「帝王賛歌(後編)」(2010/05/13 (木) 12:23:49) の最新版変更点
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■
エンリコ・プッチにとって予想外だったのは、パピヨンが研究員の記憶のヴィジョンを見ながら、それなりに冷静であったこと。
よもやパピヨンがホワイトスネイクの能力を分析し、DISCが抜き終えるまでの時間を計算していようなど、夢にも思っていないだろう。
そしてパピヨンにとって予想外だったのは――…………
「そこだァーーーッ! 抜き取れッ、『ホワイトスネイク』!!」
プッチが叫ぶと同時に、ホワイトスネイクが腕を振り下ろす。
すると『二枚』の『大小』のDISCがライダーマンヘルメットを突き抜けて、ともに半分ほど姿を現す。
ホワイトスネイクは迷わず小さいほうのDISCを指で摘み、引き抜こうとする。
それとほぼ同時に、パピヨンが手刀を作る。
しかしパピヨンの手刀が振り下ろされるより速く、『小さい方』のDISCは抜き取られてしまった。
同時に、パピヨンの目の前が真っ暗になる。
ホワイトスネイクが抜き取ったのは、『視覚』のDISC。
パピヨンは、ホワイトスネイクが『記憶とスタンド以外の何か』もDISC化できる可能性を考慮していた。
しかし、パピヨンは勝手にその『何か』のDISCも、記憶やスタンドのDISCと同じ程度の大きさだと思ってしまったのだ。
実際には、僅か直径数センチ程度のものなのに。
そしてパピヨンにとって予想外だったのは、『小さな』DISCの存在だ。
とはいっても、これは仕方のない間違いだ。
『記憶とスタンド以外の何か』をDISC化できると考えただけでも、パピヨンは素晴らしい。
しかしその仕方なかったミスが、命取りとなる。
突如視界を失ったパピヨンは暫し硬直するも、とにかく手刀で己の右方向を切り裂く。
しかしそこに既にホワイトスネイクはおらず、パピヨンの手刀は空気を貫くに終わる。
ホワイトスネイクはパピヨンの視覚を奪った時点で、困惑するパピヨンを放置して移動を開始していたのだ。
ホワイトスネイクは、同時進行的にパピヨンの視覚DISCをプッチの方へ投擲し、プッチはそれをキャッチした。
地面をドロドロにしたことにより、足音を立てることなく移動するホワイトスネイク。
パピヨンの左側に回りこんで、パピヨンの記憶DISCに触れ、引き抜こうとする。
ずるり、ずるり、という音が、パピヨンの脳内に響く。
「貴様――ッ!?」
動転しているのが見て分かるような反応をするパピヨンが、咄嗟に黒死の蝶を四匹ほど形成して自身の左側に向かわせる。
しかし、それはホワイトスネイクのあった空間で起爆するだけ。
プッチがホワイトスネイクを解除したことにより、そこには既にホワイトスネイクはいない。
プッチが三度目のスタンド発現を行い、パピヨンの元へと向かわせる。
パピヨンが視覚を失っているのを承知で、ホワイトスネイクは駆ける。無論、地面をドロドロにするのは忘れずに。
プッチは既にパピヨンから五メートル程度の距離にいるので、ホワイトスネイクの位置も近く、かつ速度もかなりのもの。
パピヨンが、記憶のDISCを額に押し込む隙を与えない。そう考えての行動。
ホワイトスネイクがパピヨンの元へと到達し、DISCに手を伸ばそうとした時だ。
それまで沈黙していたパピヨンが――――ポーズを取った。
両の手を空中に上げ、足は肩幅ほどに開いて、叫ぶ。
「パ・ピ……ヨン!」
そして、跳躍。
パピヨンはかつてライダーマンヘルメットを所持していた川田章吾と戦闘し、ライダーマンスーツの性能について聞いている。
ライダーマンスーツは、単純に全ての身体能力が同じだけ上昇するというワケではない。
所々、強化の強い箇所がある。特に――ジャンプ力やキック力は相当なモノ。
その話を聞いていた。だからこその跳躍だ。
一気に天井付近まで到達したパピヨンは、背とふくらはぎに生やした羽状のニアデスハピネスでホバリングする。
「……成程」
空中で静止するパピヨンを視線で追ったプッチが、呟いた。
同時に、パピヨンが突っ込んできた際に開いた壁の穴から、ブオンというエンジン音が響き渡った。
そこに出現したのは、特殊バイクヘルダイバー。
パピヨンがライダーマンヘルメットの無線通信で呼び出したのだ。
空中からそのバイクに視線を移したプッチが、再度パピヨンのいる上空を見やり、口を開く。
「天井付近の全範囲全方位に浮かべた火薬の蝶。ホワイトスネイクの居場所を突き止めるのを諦め、上方に仕掛けていたか。
起爆させれば自身もダメージを受けるが、そのバイクがあれば逃走可能。
『視覚』を奪われた状況での最善の一手といえるだろう……」
