とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part022

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集



第2部 第02話 第一章開戦前(2)


8月4日(火)


台風はサハリンへ去り温帯低気圧へ変わり、そして昨晩は寒冷前線が通過
し、気温が下がった。
久しぶりに熱帯夜は解消し、昨夜の雷雨で路面は濡れている。
ところどころ、水たまりができ、激しかった雷雨の痕跡が残っている。
天気予報は最高気温は33度に下がることを告げているが、まだ十分暑いレベルだ。

昨晩は悪夢にうなされよく眠れなかった。自分と同じ顔をしたクローンが大量に
虐殺されている。その内容はやけにリアルでまるで自分がそれを経験したかの
ようだ。だが殺しているのが、なぜか御坂美琴・・私本人なのだ。
いうまでもなくあの実験は、殺したのは私ではなく一方通行だ。
だけどあの明晰夢は、なぜか御坂美琴本人がクローンを殺している。
そのクローンの断末魔の怒り、呻き、悲しみ、絶望が自分の事のように感じる。

(この記憶はなに?・・・想像? いや・・まさか幽霊?)
私は記憶を反芻し、あることを思い出す。
そういえば・・小6の夏休みの記憶がない・・飛んでいるのだ。
ん・・?
まあいいわ。過去にも同じ悪夢は何度もあったしな。
複数の記憶が、混じり合い、不安感が自分だけの現実に影響を与えあんな夢
を作り出したのだろう。脳は、情報を整理し廃棄するさいにレム睡眠時に
夢を見ながら大量の情報を処理するという。
私の脳はいつもフル稼働、その重圧が夢で私に無理をするなと警告しているの
だろう。
(そうね。少し投薬成分をかえ、脳の演算速度をセーブしよう。)
それに・・昨日の暴走はなんだったの?
私は1000兆kw超の膨大な出力を制御するために常に高い心理的な抑制を掛けている。
だがら極力感情は制御し、激怒などしない。学園都市1位の自分だけの
現実は、脳の完全な制御なしにはなしえないのだ。
それが・・激怒であんな莫大な出力を町中で発生させるなんて
何を考えているんだ。
もし、それを爆発させれば学園都市どころか関東地方全体が消滅しただろう。
能力の完全な制御を売りにしている御坂美琴にあるまじき大失態だ。
上条当麻に感謝するしかない、私の暴走を止めてもらった事を。

それにしても・・・私の能力の制御が狂いつつある?
陽子と電子を1つ、1つ制御できる私の完全な能力が?
どうゆうこと?
ツリーダイアグラムで調べて見るか。何が起きているのか?

 ・・・・・・・・・・・・

「おはよう 当麻」
「おはよう 美琴」
 当麻が作ってくれた、ごはんと焼き魚をメインとした朝食から
 海苔とみそしるの香ばしい香りが漂う。私には久しぶりの純和風朝食。
 懐かしさというよりむしろ郷愁すら感じる。
 (コイツ・・こんな家庭的なんだ・・でもなんかいい)
 私が少し無言でいると当麻は私を気遣い言葉を発する。
「美琴 眠そうだな。珍しいな。なんかあったか?」
「なんか変な夢をみたのよ
    内容は・・私が殺される夢よ」
「そう・・か。美琴あんまり抱え込むのはよくないぞ」
「大丈夫よ。でも心配してくれてありがとう。
   そーね少し疲れたかもね。
   飛び級卒業とかいろいろイベントあったしね」
「俺じゃ頼りにはなんねかもしれないけどさ。話くらいなら聞けるぞ」
「ありがとう。 そうそう・・当麻今日は私服の購入の件お願いね。」
「ああ・・でも本当いいのか?あんな高級そうなバイオリンを
 弾きこなすお嬢様に会う服なんて買うセンスないぞ。」
「いいのよ。別に当麻が選んでくれた服ならなんでもいいわ。通勤時の
 私服がほしいのよ 制服以外のね」
「そうか・・ジャケットとなんかどうだ?」
「ふふ・・まあそんなことは店で決めていいわよ」


