このページはhttp://www.glorantha.to/~tome/lib/eastisles.htmからの引用です
東方諸島
探訪百万の宝石の島々
~Rough Guide to East Isles.~
●地勢
・熱帯雨林が広がる。島と島のあいだはさほど離れていないため、「海洋の大閉鎖」のあいだでさえ島から島へとボートでわたることができた。
・北部にはヴォルメイン帝国が広がる。ヴォルメイン本州は鎖国政策により、中に入って無事に生還した者がいない。皇帝の神と、奇妙な色彩魔術を司る神々を信仰しているという。本州の外、「後背諸島」とよばれる島々には、ヴォルメインに支配されている現地民が住むが、その生活風習は普通の東方諸島の島々と大きな変わりはない。
・ベザルンゲイ沸騰海流は、沸き立つ海流が数メートルの壁となり流れ、この間の行き来は不可能となっている。これによって東方諸島は西部(ショーグ側)と東部(ヴィス側)にわけられる。
・東方諸島は「神々の百万の宝石」とも呼ばれる。大きな諸島は、モカトウ諸島、ハンファラドル諸島、アンディン諸島、ハラガラ諸島、ホマゴー諸島である。
・ホマゴーは食人神サリリゴールを信仰している。彼らは島外の者たちを食べることはないが、自分たちの神を熱心に布教してまわる。・ハラガラ諸島は近年もっとも隆盛をみせている地域であり、“大交易商”ジャディルロによって治められている。
・アンディン諸島は、反神を信仰する魔族(アンディン)の本拠地である。近年“貪婪王”デック・オルという王のもとに力を結集し、ハンファラドル諸島への侵攻を企んでいると噂される。
・ハンファラドル諸島は、起源をともにする島々のあつまりで、時のはじまりよりアンディン諸島の魔族と敵対している。東方には、淡水の海がひろがり、世界の果てのスラーマクの海流までつづいていると言われる。・モカトウ諸島は「宝石の島」ともよばれるモカトウを中心とする諸島である。モカトウは第二期、「東方海洋帝国」の首府であった。人々は現在では過去の栄光を偲び、古い追憶にひたっている。
・ヴィゼラ大陸は、ヴィスの宮殿がある「曙の大陸」である。その水や食べ物を食べたものは人間の世界へ帰ることはできなくなるという。●季節と交易
一年を通じて高温多雨だが、年の終わり(闇の季、嵐の季)にはカハール海に多くの台風が発生し、東方諸島をおそう。そのため、大陸との交易はおもに海の季~火の季を中心におこなわれる。クラロレラのルア・ノップからハラガラ島までは、およそ11日の航海である。
●言語
ヴォルメイン本州は帝国語。東方諸島はタニエン語族の諸言語。また、第二期のモカトウ帝国の使った「タニエン交易語」も広く知られている。
●東方諸島の非人間種族
キート
ヴィゼラ大陸はキーテラという地に住んでいた知性をもつ鳥族。ショーグ海に追われ、東方諸島各地に移住した。一部はジェナーテラに渡り、ドゥルルズ(ダック)族の祖となった。
ルードック
トガロ洋に広く住み着いている魚人族。東方諸島にも王国を築いている。
ザブダマー
カハール海に住む魚人族。女性は美しい人間の上半身を持つが、男性は醜い海坊主のような外見である。ザブダマーはカハールとハランターラーの子孫である。
アンディン
反神たちを信仰する魔族。体格は大きく、人間族より強力である。
古の種族
モスタリ、ウズといった古の種族はほとんどいないが、そういった島が無いわけではない。大きな島のジャングルではイエローエルフが見られることがある。
●信仰
島々の神々
人間の時代、現在の人間紀に先立つ「亜神紀」に東方世界を支配した、亜神(パロンドパラ)たちである。この神々は、島の外にはほとんど影響を及ぼさない。ほとんどの一般人にとって、島の亜神が唯一の信仰の対象である。
神々亜神のほかに、その支配のはるか昔に東方大陸を闊歩した神々がいる。高神(アヴァンパーロス)あるいは神(パーロス)とよばれる存在で、これらの神々の物語は島々でひろく知られているものの、重要なものだとは考えられていない。
反神「世界を維持する力」を司る高神・神・亜神たちとは反対の力をもつ「神々」たちを、反神(アドパラ)と呼ぶ。おおよそ邪悪な神々だが、老師に教えを請い、瞑想によって悟りを開き、偉大な力を得た反神もいた。
反神たちは、魔族(アンディン)たちなどに信仰されている。
悟法悟法は広く知られているが、一般人には「高尚すぎる」と考えられ、ほとんど実践をおこなう人はいない(禅のようなものと考えればよいだろう)。
●高神(アヴァンパーロス)
アトリリス Atrilith
大いなる自我、超越世界を創造した存在。偉大な法士や高神のみがそれを理解することができる。
ヴィス Vith
最高神高神紀に東方世界を支配した高神。すべての神々と反神の父。
ヨセナーラー Yothenara
愛の女神、神々の母ヴィスの妻神。愛と生命の女神。神々の母。
ゲブケラーン Gebkeran
反神たちの母神ヴィスの妻神。地界の女神。反神たちの母。
セラ Thella
曙の女神、夢の女神もともとは亜神だったが、高神となった女神。曙と夢を司る。オーランス人の言うゼイヤと同じ存在?
