とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part001

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匿名ユーザー

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クリスマスの奇跡




12月19日 (月)

12月上旬に、木原唯一と無数のエレメントにより壊滅させられた常盤台は
昨日18日に無事復旧を終えることができた。

学校法人常盤台学園理事会には食蜂が根回しを行い、設計、施工は私御坂美琴の
分担で、大手ゼネコンの見積もりでは最低3月はかかるはずの復旧工事を実質
1週間で、終える事ができた。

私と食蜂は、この襲撃が、あのいまいましい、木原唯一の犯行である動かぬ証拠を集め、アンチスキルに告訴し、最終的に統括理事会が使用人である木原唯一への使用者責任を認め
常盤台学園の損害数千億円を100%負担することとなった。

私がAAAの技術を応用し、建設工事用に組み上げた土木用駆動鎧は通常の10倍以上の速さで工事を進め、常盤台中の生徒ほぼ総出で再建に取り組んだ成果が私の目の前に
現れる。

(本当・・夢みたいね)

あの惨状が嘘のように、荘厳な校舎が朝日に輝く。

疲労は蓄積しているが、一仕事を終えた爽快感に包まれ、校門へ向かう。

そこへ同じく昨日再建が完了した、内部寮から同級生達が吐き出され、私に挨拶
をかわしてくる。前は一匹オオカミとか言われた私だが、エレメント騒動以来
常に先頭に立って陣頭指揮をしたこともあるのだろう、ぐっと距離が近くなった。

(仲間、かな。やっと私もここの輪の中に交わった気がするわ)

その中に食蜂を見つけた時も、不思議と心が安らいだ。
その脂肪の塊も、能力も、ぞろぞろ大名行列のように、派閥メンバーを引き連れて
歩く姿も、全部が嫌だった。だが、非常事態はすべてを変えた。

学校崩壊の非常事態、お互い手を組みなんとか、今日を迎える事が出来たその事実が、今まで感じたこともない、女の友情を感じるほどの関係を構築したかもしれない。

それに、お互いが、お互いの力を認識したのも事実

短期間の再建と、木原唯一の犯罪の摘発は2人の協力なくしてあり得なかった。
電子情報と機械に対して無双な私と、人間に無双な2人の天才(レベル5)の協力
が不可能を可能にさせ、きわめて早期での復興を可能にした。

その事実が、・・・2人が友達と言えるほどの距離感へ近づけた。

「食蜂 おはよう」
「御坂さん、おはよう」
「なんか、こんな普通に挨拶できる関係になるなんてね」
「そうね・・まさか・・私と御坂さんがねえ」
食蜂が少し表情を変える。
「御坂さん、あれどうするの?」
「?」
「いやだあ、呆け力はいいわよ・・AAAの事よ」

「ああ、・・まだ使うわよ」
「正気?御坂さん・・、副作用力は分かっているわよね」
「分かっているわよ。でも・・これを手放すことはできないわ」
「え?」
「きっとAAAがアイツの役に立つ日が来る」

食蜂が呆れはてた顔で私を見つめる、

「でも・御坂さんは1回死にかけたわよね」

私は、「魔術」に触れ、当麻におぶられ意識を失ったあの日を思い出す。
当麻と学園都市を救うために命を投げ出したことを。

「そうね、リスクは否定できない、だけどこれが、絶対アイツの役に立つ」
食蜂は、顔に笑みを浮かべ、上条当麻に惚れ切った私を眩しい目で見つめる。

「御坂さんは頑固ね、でも・・私にはその強さが羨ましいわ」

私は、自分の非力さと、足らざるを自覚させた恩人の顔を思い浮かべる。

食蜂の手を握り、決然と答える。
「私は、常盤台のあの子達も、上条当麻も何があっても守るわ」
「どんな犠牲を払ってもね」

 ・・・・・・・・・・

午前中、講堂で校舎再建記念集会が行われ、私と食蜂が
全校生徒と教職員の満場一致で
表彰された。以前の私なら辞退するような話だが、自分
とともにAAA運用に協力し、常盤台防衛に立ち上り、あの
絶望的な状況でなんとかエレメントを追っ払い、傷ついた仲間を
病院へ搬送し、さらに再建工事に尽力した仲間のために、表彰を受ける。