さあてと。。
私は7分で食事を終え食器洗浄機に食器を入れる。
今日は外出するので、2人で外出着に着替える。

当麻は学ランでなく、夏用スーツとカラーワイシャツと細身の
パンツルックという
意外にコンザバなスタイルで纏める。
私は微笑みながら、当麻の外出装束を凝視する。
(なんか背伸びしちゃってさ・・でも結構似合っているじゃないの)
「当麻、かっこいいわ」
「美琴、ほめすぎ・・でもありがとうな。で美琴は常盤台スタイルか?」
「ふふ意外にこの制服かわいいから今日までは着るわ。
               でもこれも今日で着おさめね」
「そうだな・・責任重大だな美琴の私服か・・まあ気楽に選ぶか・・
 9時30分か 美琴そろそろいこうか」
「ええ・・タクシーもまたしているし、行きましょ」

 ・・・・・・・・・・・・

seventh mist
「美琴、シャネルとかじゃなくていいのか?」
「そうねブランド物は安心だけどね。
   でもフォーマルじゃなく通勤着だからブランドにこだわる必要はないわ」
「そうか・・でスーツか?」
「そうね。そのほうが無難でしょ。大学院生兼社会人だし」
「そうか・・じゃこんなカッコはどうだ」

当麻は自分の選択品をもってくる。
私は、試着室へ入り一式着替えてみる。
(ふふ・・まるで背伸びしたお子様みたいね  
  なんか・・意外に私の顔て少年ぽいのね まあいいかそのうちなれるでしょ)

「黒のジャケットに白のタイトミニスカート、白のブラウス
 は・・20代の丸の内のOL風ね。まあいいんじゃない無難だし」
「気に入ってくれたか・・」
「ええ。早速購入しましょう。」
美琴は財布からブラックカードを取り出し、支払しようとする。
「美琴・・これは俺の払いでいいか?」
「え?いいわよ。これは私の通勤服よ」
「いや・・美琴が金持ちなのは承知しているし、これが美琴の仕事着なのも
分かっているけど。これは俺の美琴への最初の恋人としてのプレゼントにしたいんだ」
「え・・?いいの?でも・・」
「俺の気持ちを受け取ってほしい。いいか?」
「ありがとう。当麻の気持ち受け取ったわ」
じゃ・・美琴は当麻のクレジットカードを財布から出し、購入代金175,000円を支払う。
(そろそろお昼か・・じゃ・・食事しましょう)
「当麻少し早いけどそろそろ昼食にしない?」
「ああ・・そうだな 美琴は午後1時30分出勤だろう?」
「ええ直接出勤するわ。じゃ・・当麻は何食べたい?」
「美琴に合わせるよ。」
「そう・・じゃあ イタリアンでいい?ランチ・ブッフェをやっているのよ」
「いいね。」
「まだすいているわね。11時30分だしね ここは私が出すわ 」
美琴は財布から4000円出す。
「格安でしょ。イタリアンを消費税込み4000円でブッフェ形式で食べれるのよ
 ね。」
(そうか・・お嬢様の感覚だと「格安」なんだな・・まあそうだろうな)
(ふふ・・あんまり高いとね・・「格差」なんていわれてもいやだしね)
<では・・こちらへどうぞ>

美琴は、パスタとサラダとジンジャエール、当麻はピザ、パスタ、パエリア、ジェラート
サラダ、ケーキ等を広めのテーブルへ広げ、食欲を誇示する。

「美琴 小食だな・・いいのか?」
「いつもと同じよ、あんまり一杯食べると、体型を維持できないじゃない」
「美琴は十分スリムじゃない、少々体重増えたところで」
「油断大敵なのよ。それとも当麻は私に太ってほしいの?胸とか?」
「はは美琴でも、気にするんだな胸なんか。別に大した問題じゃね^よ」
「ありがとう。胸は少しは気にしてはいるけど。
   当麻気を遣わせてごめん。ありがとう」
「美琴は、ずいぶん大人なんだな。」
「そう?もう4年も仕事しているから、社会儀礼みたいなものは身についているかも」
「最初であった時は、正直高位能力と常盤台生という地位に物をいわせてスキル
 アウトをいじめる高慢ちきな女だと思っていた。だけど・・実験で俺がけがした
 後形だけでなくまじめにお見舞いしてくれた。
 それに親身になって宿題を一緒に説いて、解説集まで作って、完遂させてくれた。


