とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

05章

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第五章 恐怖 THE_ABSOLUTE_FUTURE_A_GREAT_MISFORTUNE


「ぐ、ぐわあああああああああああああああああああ!!!!!!」
『それ』が暴れると突き抜ける風が目に食い込んで、まともに目を開けることすらままならない。視力は失われ、ゴゴゴゴゴと唸る風のせいで聴力すらも感覚を失いつつある。
「い、いやあああ!!!!」
ゴアアアアアアアアアァァァァァッァァァァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
美琴の悲痛な叫びが『それ』の雄叫びでかき消される。
「み、みさ……か……だぁ、はぁ……だぁ……だああああああああああああああああああ!!!!!」
しかしそれだけではない。『それ』が持つ鉄のように硬い手に上条の体は力強く握られ、左右上下と体をあちこち揺さぶられると、五感すべての感覚が麻痺してしまう。

――――――――――二度泣き叫ぶ風戦士-スクリーミング・ツウィンダー――――――――――――

それは能力者の名前ではない。学園都市が開発した最強のAI搭載型無差別殺戮マシーンの名。しかもそれには人間の心理状態が理解できるようにプログラムされている。つまり何をすれば、どれくらいの恐怖を与えることができるかわかる機械、と言うわけだ。
もし今気絶できたらどれだけ幸せだろう、と上条は思う。しかし風戦士は上条に意識を失わせるような慈悲深いことはしない。ギリギリ意識を保っていられるような絶妙な絶望を与え続け、上条のモラルをじわじわ破壊していく。
「だぁ……はぁはぁ……だぁ……こ……殺すなら……もう殺してくれ……もうこんなのは嫌だ……」
風戦士には恐怖を感知する能力はあるが人間の言葉は理解できる能力はない。逆にやめるどころか「ラストスパートだぜぇ…」とでもいいたげに上条に止めを刺しにかかる。
風戦士の手にいっそう力がこもった。
「ぐぁ!……はぁ……はぁ……は……は……あははは……、」
しかし上条は笑う。何か打開の策があるわけではない。これで、終わるんだ……、と安堵しているのだ。次に来る苦しみにさえ目を瞑ればこの苦しみから開放される。いや、風戦士は苦しみなんて与えないほどの刹那で自分の体を破壊するだろう。そう信じていた。だから風戦士の最後の一撃に何の抵抗も見せず、その攻撃を甘んじて受け入れようとしていた。
なのに。

ガタ……ガタ……ガタ……ガタ……

さっきまでのものすごいスピードが嘘のように、急に風戦士の動きがゆっくりとなる。極限状態で上条の動体視力が早くなったわけではない。

本当に風戦士の動きがゆっくりになったのだ。

上条はこの一連の動作の意味を理解した。

(な、なんで……なんでだよ!?そこまでする必要があるのか!?もう一思いに殺してくれ!!!)
一分に一ミリ、少しずつ心臓にナイフを突き刺すように、風戦士は上条が待ち望んだ死とは逆の殺し方を冷徹に実行する。
「いやだ……やめてくれ……そんなことをされたら、俺は……俺は!!」
ズオオオオオオオオオン!!!!!
無慈悲にも上条の願いは風戦士に踏み潰された。
「ぐあアアアアアアァァァァァアアアァアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」
今までで最大の衝撃が上条の体を襲う。皮膚をも切り裂くほどの烈風が上条の顔を醜く変形させ、

