とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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学園都市統括理事会




第03話 上条美琴(3)


2020年4月30日(木)

午前にルーチン業務をささと終え、美琴は上席統括理事専用車の車中にいた。
車は東ゲートを通過し、新宿付近を通過している。
ビッグサイトで開催されるAI自動車イベントへ向かっている。

私は、目をつぶり脳とサーバを連結させ、VRの海の中で思索にふける。
将棋や碁で人間がAIに負けて10年、最初は単なるアルゴニズムだの力技だのと、馬鹿にされて
いたAIは今や全地球を覆いつくそうとしている。

2018年4月に学園都市条例を100%コピーした改正道路交通法が施行され、AI車両走行中の
過失責任が自動車メーカとなり、その法律に準拠した完全AI車が発売された。
そして、さらに電池の性能を改善し、アルゴニズムを改良した第二世代を発売することとなった。
AI技術の核心部と電池部分は当然学園都市提供であり、私はその合同発表会にゲストとして呼ばれている。

米国に周回遅れでこのままではGoogleやテスラの下請けになると覚悟を決めていた日本の自動車業界は
私の差し出した手にのり、AIで先行する学園都市の全面的な支援を受け、整備に必要な技術的・法律的
支援により先行するシリコンバレーを追い越すことに成功した。

安全性能と運転技術の点ならもう勝負はついている。昨年TOYOTAのAI走行車はルマンで行われた
特別イベントで見事に優勝している。もう普通の人でもただ乗るだけでFIドライバーに
勝てる時代というわけだ。

将棋・囲碁・自動車そして兵器・・人にAIに勝てる分野はあるのだろうか?
ない。それが私の結論だ。人間の脳はサイズとフォーマットの制約がある。

拡張性ではAIと勝負にならない。14歳の時に自分の火力のなさに打ちのめされた
私は、現実を受け入れ、AIに身をゆだね、自分の持つ電子操作能力を徹底的に
磨き窓のないビルを破壊することができた。

才能がないものは機械を使い演算能力は借りればいい。それだけの事だ。全宇宙のすべての
素粒子の挙動を再現できる時代に不完全な脳の演算にこだわる必要はあるのだろうか?
結論はでない。そんなことを考えているうちにレインボーブリッジをすぎお台場に到達した。

さあ。。。無駄な思考は終わり。仕事よ。

内外のマスメディア、日本・北米・欧州・韓国をはじめとする大手自動車メーカの首脳
陣、イベント・コンパニオンあらゆる人・物・金が集まるモーターショーだが、ひときわ
私への取材陣は数が多く、AI開発者でもある私への関心への高さがうかがわれる。

30歳の若さで科学世界の法王庁とまで言われる学園都市の実質的な女帝、AI開発の総責任者。
大げさすぎる肩書が私を彩る。

夕刻到着した宇部総理がかすんで見えるほど、私の露出は多い。
はっきり言おう。美人は得だ。いるだけで絵になる。
いるだけで人が集まる。いや。。正確に言うなら、単なる形だけの美人なんて
どこにでもいる。才覚と業績と自信がある美人だからオーラが写真越しに映るのだ。

今の私は傍目には溢れんばかりの自信に満ち溢れているらしい。


だがそんな私の内面は以外なほど、劣等感に包まれている。
学園都市の最強の能力者上条当麻・・いや正確には彼の保有する
八龍の圧倒的な魔神パワーに対してだ。

その劣等感ゆえ素直に賞賛に応えることができない。
いくら笑っていても、どこかに陰りがある。
生体電流を操り、場面ごとにマイクロ秒の単位で自在に表情を
変えることができるなんて
芸能人が裸足で逃げ出すほどの顔芸のできる私でもその陰りは消せない。
もっともその陰りに気が付いているのは今や上条当麻しかいない。

それに私はいまだに大げさすぎる肩書になれることができない。
昔からの照れ屋の気性はまだ治っていない。
心のどこか奥底に怜悧な自分がいて、自分をさげすんでいる。

その結果上条美琴は自分が、賞賛にたる美貌と、常人からみれば隔絶した知能と、
電子操作能力を持っているにも関わらず今だに褒められることになれていない。

彼女はレベル1からレベル5に上った稀有の例外なために常に上だけを見ていたわけだが
それは常に上と比較して劣等感を持ち続けていたことでもある。

比べる対象がスパコン以上の演算能力を持つ学園都市一の秀才と、神様に匹敵する
龍の力を持つ当麻である以上、彼女の内心はいつも劣等感が支配していた。

窓のないビルを当麻と協力して破壊しアレイスタの知恵を相続した後も、
2人にたいしての嫉みと劣等感が消えることはなかった。
所詮はいくら頑張っても神から才能をもらったものには才能のない私はかなわない。
僧正に追いまわされたあの日私は悟ってしまった。
才能ある2人に勝つには、力を借りるしかない。

