とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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第2部 第11話 第二章(5)


8月14日(金) 5時

あっさり終わりはずだった事件処理は、木原幻生の抵抗により、アンチスキルと結標
の手に負えず、結局私が拘束することになった。
木原幻生はテレポータを含む数十人のレベル4クラスの能力を使い追手を翻弄し、しぶとく
抵抗したが、私がキャパシティダウンで動きを止め、最後は脳に※0.1Aの電撃で食らわせ
昏倒させた。(※0.1Aの電撃とは人が浴びると昏倒するが、死なない限度値。)

彼の孫も収容されている対能力者用拘置所への収容手続まで付き合ったため、すべての
処理が終わる頃には午前2時を回っていた。磁力を活用した空間移動をする気力もなく、普通の
無線タクシーで10kmを15分で移動する。

自宅マンション前のコンビニでタクシーを降り、おにぎり2つと朝食用の550円の幕内弁当を買い自宅へ
たどり着く。生体電流を操作し、疲労物質をCO2と水へ分解し、疲労が翌日に残らない
ように処理を終え、生体電流を操作し、高ぶった神経を無理やりシャットダウンさせる。
死んだように120分眠り、5時ジャストに起床する。

浴室へ急ぎ、シャワーを浴びる。あらかじめ浴槽に満たした41度の温めの湯につかり
両腕を伸ばす。私は顔を軽くたたき、かつを入れる。
まだ戦いは終わっていない。これからが本番だ。そうつぶやきながら冷蔵庫から
幕ノ内弁当とPET無糖紅茶500mlを取り出し、机の上に置き、軽く手で礼をして、食事を食べ始める。

栄養バランス的には褒められたものではないが、頭を起動させるためには
食事の必要があるので食べる。私はコンビニ弁当を食べなれていないので
温めずにそのまま食べる。正直まずいがレーション(野戦食)よりましと思い
紅茶で流し込んで食べる。

私は献身的に朝飯を作ってくれる当麻の顔を思い出し苦笑する。
(当麻の朝飯はおいしかったわね。でも多くの勤労者はこれで満足しているんだし
 贅沢は言えないわ)

それにしても改めて思う。この学園都市で木原イズムを排除することの困難さを。
アンチスキルも基本は教師や研究者。かれらが尊敬する木原一族の元老である、木原幻生を捕縛することは
相当抵抗感があったに違いない。結局私が証拠一式を2時間ビデオ動画に編集しアンチスキル本部へ
送付し、いつでも世界中の動画投稿サイトや、携帯電話で配信できる準備が完了済みであることを
見せつけていなければうやむやにされたかもしれない。

美琴は、改めて目的の為に手段を選ばない木原イズムが浸透した学園都市の異常性に
驚愕する。外部の世界では忌避されるほどの異常な能力第一主義。能力開発のために
手段を選ばない非人道性。

だが・・それを忌避する美琴自身はどうだろう?上条当麻に出会うまで
レベル0や、スキルアウトをごみ扱いしていなかったか?

私は上条当麻に感謝しなきゃいけないな。能力偏重主義という学園都市の悪癖から目を覚ましてくれたのだから。
そして、自分が受けた能力開発への疑問と、魔術というもうひとつの幻想へ目を向けさせ
たのだから。

魔術・・おそろしいわね。でも知らないでは済まないわよね。

私はハッキングした木原幻生のPCのメモになぜか詳細な記述があった魔術についての注意事項を反芻する。
 ・超能力者は魔術を使うと身体欠損などのリスクを負う。
 ・魔術師が超能力者に魔術を使わせても同様である。
 ・魔術の原典を宗教的防壁のない一般人が読むだけで精神汚染で重大な精神疾患に陥る。
 ・・・・
驚愕ものだ。知らずに原典など読もうものなら、昏倒してぶっ倒れるところだった。
一般の学生はともかく、戦時には学園都市の切り札として期待される7人のLEVEL5
には事実を伝えてほしいものだ。

だが・・これがアレイスタ流だろう。
よらしむべし、知らしむべからず。

正直知らないほうが良かったかもしれない。
何にも疑問を持たず、アレイスタ閣下のプランに従っていればよかったのかもしれない。
だけど、一方通行の醜態ぶりを見ると知らないという選択肢にも将来性を感じない。
それに知った以上は後戻りはできない。リスクは大きいだろう。
だけど、もう知ってしまったんだ。