そう、パピヨンは既に天井付近に無数の黒死の蝶を配置していたのだ。
自分の上空だけはそこに飛び込むために空け、そこ以外を埋め尽くす無数の黒死の蝶。
その数は、三桁にまで達していることだろう。
露出したパピヨンの口角が、ニィイとこれまでで最も吊り上る。
「お前ではない。仮面ライダー・パピヨンだ。
もっと恐怖を込めて、俺の名を呼べッ! 往け、黒死の蝶ッ!」
パピヨンが右手の指を鳴らす。
それに呼応するように、天井付近で静止していた黒死の蝶達は――
「――『不可能』という点に目を瞑れば、だがな」
――消滅した。
パピヨンは自身の記憶のDISCが抜け落ちたことにより、仮死状態となったのだ。
仮死状態のものに、闘争本能が存在するわけがない。
結果、展開していたニアデスハピネスは核鉄に戻った――というワケだ。
パピヨンの額より飛び出し、引力のままに落下してきたパピヨンの記憶のDISCをプッチがキャッチする。
核鉄二つとパピヨン自身には、プッチは目もくれず。ゆえに、そのまま地面へと激突した。
どちらも耐久力はかなりのものなので、なんともないだろが。
そんなことを気にも留めず、プッチは手に入れた記憶のDISCを己の額に挿入した。
パピヨンの記憶DISCはホワイトスネイクが二度目に触れた時点で、既にゆるゆるであと少しでもホワイトスネイクが触れれば抜けてしまう状態だった。
DISCを無理に押し込む暇を与えず、ホワイトスネイクはパピヨンに迫った。
パピヨンは近づいてきたホワイトスネイクから距離を取るべく、跳躍。
これがいけなかった。
ただでさえ、ゆるゆるなDISCがこれのせいで九割以上顔を出してしまった。
パピヨンは上昇の感覚により、ずるりずるりとDISCがずれる音に気付かず。
そうなれば、あとは時間の問題だった。
時間が経過するだけでも勝手にDISCが飛び出していただろうが、最後に指を鳴らしたのが引き金となり、額に沈んでいた僅かな部分も外に出てしまった。
■
「いつまで呆けている気だ。あの男は倒れているが、ただ一時的に眠らせたにすぎないからな。
いまのうちに自室に戻っていろ。ここは危険だ」
「あ、ああ……」
蝶野の記憶DISCを額から抜き取り、伊藤博士に言葉をかける。
若干挙動不審気味な反応をした後、彼は彼の部屋への通路へと小走りで向かっていた。
それにしてもこんなパッとしない男が、誰も気付かぬうちに情報を漏らしていたとはな。
見かけによらず、なかなかに肝が据わっているのか。ただのキチガイか。
このことを暗闇大使に明かしてもいいが、それはしない。別にどうでもいいこと、だからな。
伊藤博士がいなくなったのを見計らって、ホワイトスネイクで『命令』のDISCを創り出す。
この能力が制限されているのは、既に分かっていた。
『創り出してから二秒以内に何かに差し込まねば、『命令』は消えてしまう』――とてもじゃないが、戦闘には使えない。
だが、昏睡しているものが相手なら問題なし。
創り出したDISCをすぐさま、蝶野に埋め込む。
命令は、『視界に入ったもの』を『持ちうる全力』を使って『破壊』する。
しかし、仮死状態でかつ視覚を失った蝶野は動かない。
それでいい。
すぐに動かれては、私自身が危険だ。
倒れた蝶野の手元に、核鉄を置いておいてやる。
そして蝶野の真上の天井をドロドロにして、そこに蝶野の記憶のDISCと視覚のDISCをくっつける。
DISCは死に行く者に突き刺さない限りは消滅することはないので、溶けてしまうことはないだろう。
さて、暗闇大使が来ない内に早々に研究所を後にするとしよう。
暫し歩いたところでBADANから支給された携帯電話を取り出し、司令室に電話をかける。
現在地は研究室から二十メートル以内で、かつ研究室内部から見られることはない。
実に、実にちょうどいい。
『とぅおるるるる――ガチャッ。こちら司令室、構成員NO.057』
侵入者の存在で焦っているのかは知らないが、すぐに反応があった。
あたかも疲れてる風を装って――いや、実際に疲労はかなり大きいが――、それに答える。
「はあッ……、ハァー……、エンリコ・プッチだ。伊藤博士は保護し、自室に帰らせた。
また侵入者を昏睡させたが、こちらの疲労が大きい。長くは持たないだろう……ッ。
自室に帰還させてもらう。暗闇大使に伝えてくれ……」
『え? 急に破壊音が止んだため、てっきり蝶野攻爵を始末したものと……』
意外そうな反応。
それはそうだろう。相手は私の能力がうまくいけば、相手を仮死状態に出来ると知っているわけだしな。
ここで、ホワイトスネイクのドロドロにする能力を解除する。
解けていた天井は元の硬い素材に戻り、付着させたDISCは蝶野の額へと落下しただろう。
「いや、昏睡させただけだ。幻覚をかける能力――情報くらいは聞い、て……いるだろう?
