とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part001

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匿名ユーザー

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常盤台防衛作戦




第01話


あれは偶然だった。
あれが偶然じゃなければ何が偶然なのと言うくらい
それは唐突で自分に都合がよかった。

私はうかつだった。
なんでそれがそこにあり、なんで電子制御系で
最高ランクの私の手に届くところに
それがあったか?

普段の私ならそれに気がついていただろう。
だけど、僧正に会い、木原唯一に打ちのめされ
自分の存在意義について模索し悩み抜いていた
自分にとって、その力はあまりに甘美で劇薬で、
自分だけの現実を半ば喪失しつつあった
自分にとって麻薬のように劇薬だった。

私はいけないとしりつつ、手を出してしまった。
A.A.A (アンチ・アート・アタッチメント)その力と
暴力と可能性に魅せられ
虜になり、憑りつかれた。

回想

あらゆるイレギュラーを科学と魔術と呼ぶ私には、理解不能な力
で積み上げる、木原唯一の攻撃に、私は、無力で、自分の虎の子
の超電磁砲くらいでは、傷一つ
つけることができない。

なんとか、戦場から上条当麻とサロメを回収し逃げ惑う。空中を
磁力で浮遊し、攻撃をかわすだけ。魔神という極限の
例外には、学校教育のレベルの天才の自分では
到底手の届かない神の領域。その中では私の才能も
能力もないにも等しい。

だが・・・逃走中たまたま冷凍倉庫で発見した、それが私の運命を変えてしまう。
ためらいはあった。本能的には危険性は理解できた。
が愛する当麻の喪失の危機。私は禁断の兵器に手を染める。

私はかろうじて当麻を取り戻した。そして新たな力を得た。
閉塞はさり、新たな天地が見えた。限界など知らない。
その高揚感は私に新たな力を与えた。
私は心のどこかで気が付いていた。
このままいくら能力開発を続けようとも、世界の頂点には立てないと。

頂点近くに達し、学校教育では輝かしい秀才
だからわかる、わかるのだ、自分には才能がない。
いくら頑張っても頂点には立てない。

上条当麻の幻想殺し、一方通行の圧倒的なパワー
才能がない自分にはそれに対抗する力がない。才能がない。
はっきりわかっていたんだ。そんなことは。

それでも、まああの魔神がくるまでは、まだなんとかなったんだ。
天賦の才能のなさを手数と技の精度でカバーはできた。

だが、僧正に言われた「足でまとい」。
上条当麻に気が付かされた、「自分は守られる対象」。

だが・・私はあきらめきれない。そんなことなどできるはずがない。
私は上条当麻を愛している。
敵の多い彼と共に戦いたい。だけど今のままでは、戦力にならない。
戦場では周回遅れの足手まとい。

だが・・・A.A.Aがすべてを変えた。それは力のない
自分に桁外れの力を与える。
むろん全部は利用できない。最高ランクの
電子制御能力者でも全く歯が立たない空白部分
のあるOS。だけど、解読できた部分だけでも、戦術核に
匹敵する火力。

その日からすべてが変わった。
私は変わる。変わってやる。この手にしたA.A.Aを武器に、必ず
当麻と同じ土俵に
立ってやる。

さあ 行動開始よ 御坂美琴。

 ・・・・・・・・

それまで一匹オオカミとか、孤高のレベル5とか、いろいろ伝説だった私。


成績と能力だけは名門常盤台のトップ。

だが、風紀委員や生徒会、その他の委員会活動やクラブ活動など、
また常盤台ではそれらと匹敵する活動である、「派閥」など
一切の公的活動をしないボッチとさえ呼ばれた私が、
提出した、たった1枚の書類は、生徒は200名しかいない、だが
学園都市では屈指の実力校を揺るがした。

正式名称は、新規クラブ活動開始申請書。

私は、「脳波制御型医療機器開発部」という医療機器メーカの
事業部のようなクラブ活動の申請書を提出した。

登校前に私からクラブ活動開始を聞いた黒子と婚后さんは、賛同者を募り、1時間も
しないうちに20名ほどの賛同者を得た。

賛同者の中には校長の親族もいて、驚くことに、私が申請書を提出する前に学校長
から面会の連絡があった。

添付ファイルの、昨晩徹夜でCADソフトで書き上げた設計図と1000GBのOS。
難関大学の大学院生でも作図に1年はかかるような詳細図面と仕様書は、学校当局者
の度肝を抜いたのだろうか、学校長は、私の手を握りセクハラ一歩手前の勢いで
抱擁をはじめた。常盤台でも、屈指の学業成績とレベルを誇る私。

