とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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第3部 第01話 第一章(1)


8月31日(月) 午前5時

日中の残暑は厳しいが、朝は涼しささえ感じる。
今日も暑くなりそうだが、鰯雲やら澄んだ青空に確実に秋の訪れを感じる。

私は、朝焼けの街路をのんびりと散歩する。
エンゲージリングを指につけ、婚約を実感として満喫する。
婚約か・・。盛大に式まであげ実質的に夫婦の日々が今日から始まる。

それにしても・・。
私の婚約はいったい何人不幸にしたんだろう。
あの普段はおどけた食蜂の恨みがましい視線、とある高校の女子生徒たちの
悔しそうな視線。あの鈍感な、自称不幸な男はどれだけ不幸な少女たちの
心の支えだったのだろうか。胸が痛む。

だけど、いやだからこそ私は幸福にならなければと思う。
さて・・そのためには解決すべき問題をひとつひとつ解決するだけだ。
(世界の基準点)幻想殺しと(科学の頂点)超荷電粒子砲の婚約なんだからさ・・
問題は山積し、解決は困難だろう。だけど・・やれないことはない。

さて・・そろそろ戻るか。
土・日は多忙で確認していない商売の結果(NY ダウ先物)
も見なきゃないし。

私はPCで自分のファンドの損益状況を眺めにんまりする。
合衆国クーデタ未遂で、半値以下に暴落したNYダウがほぼ暴落前に
回復し、底値で投入した資金が数倍に膨らんだことを確認する。
先物でレバを利かせているので、2倍が数倍に膨らむのだ。

はっきり言えばインサイダー取引だが、タックスヘイブンをからませ、中国の
人民解放軍やロシアの闇資金を介在させているので全容は私と食蜂以外知らない。
私は、頭の中で再確認する。まだアイツには知らせるわけにはいかないわね。
アレイスターをぶちのめすその日まではさ。

でもいずれ全部をアイツへ差し出そうと思う。
結婚するその日には。


さてそろそろ食事の時間だ。
当麻の手のこんだおいしい朝食。でも・・もう明日からは私が作ることにしよう。
当麻は学校なんだからさ。学業へ専念してもらわないと困る。

「当麻おはよう」
「美琴、散歩はどうだった」
「気持ちよかったわね。だいぶ涼しくなったわ。もう初秋ね」
「俺も明日から散歩するよ」
「え?できる。」
「美琴ともっと一緒にいたいんだよ」
「へへ・・うれしいわね。」

私は、当麻が作ってくれた朝食を味わいながら、当麻の機嫌を確認する。
当麻は、以外に気分屋で、頑固でタイミングを間違うとろくな結果にならないのは
付き合いは長くはないが、わかっているので、話を切り出す時は、キッチと顔色
を確認してからしゃべることとする。

「当麻・・明日から当麻は学校で忙しいでしょ。朝は私が作ってあげるわよ」
「え?いや悪いよ。美琴だって仕事あるじゃないか。」
「夫婦は対等よ。だから家事も均等。お試し期間だと思って、私にやらせてくれない?」

「でもな・・稼ぎは美琴、家も美琴の家じゃな」
「男の沽券にかかわる・・か。でもね。当麻の仕事は今は学校だと思うわ。
  だから一緒に家事くらいやらさせてくれない?」
「断ってもやる気なんだろう」
「わかってくれる。・・じゃ明日からね」

「じゃ・・最初は一緒にな」
「ありがと」
「で今日はどうする」
「そうね。明日から当麻学校だし、午前中どこか行く?」
「いいね。8時からか?」

「ええ。それでね・・当麻には試作車に乗ってもらおうかな・・」
「試作車?」
「ええ。学園都市が製作中の完全自動走行車プロトタイプACV2号よ」

「完全自動走行車?」
「ええ運転手のいらない、AI制御のね」
「すごいじゃない・・」
「まあお試しよ、気軽にしましょ。まずは大きく考え、小さく始め、すばやく学習するわよ」

 ・・・・・・・・・

8月31日(月) 午前8時
美琴のマンションのエントランス前

「当麻 どう?」
「え?ただのプリウスじゃない?」
「みかけはね。でもよく見て」

「なるほど運転者がいないと?」
「オートモードで研究所から走行させたのよ」
「免許とか道路交通法はどうなるんだ?」
「特例措置よ。統括理事会の許可は得ているわ。賠償責任は開発者である私が負うけどね」

