とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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今日も佐天は臨機応変




灼熱。
ファミレスに向かう4人は、大量の汗を出しながら歩いていた。

「もう、アッツイ!! ベトベトになっちゃうじゃない」

汗を拭いながら天候に文句をいう美琴。
拭えど拭えど額から頬、首、サ骨へと流れていく汗。
それを見てテンションが急上昇する淑女が1人。

「ワンモア!! 今のセリフをもう一度!!」

白井である。
ハァハァと息は荒く、録音と録画の準備をしている。
美琴は、ため息を吐きつつ機器を爆破。
白井にも月に変わってお仕置き。
放置して先に進む。

「あ、あはは、絶好調ですね、白井さんも」

佐天涙子は苦笑する。
流れる汗は、暑さだけが原因ではない。

「暑いです、もう途中でジュース買っちゃいますね」

白井を全無視して自販機に向かったのは、相棒であるはずの初春飾利。
もう少し我慢すればドリンクバー三昧なのだが、その前に熱中症になっては大惨事だ。

「そうね、わたしも買っちゃおっと」

美琴が初春に同調したとき、
あのテテーン、というテーマソングとともに白井が瞬間移動で登場。
相変わらず復活が早い。

「なりませんわお姉様!! 人が摂取した飲食物は、全て血肉へと変化します。飲み物にまで細心の注意を払わなければ、女性の美しさは保てませんの!! と、いうわけで、わたくし自作の特製ドリンクを召し上がりくださいま「脚下」

即答でござった。

「な、ひどい!! わたくしは、お姉様のことを考えて!!「じゃ、昨日届いたパソコン部品の内容を説明したのち、そのドリンク、自分で飲んでみなさい」…………」

ザ・ワールド
蝉の声だけが虚しく響く。
ようやく、ガタコンッという自販機の音が響いた。

「ったく」

グビッと、スポーツドリンクを飲む美琴。
イケメンである。
orzの体勢をとる白井。
しかし、まだだ、まだ終わらんよ!!
なのである。

「な、ならば、力ずくでぇぇぇぇええええええ!!」

暑さでイッチャッてたらしい。

「えぇっ!! ちょ、こら!!」

追いかけ回す白井に、逃げ回る美琴。
白井に奪われた美琴のスポーツドリンクは、佐天に押し付けられた。
そのままどこかへと走り去る2人。
美琴が媚薬を飲まされるのも時間の問題である。
だが、安心してほしい、K先生ではないが、ここは上琴スレなのである。

「はぁー!! 生き返りました!!」
「初春はマイペースだねぇ」

マイペースの権化が親友にあきれるなか、
ドタバタと走り来る人物が1人。


「お!佐天と初春じゃんか」
「あ、上条さん」
「こんにちは!!」
「今日は美琴いないのか」

汗だくの上条は、へとへとな状態で話す。
美琴フィルターがあれば、きっと爽やかに話しかける図に変わるのだろう。

「さっきまでいたんですけどね」
「上条さんはどうしたんですか?」
「…………現在、逃亡中なんです」

詳しく言わないのには訳がある。
つまり、吹寄の胸にダイビングしたのだ。
もっと言うといつも通りである。

「ったく、この暑いのに走りまわって喉カラカラだ」

このままじゃ僧正になっちまう。
と、ぼやく上条。
トラウマっぽくないのは、積み重なるトラウマに慣れたから。
泣ける。
汗を拭う上条を見て、ふと佐天は気づいた。
自分が手に持っているのはなんだ?

「あー、上条さん! これひと口飲みます?」

上条が見ると、有名なスポーツドリンクである。
初春は目を見開いた。

「えっ!! ちょ、佐天さ「いいのか? サンキュー」

初春が止める前に、上条の唇にそれはついてしまった。
グビグビ飲む上条、ニマァ、と笑う佐天と、ぬふぇする初春。
?を頭に浮かべる上条だったが、それどころでなくなる。

「かぁぁぁあああああみじょぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!」

吹寄降臨。
魔神になってんじゃね?