……上条の意識は、そこで落ちた。


2 18:00


真実。わたくし上条当麻はジェットコースターがものすごく苦手みたいだ。
人がほとんどいない(いるのは20歳~30歳くらいのカップルばっか。)すかすかの遊園地に来たはいいが、背の低い美栄が乗れるアトラクションは限られている。メリーゴーランド、コーヒーカップ、ゴーカート。この辺まではいいのだが、これ以外となると身長制限に引っかかってしまうため入場お断りとなってしまい、以下この三つを永遠と繰り返すことになってしまっていた。
だがハイになっている美琴はそんな生温いものでは満足できず、美栄に待ってるようお願いし、一度だけジェットコースターに乗ろうとしたのだが、どうもそのジェットコースター。カップルでしか乗れない代物らしく、そのため上条は美琴と一緒に乗ることになったのだが、記憶を失ってから初めて乗るそれはとんでもなく恐ろしかった。
まず第一。二度泣き叫ぶ風戦士-スクリーミング・ツウィンダー-とか名前がガチ。
そして第二。注意書きのところに『多分絶対安全なのでご安心してご来場ください』と記載されていた。多分絶対って何?食えんの?
第三。そのジェットコースターはAIを搭載しており、乗客の悲鳴や心拍数に反応し最も恐ろしい体感速度で苦詰めしてくるという優れもの。遅くなったと思ったら急に速くなり、その逆も然り。
第四。最高速度が300キロオーバー。作ったやつは頭がどうかしている。内臓がこんにちは~って飛び出しそうだった。
第五。全体的になんかガラス製。
最後。通常のジェットコースターはまず電動で一番高いところまで本体を持っていき、その後そこで得た位置エネルギーで以下動く仕組みなわけだが、科学技術が外と比べ20~30年進んでいる学園都市ともなると少しこった仕組みになっているらしい。位置エネルギー云々までは同じなのだが、ラストスパートになって速度が緩むころになると、別に用意された高所まで再び電動で上昇し、新たなエネルギーを得て、さぁ無限のかなたへ再び出発!となるクソッタレなシステムなのだ。同じコースを二周するのと何が違うのか問い詰めたい。
そんなこんなで上条はジェットコースターが終わった頃にはすっかり魂を抜き取られ「うだー……いくらなんでも今日はもう不幸なことないだろー……」と思った矢先、案内人に「はいこれ写真ですー」と渡され、ん?何だ?と見てみるとジェットコースターに乗っているときの自分のトンデモ顔が映っており、美琴に「何それ!くっくあははははは!こんな変顔見たことなーい!」と大笑いされ、散々なジェットコースターに終わったわけである。間違いなくトラウマ決定だ。
「……ふこうだあぁ……」
「アンタ、情けないわねー……まぁ確かにすこーし怖かったけどさー。それにしても……ふくくく……」
という美琴は味気ない地味な服に身を包んでいる。言ってしまえば上条が昨日貸したジャージに近い。それでも美琴は「これでいいのー」と満足していた。30分も悩んでいたやつの台詞とはとても思えない。
「……お前な……」
「アンタが変な顔するからいけないんでしょー!ぷははははは!」
さっき『美琴が怒っているところ、傷つくところ、泣いているところは見たくない。むしろいつも自分に見せてくれるような、笑っているところ、元気にはしゃぐところ、照れているところ、そんな表情の美琴を見ていたいと思う。』とか思った自分をぶっ飛ばしたい。そのまま泣かせておきゃ潮らしい美琴たん萌えーで終わりだったのになぁと上条は切に思う。