だがその素行は才能と比べ、芳しいとは言えない面があった。クラブや委員会、
派閥などの社会活動をせず、それだけならまだしもスキルアウト狩りや、度重なる門限破り。
本来なら謹慎処分や停学さえ勧告しなければいけない数々の非行。

そんな私が、書類上はまともな部活動をするという話がどれだけ学校幹部を
喜ばしたことか。

1学生の海のものとも山のものともわからない活動に破格の資金援助が認められた。
書類は校長が私の目のまえでサインし、正式な拠点があてがわれるまで
災害備蓄用食料を保存する予定の体育館ほどの倉庫があてがわれた。

いくら常盤台でもただの生徒ではこんな待遇は得られないだろう。
常盤台の看板だからこそ得られた最高の待遇。

私は生まれて初めて、「権力」という魔力にとりつかれる。
才能のないものは、自分ひとりでは生きていけない。
群れて、外敵に立ち向かう。

当たり前じゃないか、私はそんな幻想をぶち殺すなんていえば
彗星さえぶっ飛ばせる
世界の頂点じゃないんだからさ。
所詮は学校教育の枠内の天才なんだからさ・・
だから学校教育制度を使って極限まで力を蓄えるだけよ。

それに・・アイツは学校教育では底辺なんだからさ・・
自分の得意分野を伸ばすだけよ。
学校教育の頂点の力と、科学技術の成果をフルに使って
アイツを見返してやる。
追いつき、追い越してやる。

////////////////

私の機械工学系の才能とやる気に目がくらんだ学校側の
配慮を利用し、私はさっそく部活動を始める。基本、直情な
私は我慢ができない。動いていないと落ち着かない。
昨日の晩はCAD図面を書きながら、パーツリストを作成していた。

基本はあそこにおいてあった部品を拝借したが、自分なりの
最適化を加え、利用できる範囲で再配置と自分用の改良を加える。
空白部分の解読は、自分の言語学の知識では
歯が立たないので、そのうちこの分野では
学校一の天才の食蜂か、アイツのそばの
謎の少女の力を借りるか?

ボッチを卒業した私、プライド?矜持?
そんなのものはどうでもいい。アイツを追いこすためならなんでもやる。
その衝動が心の壁をぶち壊す。だが・・・まだ今はいい。

それよりあの謎兵器をまずはわかる範囲で使いこなすことが大事だ。

あの謎の機械を放置していた倉庫にあった工作機械を、学校へ運び、整備
体制を整える。
午後3時には、ひととおり作業を終え、シャワーを浴びる。


いまさらながら、電子制御や磁力操作ができる自分の能力に感謝する。
複雑な図面もOSもいくらでも自分で組めるんだから。

アイツには、こんな兵器の図面なんかかけないだろう?
アイツには、こんな兵器を運用できないだろう?
僧正以来打ちひしがれたいた私の心に、希望が広がり始める。
私は、レベル5になる直前の高揚感を思いだし、走り始める。

もうあの機器の危険性も、忘れていた。
///////////////////

授業が終わり、部員達が集まってきた。誰もが、異形な兵器を見て目を見張る。
だが、20人ほどの部員は、きらきらとした目で私を見つめる。

もともと、派閥活動をしていない自分だったが、潜在的にはいつも最大派閥の主、女王食蜂に
匹敵する存在とは思われていた。常盤台では無派閥とはすなわち御坂美琴派だとさえいわれるほどには。

その私がどんな形であれ、部活という名称であれ、対外活動を始めたことは、たちまち
常盤台や学び舎の園のパワーバランスを大きく変えた。
常盤台や実質常盤台が主導する学び舎の園の住民にとって無視しえない常盤台の派閥抗争。
その中で食蜂に唯一匹敵する私が、投げた石は激震になって伝わっていた。

