翻訳記事 > カリル・スターブロウとブラウンドラゴン

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&ls_line(サプリメント,sep=|) http://www.glorantha.to/~tome/lib/kallyr_dragon.htm *カリル・スターブロウとブラウンドラゴン by ジェーン・ウィリアムズ(Jane Williams) 実際にブラウンドラゴンを召喚したのは誰だったのでしょうか?  またその所期の目的は? **原典 5つの原典があります。それぞれ信頼度や詳しさ(このふたつは通常反比例しています!)が異なります。全て「年代記」のものです。 1、「合史」 2、「アーグラスのサガ」 3、“青の”ミナリス 4、草飼う民の歴史(「年代記」144ページ) 5、羽馬の女王の列伝(「年代記」282ページ) 6、聖王紀略(「年代記」192ページ) **「合史」 主な解説は「合史」にあります。が、いつも通り、カリルとアーグラスに関する事柄については、バイアスのため全幅の信頼を置くことはできません。ここでは説明を引用することはしません。オーランス信者側でそこにいたことが明記されているのは、“紫の” ミナリスだけです(他にも何者かがいたことは明らかですが)。“竜族の友”オーラロントがそのドラゴンを知らなかった、と述べられていることから、そこにいたことがほのめかされています。カリルは部隊を集め、事件に最初に反応したと述べられていますが、そこにいたとは述べられていません(ここで「合史」のバイアスを思い出してください!) 「合史」に対する私の考えを述べれば、彼は事件の場におらず、デンセロス(訳注:「合史」の著者)も彼がそこに居たことにすることができなかったか、または語ることができないほどばつの悪い事をしたのかのいずれかだったのでしょう。 **「アーグラスのサガ」 これは事件の遥か後に書かれたため、「合史」の単なる繰り返しになっています。新たな情報はありません。 >『アーグラスは故郷の人々をルナーの圧政から解き放ちたいと思っていた。だが、ルナーの[邪悪な]月の魔術は非常に強力だった。これをうち負かすには何か特別な力が必要だと、アーグラスには分かっていた。 >彼はインゴルフの子“竜の男”オーラロントや「紫の見者」とともに考えを巡らせた末、ルナー軍司令部の近くに眠っていた巨大なドラゴンを目覚めさせることに成功した。怪物は周囲の人々を襲い、帝国の指導者たちや魔術師たちを呑み尽くした。』 この時代になされた事はすべてアーグラスの業績、との仮定がここでは明らかです。紫の賢者というのは“紫の”ミナリスです。オーラロントがインゴルフの実の息子であことはありえそうにありませんが(両者の生きた時代には数世紀の隔たりがあります)、インゴルフの知るドラゴンの知識を再発見し、インゴルフの道を辿った者なのでしょう。 **“青の”ミナリス >『一六二五 地の季・調和の週・土の日、オーラロントがドラゴンを呼び出し、ブラックマー王を殺した。私は“四たび生まれたもの”アズボーンに従い、ルナーの奴隷農場を焼いた。』 これはオーラロントが関係していたことを裏付けるものです。陰謀者たちについて、さらなる言及はありません。レイカ(訳注:コリマー族の女王)は参加していなかったのでしょう。彼のレイカへの傾倒を考えれば、(もし参加していれば)それに触れているだろうからです。大地の季、調和の週、土の日という日付は「合史」と合致します。 **草飼う民の歴史 >『“仇討ちの”ジャンデティンは次の首領であり、自国を守りドラゴンの陰謀団に加わった。彼は太陽を召喚しておのが身に宿らしめ、世界中のドラゴンがルナーの指導者と軍隊を滅ぼす儀式の際は、儀式の「夢」の段で踊った。かくして彼は自分の家族を殺した者に復讐したのである。彼はまた友であるアーグラス王を助け、羽馬の女王と結婚させた。』 これは決定的なものだと思えます。