「パパ~!ママ~!どうだった?こわかった?」
素直に待っていた美栄(みえ)と感動の再開。美琴には美栄に見習っていただくべきところが山ほどあるような気がする。
「ん~まぁー怖かったけど、パパほどじゃないかな~」
美琴は上条を見ながら、にやにやとセクハラ上司のように笑う。
「お、お前にはひきめとか遠慮とかって言葉がねーのか!?一応年下だろ!?お嬢様だろ!?なんか思うところとかねーのかよ!?」
「あーないない~」
「……、」
即答。侍同士の戦いなら一瞬ピクッと動いたと思ったら刀はすでに鞘に納まってましたぐえー並みの早さだ。そして美琴は「つまらぬものを斬ってしまった」と言うように上条の気持ちは露知らず、さっさと次の話題へ進んでしまうのだった。
「ねー美栄?次どこいこっか?ママのこと待っててくれたからご褒美に何でも付き合っちゃうぞー!」
「え!?ほんとー!?じゃあねー、えぇっとねー、あれのりたい!!」
ピョンピョン跳ねている美栄が指差した場所にあったのは、きらきら光りながらゆっくりと回っているものだ。メリーゴーランドではなく、
「「観覧車?」」
「うん!!いちどのってみたかったんだ!!かわいいから!!」
「で、でもあれ最後に乗るのが普通なんだけど…、み、美栄まだ遊園地いたい?」
「えぇとね、あのね、もうあんまりいたくないかも……。コーヒーのやつでまわりすぎちゃってきもちわるいし…」
やはり、と上条は思った。美栄は遊園地に入ったときこそかなりハイテンションだったものの、身長制限で来場拒否されるたびに不機嫌そうな顔になり、極め付けにコーヒーカップを思いっきりぐるぐる回したせいで酔ってしまって、今に至っては「だーアツ……なんでこんな日に限って外回りなんだよ部長のやつー……」みたいな顔をしていた。
「じゃ、じゃああれ乗って今日は帰りましょうか。まだまだ時間はあるし、明日は動物園でも行く?」
「な……お、おい……」
さりげなく自分のスケジュールを勝手に組まれそうになったので、上条は慌てて美琴に抗議しようとする。
「んー?なにー?」
なんか予定あんのー?と美琴。確かに小萌から公欠を許可されたので、この3週間はぽっかりと空いていて予定は皆無だ。ヌーサレ―ゼを出てからというもの美琴は少し強引に上条を引っ張り回す。ジェットコースターだってそうだ。何かと理由をつけて上条の行動を制限しようとする。今からこう尻に敷かれていると将来大変なことになりそうな気がするねーと上条は思っているのだが、どこか引き目を感じ素直に美琴の言うことを聞き続けているのだ。
「……まぁ、別にいいけどよ」
「わーい!パパだいすきー!!」
というと美栄は上条に抱きつき胸やら腹やらあちこちに顔を埋める。美琴は一瞬微妙そうな顔をしたが、すぐに納得したような顔になり、勢いよく上条と美栄の手を掴んだ。
「ほ、ほら!さっさといくわよ!」
「どわっと!オイ御坂!急に引っ張るな!」
「パパ~!ママ~!はやいよ~!」
上条は座っていた体勢から急に引っ張られたので思わずこけそうになるがなんとか踏ん張って持ち直した。
……まぁ潮らしいのもいいがこういうのも悪くはねーな、と上条は思い直す。
甲高い美栄の声は空に響いて一瞬で消えた。遊園地特有の小うるさい音楽だけが三人の耳に残る。


