874 名前:ユカラカキ ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:25:04 ID:OvJlqf/l
ご無沙汰していました。
播磨のハーレムシリーズを書いていたユカラカキです。
>>456で書いた通り、今回は時系列を少し戻り、ヒロインは八雲となります。

ヤっている順番(時系列)としては
冴子・梢(カラオケ)→冴子・梢(屋上)→絃子(家で絡まれ)→円(体育館裏)→美琴(体育館裏)→絃子(朝フェラ)→八雲(今回の話)→美琴(裸エプロン)
裸エプロン後に、お嬢様登場予定です。

まずは、おにぎりから。

875 名前:「お手伝い」 ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:27:10 ID:OvJlqf/l

――部屋が暑い。
僅かに、汗が胸の谷間を伝う。
塚本八雲は目の前で執筆を続ける播磨に悟られないよう、熱い吐息を漏らす。
季節は冬。
冬休みも近づいてきたこの時期に暑い筈が無い。
八雲の体温を上昇させている原因は……播磨の"思考"だった。
「ホントにすまねー、妹さん。いつもいつも助けてもらっちまって……」
申し訳なさそうな声が八雲の耳朶を打つ。
同時に心の声も。

そうだ、助けてもらってるのに
こんなこと考えるな俺
妹さんの胸、でけぇ
ダメだ
もみてぇ
ヤメロ
梢みてーにたぷたぷと
考えるな俺!
集中し……  
そんな場合じゃ
四つんばいにして――うおぉ、くそっ、勃つな!

情熱的な愛撫のように、八雲に欲情した"声"が心を犯しているのだ。
「ふぁ……」
つい、播磨の思考通りのコトを想像して、また甘い吐息が。
(播磨さん、こんなんじゃ……原稿……)
同時に全く進んでいない真っ白な原稿用紙を見て不安になる。
これを完成させなければ播磨は――。

876 名前:ユカラカキ ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:28:11 ID:OvJlqf/l

◇ ◇ ◇

八雲が播磨から電話でヘルプを受けたのは数時間前。
慌てて指定された談講社26階の部屋へ駆けつけてみると……。
カーテンを腰に巻いて窓から逃げようとしている播磨が情けない顔で振り返っていた。

「インクをこぼしてしまって?
これはもう逃げるしかないとカーテンをくぐって窓から……。
でも、ここが26階だったことに気付いて途方にくれていたと……。
――じゃあ、とりあえず原稿を」

再生不可能な程にインクの染みた原稿用紙。
有名漫画家の原稿を滅茶苦茶にしてしまった。それはつまり――。
(なんとかフォローしないと、播磨さんの漫画家生命も……)

「頼む。助けてくれ妹さん!」

八雲に否応は無かった。

877 名前:「お手伝い」 ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:29:04 ID:OvJlqf/l

◇ ◇ ◇

その時は、普段通り何も聞こえず、何も見えなかった。
けれど、四足の小さな座卓に向かい合った時、播磨の瞳が胸元へ向けられた。
途端――"播磨の心"が視えるようになった。
自分に好意をもっている人の心が解る。その能力が播磨にも通じたという事は――。
戸惑い、そして紛れも無い喜びが八雲の心を覆った。

しかし、その声の内容は。

妹さんの胸――。
ぐっ、ナニ考えてやがる俺!
あいつらとは違うんだ
集中しろ
漫画に……
処理しねーと
冴子や梢を呼んだ方が
ちがっ
来てくれたのに   助けてくれるのに    
失礼なコト考えるんじゃねぇ!俺!
妹さんは大切な――。