ジャンデティンが儀式に乱入した七人の一人なのか、あるいはどこかで行われた補助的な儀式の参加者だったのかは明らかではありませんが。「彼は太陽を召喚しておのが身に宿らしめ」……太陽はオーランスの輪の星ではありえません! ルナーの儀式ではタティウスが太陽の役割を演じていたので、ジャンデティンが演じたのがルナーの一団の中の“惑星”だったのか、他の儀式でのものなのかはわかりません。 **羽馬の女王の列伝 これはこの時期の羽馬の女王がドラゴンと何らかの関係を持っていたことを暗示しています(それが何かは断定し難いですが)。 >『次の女王は「心苦き君」であり、下劣な敵に部族の復讐をするために息子を送った。彼女は影の中のゆがみとなって彼を助け、任務を達成したあとに彼を裏切った。彼女は戦闘部隊を応援し、初めてヴェンドレフの氏族を別の土地に移住させた。彼女は自分の姉妹と戦ったが、彼女自身の中の虫に裏切られた。 “復讐者”ジャンデティンが踊りを踊ったとき、女王は虫が彼女の子宮を食い破ったために死んだのである。彼女は一人であり、人々のために祈ったり泣いたりすることはなかった。それでも「黄金の目」は彼女を迎えに来た。』 「虫」というのが「ドラゴン」のことであり、羽馬の女王はまた大地の女祭であることに留意して下さい。「子宮を食い破った虫」というのは、大地から現れたドラゴンの事であり、彼女がそれを引き起こした事を暗喩しているのでしょう。「黄金の目が迎えに来た」というのは、彼女の民は誰もそばにいなかったけれども、実際に彼女は正しい場所にいたということです。すなわち、彼女はルナー側についており、ドラゴンに喰われたのです。黄金の目が迎えに来たのは、彼女の行動にも関わらず、彼女はいまだ女王であったからです。彼女がどちらの側にいたのかを解決するには、彼女の息子が何をしたのか、下劣な敵というのが誰なのかを理解する必要があるでしょう。「影の中のゆがみ」というのはカイガー・リートールの養子縁組儀式を思い出させますが、この時期にトロウルとの繋がりがあったのは知りません。彼女の息子がジャンデティンなのではないかとも考えられますが、どのように彼を「裏切った」のかは分かりません。「任務が達成」された後に、彼女は死にました。 **聖王紀略 これは、ターシュ王たちをごちゃまぜに記したものです。この中には「アンステイ」と呼ばれる王がいます。他の王についての年代がかなり不正確であるので、彼の治世についても年代は無視することにします。彼はターシュの初め頃から第四期までのどの時代にいてもおかしくありません。しかし、彼についての記述は聞き知ったもののように思えます。『彼は大王とともにドラゴンの踊りを行った。彼の高貴な血が大地に降り注いだとき、すべての花が開いた。』 さて、似通った名前の二人の人物を同一人物だと見なす理論はあまり好きではないのですが、「アンステイ」は「アンスタッド」に非常によく似ている事を指摘しておきたいと思います。“ダンストップの”アンスタッドは(ムラリクの後の)ターシュ王であり、そしてまたアーグラスの豊穣の御手でした。彼がジャリールに及ぼした影響から判断して、彼は豊穣と強いつながりがあったと思われ、記述はそれに符合します。また彼が一度ならずアーグラス軍の一翼を率いた事から、並外れた戦士であったことも間違いありません。 **オーランスの環 「合史」の記述は七人のオーランス人(または幾組かの七人?)が、オーランスの環として儀式を妨げたと告げています。他の者たちももちろん関係していたのでしょうが、どこか別のとこものと思われます。七人の中には、“紫の”ミナリスがいたでしょう。おそらくオーラロントも。ジャンデティンが踊りを踊ったのは分かっていますが、オーランスの環ではなく太陽の役割を演じていたのは明らかです。 オーランスの環は『古の秘密』に星座として次のように記されています。 >『……この星座は7つの橙色の星と、「竜の頭」と呼ばれる明るい緑の星からなる。