●神(パーロス)
ゴヴエメラーネン Govemeranen
支配の神魔竜ドグサールと愛の女神ヨセナーラーの子。ヴィゼラの宮に退いたヴィスの代わりに世界を支配したが、後に魔王オオルス・サーラーによって放逐された。
神知者はこの神をイェルムと同一視した。
ショーグ Sshorg
破滅の海流の神神々の時代に世界に洪水をもたらした神。現在はヴィゼラとパマールテラを隔てるショーグ海となっている。
カハール Kharl
霧の海の神、ザブダマーの父ヴォルメインとクラロレラの間にひろがる霧の海カハールの神。
ハランターラー Harantara
カハールの妻神、ザブダマーの母カハール海の女神。かつてはアブゼルドという楽土の姫神だったが、カハールに嫁ぐときに怒れる海の神々によって国土は海に沈んだ。いまは魚人ザブダマーが彼女の民である。
クラロレラの人々には、水竜トゥルヒン・ダーという名で知られている。
ヴェルドゥル Veldru
東方諸島の風神台風を追い払う、東方から吹く守りの風の神。
●反神(アドパラ)
ドグサール Dogsalu
最初の魔王、魔竜創造紀にあらわれた、最初の魔王。高神たちを破って世界を支配したが、最後には改心した。
ケルタリ Keltari
第二の魔王高神紀にあらわれた魔王。ヴィスと高神たちに大戦争をしかけた。
バンダン Bandan
魔族王神紀にあらわれた魔族の王。アンディン族の祖。
アアル Arlu
怪物の母神神紀にあらわれた反神。怪物たちの種族の母神。
オオルス・サーラー Oorusu Sara
最強の魔王神紀にあらわれた魔王。賢者に学び悟りを得る直前まで至ったが、欲望に負け、法力を悪用してその力で世界を支配した。その力は何者も及ぶものがなかったが、最後には賢者マシュナサンの瞑想により倒された。
アヴァナプドゥール Avanapdur
悪夢の王亜神紀にあらわれた反神。創られた神。ヴィゼラの人々を騙し、自らを信仰させ、ついにはヴィスに自分を信仰するように迫った。最後には、賢者マシュナサンによって「非在」の存在であることを証立てられ、信者と多くの島々と一緒に夢の世界へと消え去った。
●亜神(パロンドパラ)
ルーマヴォクソーラン Lumavoxoran
ハラガラ島の神興隆する海軍国ハラガラ共和国の守護神。島にある泉の色を通じて信者に徴を示す。近年の交易の拡大も、ルーマヴォクソーランのお告げによるものである。
ホービマロン Hobimarong
モカトウ島の神ホービマロンは「過ちを知らぬ神」と言われる。第二期、モカトウは「東方海洋帝国」を築き、神知者の「中部海洋帝国」と勢力を二分する帝国を築いていた。しかし、ホービマロンがそれを止めるように告げると、人々は疑いなくそれを受け入れたという。
サリリゴール Saliligor
ホマゴー島の神イルカと人間の女性の間に生まれた神とされる。食人をすすめるが、ホマゴー島のものが島の外の者を食べることは決して無い。
櫛と弁髪 Comb and Braid
ラスモラソマンゴン島の神整髪を司る神で、信者は髪に関する様々な秘密(禿を治す方法、永久脱毛など)を知っている。
●賢者(悟法の師)
ネンデューレン Nenduren
三大賢者の一。心の「静穏」により大いなる自我、アトリリスに至る方法を教えた。魔王オオルス・サーラーにより滅ぼされた。
ラーン・ハサマドール Larn Hasamador三大賢者の一。「無」の境地に至ることで世界との合一を説いた。
マシュナサン Mashunasan三大賢者の一。世界は「非在」、すなわち幻影であるとし、それから抜け出すことで大いなる存在と合一できると説いた。また魔王オオルス・サーラーや悪夢の神アヴァナプドゥールを瞑想により退け、滅ぼした。現在の悟法の主流である「正信派」の祖?
