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<h1>再会喫茶店</h1> <blockquote style=""> <dl> <dt>718 :<a href="mailto:sage">再会喫茶店</a>  2007/10/21(日) 18:18:28 ID:/QdWqyc2  <br></dt> <dd>夜の街を幾人もの人々が行き交っている。<br> 流石にクリスマスイブともなれば、辺りはカップルでいっぱいだ。<br> 「やっぱこの雰囲気には馴染めねぇな…。」<br> 黒のコートを身にまとい、長めの髪を後ろで束ねたサングラスの男―播磨拳児は、ある場所に向かって歩いていた。<br> イルミネーションと、如何にもクリスマス的なBGMが流れる中、播磨はポケットから一枚のカードを取り出す。家を出てから、何度見返したか分からないそのカードの中身を、もう一度読み返す。『〇×年度矢神学園卒業2―C同窓会+α<br> &gt;&gt;皆元気〜?来たる12月24日、喫茶メルカドにて同窓会を開きま〜す☆五年振りに逢えるのを楽しみにしてるよ〜?<br> ⌒(^O^)⌒<br> 幹事 塚本天満』<br> 播磨はカードをまじまじと見つめながら、高校時代を思い出す。<br> 「天満ちゃん…結局告白出来ず終いだったんだよな。」<br> そう、播磨は天満に想いを告げる事が出来ないままに高校を卒業し、矢神の街を出た。そして何人もの漫画家のアシスタントを転々とし、今年の10月にようやく、ジンガマの連載を勝ち取り、漫画家ハリマ☆ハリオとして正式にデビューを果たした。<br> 風の噂で、天満ちゃんと烏丸が付き合う事になったのを聞いた。その日は自棄酒を飲み、泣き明かしたのを覚えている。<br> 「その矢先にこんな招待状が来んだもんなぁ…」と言いつつ、播磨はカードの一番下に視線を移す。<br> 『やっほ〜☆播磨君!久しぶりに逢えるの楽しみにしてるよ☆☆天満』<br> <br> 天満ちゃんの字…<br> 播磨は久しぶりに見る天満の字を見て顔がニヤけるのが分かった。<br> <br> 矢神駅から繁華街を抜け気がつくと、播磨はメルカドの前に着いていた。意を決して扉を引き開ける。</dd> </dl> </blockquote> <p> </p> <blockquote style=""> <dl> <dt>719 :<a href="mailto:sage">再会喫茶店2</a>  2007/10/21(日) 18:22:14 ID:/QdWqyc2  <br></dt> <dd>ガチャ!カランコロン!<br> ドアを開けると同時に、七色の光が飛び込んで来る。店内に置かれたクリスマスツリーの電飾だった。<br> <br> 「あ…。」<br> 播磨は懐かしい声を聞いた。少し遠慮がちで、でも芯の通った透き通る様なこの声は…?天満ちゃんじゃねぇよな?<br> 「お久し振りです…播磨さん。」<br> 「て…妹さん?」<br> 視界がハッキリしてくると、正面にスラッとした体型の女の子が立っているのが分かる。彼女らしい落ち着いた灰色のロングスカートと、真っ白なセーターがよく似合っている。播磨は、一瞬その姿に見とれた。―――――――――――――――――――――――<br> 八雲は姉、天満の介抱をしていた。<br> <br> 同窓会が始まって一時間、姉さんは勢いでワインを一瓶空けてしまい、潰れてしまった。隣りに居たハズの烏丸さんは、男の先輩たちに引きずられて行ってしまっていた。「姉さん?大丈夫…?」「んにゅ〜からしゅまく〜ん」<br> 私が声をかけても、姉さんはそんな寝言を言って、クゥクゥと寝て居る。夢の中でも烏丸さんを呼ぶ姉さんに、私はクスッと笑みを浮かべる。<br> 「大丈夫だって八雲ちゃん!塚本は酔いがさめればすぐに起きっから!」横から少し酔いかけた感じの周防先輩が声をかけてくれる。<br> 「はい…そうですね。」私がそう返事をすると、周防先輩はニコリと笑って言葉を付け足す。<br> 「そういや、ウチのクラスとかで後まだ来てないのって誰だっけ?」<br> 「あ、はい。少し待って下さい。」<br> 私は姉さんが作った参加者名簿を取り出した。<br> 私の友達のサラや稲葉さん、東郷さんも含め、色々な人達の名前が連なっている。<br> 「えっと…―あ…。」<br> 私は自分の胸がトクンと波打つのが分かった。