とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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第2部 第08話 第二章(2)


8月11日 (火)10時

私は、学び舎の園のゲートをくぐり常盤台中学へ向こう。ついこの前までここの生徒
だったのに今はここは居場所じゃない感が半端ない。
もっとも学び舎の園で私を知らない人はいないので顔パスで入れそうな気もしなくはない
がそんなことはしない。10月以降はここへなんの肩書で入ろうかそんなしょうもないこと
も考える。食蜂に招待されるのも癪なので、教育実習生名義で入場するかなんて考える。
いざとなればハッキングしてゲスト・バスを偽造するだけだな、と物騒なことを考えつ
つ談話室へ向かう。食蜂派閥が占有している拠点へ。
 ・・常盤台中学・・                                     
談話室
「おはよう。食蜂」
「御坂さん、最近よく合うわね」
「そうね。昨日はありがとう」
「アレなに?」
「ローマの神の右席という最終兵器らしいわ」
「相変わらずゲスなほど強いわね。御坂さん」
「まあ不殺も結構大変なのよ」
「で今日はなんの用かしら私の多忙力は承知しているわよね?」

「食蜂は最近木原幻生に会った?」
「え・・ええ」
食蜂は美琴から放射される莫大なAIM拡散力場に圧倒され、カタカタ震え始める。

「封印の話はした?」
「い・・言う必要がある?どうせ全部見ているんでしょ?」
「そうね。私はね、自分を人間兵器にした木原幻生を恨むと同時に感謝もしているのよ」
「へ?・・それってどうゆう事?」
「てっぺんでなければ見えない風景を私に見せてくれた事よ」
「御坂さんらしい、素直力全開の傲慢なせりふね」
「食蜂、木原幻生に伝えてくれない?「封印は自分で解けるから余計なことはしないで」
 てね」
「もう後戻りできないわよ」
「しょうがないわよ。どうせいつかは解ける日がくるんだから」
「後で後悔力満点で悔やんでも知らないわよ」

「私はなにがあっても先に進むだけよ」
「そう伝えておくわ」
食蜂は震えながら美琴を見送った。御坂美琴の何かが大きく変容したのは
いやでもわかる。ひょっとしてもう封印を解いている?
そんなはずは・・ないわよね。食蜂は疑心暗鬼にとらわれ、普段の用心を忘れ慌てて
連絡を取った。

 ・・・・・・

ふふ・・ハッタリだけど結構上手くいった。
AIM拡散力場を食蜂が恐怖を感じるように操作したおかげだろう。
食蜂がらしくもなく震えていた。
まあ・・・だめならだめで構わないけど。所詮はブラフだし。
でもま・・うまくいったわね。
談話室に取り付けた浮遊式ナノ・デバイスを確認しながら美琴は微笑む。

アンダラインや監視カメラでは覗けない聖域。常盤台の支配者食蜂の牙城。
そこに、最近アンダーラインを応用し自作した直径70nmの浮遊式監視カメラ
を置いてきた。

食蜂が木原幻生と連絡を取り合っていたのは分かっていた。
正直封印なんていつでも解除できる。だけど2年前の消された記憶の内容を確認
しないことには先へ進めない。解除したら地球が消滅しました。なんて落ちでは
困る。慎重には慎重を期す。当たり前のことだ。2007年8月31日になにかが
起き、その日のすべての記録が抹消されたのだから。

その前に・・
「魔術」を調べ上げるか。
私が魔術に遭遇して何かが変わりつつあるのだから。
幸い、自動書記や天罰・幻想殺し、データはそろいつつあるのだから。
後は計算するだけよ。解析ソフトを走らせるよ。

 ・・・・・・・・・
昨日は、2時間早く実験を切り上げたので今日はいつもより2時間早く実験を開始する。
ファイブオーバやアタッチメントの開発も佳境を迎え、今日は、ファイブオーバ


アクセラレータの実験をしている。
とは言っても反射と簡単なベクトル操作しかできないので、試作レベルではある。
それでも普通の能力者ならサジを投げるレベルだろう?