噂は知っていた。
播磨が、美人でスタイルの良い先輩二人を侍らせている。
可愛い子なら見境がない。硬派から軟派へ鞍替えした。
絃子先生や妙子先生とも関係している。デートしているのを見た――屋上でエッチしていた等等。
最近流れ始めた播磨の"噂"は酷く、実際、教室で女の子と連れ立っている様子をみたらしい姉の天満は、
「やっぱりお猿さんだったんだ!」と怒り心頭だった。
(……播磨さん。噂、本当に……)
心が痛む。
けれど、心の中で自分を特別に見てもらっていることもヒシヒシ伝わってくる。
だから――心は痛いまま、"嬉しい"という気持ちもまた、小さく芽生えていた。



878 名前:「お手伝い」 ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:30:05 ID:OvJlqf/l

それから十数分の間。
播磨は原稿用紙を目の前にしても筆は動かず、ただ己と葛藤していた。
播磨の八雲にに対する欲望、逆にどれだけ大切な存在かという力説。
欲望にねじ伏せられそうになる度、八雲のことを思いやる心もそれ以上の力強さで発露する。
それら全てが思念となって八雲を愛撫するように心へ入り込んでいた。
(熱い……)
憎からず想っている相手に、激しく求められ、気遣われ、絶対に傷つけないよう渾身の力で護られている。
その様子をずっと見せ付けられているのだ。
じわりと、身体が熱くなる。……下腹の辺りが特に甘い熱を帯びている。
「あの――」
「なっ、なんだ?妹さん!」
慌てたように播磨が返事をする。
少し前の思考は、矢雲の上半身を脱がした上、襲うように胸に吸い付いているところを
もう一人の播磨が一生懸命止めていた……という妄想だった。
「お話……自分で作るんですよね?」
頬を染めつつも懸命に話しかける。元の原稿用紙は真っ黒。物語の筋も覚えおらずネームも無い。
播磨は"自分で考えるしかねえ!!"と断言し、作業にとりかかったもののこの有様。
まずはコレをどうにかしなければならないのだ。
「お、おう!ちゃ、ちゃんと考えてるぜ」
「じゃあ、ラブコメの続きを……?」
「い、いや!それはダメだ!」

この状態でそんなもん書いたら――

播磨の思考が見えて、再び頬に熱が戻る。
「ホラ、似たものを描いたらニセモノってバレるだろ。ここはいっそ――甲子園だ!」
播磨がそう宣言した途端、八雲の目の前から"声"が消えた。
(あ、漫画の方に……?)
どうやら、漫画を描くための頭に切り替わったらしく一瞬で雑念が消えた。
見ると、すぐさま机に齧り付いてガシガシと物凄い速さでペンを動かしている。
――こういうところを見ると、八雲は彼のその情熱が少し羨ましくなる。
彼のこの姿がみたくて、自分はアシスタントを引き受けているのかもしれないとすら思う。
「よしっ!お次はバトルだ!!これが少年漫画の王道よ!!」
……情熱の方向は、かなり個性的ではあるけれど。


879 名前:「お手伝い」 ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:31:12 ID:OvJlqf/l

審判は魔王、ナインは操られて――等。
もはや甲子園とは全く関係無い構想を熱く語る播磨に気おされながら、八雲は、ほっと心の中で一息つく。
(もう大丈夫、かな?)
「……次はどうするんですか?」
「こーなりゃ、次は当然――お色気しかねぇぜ」
ドクン。
八雲の鼓動が少し前に視た播磨の"妄想"を思い出し、跳ねる。
「え……」
「俺は苦手なんだが、間違いなく人気はでる!」
何も見えない。どうやらまだ漫画脳のままらしい。
「ただ何を描けばいいかわからん……。妹さん何かいい手はねぇかな?」
「え……!?え……あの、じゃあ……」
頭に浮かぶ先程の妄想を振り払い、真っ赤になったまま八雲は浮かんだアイディアを囁くため播磨に近づく。
(……恥ずかしい)
八雲の提案は「相合傘」。
これには播磨も大いに照れていて、さっきのような淫らな妄想は一片も浮かんでいない。
それどころか――。
「そういえば……!前に読んだ漫画でこういうのあったぜ!」
八雲が近づいても全く動じず、漫画のコトだけで頭の中が占められているらしい。
ほんの少しだけ寂しく思いながら話を聞く。
主人公がヒロインとぶつかって押し倒してしまうという典型例を描きたい、とのこと。

