翌朝。
常盤台寮内の私室のベッドの中で御坂美琴は身悶えていた。
常盤台寮内の私室のベッドの中で御坂美琴は身悶えていた。
「あ゛ぁぁぁ…言っちゃった…言ってしまった…うぅ、あ~…」
起床し、昨晩のことを思い出してからかれこれ30分この調子である。因みにルームメイトの白井黒子、もとい黒井黒子は床で寝てる。なぜかって?いつものことだからそこには触れないで頂きたいが、おえて言うなれば今の美琴を見て白井はどうするだろうか…っと話がそれて申し訳ない。本題に戻そう。
素直になる。
昨晩御坂美琴はそう誓ったのだ。佐天涙子に。上条当麻と親密な関係になるために。だが、日がたつと決意は揺らいでしまうものである。それは学園都市の第三位の超能力者である、御坂美琴でも例外ではなかった。もっとも、上条当麻のことでさえなければ揺らぎはしなかったのだろうが。
「はぁ…こうしてても仕方ないわよね。佐天さんに大見得きっちゃったし…よし!頑張れ私!あんたはみんなのお姉さまでしょ!
…自分で言ってて恥ずかしくなってきちゃった…ッてもうこんな時間!?やば、遅刻する!」
こうして、御坂美琴の1日が始まった。
え?白井?だからまだ寝てるってば。遅刻?大丈夫だ、問題ない。 …問題ないったら問題ない!!
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お嬢様らしからぬ形相で準備をし、朝食を済ませた美琴はなんとか、いつも通りの時間に寮を出ることに成功し、事なきを得た。
だが、その通学中、美琴にいきなりのチャンス、もとい、試練が訪れた。
だが、その通学中、美琴にいきなりのチャンス、もとい、試練が訪れた。
いたのだすぐ目の前に。いつもの公園で、あのツンツン頭が。
「ッ!!??」
尋常じゃない位びっくりした。それはもう腰抜かすくらいに。…この公園に人が少なくてよかった…って、別にホントに腰抜かした訳じゃないんですよ?ホントだよ?
(落ち着けぇぇ!!落ち着くのよ!御坂美琴!何も今あいつと遭遇したからって、こ、告白しないといけない訳じゃないんだから!いつも通りに挨拶して、すこーしだけ、素直に振る舞うようにする、うん、それだけでいいのよ!)
そうして何とか自分を落ちつけ、立ち上がりあいつに声をかける。…かけようとしたのだが、いない、あいつが、いない。それもそのはず、なんせ、かれこれ2分近く、美琴は混乱して回りが見えていなかった。そして上条は美琴に気付いておらず、歩き続けているのだ。見失っても当然である。
今日は諦めるとゆうことも考えたが、美琴はそれを良しとは出来なかった。
今日は諦めるとゆうことも考えたが、美琴はそれを良しとは出来なかった。
(まだ、そんなに遠くには行っていないはず!)
そうして美琴は駆け出した。
(いた!!)
思いの外、上条は直ぐ見つかった。
(はっは~ん。アイツの学校の方向から逆算したら大体どこ通って通ってるかなんてすぐ分かるのよ!レベル5舐めんな!)
「おっはよー。今日も相変わらず不景気そうねー」
そう美琴は声をかけた。かけたのだが…
「…」
完全にスルーだった。それはもう清々しいほどに。
(こいつ…せめて振り向くとか!歩調落とすとか!なんかないわけ!?なんで私のことはいつもいつも検索件数0なのよ!!)
上条は今日も鈍感っぷりを遺憾無く発揮していた。いつもはここで美琴が電撃をぶつけて売り言葉に買い言葉の口喧嘩に発展するのが関の山だが、今日の美琴は一味違った!
(そうよ、私は素直になるって決めたの!ここで怒ってちゃ話にならないわ! …でもどうしたらアイツに気付かせられるかしら、いつも(でんげき)以外の方法で…)
上条は単に声をかけるだけでは気が付かない。このバカ、アンタ、ごめ~ん待った~?等は無意味だ。それは美琴の経験が物語っていた。
(となると、やっぱりここは…
名前を呼ぶしかない!!??)
御坂美琴に肩に触れるなどの選択肢はなかった!!
(かみ…じょう、と、と、とう、とうま!上条当麻!!良し行ける!今言えた!あとはこれを口に出すだけ!そう簡単じゃないあとは口を動かす…動かす…無理ぃぃ!!)
上条の10メートル後ろを人混みに紛れながら追いかけ、必死に考える美琴であったが、美琴が出した答えは今の美琴にはレベルが高かった…
(うぅぅ、でも諦めないわ!佐天さんに約束したもの!)
そして美琴は決死の覚悟で口を動かした!
上条との距離は今はたったの3メートル!あとは口を動かすだけだ!
上条との距離は今はたったの3メートル!あとは口を動かすだけだ!
「か、か、か、かか、上じ、上条、とと、と、とぅ、とう、とう、ま…当麻!」
よしよくやった頑張ったあたし!よくいった!後でご褒美にクレープ食べよう!!そう心の中で呟き、上条のいた方向を見る。だがそこには信じられない光景が広がっていた!
「あれ?御坂?なんでこんなとこにいんの?」
「上やん、おはよーやで…って、なんでうちの学校の下駄箱に常盤台生がおるん!?」
上条の学校の玄関口、下駄箱であった。
「へ?あれ?ここどこ?」
「いやだからここ俺の学校だよ。」
またやってしまった…
今度は上条のことを見つめすぎたあまり、回りが見えなくなっていた。
実は結構前から回りは上条の学校の生徒ばかりになっていたため、回りからは好奇の目を寄せられていたのだ。
今度は上条のことを見つめすぎたあまり、回りが見えなくなっていた。
実は結構前から回りは上条の学校の生徒ばかりになっていたため、回りからは好奇の目を寄せられていたのだ。
「あれそう言えばこの子どこかで…ってこの子夏休みに上やんとデートしてた子やないか!?」
青い髪をした上条の友人らしき人物がそう発言した瞬間、周りが一斉に騒ぎだした。
「なに!?」「上条がデート!?」「またアイツか…」等々様々な発言が飛び交う中(途中罵詈雑言も)、渦中の美琴は未だ平静を取り戻せないでいた。
「なに!?」「上条がデート!?」「またアイツか…」等々様々な発言が飛び交う中(途中罵詈雑言も)、渦中の美琴は未だ平静を取り戻せないでいた。
「上や~ん?どうゆうことか説明してもらおか?」
「は?いや俺は何も… 」
上条の声が聞こえてようやく美琴は我に返った。そして美琴がこの場を切り抜けるために考えた策は…
「し、失礼しましたぁぁぁああ!!」
…逃げることだった。そう逃げる、逃走、戦術的撤退。
「は?ちょ、御坂!?お前結局何しに来たんだよ!?」
「僕をスルーするとはいい度胸やないか!!上やん!!これは土御門に吹寄も交えてクラス内裁判するしかなさそうやな!!まあ結果はもう見えとるがな!!」
「いや、だから俺は!!え、ちょお前ら5人がかりで何を!?ちょ、離し、離してください!!上条さんは何も悪いことはしてません!無罪です!濡れ衣ですぅ!ふ、不幸だぁぁぁああ!!!! 」
何やら後ろから断末魔が聞こえた気がしたが、今の美琴にはそれに構っている余裕はなかった…
こうして美琴の初めての試練は幕を閉じたのだった!!
因みに美琴は結局学校に遅刻し、上条はその日1日出席扱いにならず、補習が慣行されたとか…
御坂美琴の試練はまだまだ続きそうだ