とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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第2部 第14話 第三章(2)


8月21日(金)現地時間 8時 ロンドンシティのとある超高層ビルの43F

スイートルーム

「おはよう 当麻」
「おはよう 美琴」
「今日は アメリカのだ・大統領補佐官に会う予定だっけ?」
「ええ・・駐英アメリカ大使館でね。一般は簡単には入れないわね。でもこの外交官
 パスポートがあるから大丈夫よ」
 美琴は、オレンジジュースを飲みながら、パスポートを見せる。
「なくさないようにしないとな」

「まあ・・いいわよ。なくしても最悪はこれ使うから」
美琴は、本物とまったく同じ当麻の学園都市用外交官パスポートを見せる。
「まったく美琴は、用心深いな・・」
「当麻の筋金入りの不幸を考えれば用心のしすぎはないわよ」
「そうか・・で今日はどうする」

「まあ。。先日の打ち合わせどおりよ 私は情報を提供するだけよ」
「ああ・・だけどアメリカをもし学園都市が失えば困るんじゃないか?」
「ええ・・でも3億人有する大国をそう簡単に準備なしに左右できない」
「だけど美琴の任務は・・」
「私の任務は行方不明の天井を連れ戻すだけよ。米国の運命なんて知らないわ
 その結果グレムリンの目的が妨害されるとしたらそれは単なる結果論に
 すぎないわね」

美琴は立ち上がり、窓の外に広がるロンドン市内を見下ろす。
「当麻・・今日は話を聞くだけでいいわ」
「え・・ああそうだな」
「でも、魑魅魍魎の世界もあることは知ってほしい」
 私がただ可愛い女ではないことも含めてね
 そのうえで当麻に決めてほしい。この汚れてしまった私の手をつかむどうか」
「美琴が決めることだ、必ず意味はあると俺は信じる」
「ありがとう」
「さあ・・9時にはでましょ」
美琴はスイートルームのさほど多くはない荷物を手際よくまとめ、
出立の準備を終える。

 ・・・・

美琴はフロントで、支払いを終える。
美琴を遠目でみながら、当麻は妄想にふける。

基本日本語onlyの当麻にとって、流暢な英語で
流れ作業のように雑事をこなす美琴
は別世界の人物だ。
当麻は反問する。俺はハイスペックな美琴にふさわしいのか?
正直な話、現状の自分は美琴から見て守られる対象にしかすぎない。

美琴はなにかと自分をたてる。なにがあっても当麻のおかげ。
自分ではできない、当麻がいたからうまく言った。
だけど、ひいきの引き倒しの感じがぬぐえない。
答えは分かっている。美琴は自分を愛しているというより、
自分の可能性を愛しているのだと。
だけど。。美琴のそばにいると退屈しない。

毎日わくわくしている自分がそこにいる。小説にしかない、
夢のような非日常空間。
駐英米国大使館で大統領補佐官と会談?
ライトノベルの主人公のような生活。
もう美琴なしの生活は考えられない。

だから・・・この非日常を続けられるだけ続けよう、
どうせ先の事は誰にもわかりはしない。

だが・・妄想は5分で終わり 俺は現実に戻される。
「当麻、タクシーが到着したわよ」
「ああ・・行こうか」

 ・・・・

ロンドン中心部をハイドパーク付近にあるアメリカ大使館へ進む。
晩夏のロンドンは場違いなどほど晴れわたり、
突き抜けるほど真っ青な晴天が
広がる。フロントガラスから突き刺すような日差しが降り注ぎここが
ロンドンなのを忘れそうになる。

ところどころ超高層ビルのある最近の再開発箇所を除き、19世紀の


大英帝国の栄華の香りが残る、美しい町ロンドン。
その映画のシーンのような、夢の時間は20分ほどで過ぎ去り、
目的地へ到着する。

たかが大使館とは思えないほどバカでかいビル。

「でかいな・」
「ええ、欧州におけるアメリカ合衆国の最大の拠点
 じゃ・行きましょ 外交官パスポートは携帯してね」
美琴はラミネート加工されたパスが入ったケースを渡す。
「じゃ行きましょ。」
「最近はイスラム原理主義者のテロが横行しているから警備が厳しいのよ」
ものものしい警備態勢の大使館。自動小銃で武装した警官が警備し、
人よりおおきそうな猛犬が俳諧する。

迎えが到着し、館内へ案内される。
いつもように美琴が流暢な英語で会話を交わし、わけのわからないまま話が
進む。ロンドンという国際社会の中心地のひとつで、まるで最初からいたように
自然にふるまう美琴。

(こんなスゲー奴だったのか御坂美琴は? いや確かに知ってはいた。能力、語学力
 科学知識、財産 だけど・・結局は上面しかしらなかったことに気が付かされる)

何一つ会話が理解できない。やっていることが理解できない。
「あ・・そうか 当麻は英語はリスニングできないわよね。
                  じゃ・・これ使って。」