空に現れるときは地平から昇るのではなく、いつも「中空」に姿を現す。ちょうど1週間かかって天の円蓋を昇り、極星に至る。しかし、「オーランスの環」が上昇するあいだも天は回っているため、下界の人間の目には、この星座は1週間をかけて螺旋状の「嵐」のルーンを天に描いているように見える。極星に着いてしまうと、もう1週間、姿を隠してしまう。』 また「竜座」の次の部分に注目して下さい。『……また、「オーランスの環」の中の緑の星は、かつてはこの星座の一部だったという点でも、大方の意見は一致している。オーランス信者の神話には、「竜の父母」をオーランス神が打ち負かし、その死骸を天に残したという、有名な神話がある。』 **ポーラリス 「合史」によれば、ルナーの儀式はポーラリスの司祭の振付師に指揮されていたことは明らかです。代名詞を注意深く検証することで、実際には男女2人のポーラリスの代表者がいたことが分かります。神話ではポーラリスは「舞踏の女神」と結婚したとされているので、「ポーラリスの女祭」というのは実際にはポーラリスではなくこの女神の代表者だったのかもしれません。 >『星々の舞踏の指揮者である極星がそこで祈りと集中に必死になっていた。オーランスの輪の民ははじめは極星の邪魔はしなかったが、ついに耐えきれなくなり、祈りで極星の祈りと集中を乱した。輪になった人々はオーランスを呼んだ。極星の女司祭は目を見開いてオーランス人が血まみれの死体を抱いて宙に飛び上がるのを見た。』 なぜオーランス人たちは儀式の指揮者を邪魔しようとしなかったのでしょうか? 私が指摘された理由の一つは、星々の動きです。天空では、オーランスの環は天の中心にある極星に向かって動き、そこで消え去ります。おそらくオーランス人の儀式は最高潮に達するまでは極星の存在が必要だったのではないでしょうか。 もう一つの考えとしては、オーランス人たちは儀式を邪魔するだけでなく、儀式の力を自分たちの目的のために使おうとしていたというものがあります(それは彼らに別の目的があったことを示します。それはドラゴンを召還することだったかもしれません) おそらくどちらの理由もあったのでしょう。彼らはその力を使っただけでなく、ポーラリスの存在も利用したのです。ではどのような目的で? 「年代記」のオーランス人の神話の部分に戻ると、大暗黒の初め、オーランスのステッドが混沌に襲われたときの神話を見つけることができます。オーランスは敗れ、部族は逃走しました。『そこには一頭のドラゴンがいて、極星も逃げるのを助けてくれた。』 詳細は述べられていません。しかし、1625年のオーランス人たちは、おそらくルナー人たちを混沌と結びついけて考えていたでしょう。もし彼らが戦いでドラゴンに助けてもらおうとするなら、これは明らかに求める神話でしょう。『極星も助けてくれた。』 オーランス人たちは極星に強い結びつきは持っていません。正規軍指揮官の神として、ポーラリスはオーランス人たちに提供するものはほとんどないかれあです。カリルは個人的にポーラリスとのつながりがありましたが(別項で詳述されています)、この規模の儀式を援助するに十分な数のポーラリス信者を見つけることはできなかったでしょう。大規模な儀式でポーラリスの要素を必要とするならば、彼らはルナーの儀式を横取りする以外には手がなかったのです。 神話には『一頭のドラゴンがいた』 としか書かれていません。もし何かしたのならば、どちらの側についたのかも述べていません。そしてブラウンドラゴンはルナー人たちと一緒にオーランス人も食べようとしていました。オーランス人がドラゴンを支配できるようになるのは、かなり後になってアーグラスがEWFの秘密を再発見してからになるのです。 **まとめ:誰がそこにいたのか? これらのことから誰が参加し、誰がグループを率いたかという結論に達することはできるでしょうか? 実際に儀式に参加したものは:“紫の”ミナリス、オーラロント。 儀式に参加したものの、オーランスの環の一部である必要はないものは:カリル、ジャンデティン、羽馬の女王、アンスタッド。 