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12話


《偽典・八戸のぶなが物語12》

夏も終り高校三年時のドラフト会議。
八戸のぶながは史上初となる14球団同時1位指名という栄光を受けた。
ドラフト前からマスコミは八戸を清原、桑田、山田、松井以上の逸材と騒ぎ立て、彼の意中の球団を知りたがったが、八戸には特に希望の球団も拒否するつもりの球団もなかった。
(強いて言えばかつて父が在籍していた※※に行きたい気持ちはあったが、八戸は近年の※※軍の金にものを言わせるやり方が嫌いでもあったので複雑な所だった)
運命のその日。
マスコミが、野球関係者が、いやすべての野球を愛する人間が注目するドラフト会議で、
当たりの紙を引き当て八戸のぶながとの交渉権を引き当てたのは、四国アイアンドッグスを率いる犬飼小次郎監督だった。
犬飼監督はその日の会見で
「八戸のぶながは俺を遥かに超え、あの沢村栄治さえしのぐ逸材。野球界の至宝となるべき男だ。この幸運を逃すつもりはない。必ずうちのチームに入団してもらう」
と語った。
その次の日、犬飼監督は球団代表ともに自ら八戸家を訪れ、のぶながに対して熱く語りかけた。その中で犬飼監督はこんなことを言った。
「~~のぶなが君。俺は君の父上を尊敬している。君の父上に憬れて野球を始めたと言っても過言じゃない。いや、多くの野球少年が俺と同じだろう。
…だが、そろそろ野球界は世界の※に代わるスターを発掘しなくてはならない。そしてその役割を果たすのに、君以上にふさわしい人間はいないだろう。
野球選手として君は父上を超え、君が『世界の八戸』と呼ばれるようになるべきだ。微力ながら俺にその手伝いをさせてくれ」八戸が※選手の隠し子であることは野球界では公然と知られた秘密であった。
八戸は犬飼監督のその言葉に心を打たれた。八戸の素性を知りつつ、腫れ物に触るような物言いをしなかった犬飼監督のストレートな性格も八戸は気に入った。
「お世話になることになります。――FA権を取得するまでのことだとは思いますが」

むろん最後の一言はジョークだ。犬飼監督は一瞬目を丸くしたが「ピッチャーはそのくらい生意気な方が大成するな」と豪快に笑った。
翌朝、スポーツ新聞の見出しに「八戸のぶなが、四国アイアンドッグス入団決定!」の文字が踊った。