だったら知り抜いて、運命に立ち向かおう。
私は無駄な思考を断ち切り目の前の問題に集中する。

今日は結構多忙なんだよなと反芻する。
昨日は休んだので、11時に研究所に行って事務作業をする必要がある。

その前に病院だな。リアルゲコ太にメールを入れておこう。
当麻の骨折箇所の接合は終わったらしいので、日曜日には退院できるという
話だった。正直UK旅行は悩ましいが本人に決めさせよう。

さあ・てと来週はUK旅行なんだからさ。準備をしておこう。

私は、スマホを操作し、電話番号からステイルを選択する。
 ・・以下英語・・
「今晩はステイルさんお久しぶりです。予定通り来週木曜日にマンチェスター
 近郊の協力機関で能力開発デモを行います。その途中になりますがロンドン
 で来週水曜日にお会いしたいので
 すがよろしいですか?」
「御坂さん、インデックスが楽しみにしていてね、僕も神裂ももちろん楽しみだよ」
「もしよろしければマンチャスターにも来ていただければいいんですが」
「ああ・・インデックスが喜びそうだ。それは御坂さんが手配した情報をメールして
 ください」
「ではアイテナリーなどの詳細は今日中に送りますのでよろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
これで必要悪の教会への連絡は済んだ。後は向こうがどう動くは・・さて
どうなるかしら?

私はクローゼットを開け、当麻の買ってくれた黒のジャケットと白のスカートを履いて
外出の準備を始める。
さあ見舞いにいくか・

 ・・・・・

冥土返し医師の病院

「当麻・・昨日はあんな諍いに巻き込んでごめん」
「美琴ごめん」
「え?」
「結局は、一方通行の火球をぶっ壊したのは美琴だろう?それに救急車
 やアンチスキルの通報もそうだろう?俺は結局また美琴だのみだ」

「当麻・・でも当麻が一方通行と戦ってくれて本当に助かったわ」
「そうか・・」
「先生からあさって退院て聞いたけど」
「美琴に悪いから明日退院する」

「え?でも先生は退院は日曜日だって」
「骨はもうつながっているから大丈夫だよ 今日1日様子はみるけど」
「うーん 無理しなくていいわよ。それに欧州旅行だって」
「一緒に行こう。俺の事なら心配しなくていい」

「いいの?本当に」
「ああ・・」
「わかった。でも無理しないでね。見舞い品おいておくから。
 ごめんなさい早朝なのでコンビニくらいしか開いてなくて
 大したものは用意できなかった」

美琴はコンビニで買ったショートケーキ2ケとカットフルーツを置く。
「美琴は仕事か?」
「ええ 来週はイギリスに行くからね。その前に結構細々とやることはあるわ」
「昨日だって寝てねえだろう。無理すんなよ」
「2時間は寝ているから大丈夫よ。それに管理職は仕事をためるわけにはいかないからね。」
「社会人は大変だな」
「当麻もいづれそうなるわよ」

「美琴と一緒に仕事したいな」
「え?」
「俺は今まで右手を頼りに目のまえの助けたい
 女の子を、自分の気持ちだけで助けてきた。
 でもこれからは、困難な問題に立ち向かう美琴
 と手をとって一緒に行動したい。」
「当麻・・・」
美琴目に涙を浮かべ、当麻に軽く口づけをする。
「当麻嬉しいわ。すこしづつでいい。一緒に歩こう」

「ああ」


美琴は本当は抱擁したかったが包帯まみれなので、あきらめ
再度軽くチューをして、一言言う。
「続きは、退院後ね」

夕刻19時

比較的長めの事務作業と、ファイブオーバ・プラズマキャノン試作機の運用実験を終える。
開発者としては、自分の2つ名を冠する以上もう少しまともな性能にしたかったが
工業的に原子力発電所10億基相当の1000兆KWの出力の再現は不可能なので、
現状は私が演算補助を行い脳波制御で遠隔操作で動かせるレベルのものにしかすぎない。