以前は、自分ひとりで強敵に立ち向かえばいい。そう思っていた。

学園都市の中では、間違いなく、成功した自分。学校教育の
中では、明らかな優等生。
それは、常盤台でも同じ、この学園都市で最上層である
この学校でも「御坂様」である
事には変わらない。

だけど・・それだけじゃ レベル5なんかじゃ全然足りない

上条当麻の対峙する敵のステージは突出して、自分の
超電磁砲では通用しない。
それが、現実。見たくもない不都合な真実。

そんな荒み切った心理状態でつかみ取ったAAA・
それだろう。自分は変わった。AAAを運営する部活を立ち
上げ、学校の協力で整備場
を立ち上げた。

代償は小さくはなかった。木原唯一に敵対し、常盤台は壊滅した。だけど・・

AAAのおかげで救えた命もあったことも事実。
何より、2度もあの上条当麻を救出し、なおかつ、木原唯一にある
程度対抗しえる力を
手にした。それは事実なのだから。

だから・・副作用はあっても私はAAAを使い続ける。上条当麻を
追いかけるために

 ・・・・・・・・・

授業は午前で終わり、久々に上条当麻の学校へ行く。

ここしばらく常盤台再建に全精力を傾けたせいもあり、もう10日も
会っていない。
前の携帯番号へ電話したが、一度もつながらない。

私は、事前に、崩壊したとある高校の生徒たちの避難先を確認し、初春
さんに調べてもらった、当麻の避難先の総合学校へ向かう。

私は、微笑みを浮かべながら、脳裏にアイツの姿を思い浮かべる。

「はあ、何を言えばいいかな」
(そんなことはもうわかりきっている)

「当麻の前で冷静でいられるかな」
(なにをかまととぶっている)

「ツンツンしないなんてできるかな」
(もうそんな無駄なことは言わない)

以前は聞こえなかった、冷静なもう一人の自分が、さっさと行動しろという。

自分の限界を知り、学園都市の異常さ知り、生死をさまよった
自分が、今一つ素直になれない自分に突っ込みをやめない。

単純な話、上条当麻を慕う人間は数えきれない。その一人が告白を
成功させれば、もう
自分には上条当麻を愛することはできない。

「ALL IS FAIR IN LOVE AND WARよね」
「恋愛は勝者は一人、あとはすべて敗者」
「もういつ死ぬかさえ、定かではない身、もう先延ばしはしない」
「それが、彼の慕うすべての女の子を不幸にしようとも、私は先へ進む」

私は、決意を固め上条当麻の元へ向かう。
(それが、どんな結果になろうとも、私は後悔しない)

 ・・・・・・・・・

「ここかあ・・随分大規模校ね・・」

私は、あらかじめ、ネットで申請した、来訪届を携帯情報端末の
画面で見せ、面会室で
待機する。

いまひとつ素直にならない自分は、あのバカと言いかける。
(まったくすぐにため口とツンがでる)
「なんなのよ・・この性格は」
私は溜息をつき、自分のツンな性格を呪う。
( あれだけ昨晩、予行練習したのに・・)

運命の人だと思っても、経験が邪魔して素直になれないなんて・・なんか
の歌詞か。

(ああ・・)
私は、何度も繰り返した、自分の性格分析を再試行する。

(結局・・臆病なだけよね、多分)

私と、アイツ・・上条当麻との関係は喧嘩友達から始まった。
気兼ねなく全力が出せるアイツに私は依存し、絶対能力者進化計画の
悪夢から右手一本で救われたあの日から、・・
はっきり意識はしないけど、愛していたんだ。

それをはっきり意識したのは10月以降だけど、・・・でも8月21日
のあの日から
私ははっきりアイツを運命の人だと意識し始めた。

それを、恋と認識できない幼い私は、偽デートとか、罰ゲームと称して
ラブコメのような三文芝居を、だらだらと続けていた。

私は、甘えていたかもしれない。この三文芝居をきっとアイツが
理解してくれる日がくる。

だけど・・、目の前の・・困っているだれかを助けることを
生きがいとするアイツに
とって私は、助けた一人にすぎない。その現実を私は受け入れることが
できていなかった。

最後に分かれた、あの日だって、アイツを救い、救われたあの日
だって、アイツは結局謎の女を同時に助けていた。
それも・・あの熱波を作り出した・・上里の取り巻きの一人
を。だから・・この膠着状態を打破するには私が一歩動くしかないのだ。