「ひゃぁぁぁぁあああああ吹寄サン!!? さ、佐天これ返す!!」

ジュースを佐天に押し付け走り去る上条。
鬼神も後を追い、去っていった。
ようやく初春の金縛りも解ける。

「な、なにやってるんですか佐天さん!!!!」

「知人が熱中症にならないようにしただけじゃん。誉めてよ、風紀委員」

口ごもる初春。
よく考えてくれ、佐天がおかしい。

「もー、どうなってんのよ!!?」

そこにやって来たのは美琴。
まだツインテールから逃げているらしい。

「お疲れ様です御坂さん。さ、グビッとどうぞ」

「あ、ありが「ああああああああ!!」な、なに!!? 初春さん!?」

佐天からジュースを受け取ったあと、飲もうとしたら初春が絶叫した。
理由を聞いても答えてくれない。
頭をかしげつつ、美琴はグビッといった。

「あ、あぁ…………」

真っ赤な顔の初春の横で、
佐天は(^∀^)と笑う。

「おいしいですか?」

訳がわからない質問だ。

「甘くておいしいけど、もう生ぬるいわよね、そりゃ」

初春がぬっふぇった。
佐天は(* ̄∇ ̄*)という表情になる。
訳がわからない。
とりあえず、額の汗をハンカチで拭う。
そこに、

「おっねぇさま!!」

と白井参上。
美琴の背中に飛び付き、そのまま背負い投げられる。
なんなのよー!!
と、叫びながら、美琴は走り去っていった。
因みに白井はまだピンピンしている。

「あー、暑いですの。喉もすぐに渇きますわね。ぐびぐび、ふぅ」

ん?

「し、白井さん、それって…………」

白井の手元にあるのは水筒。
中身は…………。

「…………Oh!!!! yeah my sister!!!!」

パソコン部品を飲んでしまったようだ。
変な方向性まで付加されている。

「ちょっ、白井さん!! すみません、佐天さん、私も追います!!」

初春も消えた。
確かに流石にあれはヤバイ。
風紀委員がジャッジメントされてしまう。

「いってらっしゃーーい」

手を振る佐天はふと気づく。
足元に落ちているハンカチは、先程美琴が使っていた気がする。
美琴のお気にいり、水玉模様の一品だ。
拾った瞬間再びヤツ登場。


「な、なん、で…………青髪も、参加して、んだ…………」

ツンツン頭も元気がない。
洪水のように汗がながれている。
ので、

「大丈夫ですかー?」

拭いてあげる。
もちろん、拾ったハンカチでだ。

「ん? ありがとな」
「こちらこそ、ありがとうございます」
「なにが?」

さらにジュースも飲んでもらう。
ニヤニヤが止まらない佐天である。
と、そこに青い悪魔が来襲。

「カミやん!! 全男子に代わってぶっ殺したるわ!!」
「お前見た目どうしたの!!? アックアかと思ったよ!!?」

再びどこかに行く上条。
青髪の奮戦に期待するところである。

「もう……やだ……」

そこにやって来たのは美琴だ。
全力で白井から逃げているのだろう。
かわいそう。

「はい、御坂さん、落としてましたよ」

そういってハンカチを差し出す佐天。

「あぁ、ありがと」

まんまと使っちゃう美琴。
上条の汗を顔中に塗りたくっている。

「ぐふっ……ぐぷぷぷぷ」
「ど、どうしたの? 佐天さん?」

そこで、ふと気付いた。

「佐天さん…………ハンカチになにかかけた?」
「な、なにか、ですか?」
「うん、いい香りしない?「ばぶぷー!!」あ、なんか、やっぱりいいや」

美琴は触れない。
触らぬ佐天にふにゃーなしである。
もう手遅れなのだが。

「ぶぷぷくく…………え?……あ、み、御坂さん!!」

急に変わった佐天の態度に ? を浮かべる美琴だが、すぐに全身を震わす。
振り返ると、ツインテールの悪魔がいた。
アレのせいでアレがアレなことになっている。
結局どうなってるのかわからない?
許してほしい、言葉にするのもイヤなのだ。

「…………う、うわぁぁああああああん!!」

泣きながら逃げるlevel5。
どうすればいいかわからない佐天は、2人を見送るしかない。

展開はすぐだった。
目の前に白井が現れたのである。
彼女は、何者かから逃げていた。
いや、まぁ、頭の上の新しい装備品(本来は胸部の防御力を高めるもの)を見れば、誰から逃げているかなんて一目瞭然だが。