「いける!これならいけるぜ!」
「で……でも、大丈夫なんですか?」
ベタ過ぎる展開もさることながら、あまり描く機会の無い構図は難しい。人体が重なるような形は特に。
「うーむ、実際にやってみて構図を掴めば大丈夫なはず!」
「え…」
「そのためには……やってくれるか、妹さん!」
純粋に漫画のことだけを考えているのだろう、"声"は見えない。
何より。八雲には……播磨の頼みは断れない。
播磨に見つめられると、どうしても助けてあげたくなってしまうのだ。
「あ……あの……ハ、ハイ……」
「よっしゃ、助かるぜ!!」
ぐっと握りこぶしを腰へ引いて笑みを浮かべる播磨。
そのサングラスに隠れた瞳が八雲を捉えた時――。
"声"が復活した。

880 名前:「お手伝い」 ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:32:51 ID:OvJlqf/l

あれ?
……なにやってるんだ、俺?
そんな形で妹さんに密着したら
ま、まて、落ち着け
考えるな考えるな!!
どわーーーー、復活しちまった!!

覆いかぶさったら      襲っちまう         絶対
ぐおおおぉぉ!
何か違う手を
そうだ!!!

そんな思考を爆裂させたかと思うと、播磨はずささっと八雲から離れて、畳に仰向けになった。
「さあ妹さん!!俺におおいかぶさってくれ!!」

下なら
襲われる方の格好だもんな
覆いかぶさられるなら
大丈夫なハズだ!

「………」
八雲の頬がみるみる熱を帯びてゆく。
(あ……れって)
視線の先には仰向けになったことで強調された足の間にあるモノ。
ソレが漫画脳から煩悩に切り替わった途端に膨張、今ではズボンを思いっきり押し上げ、その大きさを誇示しているのだ。
「あ!まず『あ』っていって転んでくれ」
まだ気付いてないのだろう、八雲から瞳を反らしたままの播磨から指示が飛ぶ。
「そうですか……『あ』」
自分でも棒読みだと思う声を上げて、ふわりと播磨へ向けて倒れ込む。
瞬間。獣のような男の香りが八雲を包む。
顔が近い、肌が近いのだ。
(ぁ……)
とくん。とくん。静寂の中、心臓の音が聞こえるような気がする。

881 名前:「お手伝い」 ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:34:34 ID:OvJlqf/l

妹さん
いい香り
喰いてぇ  ダメだヤメロ
ぜってぇぇ、させねぇ
襲ったら
後悔      大切な――。
我慢   シロ    

既に漫画脳は遥か彼方に消え去り、今、八雲の全身を播磨の欲望と理性が奔流のように駆け巡ってゆく。
(ぁ、播磨さん。こんなに私を……欲しがって……)
また、身体が熱くなる。
顔が、近い。肌が近い。良く視ると整った精悍な顔立ち。
もっと近づきたくて――つい、身体を沈ませてしまう。
たぷんと揺れる胸の先端が播磨の胸板へ。

うおおおおぉぉぉぉ
妹さん!近づきす
鎮まれ、ぐぁぁ!!
なんか、難しいこと考えろ俺!!
数式とかいいっていうよな?  
いんいちが……なんだっけ?  
うぁ、やわらけぇ
揉みしだきたい……吸いてぇ
やめろぉぉ
描き終えたら、絃子に頼んで
梢か冴子ん家でもいい  いざとなりゃ城戸か周防に……
だから、妹さんには――

あんまりと言えばあんまりな播磨の思考に、八雲の心が燃える。
(播磨さんが、他の人の処へ……それは、いや)
力を抜き、身体全てを播磨にすっと預ける。
自分でも大きくなり始めたと自覚している乳房が、播磨の逞しい胸板でぐにゅりと形を変えた。