環には7人がいたことを知っていますので、明らかに何人かの名前が欠けています。 では、アーグラスはそこにいたのでしょうか? 後世の記述は全て彼がそこにいたとしいます。しかしながら、その同じ記述はアーグラスは1625年から王となり、サーターの炎を灯したのは彼だともしているのです。“紫の”ミナリスとオーラロントはアーグラスの仲間に数えられています。しかし、彼らはまたカリルの仲間だともされています。明白な証拠として考えるのは、「合史」が彼について何も述べていない事です。もし些細なことであれ彼が何らかの事をしていたならば、デンセロスは彼の行いを熱のこもった調子で記したことでしょう。記述が無いということは、彼がそこにいなかったか、あるいは語ることができないような事をしたかどちらかだということを示しています。個人的には、彼が語ることができないようなことをできたとは思えません。「主役ではなかったが、そこにはいた」ということもなかったと思います。デンセロスは、サーターの炎を灯したのがあたかもアーグラスであるかのように喜んで書き直しているからです。この時期のアーグラスの記述を見るに、ドラゴンのエピソードが起こっていたとき、アーグラスはパヴィスにいたとするのがもっとありそうなことに思えます。 **訳者補記: 99年12月のGlorntha on Line のQ&Aで、この事件についてのオフィシャルの回答があった([[ここ>http://www.glorantha.com/greg/q-and-a/stellar-faq.html]]を参照)。やはり事件を起こしたのはカリルだったようである。 また、Hero Wars のキャンペーンソースブック「Sartar Rising !」では、このドラゴンの召還に関わるキャンペーンが収録されるとされている。それが発売されれば、この事件についての真相が判明するだろう。 ---- #comment_num2(vsize=10) ----
&ls_line(翻訳記事,sep=|) http://www.glorantha.to/~tome/lib/kallyr_dragon.htm *カリル・スターブロウとブラウンドラゴン by ジェーン・ウィリアムズ(Jane Williams) 実際にブラウンドラゴンを召喚したのは誰だったのでしょうか?  またその所期の目的は? **原典 5つの原典があります。それぞれ信頼度や詳しさ(このふたつは通常反比例しています!)が異なります。全て「年代記」のものです。 1、「合史」 2、「アーグラスのサガ」 3、“青の”ミナリス 4、草飼う民の歴史(「年代記」144ページ) 5、羽馬の女王の列伝(「年代記」282ページ) 6、聖王紀略(「年代記」192ページ) **「合史」 主な解説は「合史」にあります。が、いつも通り、カリルとアーグラスに関する事柄については、バイアスのため全幅の信頼を置くことはできません。ここでは説明を引用することはしません。オーランス信者側でそこにいたことが明記されているのは、“紫の” ミナリスだけです(他にも何者かがいたことは明らかですが)。“竜族の友”オーラロントがそのドラゴンを知らなかった、と述べられていることから、そこにいたことがほのめかされています。カリルは部隊を集め、事件に最初に反応したと述べられていますが、そこにいたとは述べられていません(ここで「合史」のバイアスを思い出してください!) 「合史」に対する私の考えを述べれば、彼は事件の場におらず、デンセロス(訳注:「合史」の著者)も彼がそこに居たことにすることができなかったか、または語ることができないほどばつの悪い事をしたのかのいずれかだったのでしょう。 **「アーグラスのサガ」 これは事件の遥か後に書かれたため、「合史」の単なる繰り返しになっています。新たな情報はありません。 >『アーグラスは故郷の人々をルナーの圧政から解き放ちたいと思っていた。