あらゆるベクトルを反転して反射するのだから。
とはいえ反射たって数億気圧程度で飽和するんじゃな。
(1㎡50億トン)本物に比べれば脆すぎる。

確かに水爆をはじめとするあらゆる兵器の直撃を受けても計算上は壊れないけど、超荷電粒子砲の数千兆気圧に比べるとあまりに脆い。でも最初はこんなもんだ。それにAIで自律的に観測結果に応じて反射する内容を変更できるのもなかなか賢い。

自画自賛だが開発者の私をほめたい。装甲が必要ないので軽量化が可能なのもGOODだ。反射は11次元まで防御できるので、テレポートも攻略できない。これを破壊できるのは、私と一方通行くらいだろう。

製作コスト上破壊できないので、反射膜へ複数の方向からプラズマをぶつけプラズマ乱流を起こしそれで反射膜の揺らぎと共鳴を利用し、ナノm単位の穴をあけ、そこからごく少量の数億度の高温電子を入れる。安全センサーが反応し稼働を停止する。

超荷電粒子砲さえ打てれば瞬殺だが、陸地では撃てない以上どうしても手間はかかる。
だけど、万が一物理攻撃を反射する敵と対峙した場合の対処には大いに参考になった。
成果に満足した所長が声をかけてくる。

「御坂さん、うまくいったね。」
「ええ、後3ケ月で十分実戦配備可能です。」
「装甲なし、弾丸不要、あとは演算装置の小型化だけか」
「演算装置は、最悪は借りる予定です」

「具体的には?」
「現在作成中のツリーダイアグラムⅡ、人工衛星、AIM拡散力場を組み合わせます」
「なるほど。最終的にはどのくらいの性能を見込む?」
「人が不要になる程度には強くしたいですね」

「大きくでたね。」
「商売人にはキャッチコピーが大事ですから。まあ大きく考え、小さく始め、素早く
 学習するでしょうか。」
「期待しているよ ところで来週9日間は御坂さんは休暇予定だよな」
「ええ、イギリスへ」

「婚約者とか?」
「お耳が早いですね。」
「父が祝福していたよ。」
「そうですか・・帰国後に幻生先生に婚約者ともども挨拶をしますね」

「ところで御坂さんは木原へ改姓する気はないか?」
「光栄な話ですが、上条の意向を確認しませんと」
「そうか・・まあいいまだ2年はある」
「ところで、幻生先生は今どちらへ?」
「確かロンドンで国際会議に出席中だったね。来週は欧州旅行だったはずだけど」
「ありがとうございます」
「じゃ・・電話しとくよ」

所長は、美琴が木原へ改姓する意向がないことを確認すると、話をすぐに変え
いつもように雑談を始めた。
美琴にとっていつもような日常な時間。
実験を終え、所長や所員との会話、帰宅後の当麻との会話。せっかく
手にいれた大切な時間。

だが美琴の大切な日常は唐突に終わり、非日常へ変わる。
大切だったしかもそれに依存していた、日常は脆くもたった一つのメールで
終わりを告げる。

美琴はそのメールを驚きの表情で見つめる。送信者名には一方通行と表示されていた。美琴はメールの内容を見てすぐに婚約者へ連絡する。だが・・つながらない。
何てこと・・・美琴は慌てて外出する。

 ・・メールは発信人の性格どおり不愛想で必要最低限の内容だった。
「上条当麻は預かった 操車場へこい」

 ・・操車場・・・・
「久しぶりにね。一方通行」


「ワリイなあ俺の愚痴に突き合わせてヨオ」
「上の命令とはいえあんな形で実験を止めて悪かったわ」
「オメエは馬鹿みたいに優しいな。こんなレベル0をなんで可愛がっているんだカア
 理解できねエなア」
「不思議なんだけどアンタよく当麻を拉致できたわね。」
そこには、捕縛されて口をふさがれている上条当麻がいる。