そして昨日は、俺のために本気で怒ってくれた。俺には、もう美琴以外見れない
だから・・俺とずっと一緒にいてくれ。」
「ふふ当麻ありがとう。うれしいわ。」
「正直、美琴と俺は違う道を歩んできた。価値観も考え方もぶつかることもあるだろう。
 だけど、一緒に乗り越えていきたい」
当麻の告白めいた言葉に鼓動が止まらない。私は自分らしくもない衝動的な行動を
始めてしまう。
「当麻・・ああもう我慢できない」
 私は腕を回し、抱擁を始める。猫のように顔をよせすりすりを始める。
「え・・美琴さんここ・・外なんですけど・・」
当麻は顔を真っ赤にさせ、少々照れながら言葉を発した。
「む・・そ・そうね。じゃ続きは。。夜ね」
「ああ・・夜までか。でも長いな。」
「ふふダメよ 仕事なんだからまっててね。」
「ああ辛抱するよ。」
「ありがとう」
「じゃ当麻、制服悪いけど家に持ち替えてくれる?
 そのうちまとめて処分するわ。もう常盤台もお嬢様も終り
 ただの社会人兼大学院生だからね」
「ああ。そうだな。」
「じゃ・・夜ね」

 ・・・・・・・・・・・・・

私は、タクシー乗り場で当麻を見送りながら、当麻の発した言葉の意味
を斟酌する。
(これは、無意識の告白のようなもの?だとすると・・私はどうなの?)
私が彼に好意を持っているには事実だ。
だけどそれは、単に彼の持つなぞの右手に関する興味にすぎなかったはずだ。
だけど・・自分の心の中に押さえきれない彼への思いがふつふつと湧きたち始める
のを感じる。
彼女はそれが恋と呼ばれる感情であることを理性では理解する。
だが、その感情がいかに厄介で、制御が困難で、身を焦がすものかも知らない。

 ・・・・・・・・・

ぶーは・・
張り詰めた緊張をほぐしながら
ビール風飲料を飲むのは快感で病みつきになりそうだ。
実験は正直過酷だが、終わった後の解放感がたまらず
病みつきになる面がある。ランナーズハイのような自然の脳内麻薬物資と
成功した時の生体電流の記憶は、私を実験にのめり込ませる。

実験で、最先端兵器を真正面から叩き潰すのが快感でしょうがない。
特に無人兵器は、気楽なものだ。一通り性能を確認させていただいた後で
破壊する。破壊方法は装甲の強度を確認する場合があるので、お上品に
破壊する場合もあるが、指定がない場合には完膚亡きまでに破壊する。
だけど・・管理職になった今、好き勝手に破壊して終りとはいかない。
予算や人事、14歳の自分には重すぎる課題。それらを公平に差配して
チームとして機能させなければならない。
ふふ・・この年で管理職か?

この街は学生の能力開発を主目的に行っているので、学生が
研究開発のためほぼフルタイムで稼ぐことは珍しくもなんともない。

それでもさすがに、学生の管理職はそう多くない。
私は、自意識では頭脳と能力以外は普通の美少女だと思っている。
だけど、周りはそう見ないだろう。それはそうだ、客観的に見れば
学園都市1位でなおかつ14歳で飛び級で大学院生になる。
しかも学園都市でも最大級の研究所の副所長。
230万分1の天才兼天災。レベル5という例外の中でも特異点でも
言うべき存在。

いくら自分が頭脳と能力以外はふつうの美少女と言ったところで、
誰もそうは見ない。才色兼備、文武両道、容姿端麗、あらゆる美辞麗句
で褒めたたえられ、本人の実態とかけ離れた評価が一人歩きをはじめている。
その一方で、「超荷電粒子砲」は学園都市以外の外部世界では、深刻な脅威と
認識され刺客さえ差し向けられるほど、憎悪の対象になりつつある。

