とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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願いを叶える魔法の箱



本日は雨。昼休み中、インデックスによる財政難で昼飯抜きの上条にデルタフォースが声をかけた。
「カミやん、今朝面白いものを見つけたにゃー。」
「面白いものって?・・・ただの箱じゃないか。」
「驚くなかれ、これを見るぜよ!!」
土御門は箱のフタを見せた。『願いを叶える魔法の箱』と書いてあった。
「・・・なんだこれ、女の子が書いたような字じゃないか。胡散臭いにも程があるぞ。」
「せやろ胡散臭いやろ?これを不幸体質のカミやんで試そうと思って拾ってきたんや。」
「拾ってきた?どこで拾ったんだよ」
「学校に行く途中の公園のベンチだにゃー。普通に置いてあったから興味本位で持ってきた
わけだぜい。」
「興味本位と言ってもどう見たって科学とは無関係みたいだし魔術とかでもなさそうだな。」
「だからカミやんの力が必要やねん。何かお願いしてみいや!」
「そうだな~、女の子にモテモテになりますように・・・」
この瞬間、上条は土御門と青髪にパンチを喰らった。


一方常盤台中学のとある教室。学園都市第3位の御坂美琴は自分の席で絶望な顔をして大変困った顔をしていた。
(どうしよう・・・まさかアレをなくすとは・・・たまたま持ち運んでどこかに置き忘れたなんて・・・
アイツの手にいっていたら私死んじゃう・・・その可能性は低いと思うけど
この嫌な感じは何なのかしら・・・これがアイツの言っていた不幸指数ってヤツかしら・・
あー!もうどうすればいいのよ!)
思い悩んでも仕方がないと考えた美琴はとりあえず居眠りして今は忘れようと机に顔を伏せた。

しかしやはり居眠りできる精神状態ではなく、何か行動をとらないと落ち着かなくなった。
(そうだ!アイツにアレが渡らないように先手を打っておかないと・・・)
携帯電話を取り出しカーソルを上条に合わせ、メールを打ち始めた。

『今日の放課後、持ち物全て持って公園で待っていなさい。約束を破ったら死ぬわよ?』
・・これでよし、万が一アイツが持っていたとしても取り返せるし持ってなければそれだけで良し。
中身を見られてもアイツ以外の人は私だとわからないハズだから・・・多分・・・
でも誰であろう中身を見られたら・・・・・
結局放課後になるまで美琴は一日落ち着きがなかった。

話は戻って上条の高校の教室。
「カミやん、既に叶えられてる願いやなくて他にもあるやろ~?」
「そうだぜい、これ以上ふざけたらもう一発鉄拳をお見舞いだにゃー。」
「意味わかんねえよ。じゃあお前らが願い事言えばいいじゃないか。」
「だからカミやんが最初じゃないとダメなんだぜい。願いが叶った後死ぬハメになったら
シャレにならないにゃー。」
「それで俺に願いをってか・・・友達を好きに扱ってくれるね君たちは。それにしても、願いね~・・・」

今の上条に得に願いはない。あるとしたら生活費がもう少し豊かになるくらいだ。
贅沢言えば美琴からの電撃をやめてほしいとか。
無能力からレベル1へ上がりたいとも願ってないし、不幸体質がなくなってほしいとも願ってない。
むしろもう自分の不幸体質に慣れてしまったとこもあるのだが。

う~んと考えていた上条はふと外に目をやる。雨が降っていてとても止みそうにない。
「じゃあ、早く雨が止んで晴れてほしい。」
「なんだカミやん、そんなくだらない・・・・・・・・・・・・・・」
暗かった外がみるみる明るくなっていくのを感じてデルタフォース三人はバッと外を見た。
先程までザーザー降りだった雨はどこへやら、太陽まで出ていた。
太陽が出たのを見た三人は今度は『願いを叶える魔法の箱』をバッと見た。
「・・・青髪、今のはカミやんが言ってから晴れた。ということで間違いないにゃ?」
「間違ってないで土御門。さっきまで横殴り土砂降りやった!」
「おい!これが本当に願いを叶えたっていうのかよ?」
「試す価値は大アリぜよ!!目の前にフリフリゴスロリメイド出てこいにゃー!!」
「「・・・・」」
当然フリフリゴスロリメイドは現れなかった。
「にせものぜよ、これ。」
「その願いはどうかと思うで土御門・・・」
「そういえばこの箱の中身は何が入っているんだ?」
「まだ見てへんねん。もしかしたらおっそろしい御札とかビッシリ入っとるかも・・」
「そうだったら恐ろしいな。まあ、晴れたのは偶然って事で・・・」
「カミやん青髪、俺は真実を突きとめるぜよ!!」
土御門は箱を奪い、フタを開けてしまった。
「んな!何やってんだ馬鹿!!」
「・・・んにゃ~開けてがっかり中身は空っぽではないぜい。紙切れ一枚入ってるぜよ。」
どれどれと三人は綺麗に折りたたまれた紙切れを手にとって書いてある文章を読んだ。