だが、ルナーの[邪悪な]月の魔術は非常に強力だった。これをうち負かすには何か特別な力が必要だと、アーグラスには分かっていた。 >彼はインゴルフの子“竜の男”オーラロントや「紫の見者」とともに考えを巡らせた末、ルナー軍司令部の近くに眠っていた巨大なドラゴンを目覚めさせることに成功した。怪物は周囲の人々を襲い、帝国の指導者たちや魔術師たちを呑み尽くした。』 この時代になされた事はすべてアーグラスの業績、との仮定がここでは明らかです。紫の賢者というのは“紫の”ミナリスです。オーラロントがインゴルフの実の息子であことはありえそうにありませんが(両者の生きた時代には数世紀の隔たりがあります)、インゴルフの知るドラゴンの知識を再発見し、インゴルフの道を辿った者なのでしょう。 **“青の”ミナリス >『一六二五 地の季・調和の週・土の日、オーラロントがドラゴンを呼び出し、ブラックマー王を殺した。私は“四たび生まれたもの”アズボーンに従い、ルナーの奴隷農場を焼いた。』 これはオーラロントが関係していたことを裏付けるものです。陰謀者たちについて、さらなる言及はありません。レイカ(訳注:コリマー族の女王)は参加していなかったのでしょう。彼のレイカへの傾倒を考えれば、(もし参加していれば)それに触れているだろうからです。大地の季、調和の週、土の日という日付は「合史」と合致します。 **草飼う民の歴史 >『“仇討ちの”ジャンデティンは次の首領であり、自国を守りドラゴンの陰謀団に加わった。彼は太陽を召喚しておのが身に宿らしめ、世界中のドラゴンがルナーの指導者と軍隊を滅ぼす儀式の際は、儀式の「夢」の段で踊った。かくして彼は自分の家族を殺した者に復讐したのである。彼はまた友であるアーグラス王を助け、羽馬の女王と結婚させた。』 これは決定的なものだと思えます。ジャンデティンが儀式に乱入した七人の一人なのか、あるいはどこかで行われた補助的な儀式の参加者だったのかは明らかではありませんが。「彼は太陽を召喚しておのが身に宿らしめ」……太陽はオーランスの輪の星ではありえません! ルナーの儀式ではタティウスが太陽の役割を演じていたので、ジャンデティンが演じたのがルナーの一団の中の“惑星”だったのか、他の儀式でのものなのかはわかりません。 **羽馬の女王の列伝 これはこの時期の羽馬の女王がドラゴンと何らかの関係を持っていたことを暗示しています(それが何かは断定し難いですが)。 >『次の女王は「心苦き君」であり、下劣な敵に部族の復讐をするために息子を送った。彼女は影の中のゆがみとなって彼を助け、任務を達成したあとに彼を裏切った。彼女は戦闘部隊を応援し、初めてヴェンドレフの氏族を別の土地に移住させた。彼女は自分の姉妹と戦ったが、彼女自身の中の虫に裏切られた。 “復讐者”ジャンデティンが踊りを踊ったとき、女王は虫が彼女の子宮を食い破ったために死んだのである。彼女は一人であり、人々のために祈ったり泣いたりすることはなかった。それでも「黄金の目」は彼女を迎えに来た。』 「虫」というのが「ドラゴン」のことであり、羽馬の女王はまた大地の女祭であることに留意して下さい。「子宮を食い破った虫」というのは、大地から現れたドラゴンの事であり、彼女がそれを引き起こした事を暗喩しているのでしょう。「黄金の目が迎えに来た」というのは、彼女の民は誰もそばにいなかったけれども、実際に彼女は正しい場所にいたということです。すなわち、彼女はルナー側についており、ドラゴンに喰われたのです。黄金の目が迎えに来たのは、彼女の行動にも関わらず、彼女はいまだ女王であったからです。彼女がどちらの側にいたのかを解決するには、彼女の息子が何をしたのか、下劣な敵というのが誰なのかを理解する必要があるでしょう。「影の中のゆがみ」というのはカイガー・リートールの養子縁組儀式を思い出させますが、この時期にトロウルとの繋がりがあったのは知りません。彼女の息子がジャンデティンなのではないかとも考えられますが、どのように彼を「裏切った」のかは分かりません。