美琴は鞄からごそごそイヤホンのような装置を取り出し、渡す。
「これは同時通訳機器よ 英語から日本語へ翻訳するわ。
 少々日本語が変だけど気にしないでくれる」

言葉とはこれほど大事なものだろうか
まったくわからなかった会話がやっと頭に入る。
「当麻ローズライン・クラックハルト大統領補佐官閣下よ」

美琴と俺は窓のない奥まった部屋へ通される。

美琴は補佐官らしき人物へ軽くお辞儀し、つられて俺もお辞儀する。

「御坂美琴さんですか?連れは上条当麻さんで?」
「ええ」
大統領補佐官は、美琴と俺を着席するように促す。
俺は、美琴の作法をまねそれらしく着席する。

「御坂さん、チップは拝見しました。情報提供ありがとうございます
 正直信じがたい内容ですが、緊急を要するので大統領には伝えています」
「ありがとうございます。」
ローズラインは、すでに実施した何点かの計画を説明した。
PMCトライデント幹部を所得税違反で拘束したこと、
PMCトライデント本部を
FBIが家宅捜査し、ハワイ占領計画の計画書を入手したこと。

 その書類にオーレイ・ブルーシェイクの関与をしめす事実が記載されていたこと。
を告げた。
「学園都市からの情報提供には感謝しています。
PMCトライデントとオーレイ・ブルーシェイク
の金銭的なつながりを占めす動かぬ証拠に」
淡々進む会見だが、その平常は突然終わる。
上条は美琴が急に顔色を変えるの見た。

美琴が突然立ち上がり、叫ぶ。
「伏せて、爆発がある。ある程度防ぐけど、
全部は間に合わないかもしれない。」
美琴は右手を突き出し、鉄筋を操作しバリケードを築く。
その瞬間、まばゆいばかりの光が周辺をつつむ・・
だが・・・爆発は結果として未発に終わった。
届くはずの衝撃波と爆音は会議室へ届く前に唐突に消滅した。

当麻は美琴と補佐官と
一緒にLPガスタンクローリーが衝突した正門へ
様子を確認に行く。本来なら大使館ごと
崩壊するはずの爆発は美琴に
阻止され、少々壁が焦げただけだ。

「間に合ったね・・あと1秒気がつくのが遅ければ大惨事だわ」
「御坂さんいったい?」
当麻と違い美琴の力を知らない補佐官は目をぱちくりさせる。


「能力で爆発の衝撃を吸収する膜を張り防ぎました、詳細は
 学園都市機密なのでそれ以上はお答えできかねますが」
「手口はイスラム原理主義者らしいですね」

美琴は、焼き尽くされたタンクローリーを眺めていう・
このたぐいの、テロは中東では日常的で時には数百人無辜の市民を奪う。
残酷無比なテロだが、その根絶は難しい。
数十トンの可燃物だが、日常的に走っているのでその物流を
止めるわけにはいかない。結局は完璧な防御はできない。となる。

「ですが、たぶん彼女の指示による犯行でしょう いそがないと。
 彼女のはなりふり構わないようですし。
 大統領の安否は確認されました?」
クラックハルトはあわててスマホで大統領へ通話する。
そ・・そんな・・

「どうしました?」
「大統領は無事だ。だけどホワイトハウスが何者かに爆破された。
 今は御坂さんのご友人2名と一緒に避難中」
「間に合いましたかよかった」
「いまどこです?」

「ラングレーだ」
「いそがないと」
「では・・ヘリでヒースロー空港へ」
「普通の移動手段では間に合わない」
「ヒースロー空港にマッハ7で移動できる超音速機を待機させてますので
 急ぎましょ」
急ぎますので、・・

美琴は、当麻、クラックハルトさん背中に乗ってもらえます?
「へ?」
「いそいでください。」
クラックハルトはわけのわからないまま当麻の背中にのる。
「では・・」
美琴は俺と補佐官の2人を背中にのせ、ピョンと近くの高層ビルへ飛び上がる。

そこから約20km離れたロンドン・ヒースロー空港へ約3分で到着する。
慌ただしく出国手続を行い、10分で航空機にのる。

ありえねだろう。
約6000km離れたロンドンからワシントンまでたった50分で移動なんてさ・・
学園都市の超科学にはいつも驚かされる。
だけど胸糞悪くなるほど急速な加速で3半器官が悲鳴をあげ
マッハ7のGで体が軋みをあげる。

こんなに飛行機にのるのは、命がけだったのか・・
俺は中で2回、降りて2回吐いた。補佐官閣下も何回は吐いていた。
もう2度とのるまいと心に決める。

美琴はどうだろうと、表情を見ると、たぶん能力で感覚を制御しているんだろう。
何事もなく涼しい顔をしている。

「大統領はまだ無事ですね。」
「CIA本部で無事だ」

「急ぎましょう。」
駐機スポットには、補佐官が手配したヘリが待機し、
すぐに飛び立つ準備をしていた。

俺と美琴と補佐官はヘリに乗りCIA本部へ急ぐ。
「今回の件は、大統領が健在な時点でゲームセットよ事態は急速に収拾されるでしょう」
「え・そうか・・」
「でも・・これは単なる前哨戦。まだ先がある」

なにかがかわりつつある。
アメリカという大国が悶え苦しんでいる。

俺は美琴の不吉な予感があんなとんでもない形で終わりをつげるなんてまだ
知りもしなかった。

続く









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