とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part09

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「ん……ここ、は?」

街灯に照らされる夜の学園都市で、美琴は目を覚ました。

「お、やっと目を覚ましましたか。眠り姫。」

「あれ? 何でアンタが……」

美琴はまだ起き抜けのため状況を掴めていないでいた。

「いやな? またお前が気絶しちまって、今度は中々目を覚まさねぇからさ、寮まで連れてくことにしたんだよ。常盤台は門限とかあるんだろ?」

「そう、なんだ。ありがと……」

とは言いつつも、外は真冬。その中何だか暖かい物に触れているせいで未だに覚醒しない美琴は、上条の言葉を殆ど聞き流し、睡魔に屈しようとしていた。

「おい御坂、まさか二度寝する気じゃあるまいな? いい加減起きてくださいよ。上条さんの腕と理性が限界です……」

「……うで? りせい?」

ここまで来て、ようやく美琴は覚醒し、理解した。自分が今、上条に『おぶられている』ということに!!

「だからそろそろ降りてくれませんかねー? それにもう寮の近くまで来ましたよ?」



「ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁあああ!!??」

少女、しかも常盤台のお嬢様、らしからぬ悲鳴をあげ美琴は上条の『背中』からアクロバティックに飛び降りた!

「ば!!?? おま、何叫んでんだよ!? もう最終下校時刻過ぎてんだぞ! 警備員来るだろうが!!」

「うるさい! このバカ! HENTAI!」

「酷くねぇ!? 人がわざわざ運んでやったってのに!」

「運ぶにしてももっと他の方法があったんじゃないの!?」

「いや、他にどうする事ができたってんだよ!? 言っとくが上条さんは車なんて運転出来ませんからね!? それとも何か? お姫様抱っこでもしろってのか!?」

「お姫ッ!?」

上条のお姫様抱っこ発言に対し、美琴は妄想の世界に入ってしまい、赤面し沈黙する。

「たく、そもそも……あれ? 御坂? 美琴たん? みこっちゃん? もしもーし」

「お姫様抱っこ……お姫様……結婚式……えへへ……」

遂には妄想を垂れ流しはじめる始末。
……それも、すれ違った人間が男女問わず振り向くであろう満面の笑みで。

「……(ちょっと待て、今言い争いしてたよな? 何でこいつこんなに幸せそうなの? さっきとギャップありすぎてヤバいんですが……あぁくそう、また理性が持ってかれるぅ!? ほんと何なんだよ今日の御坂は!?)」

「えへへ……そうだなぁ、子供は二人は欲し……ハッ!?」

……ここで漸く美琴は帰ってきた。上条に絶大なダメージを無意識に与えて。

「あ、あははは。えっと何の話だっけ?」

「……いや、もういいです」

「そ、そう」


「「……」」

ここで二人とも沈黙してしまう。端から見ていれば初々しい光景だろうが、本人達、特に上条には耐えられなかったらしく、口を開いた。

「じ、じゃあお前も目を覚ました事だし、俺はもう帰るわ。」

「え? もう帰っちゃうの?」

「え?」

「あ」

言ってしまった、やってしまった。
訓練の成果か、上条の前でもある程度平常心でいられるようになったお陰で、気が抜けていたのであろうか、いくら鈍感な上条でも勘違いしかねない発言を。

「(や、やばぁぁぁぁあ!!?? どうしよう!? 何も考えずにとんでもないこと言っちゃったよ私!? どうする!? 誤魔化す!? こいつだしまだ誤魔化せるわよね!)」

そこまで考えて、美琴は思い直す

「(……いや、ダメだ。それじゃ何時もの繰り返しじゃないの。そう、これは寧ろチャンス。それも、またとない類いの。だからこの機会を逃すわけにはいかない。
けど、ここから先を口にすれば……)」

そこまで考えて、美琴は息を詰める。
そう、ここから先を口にすれば、二人の関係が『確実に変化する』のだ。
それは、いい方にも、悪い方にも……

「(結果、どうなるかは自分次第、か。
怖い、怖いよ……もしこいつともう会えなくなったりしたら、そんなの私は耐えられない。それくらいこいつの存在は私の中で大きくなってる。なんせこいつ絡みになるとこの私が能力暴走させる位だしね……
けど、それでも……
ずっと変化のないままで、こいつを取られるのよりはよっぽど良い!!)」


「え、え~と、御坂さん? それはどういう意味でせう?」

アイツの声が聞こえる。答える時がきたようだ。

「……わかんないの?」

「い、いやぁ上条さんはお馬鹿ですし、誤解かもしれないので……」

体が今までにないくらいに震えている。この先を言えばもう戻れない。
だが、御坂美琴は話し続けることを止めない!

「合ってるわよ」

「え……」

「だから、アンタの考えてることで合ってるって言ってんの!」

「ち、ちょっと待て御坂! お前ホントにわかってんのか!?」

「わかってるわよ! さっきの発言が、一般的にどう受け取られるか、何もかもわかった上で言ってるの!!

私は、まだアンタと一緒にいたいの!」








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