そして、・・・アイツも気になったのだろう。食蜂本人までやってきた。
それも、いつもようにぞろぞろ大名行列もなくたった一人で。
私は、パーツリストを読みながら、敢えて無視を決め込む。

「御坂さん」
「・・・・・」
私は反応を見るために無視を続ける。
そしてそろそろリモコンかと目算する。
「無視力はよくないだぞオ」
「忙しいから後にして」
「私がここに来た理由はわかるわよね」
「常盤台の派閥なんか関心ないわよ」

「詭弁力満載なセリフね」
「ただの部活よ」
「何よ関心ないとか言っていたくせに、20名も集めてどうするのよ
 それに高レベルの武闘派ばかり」
「別に自分で集めたわけじゃないわよ、全員志願よ」
(だから問題なのよ。御坂さんは自分の力に、その集客力に余りに無頓着すぎるわ)

まったく私の苦労はなんなのよ。
食蜂はおもろしくない。築き上げた常盤台の自分の王国がこんなにあっさり転覆されそうな
ことに恐れをいだく。

御坂美琴は、天敵なのよね。能力はまったく利かない上に、その
圧倒的な戦闘力は、単体ではどうもならないし・・もちろん派閥をかき集めればなんとかなるけど、御坂さんが本気を出せば、相打ちに持ち込むのが精一杯だわ。

でも御坂さんてボッチ力しかない、しかも脳筋力満載だったはず。陰謀とか
できないまっすぐな性格で、フットワークのよさを信条だったはず。
だから自分の領域には手を出さないと思っていた。
いくら彼女に能力があろうとも所詮はボッチ、そう思っていた。

だが。。。彼女は、無意識に、自然になんの努力もせず、
一声かけただけなのに
常盤台の風景は変わった。変わってしまった。
それに、
(なんなのよ・・この兵器は?・・戦争でも始める気?)

(なるほど食蜂は私が派閥活動をはじめてこの兵器をかき集めてきた
 ことをけん制するのね)
「食蜂、差しで話したいけどいい?」
「ええ」
私を食蜂を、倉庫の隅の階段を下り、地下室へ誘導する。
食蜂がおもむろに口を開く。

「御坂さん、もうひとつ聞いていい?」
「ええ」
「何をしたいの?」
「アンタに隠してもしょうがないわね。これは兵器よ」
「そ・・でも表向きは医療機器の開発では?」
「食蜂・・建前は大事よ。だから医療機器の開発という名目にしたわ


でもね・・気がつかない?あの異形の生物達?」
「え?これは」
「昼間の監視カメラの映像よ」
「何かとんでもないことが起きている気がする。しかも、前後して気温があがり始めている」

「食蜂が私の豹変についていぶかしく思うのはわかる。
 でも、あの僧正の襲来からこの街の何かが狂い始めた。それに・・
 木原唯一という著名な学者が、何かを企んでいる。上条当麻は彼女に殺されかけた。」
「木原唯一が上条当麻を?」
「ええ、だから常盤台の看板を背負う者同士、手を組みましょう。私だけでは到底
 太刀打ちできそうもない。だから力を貸して」
私は何を考えたのだろうか。あれだけ敵対していたはずなのに、だが・・
異常事態は意識をも変える。

「御坂さん・・いいの?」
「アンタには中でがっちり常盤台の子を守ってほしいのよ。これはしゃれにならない
 危機になる。常盤台の女王の力見せてほしいわ」
「御坂さんは?」
「あの異形の生物をこの兵器で撃破する。そしてサンプルを採取する。後は
 走りながら考えるわ」
「らしくないわね。」
「力のあるものには責任がある。私の力なんて上条当麻や
一方通行に比べればささやかなもの
 だけど、この学び舎の園では私の力が必要とされている。
だから・・私にはこの子たちの
 安全を確保する重い責任があるわ」
 私は食蜂の手を握る。
「これは、戦いなのよ。生きるか死ぬかのね。私は目的に為には、
 気に入らないアンタだって手を組むわよ」

あの普段はおどけた食蜂が、らしくもなくまじめな顔で私を見る。
その瞬間から、2人の学び舎の園を守る戦いが始まった。



続く










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