それを……使用したもの、の……ッ、予想以上に精神の疲労が――」
――ドッゴオ゛オ゛オ゛ォ゛オオオンッ!!
聞き覚えのある爆発音。あの黒色火薬か。核鉄を放置した甲斐があったな。
蝶野攻爵は仮死状態から立ち直り、視覚も再び手に入れ、『命令』の通りに動いているらしいな。
未だ爆発音は続く。これだけの大音量ならば、電話の向こう側にも聞こえているだろう。
『すまない、能力が破られた。帰還する』と簡潔に告げ、携帯電話の電源を切る。
蝶野は何かが『視界に入る』限り、それを『全力』で『破壊』する。
研究室から見えないこの位置ならば攻撃を受けることはないが、流れ弾を食らってしまったら笑えない。
ホワイトスネイクを解除し、お暇させていただくとしよう。
――それにしても、疲労が大きいな。
長期間の発現、ドロドロにする能力に、幻覚、そして『命令』のDISC生成。後ろ二つが特に大きかった。
さて蝶野の記憶によれば、神に祈れば首輪の霊的守護は外れるらしいな。
……全ては、この時の為だったのだろうか。
神父を志したのも――いや、そもそもはあの疑問を抱いたことが始まりか。
全ては、『引』かれていたのだろう。
私が首輪の霊的守護を祓う運命に、彼と出会う運命に、そして――『天国』へと到達する運命に。
首輪を解除し、『生まれたもの』を『支配』する。
その為に、蝶野を暴れさせた。
別に仮死状態のまま朽ちていっても私にとっては関係なかったが、暗闇大使を足止めさせるには必要なことだった。
生き長らえさせたことには、別に感謝してもらわなくていい。
お前がそういう『運命』であっただけなのだからな、蝶野攻爵。
それにしても――――お前が、『帝王』とはな。
勝手に、拳に力が篭ってしまう。
笑わせるんじゃあないぞ、蝶野攻爵ッ! なまっちょろいクソガキがッ!
貴様は彼に憧れ、己を彼と同じ位置にいると『思い込んだ』にすぎない。
確かに人のレベルを超えた身体能力に、圧倒的な破壊力を持つ異能力、そして頭脳。
それらは、彼にもひけを取らないかもしれない。しかし貴様は、彼とは違う!
『深遠なる目的』も持たずに帝王?
BADANの技術を手に入れ、帝王として君臨する?
彼が帝王を名乗ったのは、『深遠なる目的』ゆえのことだッ。
全ては、『克服』する為だッ!
貴様のような薄っぺらい目的でッ、『深遠なる目的』の彼と並んだとでも思ったかッ!
貴様は、かつてドクトル・バタフライという男に言ったな。
『眩い光に惹かれてうろつくだけで、一人では高くも遠くへも飛べぬ醜い蛾』と。
そのような例えをするならば、貴様はギリシア神話に登場する工匠ダイダロスの息子、イカロスにすぎない。
彼という神々しいまでの光を放つ太陽に、貴様は己の身の程も知らず不用意に近づこうとしたから身を焦がしたのだ。
所詮、貴様はその程度の人間だ。『命令』に従ったまま、ゆっくりと己の身の丈をわきまえていろッ!