3 18:45


「んー混んでんなー」
「そ、そうね……」
「アタシねむくなっちゃった……ふぁ」
さすがはカップルばっかの遊園地だ。確かに昼間までは常に目に入るくらいほんのわずかだが人がちらほらいた。それがどうだ。観覧車になった途端、どこから沸いて出たのか、かなりの人の列が並んでいた。正直それを見た瞬間上条は帰りたくなった。まぁ美栄のためそんなわけにもいかずしぶしぶ並ぶことになったのだが、それからもう一時間くらい上条たちは突っ立っている。
「なぁー帰らねーか?上条さんはもうへとへとなのですが?」
「やだ!ぜったいのりたい!!」
「そ、そうよ!ここまで来て何へたれたこと言ってんのよ!絶対乗るまで帰らないわよ!」
「だあーもういいじゃねーかよ。ほら今なら俺、コンビニで肉まん買ってあげますよ?フランクフルトもセットで」
「でもおやすいんでしょー?」
「……、あのな、美栄。そのネタは美栄が高校生くらいになるまで温存しておこうな。これ、パパと約束。」
「で、でも美栄のいう通りよ!だいたいコンビニの粗雑な食い物でお嬢様つれると思うな!今の私を動かしたかったら、フランス料理フルコースくらいは用意してきなさい!」
「………、と言うか何でそんなに乗りたいわけ?ただ高いところに行くだけのアトラクションじゃねーか」
「はぁ!?何言ってんのよこのタコ!というか本当にあと少しじゃない!ほらまた進むわよ!」
「…………、」
確かによく見れば、蛇のようにうねっている列の先頭のほうに自分たちはいた。あともう少しだろう。しかし立っているのも辛い上条としては、もう冷たい地面に座りたくなってしまうくらいダルかったが、さすがにそれはやめておいた。
結局、三人はカップルだらけのここでも何かと目立った。それは上条と美琴がずば抜けて若いと言うものもあるが、子連れというのが一番の原因である。
だぁー疲れたーもう帰りたいよー、と誰が子供かわからないような動きで上条が何度も頭を抱えていたら結構時間が経っていたらしく、
「お次のお客様どうぞ~!」
自分より10歳くらい年上のおねーさんがが上条たちを観覧車へ促した。学園都市にはわずかだが、能力欲しさに自分で学費を払って外からやってくるものもいる。この人もその一環だろう。
「はぁー、やっと休める……」
レディーファーストなんて言葉は疲れきった上条には全く思い浮かばなかった。我一番!と言わんばかりにいそいそと中に入りさっさと座る。美琴は「ア、アンタねー!」と吼えながら上条に続く。美栄は「わーカンランシャカンランシャ!」とはしゃぎながら美琴についていった。
そして観覧車はほかの恋人たちと同様に、上条たちにも等しく幸せな時間を配分する。


4 18:55


観覧車もいよいよ大詰め。あと少しで上条たちが一番上の番だ。まぁ別に一番上になったらパーンとかピロリンとか音が鳴ったりするわけではないが。とにかく上がっている限りは、大詰めだ!と言っていられるわけである。
美栄は最初から今までずっとはしゃぎっぱなし。上条もなんだかんだで、窓の外を見て楽しんでいる。しかし。
「きれー……」
「おお!あれ常盤台か?ってことは……多分あれが俺んちか……暗いな……」
「…………、」
「わーきらきらー……」
「あ!?もしかしてあれ小萌先生んちか!?ビニールなんかで屋根覆って……なに考えてんだ!?」
「……………、」
しかしあれだけ乗りたいとはしゃいでいた美琴は全く外を見ていなく、何か焦るように足元と上条を交互に見ている。いつかの恋人ごっこのときような『借りてきた猫』のようだ。そんな美琴を心配したのか美栄が美琴に声をかける。
「……?ママどうしたのー?ぜんぜんおそとみてないねー。もしかしておトイレ?だいじょーぶ?」
「ち、違うわよ美栄……。トイレじゃなくて、……その……」
「?」
「?」
美琴の挙動不審に上条も美栄も首をかしげる。最初上条もトイレか何かだと思い、気を遣ってそっとしておいたのだがそうじゃないとすると皆目見当もつかない。
それよりも上条は『トイレをガマンしているような仕草』で何かに耐える美琴を直視できなかった。
何というか、ものすごく色っぽいのだ。もじもじしながら顔を赤くし、まるで何か欲っしているような……、言ってしまえば淫婦のように見える美琴は危険な香りを狭い空間に漂わせていた。もし美栄がいなかったら…、と思うと上条はクソー!と思う反面、ドチクショー!と思う。
「お、お前……ほんとどうしたんだよ?なんていうかその……大丈夫か?顔も赤いし……」
「ママー?」
「………ぅん……、」
「??おーい御坂さん?何か言わないと上条さんもどう対処していいかわからないのですがー?」
「ママー?アタシがふつうのテレポートでおそとにだしてあげようか?すこしじかんかかるけど」
「………ぃぃ、」
「?」
「?」
再び頭の上に疑問マークを作る二人。「口も利けないくらい具合が悪いのか」と思ったら、美琴は一瞬チラッと外を見て「ああ!もうダメ!」と叫んだ。どうやら具合が悪いわけではないらしい。しかしずいぶん焦っているようだ。挙句美琴は足をトントンと足踏みし始める。
「い、一体なにがそんなにダメなんだ?」
「あ、いや……だ、だめ……とかじゃなく……てね……あの……おちついて……わらわないで……きいてね……?」
声は耳を傾けなければ聞こえないくらい小さい。
「ん?だからなんだって?腹でも壊したか?それとも酔っちまったか?」
「ち、違うわよ……そ、その……あ、あの……ね……わ、わたし……あれ……えぇと……わ、わた……」
「綿?……、うーん、……よく聞こえないからもう少し大きな声で言っていただけるとありがたいのです……が……?って……あ」
ここに来て上条の中に「もしかしたらコイツ、言えないような所がつっちゃったのかな?」と言う仮説が生まれた。確かにそう考えるとすべてつながる。ものすごい痛みなのだがちょっとアレな感じなところなので不本意にも赤くなってしまい、自分たちに何も告げられず激痛に懸命に耐えていたのだろう、と勝手に推測した。しかしわかった所で何をどうすればいいのだろう?放っておくか、やはり外に出してあげるべきか、上条は迷った。

