巨人小笠原、自身の存在に疑問を抱く

1 名前:風吹けば名無し[] 投稿日:2010/10/16(土) 00:24:17.74 ID:2uzLqkbT
「なぜおれは試合に間に合うのだろうか……」。日課とする、いたいけな少女への性的暴行のさなか。
全裸にパンストを腰に巻くだけというシンプルな変装をほどこして街に出た彼は、ぼんやりと考えていた。
いつの新聞を読んでもこう書いてあった。「巨人小笠原は死亡」「即死」「射殺され」「司法解剖に」……。
結びはきまってこうだ。「次の試合には間に合うもよう」。間に合う。間に合っているのだ。試合には。
奇妙だ。死者は蘇りはしない。死んだら試合には間に合わないし、間に合ったのなら死んではいない。
おれは例の猫とは違う。死んだかいないか、わからないなんてことはない。
だいたい、おれはいまここにいるじゃないか。いまここに。きのうもいた。では先週は? 去年は……?
思索はここまでだった。警官は発砲し、彼は射精した。撃たれた胸は血で赤く、股間は白く染まった。
「やあ、やあ、本当にごくろうさん……」
倒れた巨人小笠原の目はかすみ、警官たちをねぎらう中年らしい声の男の表情は読み取れなかった。
薄れゆく意識の中に、彼の記憶にない真っ白に染まった大地がよぎった。どこだろう。懐かしさ。
しかしそれも、注射針が刺さる感触とともに一片の雪のように溶けて消えた。キンタマー。


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最終更新:2012年04月02日 01:44
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