主砲の超荷電粒子砲出力は高温を防ぐ磁場保護膜の制約のためせいぜい最大帯電量1億KWh(TNT86kt)しかないが、
それでも戦略核兵器に匹敵する破壊力を有する。これを毎分10発、最大120発連射できる。現状では最強の兵器とされる
最新型原子力潜水艦を上回る攻撃性能となる。
副砲は5億kwのX線レーザ砲2門と、20gの劣化ウラン砲弾を秒速10kmで毎分3600発発射する超電磁砲2門
を有し、歩兵師団を副砲だけで30秒で沈黙させる。

移動性能はプラズマ推進で最大マッハ10の速力で移動でき、しかも高度のステルス性を有す。

電磁気で相転移を起こした特殊合金(いわゆるフェーズシフト装甲)装甲と
と磁場膜を有するために高出力の列車搭載型要塞破壊超電磁砲や
核兵器の直撃程度では傷ひとつつけることもできない。

日本程度の中規模国家なら1台で崩壊させることができるだろう。
はっきりいえる。これが完成したら超能力も兵器体系も大きく変貌する。
核兵器は電磁気・プラズマ兵器を中心とする体系に変わる。
現状は私が演算補助しているが、最終的にはすべて
私の演算パターンを再現したAI制御にする予定だ。

今日はその実証試験を行うため、攻撃を自分へぶつける。攻撃を自分の保護膜で吸収
しないと、学園都市が崩壊するので、間違わないように確実にぶつける。
数百台の監視カメラや測定機器が、攻撃の精度・出力を正確に記録する。
私の保護膜は核戦争に比肩するあらゆる攻撃を吸収し、周囲に影響を与えない。


ひととおり攻撃の評価を終えた後、今度は私が攻撃をする。攻撃に頭を使いつつ、機器
の操作と保護膜の維持、攻撃エネルギーの吸収と極限までその性能を試す攻撃を行う。
複雑極まりない演算で頭を酷使し、疲労がたまる。

だが速やかに疲労物質を分解し、模擬戦闘を継続する。
1時間の苛烈極まりない戦闘は周囲に被害を及ぼさず終了する。

終わった。実験は大成功だ。
私は、達成感で満たされる。
ついにファイブ・オーバーシリーズは全種類揃った。
戦場から人間を追放し、AIだけが戦う、機械だけが戦う理想の戦場。
戦場で誰一人として失われることのない究極の未来。その基礎を作り上げた。

今はまだ未完成だが、完成すれば既存の国防・戦争の概念を塗り替えるだろう。
昔マンハッタン計画で1945年7月16日に米国ニューメキシコ州で行われた最初の
核実験以上の成果だろう。

後は・・魔術要素だけだな・・・
私は魔術という空白の領域を埋めさらなる高みを目指す。

私は多忙なあまり、大事なことを失念していた。
ある意味心理の空白。
首謀者の確保と関係者の拘束、裁判準備、当麻の入院と退院手続、
月曜日からの旅行に追われ、内心どうでもよくなっていた。
実行犯の一方通行の行方である。
それをA4で3000枚の実験リポートを書き上げた21時に気が付く。

あれ?・私は気がつき、慌てて監視カメラをトレースする。
救急車は病院へ向かわず、廃墟のような古いビルへ入る。
救急車はしばらくして外へでるが、一方通行は乗っていない。

本来自動で反射モードなはずの一方通行は睡眠時に攻撃を受けても
全部反射できるはずだ。

だがもしも意識を失ったときに100%オゾンやCO2を人工呼吸器で与えられた場合は
どうだろう。脳は酸素を失い昏倒状態になる。脳活動がとまれば反射も止まる。


そこへ電極でもぶち込まれ常時脳活動を抑えられればどうなる。
能力を失った一方通行は逆らうすべを持たない。私の脳は最悪の結論を
意識し始める。

先日私は一方通行と対峙はしたが、敵対関係ではなく結構付き合いもある。
しかも誘拐及び監禁という犯罪行為を見逃すには私はまじめすぎる。
私はアンチスキルへ失踪届けを通報し、自分でも捜査を始める。
だが片手間であるアンチスキルでしかも深夜に多くは期待できない。

結局は自分でやるのが早い。最近アンチスキルの無能ぶりを悟っているの
で結局自分で調べ始める。
私は、人工衛星、アンダーライン、監視カメラを総動員して、行方を追う。
解析ソフトで分析し3時間後に居場所は判明する。
空港の保税地区内通関待ちのエアカード置き場。
一方通行をエアカーゴで輸出でもするつもり?

