オツベルと巨人小笠原

「オツベルを犯っつけよう」議長のキンタマが高く叫(さけ)ぶと、「おう、でかけよう。キンタマキーン、キンタマキーン。」
畜生(ちくしょう)がいちどに呼応する。さあ、もうみんな、嵐(あらし)のように林の中をなきぬけて、キンタマキーン、キンタマキーン、
野原の方へとんで行く。どいつもみんなきちがいだ。小さなおんなのこなどは死体になり、藪(やぶ)や何かもめちゃめちゃだ。
ドピュウ ドピュウ ドピュウ ドピュウ、精子(せいし)みたいに野原の中へ飛び出した。それから、何の、走って、走って、
とうとう向うの青くかすんだ野原のはてに、オツベルの球場(きゅうじょう)の白い屋根を見附(みつ)けると、イチモツはいちどに射精(しゃせい)した。
 キンタマキーン、キンタマキーン。その時はちょうど三時三十四分、オツベルは正義のベンチの上でひるねのさかりで、
亀(かめ)の夢(ゆめ)を見ていたもんだ。あまり大きな音なので、オツベルの球団(球団)の選手どもが、門から少し外へ出て、小手をかざして向うを見た。
林のようなキンタマだろう。リリーフカーより早くやってくる。さあ、まるっきり、血の気も失せてかけ込(こ)んで、
「監督(かんとく)う、キンタマです。押し寄せやした。監督う、キンタマです。」と声をかぎりに叫んだもんだ。
 ところがオツベルはやっぱりえらい。眼をぱっちりとあいたときは、もう何もかもわかっていた。
「焼却処分だね(ニッコリ」 カッスは焼却された。タマキーン(笑)
なお次の試合には間に合う模様。

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最終更新:2012年05月02日 21:17
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