<br></dd> </dl> </blockquote> <p> </p> <blockquote style=""> <dl> <dt>720 :<a href="mailto:sage">再会喫茶店3</a>  2007/10/21(日) 18:28:40 ID:/QdWqyc2  <br></dt> <dd>既にメルカドに来ている人には「レ」のチェックが入っているが…ポツンと一人だけ印がついていない人がいる。<br> 「播磨…さんです。」<br> 播磨拳児さん…。姉さんをとても大切に想ってくれた人、私が唯一素直に話せる男の人…。漫画家を目指して、私も播磨さんが書く漫画のお手伝いをして、そして…。<br> 私がそんな事を考えていると、<br> 「お!播磨か〜。アイツは遅れても、人の好意を無にするよーなヤツじゃねぇからな。もうすぐ来るだろっ☆」<br> 少し大きい声で周防先輩はそう言った。私はうなづいた。そうだ…あの人はきっと来てくれる。その時―<br> カランコロン!<br> メルカドのドアが開いた。寒い夜風が一瞬店内に入り込む。<br> 「あ…」<br> ドアに視線を向けた私は自然に言葉が出ていた。扉の向こうには、播磨さんが立っていたから。<br> 「お久し振りです…播磨さん…。」<br> 「お、おう。久しぶりだな、妹さん!」<br> 播磨さんはゆっくりと店内に入った。<br> (大人っぽくなったな…益々綺麗になったっつーか)<br> 「え…///?」<br> 私はびっくりした。高校時代には一度しか見えなかった播磨さんの心が見えたから。<br></dd> </dl> </blockquote> <p> </p> <blockquote style=""> <dl> <dt>722 :<a href="mailto:sage">再会喫茶店4</a>  2007/10/21(日) 21:15:40 ID:/QdWqyc2  <br></dt> <dd>遅くなりました。続きです<br> <br> 「ど、どうした?」<br> 播磨さんが吃りながら尋ねる。<br> 「い、いえ。」<br> 私は自分の頬が熱くなってしまっているのを隠すように、俯いてしまった。<br> (しまったな…意識してしまう…)<br> 私は後悔した。<br> 播磨さんには自然な気持ちを話せる所為か、高校の頃から憬れはあった。播磨さんは姉さんの事が好きなんじゃないかとか、沢近先輩との事があった時も、自分の中に嫌な気持ち…嫉妬…みたいなモノが渦巻いてしまっていた。<br> だから余計今播磨さんを目の前にして顔を見ることが出来ない…。<br></dd> </dl> </blockquote> <p> </p> <blockquote style=""> <dl> <dt>723 :<a href="mailto:sage">再会喫茶店5</a>  2007/10/21(日) 21:17:56 ID:/QdWqyc2  <br></dt> <dd>「おっ!播磨遅いじゃないか!キミは相変わらず時間を守れんのか?あっはっはっは!」<br> 背後から、既に出来上がっている花井先輩が、播磨さんの肩を掴んで来た。<br> 「うるせぇメガネ。離れろ。」<br> 「いいじゃないか。久しぶりの邂逅なんだぞ?」「しっつけぇんだよテメェはよ!」<br> 花井先輩と播磨さんの絡み(?)を見て私は、少し羨ましいと思っていた。<br> (私もあんな風に出来たら…あんな風に男の人と、ううん!播磨さんと…)<br> 「どうしたの?八雲☆」ビクッとして隣りを見ると、サラがいた。<br> 「な、なんでもないよ。」<br> 「ホントに〜?フフッ♪まぁいいんだけど。あ、そーだ。コレ♪」<br> <br> ?<br> <br> 私がキョトンとしていると、サラが包みを取り出した。<br> 「コレ、渡すんでしょ?播磨先輩に(#^O^#)」<br> 「え?あ…。」<br> 黄色い包装紙で繰るんだそれは、私が播磨さんの漫画家デビューのお祝いに買ったワインだった。メルカドのマスターにお願いして、少し前から預かってもらってたモノだ。<br> 「今日は頑張らなきゃ☆ね?」<br> サラが私の背中をトンと叩いた。そうして私を送り出し、最後にウインクをした。<br></dd> </dl> </blockquote> <p> </p> <blockquote style=""> <dl> <dt>724 :<a href="mailto:sage">再会喫茶店6</a>  2007/10/21(日) 21:21:06 ID:/QdWqyc2  <br></dt> <dd>(そう…そうだよね。私の気持ち…お祝いの…気持ちだから。)<br> 自分の顔が少し紅潮してるのを自覚しながら、私は播磨さんに近付いて行く…。<br> <br> 「―…ったく、メガネの野郎完っ全に酔っ払いやがって。」<br> 花井の執拗な絡み(?)から、周防の力を借りて解放された播磨は、一人カウンターでグラスを空けていた。<br> 「キャハハハハハ!」<br> 視線を皆の方へ向けると、天満ちゃんが一際輝いてこの同窓会を楽しんでいた。<br> 「……。」<br> フッと視界に影がさす。「?」<br> 「播磨さん…。」<br> 見上げると、妹さんが立っていた。ホント、綺麗になったな。月日ってのは凄ぇモンだ。そんな事を考えていた。<br> 「よぉ、妹さんか!どうした?」<br> 「は、ハイ。あの…コレ…。」<br> 「ん?」<br> 見ると、妹さんは少し震えながら何かを差し出している。このフォルムは…?<br> 「ワイン…です。漫画家デビューのお祝いに。」正直、嬉しかった。編集者等からもらったどんな粗品よりも。<br> 「すまねぇな妹さん!こんな気遣わちまって!」<br> 「い、いえ!ホントにただの…お祝いで。」<br> この女の子は、本当に優しい。自分の拙い漫画を真剣に読んでくれて、時には深夜まで俺の作業を手伝ってくれた事もある。<br> 自分が姉に怒られてしまうかもしれないと分かっていながら…。今、自分があるのはこの女の子のお陰だ。<br> (何か礼をしなきゃな)「じゃあ…。」<br> 「ちょっと待ってくれ。」<br> 戻ろうとする八雲の手を掴み、彼女を引き止めていた。<br> 「え…ー?」<br> (播磨さんの手…)<br> 力強い播磨の手の感触に、八雲はドキドキしながら播磨を見返した。<br> 「んと、その、なんだ…良かったら付き合わねぇか?」<br></dd> </dl> </blockquote> <p> </p> <blockquote style=""> <dl> <dt>725 :<a href="mailto:sage">再会喫茶店7</a>  2007/10/21(日) 21:26:34 ID:/QdWqyc2  <br></dt> <dd>手を放しグラスを持ち上げてニッと笑う。<br> 「え?」<br> 「折角だしよ、このワイン…二人で飲もうぜ。俺はどうもあ〜ゆ〜雰囲気にゃあ馴染めないからな。」<br> 播磨は八雲の後ろを指差す。そこには、2―Cの人達のいろんな姿が映った。その中心に居るのは…。<br> 「姉さん…。」<br> 八雲は呟いていた。<br> 「まぁ座ってくれ。」<br> 八雲は、播磨が引いてくれた椅子に静かに腰掛けた。<br> 「はい、どうぞ。グラスよ?」<br> メルカドのマスターが、二人分のワイングラスを出してくれる。室内に瞬くクリスマスツリーの電飾が反射して、グラスはキラキラと輝いていた。「ありがとうございます。」<br> <br> 「……。」<br> 「……。」<br> 沈黙が続いた。播磨さんも私も、話しかけるキッカケを探ってるみたい。(どうしよう…何か、お話を///)<br> (やべぇ…誘っておいてこの空気はやべぇ…)<br> 端から見れば、二人でカウンターに座り、モジモジしている姿は、凄く滑稽だろう。なんとかしなきゃ…!<br> 「は、播磨さん!」<br> 「あ?!な、何だ?妹さん。俺と飲むのが嫌だったら遠慮無く言ってくれ!」<br> 「え…?」<br> 予想外の反応に私は驚く。そんな緊張しなくてもいいのに…。<br> 「い、妹さん?」<br> 私は知らず知らずの内に笑みになっていた。私の知ってる播磨さん…高校時代から変わらない、不器用で真直ぐな播磨さん。<br> (笑ってる?良かった…嫌じゃねぇんだな。)<br> また見えた…。一生懸命私の気持ちを考えてくれてる。播磨さん…私、播磨さんの事がずっと…す…好…。<br> 「―――好きか…?」<br> 「え!!?」<br> 私はピクンと跳ねてしまったかもしれない。<br> 「好きか?」って、まさか、播磨さんに心を読まれてる?</dd> </dl> </blockquote> <p> </p> <blockquote style=""> <dl> <dt>726 :<a href="mailto:sage">再会喫茶店9</a>  2007/10/21(日) 21:36:19 ID:/QdWqyc2  <br></dt> <dd>「あの…その…。」<br> 「?どうしたんだ?好きじゃないのか?」<br> 私は首を大きく左右に振った。<br> 「ち、違います!私…播磨さんの事好きです…!」<br> 「え!?」<br> アレ…?播磨さんが驚いてる。惚けたような顔をして。<br> 「い、いや!俺はただ…『ワインは好きか?』って聞いただけで。」<br> 「え////」<br> やってしまった。なんて馬鹿なんだろう…これじゃ告白みたいだ………こくはく?<br> 「……。」<br> 「……。」<br> 長い長い沈黙…私は自分の心臓の音が、播磨さんに聞こえてしまうんじゃないかと思った。それくらいドキドキしてるのが分かる。チラリと播磨さんを盗み見る。<br> 「あ…。」<br> (妹さんが俺を…?いきなりとんでもない事になっちまった。アレ…?けど俺何か嬉しいぞ?ど〜なってんだ?)<br> まただ…播磨さんの心が見える…。嬉しいって?…私はどうしたいんだろう?<br> 「いいい、妹さん!」<br> 「ひゃいっ///」<br> 素頓狂な声をあげる私に、播磨さんは言葉を続ける。<br> 「ちょっと、外…出るか?」<br> 「え…///」<br> それ以上、播磨さんは何も言わなかった。けれど…<br> (妹さん…俺の勘違いか…?)<br> 播磨さんの心が私には流れこんでくる。二人きりになってくれようとしてる…。<br> 「は、はい!行きます。播磨さん…。」<br> 私は精一杯の声を振り絞って答えた。播磨さんともっと長くお話がしたい…ううん、一緒に居たい!そんな気持ちが溢れていた。<br> 「よ、ヨシ!じゃあ…行くか?」<br> 播磨さんが立ち上がる。私も遅れないように続く。<br> <br> カランコロン♪<br> <br> 店を出る瞬間、後ろで誰かの叫び声が聞こえて来た気がするけど…気にしない事にした。<br> あ…今日凄く寒いんだ…。ワインの所為か、外がとても寒く感じた。<br> 「その格好じゃさみぃだろ?」<br> と私の肩に何かが被せられる。フワッと香る男の人の匂い…播磨さんのコートだ。<br> 「え?は、播磨さん…悪いです。」<br> 私が脱ごうとすると―<br> 「良いって良いって!俺は大丈夫だからよっ!」ニッと笑う播磨さん。<br> 嬉しい…<br> 嬉しい…<br> 私は播磨さんのコートを抱き締める様に着込んだ。暖かい…まるで播磨さんが抱き締めてくれてるみたい。<br> そこまで考えて、私はボッと赤くなっていた。<br> 「妹さん?どうした?」</dd> </dl> </blockquote> <p> </p> <blockquote style=""> <dl> <dt>727 :<a href="mailto:sage">再会喫茶店10</a>  2007/10/21(日) 21:48:12 ID:/QdWqyc2  <br></dt> <dd>「い、いえ!あの…!」(何考えてるんだろう?私…)<br> 私は全身が茹蛸のようになりながら、必死に首を横に降った。<br> <br> ―まるで子供みてぇだ。播磨はフトそう思った。この少女に俺はどれだけ支えられたかわからねぇ。精一杯背伸びをして、考えて、俺の相手をしてくれたこの少女に…何か礼をしなきゃならねぇ!そんな気持ちでいっぱいになった。<br> <br> 「今日って…クリスマスだよな?」<br> 播磨さんがぽつりと呟く。<br> 「はい…。」<br> 暖かいコートに包まれながら、私は答えた。<br> 「昔は…よくサンタのバイトしたっけな。」<br> 「サンタさん…ですか?」<br> 私は播磨さんが意図する所が分からなかった。でも、播磨さんが次に発した言葉で、この問い掛けの意味が理解出来た。<br> 「何でも好きなモン、プレゼントするぜ。昔から世話になりっぱなしだったからな!礼はしなきゃ気持ちが治まらねぇ。」(今日は妹さんだけのサンタだ!…って自分で考えておきながら何てクサいセリフを…////)<br> 「//////」<br> 私は夢を見てるんじゃないかと思った。でも…<br> (何でも…?そ、それじゃあ、もしかしたら…)「そ、それは、本当に何でもいいんですか…?」私は意を決して尋ねた。「あ…あ、あぁ!何でもいいぜ?何だ?欲しいモンでもあるのか?なら丁度良いじゃねぇか!」<br> <br> ―――――――――――【一応今はここまでです 近日中に結末までを書きます。何かありましたらレスいただけると嬉しいです。】</dd> </dl> </blockquote> <p> </p>

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