「まア そこんとこは蛇の道は蛇てやつでなア」
「まあそんなことはどうでもいいわ。で私はどうすればいいの?」
「決まってるンだろう。俺と戦ってなア」

「正直面倒くさいわね 私には何のメリットもないわ」
「怖気図いているのか?」

「そう見える?結果なんかわかりきっているじゃない」
「ああそうだな。演算能力も出力も俺はお前以下だ。だけどな
 この小さな町でなア、超荷電粒子砲なんて撃てるかア?、俺の反射を正面から突き破れば
 余波で東日本ごと消滅するだろうなア・・」

一方通行の言うことはハッタリではない。美琴の必殺技超荷電粒子砲を一方通行の反射を突き破る出力で発射すれば
関東はおろか、半径数百キロを焦土と化す。死者は数千万人
に達するだろう。不殺の美琴には、威力がありすぎて役に立たない超荷電粒子砲。

一方通行はあり余る戦闘能力を持ちながら、それを優しさゆえに発揮できない幼馴染の美
琴の優しすぎる性格を愛おしく思っている。だが基本はツンデレな彼はそれを口に出す
とはない。 

最も一方通行も美琴を殺す手段はない。結局双方が11次元に達する反射を持っているために
何をしても致命傷にはならない。

恐らく美琴のほうが体力はあるだろうから、美琴のほうが持つだろう。だがその何時間の間
に学園都市が崩壊するのは目に見えている。

超荷電粒子砲を除けば戦闘力に大差のない二人、美琴がいくら戦闘回避に気を使っても
余波は莫大ですべてを防ぐことはできそうもない。
(ええ私は優しすぎるわよ でもね。今の私はひとりではないわ)

それに美琴は分かっていた。美琴も一方通行ももしも今戦闘すれば、ともにレベル6になる
可能性は否定できない。もしもそうなれば戦闘の余波はどうなるのか全く予測ができない。
何が起きても不思議でない。冗談抜きにこの星の耐久性が心配になるレベルだ。

だから今は自分が戦うべきじゃない。いや戦ってはいけないのだ。
ちゃんと2年前の事故の原因を突き止めてから進めるべきなのだ。
美琴は、時間稼ぎを続ける。

「そうかもね。私はここでは超荷電粒子砲は撃てない。
               けど今の私はひとりじゃないわよ」
「なア 美琴ちゃん一緒にレベル6にならないかア?悪くねエだろう。」
「そうね。でも・・まだ早いわよアンタがレベル6になるには」
「アア?」
 ・・一方通行は突然苦しみ始める。・・・
(呼吸ができねエ・・アイツ何をしやがったア? 5秒して一方通行はすぐに
解析を完了する。ああそうか?なるほど・酸素分子を分解して酸素原子にしたかア・・
ついでにプラズマにしやがったな・・だけど・・子供みたいな手品だナア こんな小細工 )

一方通行は俊足で移動し酸素のある領域へ移る。移動しながら、
1トンはある鉄骨を音速で移 動させ美琴へ向ける。(まアこんなんで死ぬタマじゃねエけどな)
美琴は磁力で鉄骨を10Mそらし微動だにしない。
化け物同士の戦いは簡単には決着がつきそうもない。

一方通行は態勢を立て直し、美琴へ同時に数十本鉄骨放り投げ攻撃を
再開したとき異変に気がついた。
(上条がいねなア あの拘束を外せるわけがねエけどなア)
まさかア・・美琴の小細工かア・・?