私は一時AAAという魔術に手を染め、さらに薬物、スーパコンピュータ、MNWあらゆる可能性を
試した。その過程で窓のないビルを破壊し、目もくらむ力を得たが、当麻に説得され放棄
した。その最中にアレイスタから莫大な知恵を相続し、私が実質的に彼の相続人になったが、
それでも当麻への内心の嫉妬は消えなかった。

私はある意味当麻に勝つことを諦めたのだろう。その空白を彼との結婚で埋めた。
私は本質的には負けず嫌いだ。だけど圧倒的な力の差に打ちのめされた私はより
現実的な方法を選択した。彼のそばで力を蓄える。彼のそばで神の力を知る。

それに私は彼が好きだったのだから。そう心を作り変え、自分だけの現実を書き換えた。
かれを心の底から愛し、彼の生活を支え、彼の補佐をする。
人工衛星・監視カメラ・アンダーラインあらゆる観測手段をハッキングそれを分析する
解析ソフトを作成し彼を支え続けた。
その目的は自分のちっぽけな自分だけの現実を、AIで上乗せすると。

その思いが、極限までAI開発に打ち込んだことが結果的に幸いし、この若さでAIの世界的な
権威になったことはある意味不幸中の幸いといえる。

運も実力のうちという。私の方向性と世の中のAI化という方向性の合致は私に想像以上の
力を与えた。

そう私はさっさと見込みない能力開発に見切りをつけ、OUT SOURCINGに切り替えて
今はよかったと思う。もう才能がないことであきらめる必要がない。

私は超電磁砲を捨て、超電子掌握となり、大きく才能を開花させた。
女は度胸よね。正直決断には勇気が必要だった。その勇気を与えてくれた上条当麻
への恩は私は忘れない。

だけど、私の1番を求める執念は消えていない。
もちろん上条当麻への愛は変わらない。だが私は心の奥底で常に旦那を力で圧倒
しようと思っていた。私の意地ぱりな性格は簡単には変わりはしなかった。

あの八龍を、AIを使って真正面から上乗せした私の力でねじ伏せる。それが私の真の目標だ。
無論そんなことは彼に言ったことはない。

まあ今だって金や権力、世俗的な成功そんな普通の領域では、上位2名は無能であることは
証明した。才能におごるものは事務作業ができない。それが現実だ。

そんな幻想をぶち殺すなんて八龍の力で全部解決できるのだ。
反射すれば相手が死んで終わるのだ。

伝票なんて読むはずもない。稟議書なんて書きやしない。雑用はすべて私任せになる。
でも・・雑用を怠るものは雑用に泣く。油断大敵なのだ。


理事長も外交委員長(旦那)も今では私にすがる。

ウサギは亀をバカにしたが、最後はどうだ。最後まで努力を惜しまない者が
勝つのだ。

平時は弾丸や魔術や能力でなく預金を握るものが権力者だ。
統括理事会の総勘定元帳・稟議書・決裁書・企画書私の電子承認が
ないものなどないのだから、学園都市のあらゆる資金・領収書で
私の知らない金の流れなどない。

かって暗部と木原は好き勝手をやっていたようだが、初春技師と組んだ
私の前では、なんの脅威にもならない。
武器を買うのも金。人を採用するのも金。人を雇うのも金。金がなければ組織は維持できない。
その金の流れを電脳世界ではチート級の私と初春技師で押さえるのだ。

蟻のはい出る隙間なんかあるはずないだろう。
前に鈴科理事長が私に内緒で、武器の密売で工作資金1兆円を確保しようとしたが
私が妨害し、ぶっ潰した。協力企業の幹部の秘密資金口座をFBIとEU委員会に暴露し、
逮捕させ、さらに学園都市の関係する統括理事3名を横領とパナマの隠し預金口座での
資金洗浄で逮捕させた。

馬鹿・・私に無断で学園都市の金1兆円を盗むからよ。
理事長、私はその発覚時に能力なしに怒りでスチール製の自分の机をたたき割ったのよ。
アンタにできる?

秘密工作資金?どうせ自分の子分に贅沢させる資金でしょ。
アンタは甘い。甘すぎるわ。
私が歯を食いしばって作った金を浪費されてはかなわないのよ。
アンタは私の提供するこずかいの範囲でニコニコ理事長やっていればいいのよ。

はあ・・まあいい。
AI開発は順調すぎるほど順調だ。

不思議なものだ。すこしづつ賞賛されるのも、老人達のオベンチャラも慣れてきた。
それに・・劣等感を隠すために逃げ込んだ、上条美琴も今日で終わりだ。
私は、一度は捨てた御坂美琴に戻る。

 ・・・・・
上条当麻は、理事執務室で特にやることもなく、ぼーとしていた。
正直、面倒なことや、細かいことは、普通の世界ではチート級に有能な
配偶者が処理するのでやることがほとんどないのだ。

自分にとって美琴は素直に尊敬に足る人物だと思っている。
美琴はいつも会議の場で堂々とし、流暢な語学力を披露する。
英・仏・独・西・露・中・伊・アラビア・中・韓などそれも流暢にだ。
日常会話なら喋れない言語なんてないんじゃないか?とさえ思う。