「佐天さん、はぁ、はぁ、お願いが、はぁ、ありますの」
「お願い、ですか?」

すっ、と白井はなにかを差し出しす。



おパンツだった。
どこをどうみてもパンツである。
ケロヨンのワンポイントがキュートな、美琴のお気にいりだ。

「わたくしの身が焼かれても、これは、これだけは守ってくださいまし!!」

死地へ赴く勇者の表情をする白井。
涙まで浮かべている。
一方、佐天の目は死んでいた。
この日、白井と佐天は……いや、美琴も初春も、大切ななにかを失った気がする。

「それではっ!!」

白井が消えた。
後に現れたのは、美琴。
しかし様子がおかしい。
具体的には、大覇星祭2日目だったり、新訳15巻の前半に近い。
ゆらり、と白井を追う美琴を見て、佐天は慌てて例のブツを隠した。
雷神が去って、ようやく一息つく佐天。
そこに颯爽と上条が現れる。


「じ、じぬ~~。もうダベ……にゃ、にゃんでインデックスたちまて参加してんだよ~。グスッ、帰れないじゃんかよ~ヒグッ」

颯爽と現れた。
いや、うん、そうしといてよ。
汗だくな上条を見て、いい笑顔を浮かべ、佐天は思ったのだった。

(あ、これ返すなら、付加価値つけといたがいいよね!!)

いい笑顔である。
うん、なにも言わないでほしい。

「上条さん、大丈夫ですかー?」

上条の滝のような汗を拭き始める佐天。
もちろんハンカチは使わない。

「ん? ありがとな」
「セクハラですよ」
「なぜに!?」

上条にとっては当然の疑問である。
とりあえず、もう1つの方に話題を変える。

「佐天も美琴と同じ香水使ってんのか?」
「……香水、ですか?」

んなもん、使った記憶ないが?

「いまのハンカチ、美琴と同じいい香りが「ぶっふぉっ!!」な、なん……いや、やっぱりいいや」

上条はさらに流す。
触れる行為は籔から超電磁砲だ。
無駄な努力だけども。
さらに籔から飛び出したのは、白い悪魔なのだけども。
残念ながらモンスターボールは持ってない。

「ガルルーッ!! ガウッ!! ガウガウッ!! ガルルーガウッ!!」
「なんで人語をしゃべってないんですか!!?」

ついボケの仕事を放棄し、ツッコミに走る佐天である。

「『噛みつこうとしたら、また女の子とイチャイチャして、まったく、当麻はどこまでいっても当麻だね』だと!!?」
「なんで通じてるんですか!!?」
「ガウガウ、ウガー!!」
「『頭髪ぶっ殺』だと!!? ひゃぁぁぁぁあああああ!!」

全速力で逃げ出した。
ほったらかしにされる佐天。
そこに野生の美琴が現れた。

「あーぁ、憂鬱」
「お、お疲れ様です」

白井さんは?
という佐天の疑問に、美琴は暗い表情で呟く。

「…………焼いた」
「あ、そうですか」

身から出た錆、もといコゲである。

「…………あれ? あの人、頭に美琴さんの装備品つけてませんでした?」
「あ…………その、だから…………」//////////

真っ赤になった美琴の顔を見て、
ピン!! ときちゃった佐天である。

「いま上も下も防御力低下してるんですか!!!!?」
「ちょっ!!? 佐天さん!! 黙って!!!!」//////////
「だ、大丈夫なんですか!!?」
「短パンもサマーセーターもあるから、見た目は大丈夫だけど…………」

大丈夫じゃないだろう。
だって、こすれるもん。

「あ、あの…………白井さんから、預かってるものがあるんです」
「……わたしに?」

佐天が渡したのは、例のブツだ。
思い沈黙が2人をつつむ。

「…………なんか、ゴメン」
「あたしこそ、なんかすみません」

美琴は泣きそうになったが、ふと気付く。
手元にあるそれの違和感にだ。

「あれ? 湿ってない?」
「なんですか?」
「黒子のよだれでもないし、なんか知ってる?」
「すみません、汗で湿っちゃいましたかね?」

誰の汗とは言わないのである。

「ってか、白井さんのよだれの可能性があったんですか?」
「…………前科が……」
「それ以上は、大丈夫です」

泣ける話だ。
美琴は礼をいってトイレに走っていった。


見送った佐天の耳に、ズリッ、ズリッ、となにかを引きずる音が聞こえた。
初春である。
なんか大きめの袋を引きずっている。
そう、女子中学生なら、1人くらい入る大きさだ。