【マップ外/サザンクロス内部通路 二日目/昼】
【伊藤博士@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]後頭部に異変、少し興奮気味
[装備]無し
[道具]無し
[思考・状況]
1:バダンに反抗する覚悟を決めた。
2:現在の状況に混乱。とりあえず自室に戻る。
[備考]
※首輪をしていません。
※解除された首輪が、自室の棚に隠してあります。
※赤木しげるは、大首領により殺害されたものと判断しました。
【マップ外/サザンクロス内部通路 二日目/昼】
【エンリコ・プッチ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]骨を蘇らせた際に右掌に怪我、微植物化、強い決意、疲労(極大)
[装備]
[道具]死神13のDISC@ジョジョの奇妙な冒険、BADANより支給された携帯電話、リンプ・ビズキットのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本:天国に行く。
1:首輪を解除する。
2:トイレの『生まれたもの』を確認しにいきたい。
3:『生まれたもの』が動き出せば、承太郎の記憶より知った『支配』する方法をためす。
4:ジョセフ・ジョースターよ、私を押し上げてくれ。
[備考]
※首輪をつけています。
※空条承太郎の記憶DISCは、既に確認した後です。
※暗闇大使とプッチの部屋の近くのトイレのロッカーに、『生まれたもの』を隠しました。
※ホワイトスネイクの幻覚攻撃が制限により体力が大きく消耗し、『外部からの刺激』がなくとも矛盾点を見つければ幻覚から目が覚めます。
※ホワイトスネイクは、『出したスタンドが万人に見えてしまう』という制限がかけられています。
※ホワイトスネイクの命令のDISCには、『創り出してから二秒以内に何かに差し込まねば、『命令』は消えてしまう』制限がかけられています。
※蝶野攻爵の記憶を見ました。
【首輪について】
※エネルギー抑制装置 = 身体能力、異能力を弱体化させる装置。電源でなく、生体エネルギーにより作動。
スタンド適正付与装置 = 嵌めた者を強制的に、全てのスタンドDISCに対する『適性』が存在する状態にする装置。電源でなく、生体エネルギーにより作動。
起爆装置 = 爆薬を爆発させる装置。マップ外や禁止エリアに入った場合三十秒以内に安全地域に戻らねば、作動。また作動スイッチを押されれば、十秒ほどで作動。
盗聴器 = 振動を計測。その振幅を変調・音声として出力させる。
GPS = 上空の衛星に信号を送り、それを受信機で受け取ることで、現在位置を知るシステム
闘争心誤読装置 = 核鉄を誤起動させる装置。ただし、これがないと武装錬金世界出身の人物でないと、核鉄を発動できない。なお、機能は
・闘争本能を読み違いさせているのは核鉄のみ。
・シリアルナンバーごとに核鉄を誤読させている。
である。電源でなく、生体エネルギーにより作動。
生存感知装置 = 生存を感知する装置。
※上記の七つの装置に加え、爆薬が内蔵されています。
※能力制限装置は、制限する能力と制限の度合いを選択可能です。
※現在参加者に嵌められている首輪は、強者と弱者の格差をなくすように働いています。
※その為に弱者には軽い制限、強者には重い制限がかけられています。
※首輪が解除、或いは装着している者が死亡した場合、首輪はGPSを除く全機能を停止します。
ただし、爆弾のスイッチをオフにした場合は、GPS、起爆装置、盗聴器、生存感知装置の機能停止します(ガモンの首輪はその原理を利用)
※スタンド適正付与装置は、『スタンドが目視可能な身体になる』効果も持っています。その効果は、DISCを挿入していなくても発動しています。
■
パピヨンは、視界に入る全てのものを全力で以って破壊する。
額に挿入された命令のDISCに従って。
背とふくらはぎにニアデスハピネスで構成された漆黒の羽を生やして、周囲に黒死の蝶を浮かべる。
ニアデスハピネスを燃焼させることで宙に浮かび、デイパックからライドルを取り出す。
そして、目に入ったものを壊す。
ただ壊す。
黒死の蝶を向かわせて、起爆させる。
ライドルで斬りつける、打ち据える。
その人間をはるかに超越したパワーで、殴りぬける。
今のパピヨンに意思はない。
ただ、命令に従うだけのロボットも同然。
だから今は何も考えず、一切の手加減もなくただ破壊する。
瞳に映った全てのものを。
今、パピヨンは視界に入る瓦礫や怪人の死骸を破壊している。
この場に誰かが訪れたなら、本能的にパピヨンはその方向を確認するだろう。
そうなればパピヨンの瞳には来訪者が映り、パピヨンはその来訪者を破壊しようとする。
――問題は誰が訪れるか、である。
そんなもの、この場に向かっている暗闇大使以外にありえない?