だがそんな上条の心遣いはすべて無駄に終わる。

「わ、わたし……ね……ああ、あんたに……………き…………き……き、きすしてほしく……なっちゃった……なんて……あはは……」

「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………、はい?」

上条の時間が本気で止まった。美琴は言い終わって気が抜けたのか呼吸を荒くしている。美栄は「あ!そういえばチョコレートあるんだった!」とか言って呑気に傍観している。
「………………………………………………………………………………、」
「…………………………………………………………………………………、」
「……………………………………………………………、ダ、ダメ?」
「……………………………………………、」
「んー?どうしたのパパ?キスしないの?」
といってボリボリ板チョコらしいものを食べ始める美栄に少しイラッとする。いや本当に少しだけ。
「……美栄、ちょっと静かにしてて。すまん御坂。一応確認しとく。もし俺の耳に間違えがなければ『腹筋背筋300回ずつだボンクラ!』って言ったように聞こえたんだが……」
「ぜ、全然違うわよバカ!あぁ!も、もう頂上になっちゃう!ちょ、ちょっとア、アンタ顔貸しなさい!!」
そういうと美琴は云無を聞かず、上条の両頬をがしっと掴み、顔を赤らめ目を瞑った。上条は「うー!?」と間抜けな声をもらす。

――――――――――――そこに。

―――ひゅー……

どん!どーん!!!どん!!パチパチ……

右の窓の外に季節外れの大きな音がした。うお!?こ、今度は何だ!?と思った上条は美琴に顔を固定されているのでちらっと横目だけで外を見る。そこには赤、青、紫、黄など、虹が出す色に近い色を大きく迸らせ、最後は拡散して無数の小さな粒となり夜空に消える夏の象徴とも言える光があった。

花火だ。

そういえば、と上条は少し冷静になる。今日オープンしたP.P.Loversがオープンサプライズをやるとテレビで大っぴらに宣伝していたことを思い出した。幸か否か、どうやら今がそのサプライズの開始時刻らしい。
美琴も少し花火にびっくりしたようで一瞬ピクッとなったが、すぐに上条の顔を固定している手を更にきつく固定した。頭突きでもしてくんのかー!?と思ったがそれは違う。

キス。

そう。キス。キスしてきやがんのだ。今自分の目の前で眉をしかめ、口をタコみたいにし、真っ赤になって美少女台無しのあの御坂美琴がキスを。レベル5のレールガン。腐ってもお嬢様のあの美琴が。
「ちょちょ、ちょ、ちょっと待て御坂!おおお、おお、俺にもころ、こ心の準備ってのが……!!!???」
しかし美琴はもう何も聞こえないらしく、上条の顔にどんどん顔を近づけ、そして

―――――――――――――――――――――――――――――――――花火はしばらく上がり続いた。

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