再び沈黙が流れる。上条は相変わらず美琴を見てニコニコしていたが、
「お前、いつまでここにいるんだ?」
「へっ?」

美琴マニュアルからすると恐らく俺を見つけて入って来たんだろう。かなりナルシストな
意見だが間違ってはいない。だがあえて聞いてみた。

「あ、アンタだって一人でいつまでここにいるつもりだったのよ?」
「俺は待ち合わせしてるんだ。もうすぐ来ると思うんだけどな。早く帰ったほうがいいぞ。
このままいると拷問のような目に遭うから」
まあ、聞いちゃくれないだろうけどと思っていたが

「わかった。アイスティーありがとう。ごちそうさま」
それだけ言い残してさっさと帰ってしまった。

「・・・なんか予想を裏切る事ばかりだったな」

上条はそう思ったのだが美琴はいつもの上条ではないように思えたので改めて出直して来よう
と考えただけなのだった。今日はアイツに骨抜きにされそうだった。その感情だけが消えずに。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「えぇ!?俺と御坂が結婚する!?」
「何?不満でもあるわけ?」
「ていうか、御坂は俺の事嫌いじゃないのかよ?」

高校生の上条を捕まえた未来の美琴は思い出が詰まった橋の上に上条を連れて行き、
あろうも事か未来の事を話していた。

「電撃飛ばすのも乱暴な口調もあれは全部正反対の事言ってるの。まず第一私のアピールに
早く気付けっての!」
「う~ん、信じられないなぁ。未来から来たとかそのへんも」
「じゃあ若い私よりも強力な超電磁砲でも受けてみる?」
「ごめんなさい。その強引な手段は間違いなく未来の御坂さんです」

上条は、ははぁ~と土下座モードに切り替え、命の危険を守った。

「んで、未来の旦那のアンタに一つ言いたい事があるの」
「ん?」
「アンタ、その右手がなくなったらどう思う?」
「能力とか関係なく不便になるな。俺右利きだし」
「私から電撃喰らったら?」
「まともに喰らった事あるけどあれはヤバイだろ。まあ、御坂のことだから殺しまではしないと
思うけど」
「じゃあ未来の旦那様、よ~くイメージして聞いてね」
「何だ?未来の俺は御坂に旦那様と呼ばせる性癖があるのか?」
「黙って聞く!右手を失っても電撃を飛ばしてしまう恋人の事どう思う?」
「電撃を飛ばす理由はともかくそんなことで嫌いにはならないと思うぞ?」
「・・・どうして?」
「だって、御坂がそんな辛そうな顔しているの見ると嫌いになんかならねえよ」
「え?」
「あのさ、お前はもう俺より年上なんだろうけど今のお前の顔、あの時ここで会った時みたいな顔
してんだよ。今にも泣き出しそうな顔をさ。未来の俺は罪人だな~。また御坂をこんなに
悲しませるなんて」
「・・・泣いてもいい?」
「ああ。気が済むまで泣いていいぞ」
「胸借りてもいい?」
「未来の旦那様に殺されないでせうか・・・」
「アンタなんだからいいのよ。それとね、胸貸してくれるなら一つ教えてあげる」
「はあ・・」

「私ね、アンタと抱き合っている時いつも漏電するの。アイツが右手を失ってから一回
抱きついたことがあるの。そしたらアイツ死にかけちゃって。それでもアイツは笑ってて、
命ある限り抱きついていいんだぞーって冗談まじりで言ってくれたの。でも私はそれが
苦しくて辛くて。ずっと我慢してた・・・」
「わかった。お前のためだ。俺でよければどんと来い!」

上条は両腕を広げていつでも飛び込んでこいと迎えた。それに美琴はゆっくりと近づく。
右腕の先にはしっかりと5本の指がある手。これが幻想でもいい。そう思って美琴は
上条の右手に自分の手を当てた。
美琴は上条の胸の中に入り、あとは上条が抱きしめるだけとなった時、

「「上条さーん!御坂さーん!!」」
初春と佐天はやっと二人を見つけてこちらに走って来たのだが、あまりのタイミングの
悪さに上条と美琴はガクっと崩れてしまった。

「えっ!?初春さん、佐天さん?どうして?」
「えと、初めまして未来の御坂さん。御坂さんの夫の上条さんが御坂さんを探しに来てますよ!」
「上条さん、明るく振る舞っていたけど凄く心配していましたよ!私にはわかります!」
「当麻が!?何故!?」
「心配してるからに決まっているじゃないですか!とりあえず行きましょう!上条さんは
ファミレスにいます!」
「で、でも・・・」