いいや、違う。
もしかしたら伊藤博士が漏洩した情報により、首輪を解除した参加者がここを訪れるかもしれない。
村雨良にとって、伊藤博士は父親の親友の研究仲間。
研究所の場所を知れば、救助に来るのは自明である。
サザンクロス内の地図は、伊藤博士が紛れ込ませた地図に記されている。
それを見れば、研究所の場所は一目瞭然。
村雨良がそれを知れば、どうするかは考えずとも明らかであろう。
――パピヨンを止める方法がないわけではない。
額に衝撃を与えることで、命令のDISCを取り出せばいいのだ。
そうすれば、パピヨンは命令に縛られることになる。
しかしもしも命令のDISCを取り出せば、パピヨンは己がプッチに敗北したことを知るだろう。
敗北してなお生きながらえていることを。
己を帝王と称したパピヨンがそれを知り、いったいどういう行動を取るのか。
絶望? 激昂? 歓喜? 慟哭? 自殺? 失望? 懐疑? 暴走?
それは、まだ誰にも分からない。
【マップ外/サザンクロス内部研究室 二日目/昼】
【パピヨン@武装錬金】
[状態]:疲労(大)、ドブ川の濁ったような瞳、帝王への決意、首輪が解除、
[装備]:ライドル@仮面ライダーSPIRITS、マイクロウージー(9ミリパラベラム弾32/32)、予備マガジン2、
猫草inランドセル@ジョジョの奇妙な冒険、アラミド繊維内蔵ライター@グラップラー刃牙
サンライトハート(核鉄状態&首輪@パピヨンが巻かれている)@武装錬金
ニアデスハピネス・アナザータイプ=核鉄(激戦)@武装錬金、ヘルダイバー@仮面ライダーSPIRITS
ハルコンネン(爆裂鉄鋼焼夷弾、残弾1発、劣化ウラン弾、残弾0発)@HELLSING、ライダーマンのヘルメット@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:支給品一式、チョココロネ(残り4つ)@らき☆すた、
地下鉄管理センターの位置がわかる地図、地下鉄システム仕様書
ルイズの杖、参加者顔写真&詳細プロフィール付き名簿、首輪探知機@BATTLE ROYALE、
ターボエンジン付きスケボー@名探偵コナン
首輪(鳴海)、解除済みの首輪の残骸×2(赤木、川田)、ツールセット、不明支給品1(未確認)
[思考・状況]
基本:『視界に入ったもの』を『持ちうる全力』を使って『破壊』する
[備考]
※参戦時期はヴィクター戦、カズキに白い核鉄を渡した直後です
※スタンド、矢の存在に興味を持っています。
※詳細名簿を入手しました。DIOの能力については「時を止める能力」と一言記載があるだけのようです。
※こなたの死体を『食べ』ました。
※覚悟、アカギのことを快く思っていません。
※首輪の構造を理解しました。少なくとも、死体(川田)の首輪の分解には成功しました。
ちょっとした神棚と簡単な工具さえあえれば十分に解除の条件は揃うようです。
首輪の外装を外し、電源をオフにすれば外せます。しかし、制限装置、闘争心誤読装置は沈黙しません。
スタンド適正付与装置はどうなるか、不明です。少なくとも、首にまかない限りはスタンドは使えません。
また、首輪がなければ核鉄は武装錬金世界出身者以外の闘争心には反応しません。
※命令のDISCにより、命令以外の思考はしません。
※額に強い衝撃を与えれば、命令のDISCは取り出せます。
■
その場を捜索することもなく早々と移動を開始したプッチは、気付くことはなかった。
先ほどまで伊藤博士がいた付近に散らばっている、破片や怪人の亡骸の下に埋もれた携帯電話に。
その携帯電話に表示された、『送信完了』の文字に。
パピヨンがサザンクロスに侵入し伊藤博士と接触した際に、最初に伊藤博士の身を心配して声を上げた研究員。
その後、彼はその場から逃走した。
安全を求めて逃げた先で、プッチに記憶をDISC化されてしまうという不幸っぷりであったが、それは今はどうでもいい。
問題は、彼が逃走する際に携帯電話を落としたということ。
パピヨンとプッチが戦闘している最中に、その携帯電話を伊藤博士は拾い上げると、一気にメールを書き上げて送信した。
時間が無かったこともあり、送信出来た場所は一つだけ。
――学校。
理由は、彼が最後に首輪管理用のモニターを見た際、村雨良がそこに向かっていたから。
記憶を取り戻した村雨が、まだそこにいることを願って。
伊藤博士が送信したメールの内容は、以下の通りだ。