『願いを叶える魔法の箱に願いをすると願いが叶う
但し地獄の使者が願い事相応のリスクをいただきに参上するであろう』

三人同時に固まった。土御門と青髪は上条を見る。
「「カミやん・・・・」」
「ど、どうしよう、俺、願い事した・・・・」
「お、落ち着け、こんなの非科学的で魔術関連でもないにゃー」
「じ、地獄から使者が来て、お、俺の魂を持って行くんだ・・・」
「いや、そこまで書いてないぜよ・・・」
「ど、どどどうしよう青髪!」
「心配すなカミやん。確かに少し気持ち悪いけどただの箱やって」
「けど、今にも扉が開いて地獄の使者が・・・・」

ガラッ!!

「「「うわあああ!!!出たあぁぁ!地獄からの使者!!!!」」」
「はーい、午後の授業始めるですよー。ところで地獄からの使者とは誰ですか上条ちゃん?」
地獄の使者は小萌先生の授業だった。
「いや、決して小萌先生だとは俺も土御門も青髪も言ってないです、はい・・・」
「・・・・ひっく、教え子に地獄からの使者扱いされるなんて私は教師失格です」

泣かせた。泣かせた。お前が小萌先生を泣かせた。
クラス全員が何故か上条だけを冷たい視線で睨みつけた。

「何で俺だけ・・・不幸だ。」
その後学校が終わるまでクラス中から批難を浴びた上条だった。

放課後
「とりあえず魂を奪われる事はなかったにゃーカミやん。だがこの気持ち悪い箱はカミやんにあげるぜい。」
「俺たちは充分楽しめたからその箱は持って帰ってくれていいで~。」
「はあ、飽きたからって俺に突きつけるのはやめろよ。」
無理矢理箱を渡され土御門と青髪はさっさと帰って行った。

上条は箱をもう一度開けてみた。地獄の使者の手紙だけが入っている。
ように見える。
入っているように見えるとは底に何かを見つけたからだ。見つけたというのはおかしいが、
何か変なのだ。底の角を触ってみるとなんと箱の底からまた底が出てきた。
どうやら二重底になっていた。二重底にもまた紙が入っていた。今度は何枚も。
上条は恐る恐る紙を開いて読んだ。
『目指せレベル5!!』
「何だ可愛らしい目標じゃないか・・・」
安心した上条は次々と紙を読み上げた。
『生意気な研究者全員虐殺』
・・おいおい凄い事書いた人間がいたもんだ。
『同僚の変態行動が収まりますように』
こいつは寮生で同僚に困ってんのか。かわいそうに・・・
『自分の能力が効かないあの馬鹿に勝てますように』
あれ?能力が効かないあの馬鹿ってもしかして・・・・
『あの馬鹿が早く私の気持ちに気づいてくれますように』
変態の同僚、能力が効かない馬鹿。本当にもしかして・・・
『上条当麻と付き合えますように』
ビンゴ。俺だ・・・・
俺をあの馬鹿と呼ぶ相手は・・・・
「御坂・・・?」
誰もいない教室で一人ドキドキしてきた上条。
「マジかよ・・御坂が俺の事。嫌われてると思っていたのに・・・うわあ、どうしよう・・」
焦った上条はおもむろに携帯を手にとった。
「あれ?御坂からメールだ」
『今日の放課後、持ち物全て持って公園で待っていなさい。約束を破ったら死ぬわよ?』
(ということは土御門たちが拾ったこれは御坂のものだったのか?俺に渡ってないか確認って事か?)
鈍感な上条にしては珍しく頭が冴えていた推理である。
「メールは朝送っているな。やべっ、もしかしたら御坂もう待っているのか?どっちみち
ビリビリは確定か・・・不幸だ」