美琴は名残惜しそうに目の前にいる上条を見た。上条は行って来いよと目で合図してくれたが、
「アンタも一緒に来て」
「ダメですよ御坂さん!この世界と未来の同じ人が会うとまずい事になるって上条さんが!」
「そうそう!バックナントカフューチャーみたいになるかもって」
「大丈夫よ、コイツを誰だと思っているの!?」
「誰って上条さん・・・」

「右手で『ふざけた幻想をぶち壊す』人間なんだから」
「あ!初春さん、佐天さん遅かったな。美琴は見つかったか?」
初春と佐天がファミレスに戻ると未来の上条は首を長くして待っていたであろう、二人の
姿を見つけた途端飛びかかった。
「その前に上条さんにはこうしてもらいま~す」
「こうってどう?」

上条は二人に促され、席を立たせられ、何故か佐天に目隠しをされてどこかに連れて行かれた。
「まさか美琴に殺すから連れてこいとか言われたのかな~君たち?」
「そんなことありません。それだったら御坂さんが直接出向いてくるでしょ?」
「そ、そうですよね~」

上条は汗をだらだら掻きながら不安が募るばかりだった。
上条は美琴がここに来た理由がわからないままこの世界に来た。
初春と佐天が目隠しされた上条をエスコートして楽しそうに右に曲がりますとか言っているが
悪い子にしか思えなくなっていた。

「はい到着です。覚悟はできましたか上条さん?」
「そ、それは遺言を残せという意味でせうか・・・」
「どっちでもいいです。御坂さんにメッセージでも♪」
「・・・・どんなことがあってもこれからも愛してます。だから殺さないでください・・・」
「くぅぅ~妬けるなぁ!それじゃあ目隠しオープン!!」

目隠しが外され上条の目に映ったもの。それは自分の顔の目の前に見慣れた愛しい美琴が立っていた。
あまりにも至近距離だったため上条は思わず後ずさりしようとしたが美琴がそれを許さなかった。
サッと上条の肩に腕を絡ませ美琴が上条を抱き寄せた。
上条は漏電が来る!と覚悟したが一向にこない。しかし美琴にしっかり抱きしめられているのは間違いない。

「み、美琴、漏電治ったのか?」
「ううん、これは幻想(夢)なの。でもこれだけはわかって。私も当麻のこと愛してる」

無理矢理と言ってもいいくらい強引に美琴が上条の口唇を奪った。

とても長く感じた時間。
「きゃー!!初春!御坂さんが!!!」
「どさくさに紛れてスカートめくろうとしないでください!」

そんな言葉は上条には全く聞こえなかった。
やがて口唇が離れ美琴は上条の耳元で、
「もう一人子供作ろっか」
と囁き、上条は自身初の「ふにゃー」化してしまった。

「さあさあ、ファミレスに戻りますよ」
ここからまた初春と佐天が上条をファミレスに連れて行き、数分後に二人は戻ってきた。

「やりましたね御坂さん!」
「凄かったです!上条さんまだ放心状態ですよ!」
「ありがとう!あなた達のおかげよ!」
初春は涙を浮かべながら喜び、佐天は美琴に抱きついた。

「あの~俺はまだこの状態なのでせうか?」

美琴のすぐ後ろから声が聞こえてきた。高校生の上条は未来の上条に姿を見られないように
隠れて美琴に触っていた。しかも幸か不幸かお尻に・・・

「アンタもありがとう。普通だったらこれこそ殺すとこだけど」
「まだ死にたくありません・・・」
「フン、だったらこの世界の私を大事にすることね。じゃあ私、当麻の所に戻るから。多分
すぐ未来に帰ると思うからあなた達とはこれでお別れね」

じゃあね!と美琴は走って去っていった。意外とあっさりした別れ方だった。また明日にでも
会えるような感じで。


初春、佐天は早速高校生の上条に攻撃を仕掛けた。
「上条さん、御坂さんとお幸せに!」
「まだ俺と御坂は付き合ってもいねえよ!」
「えぇ~未来の御坂さんが言ってたじゃないですか。この世界の私を大事にって。」
「でもさ・・・」
「「でも??」」


「あんなモン見せつけられたら嫌でも御坂の事意識してしまうだろ」


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