「…………生きてるの?」
「今回はひどいありさまでしたが、ギャグ補正で夕方には復活すると思います」

あぁ、そうなの。
としか佐天はいえない。

「そこで、佐天さんにお願いがあるんです」
「なんだい? 初春」
「私の荷物を持って帰ってくれませんか?」

聞けば、固法先輩に説教してもらうのだとか。
先程連絡したところ、「今日は白井さんを帰さない」というありがたい返事もいただいたらしい。

「こっちは白井さんの荷物です。御坂さんに渡してください」
「オーケー」

そのまま初春は去っていった。
悲しい戦いは、ここで決着がついたのだった。

「ふぅ、お待たせ」
「ぐふふ……御坂さん、あれ、はいちゃったんですか?」
「し、仕方ないじゃない」

佐天は笑みを隠しながら、美琴に初春からのメッセージを伝える。

「まぁ、わたしも今の状況て遊びたくないしね」
「はい、残念ですが、今日は解散ですね」
「うん……あ、ジュース持ってくれてありがとう。でも、減り速くない?」

そういってジュースを受け取り、
一息に飲み始める美琴。
最後のひと口の時に、佐天の種明かしである。

「はい!!上条さんが飲みましたから!!」

ゴクリンチョ、
と最後のジュースが喉を通った。
みりみる赤くなる美琴。

「へ? え? なんで?」
「ちょうど御坂さんと入れ違いに何度か会ったんですよー」

脱水しかけてたんでー。
なんて、ケロリと嘘をつく。
さらにたたみかける。

「汗も凄かったんで、御坂さんのハンカチで拭いてあげました!!」
「へっ!!? その後に、わ、わたし、使っ……みゃぁぁああああ!!」

顔真っ赤。
だが、トドメである。

「あと、御坂さんの下着でも拭いてあげましたー!!」
「え? ええええええええ!!?」
「よかれと思って」

急に下半身がムズムズしだした。
つまり、先程湿っていると感じた…………いや、いまも体感しているこれは、あやつの…………。

「な、なんてことしてくれてんの!!!!」
「付加価値です」
「いや、余計なお世「オッス!! 美琴!!」にゃぁぁああああ!!」

ここで、颯爽と現れた上条。
空気を読んだのか、読んでないのか。

「おぅ、なんか今日はやっと会えたって感じだな!!」
「ぴゃぁぁぁああああああああああ!!」

上条の発言は「佐天とは会えていたのに」という語句が抜けている。
おかげで面白い。

(それ、どういうこと!!? コイツもわたしを探してたってこと!!? 汗だくになってたのはそれほどわたしを…………なの!!?)

その間ほにゃほにゃしか言えてない美琴。
サッと佐天が助け船を出す。

「ほら、御坂さん、これでも飲んで落ち着いてください!!」
「ひゃい!! あ、ありひゃとう」

美琴は目をぐるぐるにしたまま、
渡されたものに口をつける。
グビグビと飲むのだが、
はてさて、先程ジュースは最後まで飲んでなかったか?

「あんまり飲みすぎないでくださいねー」

佐天が水筒を回収。
動きが止まった美琴を心配し、上条は近づいた。
なんか、ピクピク震えている。
顔も赤い。
息も荒くなっている

「どうした? 美琴」
「……ぁ」

声をかけただけで肩が跳ねた。
疑問に思い、再び声をかけようとした上条は言葉を発せなかった。
美琴に急に抱き着かれたのである。

(え? ちょ、なにこれ!!? っていうか、なんかいろいろ柔らかいんですけどぉぉぉぉおおおおおお!!)//////////

ゆっくり、ゆっくり美琴の締め付ける力が強くなり、
いろいろ押し付けられていく。

「ちょ、美琴!! 離れ……」

さらに、上条は固まった。
下から見上げる美琴の表情が、なんかいろいろ限界なのだった。
口からは甘い息が漏れ、
汗は真珠のように光り、
熱は明らかに周囲より5℃高く、
涙を浮かべた目は揺れている。



一回、間違いなく心臓が背中から飛び出した。



「あ……ぅお……」

喉がからからに乾く上条。

「どーぞー」

そんなこんなで、
佐天から差し出された、水筒を手にし、

上条は

「ゴクリ」

と飲んじゃったのだった。










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