882 名前:「お手伝い」 ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:35:56 ID:OvJlqf/l

「はぁ……」
「ぬぉっ!!妹さ……」
「こんな、感じ――ですか?」
真っ赤になりながらも、そう尋ねる。
既に播磨の思考は欲望で染まりつつあり、腕は無意識か矢雲を抱きしめるように背に回され始めている。
「あ、いや……ぐっ」
「ぁ……」
そして、自己主張の激しいモノが丁度、八雲の足の間へ。
体重を預けるとぐぐっと熱を帯びた太いソレが、八雲の泉を制服のスカート越しに刺激してくる。
今や播磨のモノは完全にそそり勃っていた。
「妹さ……ん、逃げてくれ」
「え?」
苦しそうな播磨の声。
「すまねぇ、襲っちまいそうだ。俺ぁこんな男なんだ……ホント情けねぇ。頼む、逃げて、くれ」
サングラスが落ちる。
そこには泣き出しそうな播磨の瞳。
野生的ながら整った顔立ちに、悔しさを湛えた瞳の色。
トクン。トクン。
熱い気持ちが鼓動を早める。

思わず微笑が浮かんでしまう。
その瞬間、八雲の心は――解放された。

883 名前:「お手伝い」 ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:41:05 ID:OvJlqf/l

「大丈夫、です」
ぐっと腰を落として播磨の欲望の証と、自分の秘所を制服越しに密着させる。
「どわっ!」
「あの――苦しそうだから、その……こちらもお手伝いします……」
クスクスと美術室で会ったあの子の笑い声が聞こえるような気がした。
"この期におよんで、まだそんな言い訳?"と。
「手伝いって……そりゃ」
「播磨さんの。え……と、シたいよう……に、して下さい」
播磨の頭の中で繰り広げられていた妄想を思い出しゾクリと背筋が震える。
(私、あんな風に……)
突然、ぐっと身体が抱きしめられた。
「すまねぇ、ホント。妹さんには頼りっぱなしで……こんな」
ぐりっ、強く熱いモノが押し付けられる。
「ふぁ……だ、大丈夫……ですから」
顔が今までよりずっと近くなる、自然と瞳を閉じると。
唇に温かな感触。
(ファーストキス……播磨さんと)

884 名前:「お手伝い」 ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:43:08 ID:OvJlqf/l

やわらけぇ
傷つけないように
たっぷり犯してやる
やめろ!優しくだ
妹さんの気持ちを――
すまねぇ
もう、我慢は
うぉぉ            妹さん
好きだ
優しい   でも天満ちゃんを
でも妹さんは     ぐぉ    俺は――   

混乱した思考の中で、播磨の欲望と好意と謝意が八雲の心を侵食してゆく。
唇を通すと、その感情はハッキリ把握出来た。
(好き……って想いが少しだけ……。ぁ――嬉しい)
ゾクゾクゾク。
数多の少女と関係を結んで、獣欲のままに貪っている男。今も八雲で性欲処理をしようとしている。
それでも、播磨の心に僅かな"好き"があるだけで、八雲の心は満たされてしまう。
その好意を播磨の心に残す為ならば何でもしたくなってしまう程、嬉しい。
(私――播磨さんが、好き。こんなに……)
まだ言葉にして伝えることが出来ない。だから――。
ちゅぴ……。乱暴に差し込まれる舌を迎える為、唇を開く。
"不器用ね。まあ、いいわ。面白い展開だし"
また、声が聞こえた気がした。


885 名前:ユカラカキ ◆57bPn7v4tg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 05:45:13 ID:OvJlqf/l

ここで前編終了です。
後編はエロエロ、甘甘三昧になる予定です。
この作品が終わった後は、ミコちんとお嬢様の親友丼をと考えています。

ではではー。

最終更新:2009年05月25日 20:55