ダルジャ・ダナッド Darja Danad武術の道を開いた法士。亜神紀のはじめ、武術家たちを率いて魔族の本拠地ソルトゥムを攻撃した。現在の武術の流派(悟法の実践派)のほとんどはその源を彼にさかのぼることができる。
●その他
マルキオン教・ヴァルカロー派
第二期に聖ヴァルカローによって東方へ伝導された一派。ハラガラの北にある大きな島アンボヴォンベで支配的な他は、あまり信者は見られない。
●大いなるサイクル(循環紀)
1、創造紀(「緑の時代」)
アトリリスによる音楽と舞踏による高神の創造のあと、ヴィスとその二人の妻、ヨセナーラーとゲブケラーンによる世界の創造が行われた。
周期の終わり:「ドグサール戦争」
魔王ドグサールがヨセナーラーを誘拐し、ヴィスと反神たちの間に「ドグサール戦争」が行われた。魔竜は改心し、ヨセナーラーと結婚して戦争は終わった。
2、高神紀(「黄金の時代」)ヴィスによる支配の時代。平和の時代であった。
周期の終わり:「ケルタリ戦争」
魔王ケルタリに率いられた反神軍がヴィスの宮殿を攻め、ヴィスは天空に逃れた。ケルタリは世界を支配したが、最後には反神エネヴァルに倒された。
3、神紀(「嵐の時代」)ゴヴエメラーネンがヴィスの後を受けて神々を支配した。この時代は「平和の時代」とも呼ばれている。
周期の終わり:「オオルス・サーラー戦争」
魔王オオルス・サーラーは賢者に学んだが、解脱に達する直前に堕落し、世界の征服者になった。その力は強大だったが、賢者マシュナサンは瞑想のなかから稲妻の力をひきだし、オオルス・サーラーを倒した。
戦争のなかで、広大な大地が海に沈み、たくさんの島々が生まれ、またクラロレラとヴォルメインが分断された。
4、亜神紀(「大暗黒時代」)ゴヴエメラーネンは老い、世界をいくつかに分割して統治者をおいて隠遁した。これらがクラロレラ、ヴォルメイン、テシュノスなどの文化圏の起源となった。
東方諸島の島々は、亜神たちが支配した。魔族の掃討、魔族の反撃などの事件が続いた。宇宙山の爆発などもあったが、東方諸島では他の大陸と異なり、太陽が失われることはなかった。
周期の終わり:「アヴァナプドゥール戦争」
アヴァナプドゥールは反神ヘレスプールの侵攻を防ぎ、大きな信仰を受けるようになった。だがこれは芝居であり、ヘレスプールはこの魔王に操られていたのである。
結局、アヴァナプドゥールは賢者マシュナサンによってその在るべき領域(夢の世界)へと放逐された。同時に偽りの神々を信仰していた土地も夢の世界へ消え去り、真の神々に忠実な人々が住む島々だけが残った。
5、人間紀(「灰色の時代」~「歴史時代」)人々はそれぞれの島の亜神を信じ、おおむね平和な時を過ごしている。
第一期にはヴォルメインとウェアタグ人の同盟との戦いがあった。第二期にはモカトウ帝国が神知者の帝国と対抗したが、「海洋の大閉鎖」の前後に帝国は解体した。第三期のドーマルによる「大解放」の後には、ハラガラが東方交易の中心として勃興した。
周期の終わり:「双鳳凰戦争」
現在、東方諸島にあらたな戦乱の兆しがある。アンディンの王、デック・オルがひそかに魔族たちに号令をかけ、ヴォルメイン帝国も蠢動をはじめた。ルードックたちも変化の予兆を感じ、海の神々もひそやかに胎動している。
周期の終わりの戦乱――英雄戦争が始まろうとしているのである。