『ホワイトスネイクは、記憶とスタンド以外に『視覚』もDISC化出来るようだ。その場合、DISCはスタンドや記憶のそれよりは小型となる。
そして幻覚を見せて相手を昏睡させる能力、物体をドロドロに溶かす能力も持っているようだ。 Dr.伊藤』
プッチがBADAN側についたスタンド使いで、スタンド名はホワイトスネイク。
スタンドや記憶をDISC化して抜き取ることが出来る。
という点や、プッチの見た目については、伊藤博士は既に『成仏鉄球』と『列車』に同封した手紙に記しておいた。
しかしその手紙を誰かが確認したのかどうかは、伊藤博士は知らない。
それにしては、メールの内容が短すぎるのではないか。
唐突に『ホワイトスネイク』と言われても、意味が分からないのではないか。
そう思うかも知れない。
しかし長々と携帯を弄り続けた結果、パピヨンやプッチにバレてしまって携帯を破壊されてしまえばどうしようもない。
だからこそ、伊藤博士はメールには上記の内容しか打たなかったのだ。
実際、彼の手紙はBADANに反抗する意思を持つ者が、目を通してある。
その者達の誰かが、伊藤博士の送ったメールに気付けば、ホワイトスネイクの能力はほぼ全て知られてしまうことになるだろう。
エンリコ・プッチは現在、己の運命に少なからず感謝している。
しかし伊藤博士の行動に気付かなかったことは、彼にとって大きすぎる不手際であろう。
今はまだ、エンリコ・プッチはそのことに気付いていない。
いずれ、嫌でも気付かざるを得ない事態に巻き込まれるのか。
はたまた彼の運命は、そんな事態を引き寄せないのか。
それもまた、今はまだ誰も分からない。
――いや、もしかしたら牢獄に幽閉された彼は、知っているのかもしれない。
※エリアC-4の学校に、以下の内容のメールが送信されました。
『ホワイトスネイクは、記憶とスタンド以外に『視覚』もDISC化出来るようだ。その場合、DISCはスタンドや記憶のそれよりは小型となる。
そして幻覚を見せて相手を昏睡させる能力、物体をドロドロに溶かす能力も持っているようだ。 Dr.伊藤』
[[前編>帝王賛歌]]
|246:[[雛菊想恋]]|[[投下順>第201話~第250話]]|248:[[ダイヤモンドダスト・クルセイダース]]|
|243:[[帝王無双BADAN~白蛇対峙~]]|[[時系列順>第6回放送までの本編SS]]|:[[集結]]|
|243:[[帝王無双BADAN~白蛇対峙~]]|蝶野公爵(パピヨン)|:[[]]|
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**帝王賛歌(後編) ◆hqLsjDR84w
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エンリコ・プッチにとって予想外だったのは、パピヨンが研究員の記憶のヴィジョンを見ながら、それなりに冷静であったこと。
よもやパピヨンがホワイトスネイクの能力を分析し、DISCが抜き終えるまでの時間を計算していようなど、夢にも思っていないだろう。
そしてパピヨンにとって予想外だったのは――…………
「そこだァーーーッ! 抜き取れッ、『ホワイトスネイク』!!」
プッチが叫ぶと同時に、ホワイトスネイクが腕を振り下ろす。
すると『二枚』の『大小』のDISCがライダーマンヘルメットを突き抜けて、ともに半分ほど姿を現す。
ホワイトスネイクは迷わず小さいほうのDISCを指で摘み、引き抜こうとする。
それとほぼ同時に、パピヨンが手刀を作る。
しかしパピヨンの手刀が振り下ろされるより速く、『小さい方』のDISCは抜き取られてしまった。
同時に、パピヨンの目の前が真っ暗になる。
ホワイトスネイクが抜き取ったのは、『視覚』のDISC。
パピヨンは、ホワイトスネイクが『記憶とスタンド以外の何か』もDISC化できる可能性を考慮していた。
しかし、パピヨンは勝手にその『何か』のDISCも、記憶やスタンドのDISCと同じ程度の大きさだと思ってしまったのだ。
実際には、僅か直径数センチ程度のものなのに。
そしてパピヨンにとって予想外だったのは、『小さな』DISCの存在だ。
とはいっても、これは仕方のない間違いだ。
『記憶とスタンド以外の何か』をDISC化できると考えただけでも、パピヨンは素晴らしい。
しかしその仕方なかったミスが、命取りとなる。
突如視界を失ったパピヨンは暫し硬直するも、とにかく手刀で己の右方向を切り裂く。
しかしそこに既にホワイトスネイクはおらず、パピヨンの手刀は空気を貫くに終わる。