それだけでなく、自分には理解できない専門用語を駆使し、会議を主導する。
前に自動走行のシンポジウムにコメンテータで呼ばれたが、美琴がパネリストと
交わす会話がほとんど理解できなかった。

正直な話よくできた妻だと思うし、うらやましくもある。
とびぬけた成績で常盤台を卒業し、長点上機大学を主席で卒業した自慢の妻。
神サマもどきが出没する戦場でアタッチメントを使いこなし、何度も自分の
危機を救った勇敢な伴侶。

上条当麻はそんな自分の配偶者が大好きだし、美琴はいやがるがどこでもいちゃいちゃ
したい。
当麻から見ていつも自信に満ち溢れた美琴、明晰で男の勝りな美琴、その反面機嫌
を損ねた時のぷいと拗ねた顔も愛らしい。
あのよそで気高い美琴の褥でのあらわな姿を愛でられる自分が誇らしい。
だが・・正直理解できない。

相思相愛だった。学園都市一番のカップルだったはずなのに?
なぜ急に復姓するなんて?

美琴から理由は聞いた。でも日本政府の方針に賛意を示すため?
なんかとってつけた理由にしか聞こえない。
倦怠期?そんなばかなことがあるか。
当麻の思考はまとまらない。
あ・・そろそろ時間か。
時計を確認する。18時か・・
当麻は、パソコンの電源を落とし、帰り支度をする。


 ・・・・・
「当麻ただいま」
「おかえり」
「自動走行車か・・すごいな」
「そう?まあ後5年もすれば普通になるでしょ。むしろ私は一般人が運転するほうが今は
 信じられないわ」

「美琴は、世界を変えつつあるんだな」
「ほめてくれるのはうれしいわ。・・ふふでも当麻は世界を救ったのよ」
「美琴は唐の太宗李世民を知っているか?」
「いまさらなによ、創業は易く守勢は難し?だっけ」
「そう。美琴のやっていることの困難さは分かっているぞ」
「ありがとうね。」

「俺には正直理解できない。AIビジネスも自動走行もVRも」
「そうだろうね。」
「だけど美琴の事業の困難さは理解している」
「嬉しいこと言うわね。当麻ダイスキよ」
「俺はいつまでも美琴の味方だ」
「ふふ・・やっぱり当麻は私の王子様よ」

上条は、サイフォンのコーヒを注ぎ美琴へ渡す。
美琴はまるで水のように熱いコーヒを飲む。

「なあ美琴・・やっぱり復姓するのか?」
「もう記者会見しちゃった。その質問は今更よ」
「なあ・・離婚しないよな」
「ばか・・何をビビってんのよ。当麻以外の男なんて眼中にないわ」
「ああ・・そうだな」

「私はね、当麻の右腕だけのために結婚したわけじゃないのよ 人としての
 上条当麻に共鳴して結婚したのよ忘れないでね」
「疑ってごめん、俺はもう美琴なしに生きることはできない」
「私もよ。ごめんねなんか気に障った?私も当麻なしの人生なんて考えられない」

「美琴はあの時、レベル6いやそれ以上の存在になりかけていた。それを
 奪った責任は取る、だから俺を捨てないでくれ」
「そう・・もう昔の話よ。私はそれに能力開発には見切りをつけたのよ」
「そうだな。AIと科学を知り尽くした美琴にはレベル5なんてごみだよな」
「試したい?」
「いや遠慮する」
「ふふ・・するわけないじゃない。妄想はスパコンの中だけよ」
「美琴、そろそろいいか?」
「あらまだ私風呂入っていないわよ」
「いいよ。美琴の汗を吸ったブラウスのままやらないか?」
「ヘンタイさんね。当麻は」
「美琴の汗だから価値があるんだよ」
美琴は、ブラウスのボタンだけはずす。
「いいわよ。優しくしてね」

当麻はスカートのボタンをはずし、ブリーフを脱がす。ブラウスを着たままの美琴を
抱えてベットへ運ぶ。
「やせたか?」
「わかる?」
「ああ美琴の体重なら100g単位で分かるぞ。」
「ふふ48kgよ」
「細いな・・」
「なによ でぶがいいの?」
「いや少し太いほうが抱きやすい でも美琴のアスリート体型はいいぞ」

当麻は美琴の太ももを手で触る。
「ねえ当麻ひさしぶりに鬼ごっこしない?」
「勝てるわけねえだろう 10km 27分なんて化け物にさ 」
「へへバレた・・」
「ちょっと拗ねた顔も可愛いぞ 美琴・・」
こうして睦言は尽きることもなく2人は寝不足の一夜を過ごす。
まるで初夜のようにいちゃいちゃする2人。
だが当麻は突然復姓を言い出した美琴に漠然とした不安を感じていた。
なにがよくないことが起こる漠然とした不安を感じていた。


第4話 御坂美琴①へ続く









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