(これは外部に協力者がいるわね 油断できないわ)

一方通行の位置はわかったのでアンチスキルへ通報する。
(だけどな・・)
学園都市のある意味最高機密で人間兵器のレベル5を緊急搬送される
タイミングで拉致するなんて普通ありえない。
大規模な組織と協力者の存在なくしてこんな大規模な犯罪は不可能だ。
協力者は木原幻生とその一味か・・

私はため息をつく。
(多分この事件もまたアンチスキルの手に負えない)
まあ・・いい。自分が軽率に動いて統括理事会に難癖をつけられては堪らない。
アンチスキルが土下座して私を指名してから動いてあげよう。

さあ私の仕事は終わり。さっさと帰りたいので夜空を磁力を
活用して滑空し、2分で自宅前コンビニへ到着する。
無造作にコンビニ弁当とおにぎりとキリンの無糖紅茶をかごにいれコンビニの
プリペイドカードで支払いを済ます。
袋のまま冷蔵庫へ入れ、そのままベットインする。
くたくたの体を生体電流操作でほぐし、疲労物質を分解し、脳の活動を
低下させ睡眠へ突入する。レベル5の能力をある意味無駄使いし、ささくれだった
神経をほぐすため寝る。
まあいい・・私は本来は一般人寝させてもらうわよ。
ここんとこ2時間睡眠が続き疲れがたまっている。
今日は3時間は睡眠させてもらおう。


8月15日(土) 5時
私はいつもどおり5時に起きる。

PCを起動し、一方通行拉致現場を確認する。
案の定膠着状態で突入できないでいる。
現場はキャパシティダウンが作動し、能力者は半径1kmの範囲で足止めされ、動けない。

それに一方通行という貴重な能力者が人質のためアンチスキルは動きを封じられている。
犯人側は木原幻生のロシアへの出国と逃走資金
1000億円を統括理事会へ要求し、交渉が続いている。だが・・テロリストとの交渉を
原則拒否する統括理事会が交渉に応じることはないだろう。

急ぎさめきったまずいコンビニ弁当を広げ、無糖紅茶500mlで流し込む。
統括理事長はどうせ私か暗部を動かすだろう。

昨日は、スマホを着信拒否にしてよかった。
案の上、不在着信と留守番電話が入っている。
アンチスキルが協力要請を送ったらしい。
正直いい加減にしろよ。の話だ。
そっちが何日たっても見つからない一方通行を速やかに
発見し居場所や現場図面や武器のありかなど突入に
必要な情報をいたれりつくせり送って上げたのに
拘束できないなんて何やっているんだよな。
(はあ・・疲れるわ。  )
とはいえ、返信くらいはするのが莫大な
研究協力金を受領するレベル5の務めだから
返事はする。
今日は正直あんまり気がのらないので断る理由を考えながら
電話をする。

「もしもし黄泉川先生ですか?御坂美琴です。」
「御坂か。遅かったじゃん。でももういいじゃん。
 上が代わりの応援をよこしてくれる話
 になったじゃん」
「ええ?変わり?」
「統括理事会からの指名だそうじゃん」
「誰?」


「内密で連絡はないじゃん。アンチスキルはしばらく待機命令じゃん」
「わかりました。では私は用事がありますのでこれで切ります」
内密ね・・
常識的に考えれば、垣根のスクールか麦野のアイテムしかない。

まあ・どっちでもいいわ。
正直、統括理事長アレイスタのまわりくどい話も飽き飽きしたし。
それに今回はそう簡単にはいかないだろう。
私にはそんな予感がある。

今回の事件の根は深い。
いよいよ当麻と力を合わせる日が来たわね。
木原の正体を白日のもとにさらし、風通しを良くするわ。

私は、当麻へメールを送る。
「当麻今日は退院ね、ちょっと相談したいことがあるけどいい?」

私には確信している。当麻の右手が、混沌に満ちた世界を変える。
私はその当麻を陰に日向に支えるのだと。

続く











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