ホワイトスネイクはパピヨンの視覚を奪った時点で、困惑するパピヨンを放置して移動を開始していたのだ。
ホワイトスネイクは、同時進行的にパピヨンの視覚DISCをプッチの方へ投擲し、プッチはそれをキャッチした。
地面をドロドロにしたことにより、足音を立てることなく移動するホワイトスネイク。
パピヨンの左側に回りこんで、パピヨンの記憶DISCに触れ、引き抜こうとする。
ずるり、ずるり、という音が、パピヨンの脳内に響く。
「貴様――ッ!?」
動転しているのが見て分かるような反応をするパピヨンが、咄嗟に黒死の蝶を四匹ほど形成して自身の左側に向かわせる。
しかし、それはホワイトスネイクのあった空間で起爆するだけ。
プッチがホワイトスネイクを解除したことにより、そこには既にホワイトスネイクはいない。
プッチが三度目のスタンド発現を行い、パピヨンの元へと向かわせる。
パピヨンが視覚を失っているのを承知で、ホワイトスネイクは駆ける。無論、地面をドロドロにするのは忘れずに。
プッチは既にパピヨンから五メートル程度の距離にいるので、ホワイトスネイクの位置も近く、かつ速度もかなりのもの。
パピヨンが、記憶のDISCを額に押し込む隙を与えない。そう考えての行動。
ホワイトスネイクがパピヨンの元へと到達し、DISCに手を伸ばそうとした時だ。
それまで沈黙していたパピヨンが――――ポーズを取った。
両の手を空中に上げ、足は肩幅ほどに開いて、叫ぶ。
「パ・ピ……ヨン!」
そして、跳躍。
パピヨンはかつてライダーマンヘルメットを所持していた川田章吾と戦闘し、ライダーマンスーツの性能について聞いている。
ライダーマンスーツは、単純に全ての身体能力が同じだけ上昇するというワケではない。
所々、強化の強い箇所がある。特に――ジャンプ力やキック力は相当なモノ。
その話を聞いていた。だからこその跳躍だ。
一気に天井付近まで到達したパピヨンは、背とふくらはぎに生やした羽状のニアデスハピネスでホバリングする。
「……成程」
空中で静止するパピヨンを視線で追ったプッチが、呟いた。
同時に、パピヨンが突っ込んできた際に開いた壁の穴から、ブオンというエンジン音が響き渡った。
そこに出現したのは、特殊バイクヘルダイバー。
パピヨンがライダーマンヘルメットの無線通信で呼び出したのだ。
空中からそのバイクに視線を移したプッチが、再度パピヨンのいる上空を見やり、口を開く。
「天井付近の全範囲全方位に浮かべた火薬の蝶。ホワイトスネイクの居場所を突き止めるのを諦め、上方に仕掛けていたか。
起爆させれば自身もダメージを受けるが、そのバイクがあれば逃走可能。
『視覚』を奪われた状況での最善の一手といえるだろう……」
そう、パピヨンは既に天井付近に無数の黒死の蝶を配置していたのだ。
自分の上空だけはそこに飛び込むために空け、そこ以外を埋め尽くす無数の黒死の蝶。
その数は、三桁にまで達していることだろう。
露出したパピヨンの口角が、ニィイとこれまでで最も吊り上る。
「お前ではない。仮面ライダー・パピヨンだ。
もっと恐怖を込めて、俺の名を呼べッ! 往け、黒死の蝶ッ!」
パピヨンが右手の指を鳴らす。
それに呼応するように、天井付近で静止していた黒死の蝶達は――
「――『不可能』という点に目を瞑れば、だがな」
――消滅した。
パピヨンは自身の記憶のDISCが抜け落ちたことにより、仮死状態となったのだ。
仮死状態のものに、闘争本能が存在するわけがない。
結果、展開していたニアデスハピネスは核鉄に戻った――というワケだ。
パピヨンの額より飛び出し、引力のままに落下してきたパピヨンの記憶のDISCをプッチがキャッチする。
核鉄二つとパピヨン自身には、プッチは目もくれず。ゆえに、そのまま地面へと激突した。
どちらも耐久力はかなりのものなので、なんともないだろが。
そんなことを気にも留めず、プッチは手に入れた記憶のDISCを己の額に挿入した。
パピヨンの記憶DISCはホワイトスネイクが二度目に触れた時点で、既にゆるゆるであと少しでもホワイトスネイクが触れれば抜けてしまう状態だった。
DISCを無理に押し込む暇を与えず、ホワイトスネイクはパピヨンに迫った。
パピヨンは近づいてきたホワイトスネイクから距離を取るべく、跳躍。
これがいけなかった。
ただでさえ、ゆるゆるなDISCがこれのせいで九割以上顔を出してしまった。
パピヨンは上昇の感覚により、ずるりずるりとDISCがずれる音に気付かず。