その時に眩い光があたりをつつみ、一方通行は一瞬反射的に目をつむる。
彼はある一定量以上の可視光は反射する仕様だが、人間のクセで0.2秒瞼をつぶる。

目をあけると、目の前に上条が立っていた。
攻撃を加えたはずの場所に美琴はおらず、一方通行はすぐには何が発生したか
理解できなかった。


「ほう・・?拘束を外したア?美琴ちゃんがはずしたカア」
「さあな。美琴はお前とは戦いたくないそうでな、俺が変わりだ」
「オイオイ 美琴ちゃんも冗談きついな。テメエは右手以外はただの高校生じゃねエのか?」

一方通行は、音速で移動し、上条の左手をつかもうとする。直接生体電流を操れば
上条はひとたまりもない。
だが、上条は、持ち前の予兆の感知で素早く音速攻撃をかわす。
素早く一方通行を右手でつかみ、態勢を崩し、そこへ右ジャブで一方通行を沈める。

一方通行にはすぐには理解できなかった。なんで自分がひっくりかえっているのか。
たががレベル0にしかすぎないはずの上条に超荷電粒子砲以外に無効化できない
はずの、反射を無効にされ、右アッパーを食らって倒れている。

一方通行には、たかだ右手以外には特別な能力などないはずの少年の異常性に気が付き
始める。
(これはある意味美琴ちゃんよりも厄介かもな・・)

一方通行は美琴の真意に気が付き始める。なるほどなア・これは確かに上条は俺むきだなア
だけど、まあ攻撃力は大したことはねえナア・・
一方通行は、解析を始め何点かためそうとする。
 ・・まずは、鉄骨をぶつけてみるか・・・

一方通行は、鉄骨を音速に加速し、上条へぶつける。
轟音が響き1トンはある鉄骨が、地面へ突き刺さる。だが・・上条はいない。
(テレポートか?まさか美琴ちゃんができるはずない?いやそんなはずはない)
気がついたときには上条が後ろから一方通行の耳を右手でつかんでいる。

「美琴いいぞ、いまがチャンスだ」
周辺から耳をつんざく轟音が響き一方通行が苦しみ始める。
当麻の右手が一方通行の耳周辺の反射を妨害し、ただの音波しかすぎない
キャパシティダウンが一方通行の脳に到達しその演算を妨害する。

一方通行は顔をしかめ、悶絶を始める。
どこからか現れた美琴が、生体電流を操作した350kgの握力で武装した右手で
意識を刈る。10m以上一方通行はノンバウンドでとび、気絶する。

2人は、意識を失った一方通行を見下ろし会話を始める。

「ありがとう。なんとか戦わずにすんだわ」
「美琴、俺こそ捕まってごめんな」
「私が、不用心だったわ。ごめん、これからはちゃんと対策する」
「だけど、美琴はステルスもできるんだな」
「ええ、まあプラズマや磁力で光の屈折を少し弄っただけどね 後はVRによる
 小細工でテレポートまがいのことをしたけどね」

「それでコイツはどうする」
「病院へ検査入院してもらうわ、あばらの2本くらい折れてそうだし」
美琴はスマートフォンで救急車を呼ぶ。
救急車は5分で到着し、一方通行を担架で運ぶ。

美琴はアンチスキルへの事情聴取に、監視カメラの映像を見せながら答えている。
学園都市2位が1位の関係者を拘束し、1位に喧嘩を挑んだという大事件なので厳重な
警戒網が如かれる。

約1時間聴取を受けるが、監視カメラとスマホの録音記録により一方的に一方通行が
絡んできたことが証明され2人は解放される。

「さあ帰ろうか。タクシーきたし」
2人でタクシーの後部座席に座る。
「当麻・・前にも話したけど私には敵が多い それでも守ってくれる?」
美琴は当麻の太ももへ手をあてる。
「美琴がいつも守ってくれるじゃないか?それに美琴と付き合って以来
不幸が減った。それで十分だよ」
「当麻ありがとう。ふふ不幸なら私も不幸よ。でも当麻と一緒だと心が休まる」
「美琴なら俺も全部預けられる」
二人は、車中にもかかわらず、抱擁を始める。
そして接吻を交わし、愛を確かめあう。
「当麻・・もう私にはあなたしか見えないわ」
「美琴・・地獄の底までついていくぞ」
危機を乗り越え、より絆を深めた2人、だが2人はまだより大きな
危機が迫りつつあるのをいまだ知らない。
続く










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