「任務が達成」された後に、彼女は死にました。 **聖王紀略 これは、ターシュ王たちをごちゃまぜに記したものです。この中には「アンステイ」と呼ばれる王がいます。他の王についての年代がかなり不正確であるので、彼の治世についても年代は無視することにします。彼はターシュの初め頃から第四期までのどの時代にいてもおかしくありません。しかし、彼についての記述は聞き知ったもののように思えます。『彼は大王とともにドラゴンの踊りを行った。彼の高貴な血が大地に降り注いだとき、すべての花が開いた。』 さて、似通った名前の二人の人物を同一人物だと見なす理論はあまり好きではないのですが、「アンステイ」は「アンスタッド」に非常によく似ている事を指摘しておきたいと思います。“ダンストップの”アンスタッドは(ムラリクの後の)ターシュ王であり、そしてまたアーグラスの豊穣の御手でした。彼がジャリールに及ぼした影響から判断して、彼は豊穣と強いつながりがあったと思われ、記述はそれに符合します。また彼が一度ならずアーグラス軍の一翼を率いた事から、並外れた戦士であったことも間違いありません。 **オーランスの環 「合史」の記述は七人のオーランス人(または幾組かの七人?)が、オーランスの環として儀式を妨げたと告げています。他の者たちももちろん関係していたのでしょうが、どこか別のとこものと思われます。七人の中には、“紫の”ミナリスがいたでしょう。おそらくオーラロントも。ジャンデティンが踊りを踊ったのは分かっていますが、オーランスの環ではなく太陽の役割を演じていたのは明らかです。 オーランスの環は『古の秘密』に星座として次のように記されています。 >『……この星座は7つの橙色の星と、「竜の頭」と呼ばれる明るい緑の星からなる。空に現れるときは地平から昇るのではなく、いつも「中空」に姿を現す。ちょうど1週間かかって天の円蓋を昇り、極星に至る。しかし、「オーランスの環」が上昇するあいだも天は回っているため、下界の人間の目には、この星座は1週間をかけて螺旋状の「嵐」のルーンを天に描いているように見える。極星に着いてしまうと、もう1週間、姿を隠してしまう。』 また「竜座」の次の部分に注目して下さい。『……また、「オーランスの環」の中の緑の星は、かつてはこの星座の一部だったという点でも、大方の意見は一致している。オーランス信者の神話には、「竜の父母」をオーランス神が打ち負かし、その死骸を天に残したという、有名な神話がある。』 **ポーラリス 「合史」によれば、ルナーの儀式はポーラリスの司祭の振付師に指揮されていたことは明らかです。代名詞を注意深く検証することで、実際には男女2人のポーラリスの代表者がいたことが分かります。神話ではポーラリスは「舞踏の女神」と結婚したとされているので、「ポーラリスの女祭」というのは実際にはポーラリスではなくこの女神の代表者だったのかもしれません。 >『星々の舞踏の指揮者である極星がそこで祈りと集中に必死になっていた。オーランスの輪の民ははじめは極星の邪魔はしなかったが、ついに耐えきれなくなり、祈りで極星の祈りと集中を乱した。輪になった人々はオーランスを呼んだ。極星の女司祭は目を見開いてオーランス人が血まみれの死体を抱いて宙に飛び上がるのを見た。』 なぜオーランス人たちは儀式の指揮者を邪魔しようとしなかったのでしょうか? 私が指摘された理由の一つは、星々の動きです。天空では、オーランスの環は天の中心にある極星に向かって動き、そこで消え去ります。おそらくオーランス人の儀式は最高潮に達するまでは極星の存在が必要だったのではないでしょうか。 もう一つの考えとしては、オーランス人たちは儀式を邪魔するだけでなく、儀式の力を自分たちの目的のために使おうとしていたというものがあります(それは彼らに別の目的があったことを示します。それはドラゴンを召還することだったかもしれません) おそらくどちらの理由もあったのでしょう。