だけど・・アイツだけは違う。
アイツにとっては、私はただの宿題を教えてくれる、賢い妹くらいの
感覚じゃないのか?
もっとも・・最近は異性としては意識していることは分かる。
アイツの言葉、仕草、態度、さらには最高の電撃使いでもある自分だからこそ
敏感感じる彼の脳波、生体電流、心拍数、局部のサイズ・・・あらゆる


観測データが、鈍感だった自分を明確に異性として意識している。

あの鈍感男の心大きな風穴を開けたことは間違いない。
だけどあの男にとって自分がただ一人の存在になったとはまだ確信はできない。
本当に私が困った時に彼がすべてを差し出すほど彼の心に私はいるのか?
まだ・・判断するのは早いだろう。
そんなあやふやな感情では判断できない。
いくら自分の感情が「恋」と呼ばれる領域だろうが、まだかれを配偶者とするのは早い。
もう少し、事実を確認しよう。
そして次のステップへ移行しよう。それからでも遅くない。
一時の気の迷いで配偶者を確定させる必要などないのだから。
私は思考を戻し、
独り言を言う。
 ・・さあてそろそろ帰るか・・
彼の両手で甘えさせてもらおう。

 ・・・・・・・・・・

「当麻ただいま」
「おかえり美琴」
「ねえ・・チュウして」
「甘えん坊だな美琴はいいぞ・・」
彼はソフトにほおに軽くキスをする。
「当麻 ありがとう」
「美琴・・今日はどうする?」
「え・・いいの?」
「上条さんは待ちくたびれました。もう辛抱できません」
「じゃ・・優しくしてね・・それと・・ちゃんとつけてね・・」
美琴はスキンをひらひらさせてつけるように指示する。
「私はまだ14歳なのを忘れないのよ」
2人はキングサイズの上ベットの上で続きを開始する。
嬌声は、深夜までやむことはなかった。

 ・・・・・・・・・

8月5月(水)

はあ眠い・・
歯を磨きながら、昨日の当麻との大運動会を思い出す。
上条当麻は意外なほど、執拗に私の隅々を舐めつくした。
その腕前はとても仮免許取得中と思えないほど熟達しており、隣人から
仕入れたDVDだけがテキストと思えないほどだった。
私は結果として彼のなすがままにされた。
これほどの敗北はレベル5になってから初めてで、自分の築き上げた知識と
自分だけの現実を根底から崩された。
だけど・・嫌じゃない。こんな敗北なら何度でもしてもいいと思った。
それほどまでに甘美な甘いひととき。

なにより今日はあの悪夢は見ずに済んだ。
やっぱりあれは単なる脳が作った架空の産物だったのか・・
そうも思った。
でも当麻が私の身を焦がしてくれなければまたあのおぞましい
悪夢にうなされるていたかもしれない。
だけど、もうあんな悪夢はごめんだ。あれが本当の記憶なんてあるわけ・・
あるわけ・・ない?
本当に?
何かざらざらしたものが私の記憶の奥底でうごめき始める。
気が付いていけない何かに気がついてしまった私・・・
この感覚はなんだ?
心の奥底へしまい込んだ何かが・・・・
私は心の中で大きな龍のようなものが蠢き始めるのをはっきりと感じる。
封印されていたとてもつもなく強大な何かが封印を突き破り胎動しようと
しているのを感じる。
だが・・・私の1000兆KWの出力をナノWの単位で制御できる強大な自分だけの現実が抑え込み
何事もなかったように平常な自分を取り戻す。
(まだアンタはそれを知ってはいけない。まだ時は満ちていない。焦ってはいけない。)
私は自分も心を半ば強引に封印する。

だが。。事態はすでに動き始めていた。

つけっぱなしのBBCがニュースを伝える。
 ・・・・次のニュースです・・・
「イタリアの司法当局はバチカンの元枢機卿が数十億ユーロを資金洗浄した疑いで
強制捜査を開始したとイタリア国営放送が伝えました。」


私は意識を取り戻し、独り言を言う。
たとえ私にどんな過去があろうとも
私は今を当麻とともに必死に生きる。
さあ、さいは投げられたのよ御坂美琴行動開始よ。









タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー