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616 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 21:17:58 ID:l0v6J+5d
(…ずっと…ずっと私が…)
やっと決心がついた。
私は…私はぬるま湯の様な関係でも良かったのだ。従弟の男の子が転がり込んで来た時、自分の気持ちは諦めていた感情に蓋をした。
…それで良かったハズだった。「おいっ! おいっ絃子! ナンのつもりだよ!?」騒がしく身動ぎしているのは…拳児君。…私の拳児君。
八雲君も沢近君も良い娘だと思う。
うん。そう、良い娘達だ。…彼らを見守っていてあげるべきだった!
だけど、もう辞めた。自分の気持ちにはウソをつけない…。
だから
だから…拳児君を…離さないことに決めた。
拳児君が眠っている時を見計らい、わたしは彼を拘束した。
混乱しているのか、目覚めた彼はベッドの上で暴れだした。
私は彼を慰めようとしたが上手くいかなかった。…結局、暴れ疲れたのか拳児君はグッタリしている。
「拳児君…。拳児君は私の事を好きだろう?
約束…忘れた? …私はずっと忘れてない」
「? 絃子…なんだよ? いつの話してんだ?」
拳児君はナニを言っているんだろう? 私の告白を忘れた? そんな事ないよね…?
あの時、私のファーストキスと告白を忘れるハズないじゃないか。
(…うん、彼は現状に混乱しているだけなんだね)
私はちょっと安心した。嬉しくなって彼の胸に飛び込む。
厚い胸、硬い胸 男の子の胸。私の…拳児君。「お おい絃子! 離せよ? 冗談…」
「…拳児君」私は彼の唇を塞ぐ。
彼の唇は硬く塞がれていたケド、しばらくしたら気持ちを汲み取ってくれて私を受けとめてくれた。
舌と舌が絡み合う。
(私の拳児君)拳児君の愛情を貪りあう。きっと彼も望んでいるから、私はブラウスを脱ぎ、ブラを外した。(拳児君。見て、私の… まだ誰にも見せてないのよ?)
女の武器… 卑怯な言い分なんだろうけど、私は自分の身体に自信はある。
私は裸の胸を拳児君の頭に押し付けた。
喜んでくれる。うん。男の子はそうなハズだ。(拳児君…)
胸の下で荒い息が気持ち良かった。
もっと気持ち良くなってね!
…もっと気持ち良くしてあげる!
(お姉ちゃんが気持ち良くしてあげるから! 拳児君大好きだよ!)
…胸の下で暴れる拳児君をもっと気持ち良くしてあげる。
私は…
私の拳児君を……拳児くん…好き…。
…END…?

617 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/19(木) 21:24:38 ID:l0v6J+5d
…ヤンデレ絃子さんです。
拘束され、恥辱にまみれる播磨。
愛情と激情に狂う絃子さん。そして、播磨に対し自分の気持ちをぶつける八雲。
…ちなみに、沢近さんは出ません。
まあ、早くて来週に続き…になる予定です。

639 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/23(月) 03:28:55 ID:FV+n1311
616の続き
播磨 拳児が学校に来なくなって1週間が過ぎていた。
クラスメートも不振に思わなくもなかったが、彼が来ない事は以前にもあったので気にも止めずにいた。
…いや実は1人いた。級友ではなく、下級生であり拳児の恋人と目されている塚本 八雲が…。
彼女は拳児の描く漫画の原稿を手伝っており、その件でメールを送ったのだが、2日と返信がない事に不振を覚え 彼の自宅を訪れてた。

(播磨さん…何かあったのかしら?)
自宅マンションに赴き、呼び鈴を鳴らす。
…だが返事がなく、誰も出てこなかった。
(播磨さん?)八雲はこの状況を疑問に思ったが、流石に不法侵入は出来ようもなく、引き上げざるおえなかった。

その頃…

「拳児君…拳児君!」(私は拳児君に愛されている。拳児君、嬉しいよ♪)

それはあたかも雌の蟷螂が雄を捕食する様に、蜘蛛か網にかかった餌を喰らう様な光景であった。
手足を拘束された拳児に絃子はまたがり、拳児の剛直したぺニスを女の部分で締め付けていた。
初めての時は痛みだけを感じた愛の交換儀式は、回を重ねる度に感度が高まっていった。
今では拳児の部分がどんな反応を示すのか、全身で感じとる事が出来たし。自分の全てを拳児が喜んでくれていたのを感じていた。

口づけを交わし、乳房を与え、膣と子宮で愛を感じとる。これこそが幸せなんだと知った。
「拳児君! 愛しているよね? 愛してるって言って!」
「…(絃子…)…」拳児は呻くことすら出来ないほど責めたてれいた。
だが絃子には彼を感じていた。それ故に、彼の思いや言葉もちゃんと理解していた。
「愛してる…ありがと拳児君♪ 私も同じだからね♪」
愛しい男からの言葉にますます高ぶり、絃子の下半身は熱く濡れた液体にまみれた。

絃子は何度となく上り詰めた快感に満足し、ようやく拳児から離れた。
自分と拳児の愛情が混じりあった液体を舐めとり、何故か血の滲んでいる彼の手足を浄めた。そうした後、彼女はシャワーを浴び、拳児の為に食事を用意した。

「はい拳児君、あ~んして♪」絃子は用意した食事を彼に与えようとしたのだが、拳児は口を開こうとしなかった。
彼女は不思議に思いつつ、ある事に思いいたった。
(そうか、甘えたいんだ♪)
拳児が口を開かないのが、それが甘えだと判断し、用意したスープを口に含み それを拳児に口移しで流しこんだ。

はい、二話終了です。


641 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/23(月) 17:23:10 ID:FV+n1311
639の続き
(…俺は…)拳児は全ての状況に混乱しきっていた。
いや、苦痛 焦燥 飢餓…快感 の全てに現実を認識出来ないでいたのだ。最初は理不尽な怒りがあった。ベッドに拘束され、口を塞がれたのでは無理もない。
…それが保護者であり、従姉の刑部 絃子であった事に当惑した。
いたずら…いや、お仕置きならばまだ理解できた。…目で判る、態度で判るのだ。だが、この時の彼女は全てが違っていた。……狂気…狂喜に輝く瞳は、拳児に根源的な恐怖を与えたのだった。
当惑の時間は直ぐに過ぎ去る。次に訪れたのは苦痛である。
衣服を切り刻まれ、ついでの様に露出した肌を…浅くではあったが…斬られたのだ。
浅く、広く、際限なく…。拳児の背中やベッドに当たる面以外には10㎝と無事な所はなく、鋏にナイフ 包丁で切り刻まれた。

「拳児君。…拳児君は誰が一番好き?」
絃子は眼下の想い人に尋ねた。しかし、尋ねられた方には応えるすべはなかった。理不尽な暴力に恐慌をきたしており、罠にかかった獣の様に全身で絶叫していたのだ。
絃子の質問は一晩中続いた。単調な質問…いや尋問と自然止血した部位を再び切りつけて出血を促す。
この時点で正気に戻れば、まだ落としどころがあったのだろう。だが、彼女は静かに狂いだしていた。
…拳児の性器に夢中になったのだ。
何故?
いやそれは本人に意識してではない。…言うならば必然であった。
暴力傾向があるとは言え、若さにみなぎった性的志向がノーマルな雄である。たちまち絃子の手と舌に反応した。
(絃子! やめろよ…やめてくれ!)切れ目のない苦痛に苛まれつつも、雄としての反応に恥ずかしさを覚えてた。しかし発言は叶わず、たちまちに爆発を許してしまったのだった。
…実は拳児には性交の経験があった。その際に口腔内に射精した事もある。
(…うぉぉ…絃子の手で出しちまった…。
…前はいつだった?
…まえ、は…
高野…)
異常な事態と射精の高揚感。拳児の脳はストレスに荷負荷に耐えらずブレーカーが落ちた。

一方、絃子には男性経験がなく、知識と勢いに任せ 愛する男の身体を弄んだのだった。
剛直する拳児の器官に嫌悪感はなかった。初めての感触に感動を覚え、指や手のひら、そして口の中に彼の存在を確認した。(拳児君…やっと私を受け入れてくれた♪)
血にまみれ、雄の臭いにまみれた愛する男の股間にむしゃぶりつつ、絃子は愛の生活が始まった事に喜びを感じた。

644 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/24(火) 02:01:32 ID:MnhonXa/
641の続き
狂いゆく生活が始まった。
拳児は四肢を拘束されている為に、日常行動の全てが絃子の献身により処理されていた。

例えば食事…。基本的には流動食が用いられている。口枷をはめられ、咀嚼が終えるより流し込まれる。
当然熱くもあるが、料理は温かいほうが美味しく感じるので、冷めない様に食べてもらう。
…時には母鳥が小鳥達にする様に咀嚼したモノを口移しで与える。
絃子が職場へ向かう際には、水の入った瓶から口腔内のスポンジに流れこむ管を取り付けた。喉が渇けば水分を含んだスポンジに舌を使って圧迫し、必要な分の水分を送りこむギミックである。
食事はスポンジの代わりに直接タイマーにより、流される仕組みになっていた。
これはこれで苦痛を伴うが、排泄には恥辱が拍車をかける。
…すなわち、紙オムツと尿瓶を使ってだ。
「さあ拳児君。ちゃんと出しなさい。…大丈夫。自然な事だから恥ずかしくないよ?」
絃子は拳児の両足をM字開脚の様に広げさせ、尿瓶を彼の肛門にあてがった。日に何度か必要な排便がなかった為、便秘が良くない事は男女共通だから、浣腸を用いて強要させた。
人の営みとはいえ、赤ちゃんのように無防備なさまを晒さねばならない。しかし拒否すら叶わず、液状化した汚物を放出せざるおえなかったのだ。
拳児と同じく性癖等はノーマルであったが、彼の行為に嫌悪感を抱かず、絃子は汚物を処理してみた。
いや、その先すらあった…。
彼女は拳児の汚れを清めたのち、彼の菊座に舌を這わせた。
もはや理屈も道理もなく、絃子は拳児の全身を舌を使って感じる事にしたのだった。

拳児のもとを訪れたものの、諦めて帰るはめとなった八雲は迷いを見せた。
だが彼の携帯は応答すらなく、手がかりは潰えていた。
(…どうしよう…播磨さん)
不安はますます膨れ上がったのだが、所詮一介の高校生に過ぎない。
探す手段は…身内に尋ねる。知人の手を借りる。警察等の権力を用いるの三拓である。
しかし、最も有力な身内…刑部先生は「拳児君かい? あぁ心配ないよ。…うん連絡があった事は伝える」と言った。
だが、これが不安の元種だったのだ。…この時から彼女の態度に違和感を感じた。
いつもと変わらないクールな態度であったが、何かちぐはぐな雰囲気があったし、何より視線を合わせる事もなく、素っ気ない態度が変であった。
この時、部室には部長の高野も居り、彼女もまた刑部の態度に違和感をもったのであった。

659 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/25(水) 00:25:00 ID:mLDD7yZt
644の続き
その日、刑部は早々に部室を後にした。
「…なにか…変なんです」
八雲の不安は増し、つい高野に口を開いてしまった。
「ええ、そうね…刑部先生、少し妙な感じだった…」
「…はい。…あの先輩…、播磨さんの事…」
八雲と高野の目が交差する。
高野は頷いた。「彼 播磨君は登校しなかった事が度々あったわ。…だけど…何かがおかしい。そう言う事でしょ?」
杞憂であって欲しい。だが精神的な支柱である姉は渡米し、先生はその態度に疑惑を感じており、今の自分に胸中を開けるのは高野だけであった。
「…始めはメールが来なかったんです。ですが…3日前からは電源も…」
「3日…? どうして早く…いえゴメンなさい」
高野は叱咤しかけたが、自分とて責任こそなかったが気に止めなかったのだ。(八雲に責はない…さて、どうする?)
八雲の不安が移ったか、高野にも彼の安否が気になった。
だが、部室では状況も読めない。改めて八雲から推移を聞き、二人で刑部の自宅に向かう事にした。

…高野と播磨の二人には級友以外ではほとんど接点がない…。だがそれは暗黙の了解の付き合いであった。
(播磨君…)高野の脳裏にありし日の情景が浮かぶ…。
(1年のある日…私は…)
過去のある時期、彼女にはある事情により、情事を強要されていた。
精神的に荒れており、校内において他人の秘密をあら捜しして、それを元に様々な取引を目論んでいたのだ。播磨との出会いはそんな時であった。
幾人かの男との肉体関係もその1つである。金品や情報をせしめる手段であった。
播磨に目をつけたのは彼の暴力性。今後必要となる反抗の為の捨てゴマ…であったはずであった。人気のない旧校舎の片隅で、播磨に膝まついて女としての手管を用いた。
(だけど播磨君は…)
結局、男女の関係は続かなかった。精神的には彼の心には意中の女性が居たからである。ただ予定通りに暴力装置としての彼は役に立ってくれた。
(彼は私を蔑まなかった。感傷もなにも持たず、私に利用されてくれた)
無言の契約。卑劣であり神聖な誓い…(彼とは貸し借り無しだとしても…)今は愛しい後輩の為でもある。行動が必要であった。

十数分後、二人は彼らのマンションの下に居た。
播磨(刑部)のバイクはあった。だがそれが在宅である証拠にはならない。
しかし周囲には明かりが灯る時刻である。
二人は夕闇に染まる壁面を見上げた。
…不安の1つが解消された

661 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/25(水) 01:21:49 ID:mLDD7yZt
659の続き
「高野先輩…」「うん。先生に電気を付けまくる趣味がないなら…」
少なくとも、刑部に対し疑惑が確信に変わったのだった。
だがしかし、今訪れても門前払いは明確であろう。また警察を使ったとしても、明確な犯罪が立証されないのなら民事不介入によって有効打にはならない。しばし思案したが、刑部が自宅にいる以上なにも手が打てなかった。
「先輩。播磨さんは…どうして?」
八雲の顔に不安が色濃く広がってゆく…。しかし今は駄目である。高野は八雲を見据え 首を振った。
「…今は駄目だろう。八雲…今は待った方が良い。…判るよね?」
高野は驚愕に固まる彼女を引きずる様にマンションを後にした…。

絃子は幸せを満喫していた。
くだらない授業も部活の顧問も今からは関係ないのだ。
家には彼が居てくれる。そして精一杯自分を愛してくれるのだ!
今日の夕食は肉じゃがを用意した。
体調が悪いのかベッドから離れられない拳児の為に食事を運び入れる。
「拳児君。今日は肉じゃがだぞ? 好きでしょ♪ ほら食べさせてあげる」
彼女は異常なまでに上機嫌で身を起こした拳児に食事の世話をする。
だが、現実を描写するならば…
拳児は衰弱しきっていた。上半身は起こしていたが、それすらも拘束されており、両の指は何本も捻れ どす黒く変色いている。かろうじてシャツは纏っているが、血がにじんでいる。
下半身はさらに凄惨であった。先ほどまで紙オムツが履かされていたが、今は何もつけていない。
局部は綺麗にされていたが、太ももには何ヵ所も肉が抉りとられており、醜い赤黒い穴が開いているのだ。
膝から下、脛は奇妙なあり得ない角度を向いていた。おそらく、彼の足は立つ事も歩く事も出来ないであろう。…そういう状況である。
もはや、口を開く気力すらないのか、口の戒めが外されているのだが、力なく開いているままである。
そんな状況にあっても、絃子は機嫌よく彼の口に食物をねじ込んでいる。
だが彼には咀嚼すら出来ず、ボタボタと垂れ流していた。
「も~拳児君。ちゃんと食べなさい? …あ そうか…やっぱりお姉ちゃんに食べさせて欲しいんだ♪」
絃子は納得すると彼に跨がり、唾液を絡めた口腔摂取に取り組んだ。
食事の合間には強壮ドリンクを何本も流しこます。
もう少しすれば、準備も万端となる。

…夜の時間が始まる。愛し合う二人の夢のような時間が…。
絃子は怒張する拳児の分身に指を絡めた…。

続く

667 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/26(木) 00:52:34 ID:WV7eHyk6
661の続き
「高野先輩! どうして…」
「黙って…考えるから」
八雲の切迫した訴えは判る。だけどまだ駄目だった。
彼女を引きずりつつ、私は必死に打開策を求めていた。
(明日…明日の朝、先生が出た後に侵入する。…それが1番? うん。現状では他に何が出来ると言うの)
「八雲。落ち着いて。まず、もう一度播磨君の携帯にかけて見ましょう…。連絡がつかないなら、明日…先生の所に押し込む」
私の特技(とまでは行かないけど)にはピッキングの心得がある。
南京錠やシリンダー方式ならばどうにか出来る自信があった。「……駄目です。電源が入っていないか…連絡出来ません」
強張った八雲が携帯を握りしめて言った。
だが播磨君が自宅に居る保証はない。しかし誰かが彼の居場所を知っている確証もなかった。まして、巡りめぐって刑部先生に連絡されては余計にまずかった。
「いいこと? もし播磨君がどこかに出掛けたまま携帯にトラブルがあった。…それなら、もう1日2日は待ちましょう。
だけど…」
不安が背筋を震わせ、一息入れた。私も八雲と同じく緊張しているのだ。
「…だけど私には違うように思えて仕方ない。だから明日、先生の所に忍びこむわ。
不法侵入になるけど、それでも構わない。
…八雲。あなたは付き合わないでいてね? 学校に行って、先生が来ているか見張って欲しいの」
そう二人で行く必要ない。だから…
「駄目です先輩。私も一緒に行きます!」
私の思考を遮る様に彼女は言い切った。
その瞳には時折見せる静かに力が入っていた。
「ね 拳児君。気持ちイイ?」全裸の絃子が腰の上で蠢いている。もう時間の感覚もなく、苦痛すら感じなくなった…。
もはや空腹も喉の渇きも、鬱血した強張った背中の痛みも何もかもが違う世界の情景に思えていたからだ。
だがこれが現実である事は間違いなかった。
絃子との交尾。繰り返し強要されるセックスと彼女の囁き…。…俺には拒否する権利も力もなく、彼女が満足するまで身を委ねていた。
(…絃子…)もう止めてくれ! 何度も叫んだが口枷やテープを越えては届かなかった。
…もう気力も尽きた…。
狂ってしまえば楽になれる。そう思ったが…絃子の必死さが俺の中に何かを訴えかけていた。「拳児君…拳児君…」
切られずに残った左耳に彼女の舌がはい回り、俺の愛情を求めていた。

…絃子はひたすら俺を求める。苦痛も快楽もなく、ただ呻くしかなかった…。

669 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/26(木) 01:40:05 ID:WV7eHyk6
拳児君は良く眠っていた。
(私を求めて眠らせてくれなかったくせに)少し腹がたったが、それは私だけを愛してくれている証拠なのだ。だから、怒る以上に嬉しくて仕方がなかった!
本当ならば休みを取ってでも彼に愛されていたかった。しかし学年主任からあれこれ言い遣っているから休む訳に行かなかったのだ。
眠たさも疲労感も、今夜また癒してくれる。私は彼にキスをしてマンションを出た。