彼らはその力を使っただけでなく、ポーラリスの存在も利用したのです。ではどのような目的で? 「年代記」のオーランス人の神話の部分に戻ると、大暗黒の初め、オーランスのステッドが混沌に襲われたときの神話を見つけることができます。オーランスは敗れ、部族は逃走しました。『そこには一頭のドラゴンがいて、極星も逃げるのを助けてくれた。』 詳細は述べられていません。しかし、1625年のオーランス人たちは、おそらくルナー人たちを混沌と結びついけて考えていたでしょう。もし彼らが戦いでドラゴンに助けてもらおうとするなら、これは明らかに求める神話でしょう。『極星も助けてくれた。』 オーランス人たちは極星に強い結びつきは持っていません。正規軍指揮官の神として、ポーラリスはオーランス人たちに提供するものはほとんどないかれあです。カリルは個人的にポーラリスとのつながりがありましたが(別項で詳述されています)、この規模の儀式を援助するに十分な数のポーラリス信者を見つけることはできなかったでしょう。大規模な儀式でポーラリスの要素を必要とするならば、彼らはルナーの儀式を横取りする以外には手がなかったのです。 神話には『一頭のドラゴンがいた』 としか書かれていません。もし何かしたのならば、どちらの側についたのかも述べていません。そしてブラウンドラゴンはルナー人たちと一緒にオーランス人も食べようとしていました。オーランス人がドラゴンを支配できるようになるのは、かなり後になってアーグラスがEWFの秘密を再発見してからになるのです。 **まとめ:誰がそこにいたのか? これらのことから誰が参加し、誰がグループを率いたかという結論に達することはできるでしょうか? 実際に儀式に参加したものは:“紫の”ミナリス、オーラロント。 儀式に参加したものの、オーランスの環の一部である必要はないものは:カリル、ジャンデティン、羽馬の女王、アンスタッド。 環には7人がいたことを知っていますので、明らかに何人かの名前が欠けています。 では、アーグラスはそこにいたのでしょうか? 後世の記述は全て彼がそこにいたとしいます。しかしながら、その同じ記述はアーグラスは1625年から王となり、サーターの炎を灯したのは彼だともしているのです。“紫の”ミナリスとオーラロントはアーグラスの仲間に数えられています。しかし、彼らはまたカリルの仲間だともされています。明白な証拠として考えるのは、「合史」が彼について何も述べていない事です。もし些細なことであれ彼が何らかの事をしていたならば、デンセロスは彼の行いを熱のこもった調子で記したことでしょう。記述が無いということは、彼がそこにいなかったか、あるいは語ることができないような事をしたかどちらかだということを示しています。個人的には、彼が語ることができないようなことをできたとは思えません。「主役ではなかったが、そこにはいた」ということもなかったと思います。デンセロスは、サーターの炎を灯したのがあたかもアーグラスであるかのように喜んで書き直しているからです。この時期のアーグラスの記述を見るに、ドラゴンのエピソードが起こっていたとき、アーグラスはパヴィスにいたとするのがもっとありそうなことに思えます。 **訳者補記: 99年12月のGlorntha on Line のQ&Aで、この事件についてのオフィシャルの回答があった([[ここ>http://www.glorantha.com/greg/q-and-a/stellar-faq.html]]を参照)。やはり事件を起こしたのはカリルだったようである。 また、Hero Wars のキャンペーンソースブック「Sartar Rising !」では、このドラゴンの召還に関わるキャンペーンが収録されるとされている。それが発売されれば、この事件についての真相が判明するだろう。 ---- #comment_num2(vsize=10) ----

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