上条の予想通り、美琴は公園にいる。かれこれ30分程上条が来るのを待っている。
(早く来なさいよあの馬鹿!一日気になって担任にまで心配されたんだから!)
さすがに30分待つのも疲れ、自販機に蹴りでも入れるかと思い自販機の前に立ち、回し蹴りを放った。
ガコン・・
「相変わらず自販機に蹴り入れるのはやめねえんだな。その自販機、上条さんの次に不幸かもしれませんよ?」
「な!アンタいつの間に来たのよ!」
「ちぇいさー!って叫んで自販機を蹴ったくらい?」
「・・・・・・」
「あっ、悪い悪い!それでわざわざ上条さんを呼び出してどうしたんだ?」
「・・・アンタの鞄の中身見せなさい」
「そんな鞄の中まで見せなくてもな、御坂が探しているのはこれじゃないか?」
そう言って上条は鞄から箱を取り出した。美琴は箱を見て一気に顔を赤らめた。
美琴の顔を見て上条は全部見たと告げたら電撃だけでは済みそうにないと思い、話を大きくしないように心がけた。
「ななななん、何でアンタが持ってるのよ!?」
「クラスメイトが拾ったらしく俺に押し渡したんだ。」
「うぅ・・・・」
美琴はヘナヘナと座り込んだ。
「まさか中身を見てないでしょうね?」
「地獄の使者の手紙か?」
「ホッ・・・そ、そうよ!それは私が作ったヤツなんだから!」
「また何故お嬢様のお前がこんなガキみたいな事やってんだ?」
「その中には私の願い事が入っていて、もし見つかっても地獄の使者の手紙を見たら脅しに
なるでしょ?」
「お前さあ、自分で墓穴掘ってるの気づいてるか?願い事入れてるって頭に言っちまったぞ。「・・・・・・・」ボン!
美琴は絶望な顔をした。好きな人に自分の恥ずかしい所を見られているような感覚で。
「アンタ・・・・・まさか・・・・」
「・・・・ごめん、見てしまった。」
「死ねええええええ!!!」
「うわあああああ!!!」
過去上条にもあまり放ったことのない全力の電撃を上条に向けて放った。もちろん上条は
右手で塞いだのだが。

「お前!俺を殺す気か!?」
「殺す気よ!よくも見やがったわね!!」
「やめろ!!やめてくれ!!やめてください!!」
「アンタが死ぬまでやめないわよ――!!」
「俺が死んでしまったら付き合えないんだぞ!?」
「!!!」ピク
上条は攻撃をやめた美琴にゆっくりと近づいた。
「箱の中にあるもの見てわかったんだよ。御坂が俺に強く当たったり電撃飛ばして来るのは
愛情の裏返しってヤツだとな。どんだけツンデレなんだよと突っ込みたいとこだが、そんなお前が可愛く思えてきた。」
「わ、私が可愛い?」カアァァ
「だけど今まで俺は御坂に嫌われていると思っていたから御坂の気持ちには気づかなかったよ。そこは俺が謝るとこだな。」
「そんな、謝るなんて・・・」
「もし、御坂が謝ってほしくないなら箱の中にあった御坂の願いを叶えてあげたい」
「え・・・?」
「もれなく地獄の使者という不幸な上条さんがついてきますが?」
「ぐす、ふええぇん・・・」
美琴は大きな声で泣き始めた。
「え?ちょっと御坂さん?これはもしかして俺のとんでもない勘違いだったのでせうか?
こんなダサイ台詞吐いた俺が大馬鹿野郎って事ですか?」
「ホント、大馬鹿野郎よアンタは。私の今日一日を返してよ!」
「そこは俺に言われてもな・・・そもそもお前がこれを忘れたからだろ?」
「うぅ・・それを言われると痛い・・」
「まあ、お互いの願いが叶ったということでハッピーエンドじゃないか。」
「何よお互いって。アンタが何を願ったのか知りたいわね。」
「やれやれ、鈍感とみんなに言われている俺だが、御坂も結構鈍いんだな。」
上条は箱のフタを開けて一枚の紙を取り出し、美琴に見えるように折りたたまれた紙を広げた。

『御坂美琴と付き合えますように』

「・・・・・・アンタ、もれなく地獄の使者という私がついてくるけど?」
「上条さんからすれば天の使者ですけどね。」
「ホント、ホントに馬鹿。」
美琴は上条の胸に顔を埋めた。上条は優しく美琴の頭を撫で、包み込むように抱きしめてあげた。
その後、この箱は二人の宝物として大切に保管された。

一方、この出来事を木に隠れて目撃していた人物が二人いた。
「青髪、どうやらあの箱は本物だったみたいだにゃー。」
「せやな、しかしカミやんは何でいっつも可愛い女の子とあんななるんや?」

「「ブチ殺し確定だにゃー(やで)」」


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