刑部先生が笹倉先生の車に乗りこんだ。
私と八雲は自主欠席を選び、先生のマンションの陰に忍んでいた。
昨夜、どんなに説得しても八雲が拒絶してしまい、二人て忍びこむ運びとなった。
「…先輩。刑部先生が行ったんだから…」
「うん。…いいか? 私たちは不法侵入をする。…覚悟はいい?」
彼女の発言を遮り、最後の確認をした。
昨夜は眠れなかったのだろう、彼女の目は少し腫れていた。
私は私の鉄則に従い、睡眠不足にはならなかったのだが、緊張はほぐれなかった。
しかし、これ以上後に引くことは許されない。たとえ犯罪であっても、播磨君の確認はすべきだった。
「行こうか!」「はい」
私達はマンションに入った。

…刑部先生と播磨君の居るマンションは造りは良いが、オートロックではない。その為簡単に部屋の前に着いた。
八雲に『いかにも学校へ誘いに来た』風に立たせ、私はシリンダー錠の解除を開始した。
…このタイプのピッキングは比較的簡単だ。コミックみたいに針金では無理だが、ピンセットの幅くらいの狭い板を二本使えば何とかなる。焦らず細心の注意を払い、シリンダー錠の内部を想像する。
プロならば数秒で開くが、私は素人だ。知識はあっても緊張が指を震えさす。…十数秒で開いた。安心してはいけない。いやトラップは無い筈だ。
小さく息をつけて八雲を見上げた。
「開いたわ。もう戻れない」
八雲は軽く頷いただけですませた。そう、もう戻れないのだ。
私達は素早く入りこんだ。
玄関は整然とされている。靴箱を確認すると、播磨君の物と思われるサイズの靴があった! 「は播磨さん。播磨さんは居ますか?」
八雲が声をかける。しかし返事はなかった。
思案するまでもなく、彼女は播磨君の部屋に向かう。
私は初めて訪れたので、彼女の背に付いた。
「…播磨さん…!?」
扉の一つを開けた八雲は絶句した。
(なに?)
棒立ちの彼女の肩越しに部屋の中を覗きこみ、彼女の絶句の意味を知った。

673 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/26(木) 03:12:50 ID:WV7eHyk6
669の続き

(播磨…さん?)
…ここは見知った部屋の筈だった。何度も来た部屋だった。
だが、脳が全てを認識出来ないでいたのだ。
何かが響いていた。…それが自身の絶叫である事に気付く事はなかった。
(…播磨さん? 播磨さん? 何これ…播磨さん…何これ!)

八雲が部屋に入った。直後、彼女は絶叫した。不法侵入の身である。騒ぎはまずかった。
急ぎ、彼女の口をふさぐ。そして彼女の恐慌を理解した。
…ここは異界と錯覚する惨状であったのだ。いや部屋はむしろ普通である。机にベッド、クローゼット。
だが床は血に汚れ、腐臭が淀んでいた。…そしてベッドには…播磨がいた。
「播磨君?」
八雲の絶叫。自分もつられ叫びそうになる。
しかし自身も級友には知られていない修羅場に居た経験があった。
故に…ベッドの人物が四肢を拘束された播磨だと認識した。
また瞬時に彼が重体である事も理解したのだ。八雲の絶叫は止まっていたが、頭を覆い膝をついていた。
(八雲、恐怖は同じだ!)強引に彼女を立たせ、頬を張った。「八雲! しっかりして! 播磨君を助けなくちゃいけないのよ? 目を開けて手伝って」
二発三発と張った所で八雲の目に力がこもった。
「せ…先輩? ごめんなさい。播磨さんが…播磨さんが」
「わかってる。ね、だから直ぐに動かなきゃ。…あなたは播磨君の容態をみて? 私は警察と消防に連絡するわ!」
直ぐさま行動に移れるのは八雲自身が持っている心の強さだった。こんな時にも関わらず、彼女の強さに喜びを感じた。
携帯を取り出しながら彼の容態を見てみた。