それにしても・・なぜかわからない、口で伝えれば、わずか2文字が伝えられない。
臆病な、見栄っ張りな、不器用な私は、自分のパーソナルリアリティを変容させる
ほどの溢れ出す、莫大な感情を伝えることができなかった。
(でもそんな臆病な自分も今日で卒業)
「だから、今日こそは、・・思いを伝える」

///////////////////////
(それにしても遅いわね)

待合室で待たされること、20分アイツはこない。

(それにしても変ね・・面会自体は今朝事務局へ通しているはず)
(やっぱり変だわ・・絶対変・・)

私は、事務室へ電話をかける。
「すいません、今朝面会を予約した常盤台中学の御坂美琴ですが、とある高校
1年7組の上条当麻さんが面会にこないのですが」

私の、必死さが通じたのか事務局の女性が気を回してくれる

本人の携帯で確認してくれるそうだ

「は。そうですか、では、上条の携帯に電話してみますので
少々お待ちください」

回線ごしに、発信音が聞こえる、どうやらアイツはでないようだ。
私は、アイツがまた何かに巻き込まれたことを悟る。

「すいません、上条は出ないですね・・」
「そうですか、」
「担任の先生には伝えておきますので、少々お待ちください」
「ありがとうございます」

(しょうがない、監視カメラのサーバーをハッキングするか)
私が待合室の監視カメラからサーバーへのハッキングを考え出
したころ、私の携帯へ別の電話がかかってくる。恐らくは、アイツの
担任だろう。私は当たりをつける

「常盤台の超電磁砲の御坂美琴さんですか?上条の担任の月詠です」
「はい御坂美琴ですが」
「実は上条ちゃんが行方不明になりました」
「え?」
(やはりそうか)

「驚かないでください、昼休みに忽然と消えました」
「そうですか・・ご連絡ありがとうございます」
「アンチスキルには通報しましたので、すぐに居場所は判明します」
(絶対にすぐにはみつからないわ)

「本当にありがとうございます」

私は電話を切り、頭を搔き揚げる。
(もう、悲しみに打ちひしがれる無力な少女は卒業よ)

「何があっても、どんな手段を使っても、たとえアイツが拒否しても
私がアイツを地獄の底から引っ張り出す」

 ・・・・・・・・・・・
私は、心を完全武装状態に切り替え、食蜂へ電話を入れる。

食蜂操折が、私と同様にアイツになみなみならない関心を持っていることは
知っていた。

だから、アイツのために食蜂にも動いてもらう・・
(恋愛と戦争は手段を選ばないのだからさ)

「食蜂、上条当麻がXX総合高校から拉致された」
「え?」
「時間がない、今は手を組みましょう」
「え?御坂さん、今なんて?」
「無駄口は後、手分けして、上条当麻を探しましょう」

「随分切羽つまっているのね?」
私は、すっと息を吐く
「なんとなく・・嫌な予感がする」
(まちがいないわ)
「御坂さんらしくないわね、そんな根拠のない話をするなんて」
(アンタもわかっているでしょ、変だってさ)

食蜂が電話ごしに苦笑いを伝える。
「まあいいわ、御坂さんの直観力を信じるわ」

「で、発見したら連絡すればいい?」
「ええ、それでいいわ」

私は、食蜂との通話を切り、意識を脳で感知した無線LANへ切り替える。
(さあ作戦開始よ)

(ちょっと前なら、見境なく、監視カメラを確認したんだろうな )
(でもそんなことは・・もうしない)

思った通り、市販品に毛の生えた程度のセキュリティで、洗いざらい調べることが
できた。この学校のサーバをハッキングして監視カメラのデータを、丸ごと入手して、
前にアクセス経路を確保したアンチスキルのサーバーの顔認証システムで上条当麻の
顔を検索する。

(まあ、発想の転換よね、どうせデジタルデータ、全部一遍に調べたほうがいい)
(あ・・こいつらね・・当麻が拘束したのは)
(あとは、解析ソフトにかけて、人工衛星のデータと照合すれば1時間くらいでわかる
でしょう)

「さあ御坂美琴行動開始よ、アイツを助けるわよ」

続く









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