とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part10

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「私は、まだアンタと一緒にいたいの!」


日も完全に落ち、暗闇の中、街灯に照らされる二人の男女。その内の少女、御坂美琴がそう発言した。

つい先日、この男、上条当麻との仲を進展させたいが為に、素直になると決意したばかりの少女である。

偶然生まれたチャンスを不意にしないために半ばやけくそ気味に吐き捨てた彼女であったが、意外にも表情(無論、赤くはなっているが)は何かずっと引っ掛かっていた重荷が無くなったかのようにスッキリとしていた。

「(言っちゃったな……これでもう後戻りは出来ない。今まで通りの喧嘩友達だけの関係は終わり……
でも、言えてよかったわ。今日改めて思ったけど、こいつ筋金入りの鈍感だし、きっと私が変わるだけじゃダメなんだ。平気で平気?で私のことおぶるくらい、丸っきりそうゆう対象に見てくれてないし、まずはこいつの認識をはっきりと変えてやらないと。『あの子』のこともあるしね。)」

ふまあ、その『あの子』もそうゆう対象にはせ見られてなさそうだけどね、とそこまで考えて、美琴は上条のアクションを待つことにした。
様子を伺えば、寒さのせいかもしれないが、何となく赤くなっているように見える。
めずらしく上条がおどおどしている様子に美琴はしてやったり、と冷静に思ったところで、漸く上条が口を開いた。

「み、御坂さん? 急にどうしたんです? あ、あまり年上をからかうもんじゃないですよ?」

この発言に美琴は少し苛立ちを覚えたが、気持ちを抑え、応答する。上条から与えられた、最後のチャンスを踏みにじる形で。

「……からかってなんかない。私は、私の本心を口にしただけよ」

「い、いや、だけどな? いくらなんでもこのタイミングでもっと一緒にいたいなんて誤解を招くような……」

「はぁ……アンタってホント分からず屋よね。なんでこれだけ言ってそんな風に思えるわけ?」

「ま、待て、待ってくれよ? もし、もしだぞ? 俺の考えが誤解じゃないんだとしたら、それは……」

「……好きに解釈すれば良いじゃない」
「……」

「……アンタが私のこと、そうゆう風に見てなかったのはわかってる。今までの私のこと見てたら驚くのも無理もないわよね。
でもね、アンタの存在は私の中で日に日に大きくなってて、アンタ無しではもう私は、生きてけないの。それをロシアの後、痛いほど思い知って、その後アンタが帰ってきた時、あんな状況だったから素直に喜べなかったけど、内心すごく、すごく嬉しかった。
……でもそれと同時に、もうアンタを放しちゃダメだとも思った。ただの喧嘩友達でずっといるわけにはいかないと思った。……まあ決心したのはつい先日だったんだけどね」

「御坂……俺は……」

「言わないで! ……さっき言ったでしょ? アンタが私をそうゆう風に見てないのはわかってる。だから、チャンスをください」

「チャンス?」

「そう、チャンス。
…… 私と、明日、デートしてください。それから判断してほしいの」

「……わかった。付き合うよ」

「ありがと。じゃあもうあの子の所にかえってあげて。アンタのこと待ってるだろうから。引き留めて悪かったわね」

本音はもっと一緒にいたかったが、先程からの上条の様子が心苦しくなり、帰すことにする。

「あ、あぁ。それじゃあまた、明日」

「うん。また明日。待ち合わせなんかは後でメールするわ。……遅れたら許さないんだから」

「善処するよ」

そうして明日、デートの約束をして、二人は分かれた。



ーーーーーー

『やりましたね御坂さん!! まさかお昼の電話の後そんなことになってるとは思いもしませんでしたよ!!』

常磐台学生寮の食堂で美琴は佐天に事の経緯(いきさつ)を伝えた。消灯時間が近いため周りには誰もいない。

「あはは……まぁ最後の方はちょっとやけくそだったんだけどね。それでも少なからずアイツの認識を改めさせることが出来たし、デートの約束もしたし、後悔はないわ。……やっぱりちょっと怖いけどね」

「……それはそうでしょうね。客観的に考えても事を詰めすぎた感はありますし……でも今さら言っても仕方ない事ですよ。采は投げられた! って奴です」

「ちょ、ちょっと佐天さん! 不安になること言わないでよぉ……」

「なぁに弱気になってるんですかー御坂さんなら大丈夫! ばっちり振り向かせられますよ! 明日はデートでしょ? 前向きになりましょう!」

「そ、そうだデート! まだ全然決めてない! 佐天さん、どこか良いとこ無いかしら?」

「え、えぇぇ!? 何も考えてないんですか!? そうですね……あ! そう言えばうってつけのところが有りますよ!」

「どこどこ!?」

「それはですねぇ……」


ーーーーーーーー

同じ頃、上条当麻は学生寮の隣人、土御門元春の部屋にお邪魔していた。

「……これは予想外ぜよ。あのツンデレールガンが他を出し抜いてくるとわにゃー……建宮に連絡しなければ……」

「おい、どうしてそこで建宮の名前が出てくるんだ。それに他を出し抜いてってなんのことだよ」

「ふむー。まさかあの御坂がなー。大胆なことするものだなー。上条当麻は御坂のことどう思ってるんだー?」

部屋には土御門とその妹、舞夏がいた。
上条は元々、御坂との事を土御門に相談するため(他に相談出来る人間も居ないため)この部屋に来たのだが、舞夏は今日ここに泊まるらしく、舞夏ならまぁ聞かれても構わないか。寧ろこの愚兄よりよっぽど役に立ってくれそうだったため、一緒に聞いてもらっている。因みにここには土御門と宿題をやると言って来ているのでインデックスは素直に一人で部屋にいる。

「……もちろん大事な存在だ。けど恋愛対象となると正直、よくわかんねぇんだよ。御坂が俺のことそうゆう風に思ってくれてたなんて、思いもしなくて」

「だったら素直にそういって断れば良かったんじゃないのかにゃー。それともとりあえずにでも付き合うのかにゃー?」

「確かに御坂は可愛いけど、そうゆう節操の無いことはしたくない。俺はアイツの泣き顔は見たくないから。
断れってのに関しては、俺も考えた。けど何でだろうな、出来なかった。」

「ただ優柔不断なだけじゃないのかー?」

「そうゆうんじゃない! と思う。うまく説明出来ないんだけど、御坂は俺の中で、結構特殊な位置にいるんだ。俺が親しくしてる女の子、例えばインデックスや姫神とは違うような。みんな俺にとって大事な存在だ。誰一人欠かせない俺の大事な『日常』だ。それは御坂も変わらない。けど、なんつーか、決定的に違うことがあって、アイツは……あ゛あ゛ぁぁぁ! よくわからん!!」

「(インデックスや姫神とは決定的に違うこと、か。それは……ふむ、これはちょっとねーちんには旗色が悪いかもにゃー)」

「煮詰まってるなー上条当麻ー。
ところで明日のデートは一体どこでするんだー?」

「あ、あぁそれなら後で御坂が連絡するって……」

「上やん、まさか全部女の子任せかにゃー? 普通そうゆうのは男がすることだぜい?」

「う、うるせぇ! しょうがねぇだろ、急だったんだから!! ……あ、ちょうど来たみたいだぞ。」

「どこだどこだー?」

「えっとここは……

遊園地?」








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