「へえ勝手にドア開くんだ。」
「私の脳波を検知し、開くわよ。カギは不要ね。私の脳波以外では感知しないから」

「はあ・・すごいね」
「じゃ乗ろう」
私と当麻は後部座席に座る。
「まあ乗り心地はふつうよ。プリウスにセンサーとAIを搭載しただけだから」

車自体は排気量1.5LのPHVのプリウスなので、ある意味ふつうの小型車。

「まあ確かにふつうだな」
当麻は私の太ももに手をのせる。もう何度も一緒に寝たのに、当麻は
過剰なほどのスキンシップを求める。
「くすぐったいわね」
「へえ。いや・・美琴の太ももははりがあるからさ」
「へへ・・まあいいわ。車っていうのはある意味密室だからね」
当麻は、スカートの中へさらに手を伸ばす。
私は変な気分なる。
「ちょ。。当麻まだ朝なんだからさ・・」

私は気を取り直し、声で指示を出す。
「空港、貯水池、窓のないビル、そしてリアルゲコ太の病院から、最後へ自宅、そこで当麻を下して」
AIのモニターは私の音声を正確に認識し、カーナビの画面に通行ルートを表示し、
私は口でアクセプトと言う。

「へ・・・音声を識別するのか」
「あらかじめ登録した声紋と一致しないと反応しないわ」
「へえ・・・・」
「だから盗難防止機能も完璧よ」

「はあ・・」
AI搭載完全自動走行車は、私と当麻を乗せ、残暑厳しい学園都市を交通法規を順守して
走り始める。渋滞もなくスムーズな走りだ。基本学生の街学園都市ではめったに渋滞など
発生しない。

当麻は私の体を密着させる。
「当麻、ほどほどにして・・」
いまひとつ素直になれない私は心と裏腹に、当麻をけん制する。
だけど・・まあいいか どうせ婚約したんだし。

「いいじゃない・・」
「誰かに見られるとまずいわ」
「心にもないことを」
すっかり私の弱点を把握した当麻は、的確に私を責める。

「当麻・・気持ち良すぎて変になりそうだわ」
「美琴・・焦らすからだぞ。」
不思議なものだ。たわいもない会話だが、寝室で毎晩交わしているのに
車中という変わったシチュエーションのせいか、いつも以上に興奮する。

車は都市高速のゲートをくぐり高速道路を順調へ空港へ向かう。
「ああ・・気持ちいいわ。当麻ずるいわよ。」
私も負けずに、当麻のズボンを下げようとするが、当麻がさりげなく躱す。
「美琴は仕事中だろう。ダメだよ」
「いじわる・・」
(でも・・楽しいな・・)
だが、お楽しみは無粋なスマホの着信音で中断される。
「当麻・・悪い 仕事の連絡みたい」
「ああ・・」
私は発信者を見てギョとする。
(アレイスター?なんなのこのタイミングで)
「もしもし、御坂ですが」
「はい・・わかりました。ええ・・では」
「誰?」
「統括理事長よ」
「はあ?」
「当麻、悪い私、窓のないビルへ行くから、このまま車に乗っていて、自宅まで
 勝手に運転してくれるから」
「ええ?」
「大丈夫よ。コースの変更はしたから」
「じゃ・・」
私は窓のないビルへテレポートする。
統括理事長アレイスターはとんでもない提案を私にした。
彼の提案は私の想像もしない、ある意味狡猾な・・私は大人というものすごみを
知らされる。

私は、仕事を終え20時に自宅へ帰った。

「当麻、ただいま」
私の顔色があまりよくないか、当麻が心配そうに私の顔色を窺う。
「美琴、心配したぞ」
「心配してくれてありがとう」
「で・・アレイスターはどうだった?」
「まあ大した話ではないわ。でも・・人の仕事を増やしてくれたわね」
「で、どんな話だったんだ」
「私を風紀委員(ジャッジメント)にしてくれるんだってさ」
「美琴が風紀委員?」
「ただの委員じゃないわ。副委員長兼組織犯罪対策特別部長だとさ」
「へえ?」
「ようは、スキルアウト排除及び暗部の整理統合よ」
「それは//」
「汚れ仕事よ。しかも「法律の枠内」でスキルアウトや不要な暗部を処理しなきゃない」
「は?」
「ようは私が大人(アレイスター)を批判するなら、大人の苦労をお前も知れという話よ」

