翻訳記事 > オーランスとアロカ


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オーランスとアロカ

Orlanth and Aroka

 あるとき、アーナールダがオーランスに与えた繁栄がかすみはじめた事があった。神々は困惑し、オーランスはその原因を調べ始めた。

「このような事ができる神は、ただ一人だけです」とアーナールダは言った。「けれど、愛する夫よ、私はそれを告げるのは差し控えましょう。私はあなたが親族を大切に思っているのを知っているからです。私はさらに状況を悪化させたくはありません」

「お前の助言がなければ、世界はもっとひどいことになるだろう」とオーランスは言った。「俺の民が苦しみ、飢えているのだ。語ってくれ、良き妻よ」

「ご命令とあらば、夫よ。これは同族殺しを引き起こすかもしれません。この災難の源は、貴方の甥の一人が引き起こしているのです。彼はわたしの大地を干からびさせ、世界に飢えをもたらしています。彼の名はダーガ、その母はモラーニ、あなたの姪にあたります」

「今まで俺は兄弟たちとも戦ってきたし、ほとんどの甥とも戦った。愛する妻よ、お前のために、俺は出かけて話し合ってこよう。それでもだめなら、脅してやる。それでもだめなら、呪ってやろう。それでもだめなら、奴めを追い出すか、殺してやろう」

「愛する人よ、敵に関してまだ言うべきことがあります。ダーガの父はあなたの敵、世界のすべてを支配しようとする暴君に他なりません。彼はイェルムと恥知らずなモラーニの間の子なのです」

「ならば事は決まった。俺は奴を探し出して殺してやろう。そして奴が若きヴァーナヴァルを扱ったように奴を扱ってやる。それからおれは同族の女、俺の兄弟の娘を探しだし、そいつに嵐の教訓を教えてやる。彼女は死ぬだろう。――そして俺と家族の名の誉れは地に落ちるだろう」

「私たちは、食べなくては生きていけません」とアーナールダは言った。「民たちはあなたを愛するでしょう」

 そこでオーランスは旅立ち、ダーガと戦った。だが、勝つことはできなかった。なんとなれば、ダーガは亡霊であり、肉体をもたないため剣を打ち込むことも傷つけることもできなかったからだ。オーランスは雷のように叫んで怒り狂ったが、なにをしようとも効果がなかった。ダーガの方もオーランスを傷つけることはできなかった。そこでダーガは去ってオーランスを無視することとした。

 オーランスが戦いに行くのを見て、人々はオーランスが敵に対して無力であることを知らず、大歓声をあげた。それを聞いて、オーランスは勝つすべを見つけなければならぬと知った。彼は数多くの武器で何度も攻撃を試みたが、アーナールダが再び助言をするまでは手の打ちようがなかった。

「夫よ、許してください。私が我らの同族にはただ一人の敵しかいないと言ったのは間違いでした。もう一つ敵がいます。そしてその者も同族を襲っているのです」

「妻よ、良き知らせを教えてくれた。絆を破った敵がおり、それが俺の同族でないというなら、俺の力が弱まることもないだろう。誰がダーガを助けているのだ?」

「貴方の古の敵、青の部族が深淵へ呼びかけ、青い竜アロカがそれに応えたのです。アロカはひそかに雨の王ヘラーのステッドへ忍び込み、ヘラーが我が家を守るために現れるまでそこで暴れ回りました。そしてヘラーも青の部族の者であるというのに、これをひと飲みにしてしまいました。今、アロカは人々をダーガから守ることのできる雨を隠したままそのねぐらに潜んでいるのです」

「俺はかつて青の部族と戦ったことがある。俺はその長老たちを打ち据え、守護戦士を叩きふせた。俺は青の部族の軍勢を散り散りにさせ、その魔術師を殺した。俺はそのドラゴンにも嵐の教訓を教えてやることにしよう」

 アロカはものすごい力を持っていた。その目は知恵あるすべての者を金縛りにでき、舌は形あるすべての者の息を止めることができ、息はすべての精霊をうち砕くことができた。

 この化け物と戦うため、オーランスは戦支度をした。手にしたのは四方の風を詰めた袋、クランスという名の古い燧石の剣、高い風をからめ取ったもつれた蔓、低い風をつないだ革紐。一年かけて力ある歌を歌い、アーナールダの「喜びのパン」を食べ、黒く並外れて強い「大醸しの酒」を飲んで出かけた。

 しかしすんなりとは付かなかった。クラコスという者が行く手をふさいだ。このトロウルはオーランスに父親の足を折られたことを恨みに思っていた。オーランスはクラコスをうち負かして、闇の風を取り上げた。

 しかしすんなりとは付かなかった。間違った風、ガガースが行く手をふさいだ。オーランスはこれもうち負かして、上方の風を取りあげた。

 行くほどに、よそ者の集まる宮廷に出た。そこでオーランスは「闇の女」と会って子をなした。のちに生まれたこの子の名は、「大音声」とつけられた。

 それから毒いばらの広野を抜けて、やっとのことでアロカの巣穴を見つけた。オーランスは北側から襲いかかったが、竜のアロカは迫る神を見て、起きあがって戦うのをいやがった。

 そこでオーランスはまず闇の風を放った。風の中には迷える魂の叫び声がこもっていた。闇の風は化け物の巣穴の中を吹きまくったものだから、アロカも巣の中にいるのに耐えられなくなって、起きて戦いに出てきた。

 アロカはくわっと目を見開いてオーランスの心を打ち砕いてくれようとしたが、嵐の神は四方の風を放った。四方の風は四本の武器を竜の四つの目に突き刺したものだから、アロカは目が見えなくなってしまった。

 アロカは舌どもを伸ばしてきたが、オーランスは高い風を解き放って、這いよる舌をからからに干からびさせてしまった。

 アロカは大きく吼えて命取りの息を吐いたが、オーランスは風の袋に息を捕まえて、脇に放り出してしまった。それからアロカの口まで大股に歩いていって、上顎を手でつかまえて、下顎に足を踏ん張って、勝ったと叫んで竜をまっぷたつに裂いてしまった。血と水と蜂蜜酒がだくだくと流れ出したと思うと、腹の中から雨の神ヘラーが出てきた。これ以後、二柱の神は友人となった。

 オーランスとヘラーは土砂降りの雨で大地を濡らして共にダーガと戦った。オーランスはダーガを捕らえ、鉄でできた壺にダーガを閉じこめた。すぐにアーナールダは本復し、オーランスが族長である間は干ばつは訪れなかった。人々が利己的でダーガをあがめるようなことがない限りは。そしてダーガは今も壺のなかに閉じこめられているということだ。


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