(播磨さん…生きてる!)
彼の容態は最悪であるのは間違いない。
全身ほとんどが切り傷に覆われていた。これは心配ない。
だが片耳は削がれ、両指の何本かは砕かれていた。それは両足の脛から下も同様で壊死が始まっていた。異臭の原因はこれだったのだ。
恐ろしいのは太ももである。そこには何ヵ所も肉が抉られていたのだった。
反面、彼の顔は憔悴の極みであったものの、きれいなままであり…初めて見る男性器の回りも傷一つない状態であった。
手足の拘束も早く処置しなければならなかったが、まず彼の口をふさぐ拘束具を外した。
「播磨さんっ! 私です。わかりますか?!」彼の視線は力なくさ迷っていたが、何度も呼び掛けた事でようやく瞳に光が宿った。

…しかし…彼の視線のその先…
携帯を手にした高野がいて、…もう1人の姿が…。

674 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/26(木) 04:59:53 ID:WV7eHyk6

…結局、学校には行かなかった。勤務評価より拳児君との時間の方が大事だから。
「…拳児君?」私は驚きを隠せなかった。何故なら、私の居ない間に拳児君が浮気だなんて…!
浮気相手が二人もいる。両方見知った生徒だ。高野 晶と塚本 八雲…。
よりにもよって、茶道部! 私は事態の異常さに愕然となった。
「拳児君。…どうして浮気なんてするの?」
確かに拳児君は魅力的だ。八雲君も彼に好意を持っている事も知っている。
…高野までが居るのは予想の範囲外だが、やはり私の拳児君だから、彼に好意があったのだろう。
(私が授業にでなければ、この泥棒猫どもに拳児君を奪われていた?)
忌々しいガキが私を睨み付けている。…追いだせねば!
拳児君にまとわりついている八雲も不愉快だが、盗人猛々しい顔つきの高野が邪魔だった。
彼女は私から逃れ様と扉に回り込もうとしたが、私の方が素早く彼女を捕らえた!
(私の拳児君を惑わす雌犬風情が!)
彼女の顎を掴んで、壁に叩きつける。
力加減なしの一撃で高野は崩れ落ちた。

(播磨さん!)背後の異常事態が何なのかは、播磨さんの視線と高野先輩以外の気配でわかった。帰って来たのだ。
…刑部先生の怒声と「早く逃げて!」と叫ぶ先輩の声。
(逃げる前に播磨さんの拘束を解かなきゃならない)私は周囲に散らばる皿やナイフに目を走らせた。
背後から激突音。振り向くと壁に叩きつけられた先輩が崩れ落ちるさまを見た。
この瞬間、私の手にはベッドの足元に落ちていたカッターナイフを拾っており、返す刀で播磨さんの右足側を拘束するロープを切断できた!…刑部先生の方は先輩に蹴りを放っていて私から目を離していた。
(高野先輩…ごめんなさい!)非常事態ゆえに高野先輩をだしにしたのは利己的そのものだ。私は私の嫌らしさに不快感以上のものを感じたが、今は先に進む方を選んだのだ。
右足側が奇跡の様に切れたに対し、左側はしつこく硬かった。しかしどうにか繊維をたち切ってみせた。
途端、震えがくるほどの殺気が私を貫いた。
…比喩ではなく、私が持っている感応力だ。
しかし、もう負けていられない。私は渾身の気力をふるい、播磨さんの左手の拘束具に刃を突き入れた!
「妹さん!!」突然の声に私は播磨さんを見上げる。
…彼と目があった。

…次の瞬間、私の網膜に白魚の様な指が映り、視界が閉ざされる。これが私が見た最後の視界であった…。