「とんでもないいいががりだな」
「でもさ・・当麻の関心ない?」
「いや・・俺はジャジメントは・・」
「まあ・・私も正義の味方というヤツにあこがれのあったほうだから、受けることに
 したのよ、アレイスターの提案をさ・」

当麻は自分は関心なさそうな顔をする。
不幸な美少女は無条件で助けるくせに、公的な、義務的な奉仕活動は面倒くさがる上条
当麻は、私の矛先を変えるように話をそらす。
(だけど、ニンジンが、特大のニンジンを前に彼の心がどこまで耐えれるか見ものだわ。)

「美琴は・・ある意味単純だな」
「ふふ・・アンタは変わらないわね。私は明日から風紀副委員長なのよ。少しは
 口の聞き方を考えたほうがいいわよ」

「いや・・まさか」

「当麻・・月詠先生がね・・言っていたのよ。このままの成績が続くとまともな大学へ進学で きそうもないと言うのよ」
「はあ?それは・・」
「で・・当麻が風紀委員になれば、内申点を相当かさ上げしてくれるそうよ。それに能力開発 の授業も免除、なおかつ奨学金が今の倍になるわよ」

「ほ・・本当か?」
「当麻・・これはチャンスよ。嫌な能力開発はしなくてもいい、待遇はよくなる、名門校へ進学できる。成績もよくなるわ。もう当麻は不幸卒業よ。」

当麻の顔色が変わる。頭の中で損得の計算を始めたようだ。

(よし・釣った。あとは釣り上げるだけよ)
私は、決め台詞を言う。これで釣れるはずだ。
「それに・・当麻は私と一緒に仕事できるのよ。試しにやってみない? 
不幸なスキルアウトを助けるのも、
それに・・暗部て結構美少女ぞろいよ。不幸な美少女を一緒に助けない?」

「え・・そうか、美琴と一緒ならいいかな」
「ありがとう。助かるわ。」

私はごそごそ鞄から誓約書や契約書を出す。
「ちょっといっぱいあるけど、いい?この書類にサインだけして」
「あ・・ああ」
(コイツ、絶対消費者詐欺に会うタイプだわ・・全然文書を読みはしない。心配だわ)
私は書類を回収し、サインもれがないか確認する。
私は、鞄から任命書を出す。
「ありがとう。当麻 じゃ・・これあげるわ」

「上条当麻 とある高校 1年7組 風紀委員会本部組織犯罪対策特別部長付委員に
 任ずる。風紀委員会委員長代読 副委員長御坂美琴」

「え?」
「実際は私が任命状を書けば誰でも風紀委員にできるのよ」
「ええ・・お前・・」
「じゃなきゃうけないわよ。人事権がない役職は無意味だわ」

「お前・・」
「まあいいじゃないの。約束でしょ。当麻私に力を貸すんでしょ」
「え・・ああ」
「1月以内にスキルアウトと暗部を処分しろだとさ。しかも遺恨を残さず
 殺さずにね」
「はあ?」
「しかも、法律の枠内でね。さあどうする?上条当麻」
「それは・・」
「まあそれは私の仕事だから。じゃ・・当麻明日からよろしくね。」
「当麻 まあいいでしょ。走りながら考えればさ・・今日は途中で中断させられからさ
いい?」
当麻は少し険しい顔をしていたが、私の意図を悟ったのか、表情をやわらげ柔和な
表情へ変わる。
「無粋なアレイスターへ邪魔されたからな、美琴じゃ・・いいか?」
「ええ・・明日から忙しくなるわ。だから甘えさせて」
「ああ・・じゃ」
私は当麻の手をとって浴室へ向かい、いつもように、いつもの儀式を始めた。

9月1日(火) 午前6時
私は、当麻と一緒に朝食を作っている。ちゃんと5時から30分の散歩をして、シャワーを
5分で浴び、着替えを完了してから作業を始める。

前の日にある程度、下準備をし作業の合理化を図っている。
「美琴全然手際いいじゃない」
「まあ・・最低限はできるわよ。家庭科でやっていたし」
「まあ美琴のふつう・とか下手は信用できねえなあ 結局」
「え。。そう?まあありがとう。じゃ盛り付けするわ」
私は、給食で使うようなプレートに盛り付けをする。
本当はもう少し色気のある盛り付けをしたいが朝は時間がない。
私は妥協の産物で食器を減らす。

「共稼ぎだからちょっと配膳は合理化させてもらったわ」
「ああ・・でも美琴はなんでもできるんだな」
「ふふ・・ありがとう。でもごめんね手抜きして」
「いやいいよ。俺の夏休み前のメニューより全然丁寧だ。ちゃんと栄養バランスも考えて
 いるし」
サケと、卵焼きをごはんと同じプレートにのせて盛り付けする。
小さく小松菜と、数の子を小分けして色合いを少しだけ綺麗にする。
味噌汁だけは食器を分け、昨日に準備したねぎと絹ごし豆腐の簡単だが、味わいのある
朝食を配膳する。
「おいしい?」
「うまいじゃん。まったく・・下手ね。俺より全然いいじゃない」
「よかった。お代わりならまだあるわよ。そんなにがっつかなくてもいいわ」

「しかしごはんのあんばいがうまいな。いつもとおんなじ米か?」

「ええ、水の配合割合を最適化しただけよ。今はお米が全部古米みたいな時期だから水の量を
 多少増やしたほうがいいいのよ」

「まったく・・・また美琴にはだまされた。何が食事は下手だよ。でもありがとうな」
「お粗末様でした。でもありがとうね。ほめてくれて」
私は食器を回収し、さっさと食器洗浄機へ入れる。

「さすがだな。食事うまいじゃん」
「恥ずかしいわね・・当麻ほめすぎよ。でもうれしいわよ。」

「さあ そろそろ準備して」
「ああ、でもさ・・昨晩のうちにちゃんと準備したよ」
「へえ・・いや当麻変わったじゃない」
「いやこうゆうとこは美琴を見習ってさ、朝あわてないようにね」

私は当麻に念を押す。素で忘れられると困るし。風紀委員の件を念を押す。
「当麻えらいわね、それと今日からジャッジメントの件よろしくね」
「16時ね。わかった校門で待てばいいんだな」
「まあ初日だから研修だとおもって」
「研修?いきなりスキルアウトの大物を排除するんだろう?」
「まあね。でも仕事するのは、別人よ、当麻は最後の締めだけでいいわ」

「でも・・」
「役に立ちたい気持ちはわかるけど能力者じゃないからね、駒場容疑者は」
「相性か。。」
「そう。当麻は銃器には強いとは言えないからね まあお膳建てはするから、ピクニック気分 でいいわよ。最初だし」
「わかった。」
「じゃ・・勉強がんばってね」
「ああ」

「じゃ そろそろ出ようか 7時30分だし」
「美琴も出るのか?」
「ええ、今日から仕事は8時30分から15時30分までにシフトチェンジよ 16時から
 風紀委員会組織犯罪対策特別部長をボランティアでしなきゃないし。」
「多忙だな」
「当麻だって、学校と風紀委員の2足の草鞋だから一緒じゃない」

「どのくらいで終わる?」
「2時間で終わると思うけど、抵抗しだいね」
「そうか」
「さっさと終わらせよう。ね。」

「ああ・・、わかった」
「じゃ行こう」
「ああ」
「手をつないで一緒にね」
「でもたった3分だけどな」
「贅沢いわないの。遅刻のリスクがないだけいいでしょ」
「まあな。じゃ」
私は当麻を手をつなぎ、当麻の学校へ向かう。
スキルアウトと暗部の整理という面倒くさい仕事を押し付けられたが、まあ
こうやって当麻と風紀委員ができるからいいかと前向きに切り替える。

「まるで夫婦みたいね」
「え?もう夫婦だろう。まあまだエンゲージだけどさ」

「エンゲージリング恥ずかしくない?」
「いまさらだな。もう婚約式で周知だしな・・」
「もうついたわね、じゃね」
私は手をふって当麻を見送る。
さあ・・忙しくなるわね。
何があっても、一緒よ地獄の底までついていくわ。
ごみ掃除でも、大事な仕事だからさ。。

続く











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