そうなれば、あとは時間の問題だった。
時間が経過するだけでも勝手にDISCが飛び出していただろうが、最後に指を鳴らしたのが引き金となり、額に沈んでいた僅かな部分も外に出てしまった。
■
「いつまで呆けている気だ。あの男は倒れているが、ただ一時的に眠らせたにすぎないからな。
いまのうちに自室に戻っていろ。ここは危険だ」
「あ、ああ……」
蝶野の記憶DISCを額から抜き取り、伊藤博士に言葉をかける。
若干挙動不審気味な反応をした後、彼は彼の部屋への通路へと小走りで向かっていた。
それにしてもこんなパッとしない男が、誰も気付かぬうちに情報を漏らしていたとはな。
見かけによらず、なかなかに肝が据わっているのか。ただのキチガイか。
このことを暗闇大使に明かしてもいいが、それはしない。別にどうでもいいこと、だからな。
伊藤博士がいなくなったのを見計らって、ホワイトスネイクで『命令』のDISCを創り出す。
この能力が制限されているのは、既に分かっていた。
『創り出してから二秒以内に何かに差し込まねば、『命令』は消えてしまう』――とてもじゃないが、戦闘には使えない。
だが、昏睡しているものが相手なら問題なし。
創り出したDISCをすぐさま、蝶野に埋め込む。
命令は、『視界に入ったもの』を『持ちうる全力』を使って『破壊』する。
しかし、仮死状態でかつ視覚を失った蝶野は動かない。
それでいい。
すぐに動かれては、私自身が危険だ。
倒れた蝶野の手元に、核鉄を置いておいてやる。
そして蝶野の真上の天井をドロドロにして、そこに蝶野の記憶のDISCと視覚のDISCをくっつける。
DISCは死に行く者に突き刺さない限りは消滅することはないので、溶けてしまうことはないだろう。
さて、暗闇大使が来ない内に早々に研究所を後にするとしよう。
暫し歩いたところでBADANから支給された携帯電話を取り出し、司令室に電話をかける。
現在地は研究室から二十メートル以内で、かつ研究室内部から見られることはない。
実に、実にちょうどいい。
『とぅおるるるる――ガチャッ。こちら司令室、構成員NO.057』
侵入者の存在で焦っているのかは知らないが、すぐに反応があった。
あたかも疲れてる風を装って――いや、実際に疲労はかなり大きいが――、それに答える。
「はあッ……、ハァー……、エンリコ・プッチだ。伊藤博士は保護し、自室に帰らせた。
また侵入者を昏睡させたが、こちらの疲労が大きい。長くは持たないだろう……ッ。
自室に帰還させてもらう。暗闇大使に伝えてくれ……」
『え? 急に破壊音が止んだため、てっきり蝶野攻爵を始末したものと……』
意外そうな反応。
それはそうだろう。相手は私の能力がうまくいけば、相手を仮死状態に出来ると知っているわけだしな。
ここで、ホワイトスネイクのドロドロにする能力を解除する。
解けていた天井は元の硬い素材に戻り、付着させたDISCは蝶野の額へと落下しただろう。
「いや、昏睡させただけだ。幻覚をかける能力――情報くらいは聞い、て……いるだろう?
それを……使用したもの、の……ッ、予想以上に精神の疲労が――」
――ドッゴオ゛オ゛オ゛ォ゛オオオンッ!!
聞き覚えのある爆発音。あの黒色火薬か。核鉄を放置した甲斐があったな。
蝶野攻爵は仮死状態から立ち直り、視覚も再び手に入れ、『命令』の通りに動いているらしいな。
未だ爆発音は続く。これだけの大音量ならば、電話の向こう側にも聞こえているだろう。
『すまない、能力が破られた。帰還する』と簡潔に告げ、携帯電話の電源を切る。
蝶野は何かが『視界に入る』限り、それを『全力』で『破壊』する。
研究室から見えないこの位置ならば攻撃を受けることはないが、流れ弾を食らってしまったら笑えない。
ホワイトスネイクを解除し、お暇させていただくとしよう。
――それにしても、疲労が大きいな。
長期間の発現、ドロドロにする能力に、幻覚、そして『命令』のDISC生成。後ろ二つが特に大きかった。
さて蝶野の記憶によれば、神に祈れば首輪の霊的守護は外れるらしいな。
……全ては、この時の為だったのだろうか。
神父を志したのも――いや、そもそもはあの疑問を抱いたことが始まりか。
全ては、『引』かれていたのだろう。
私が首輪の霊的守護を祓う運命に、彼と出会う運命に、そして――『天国』へと到達する運命に。
首輪を解除し、『生まれたもの』を『支配』する。
その為に、蝶野を暴れさせた。
別に仮死状態のまま朽ちていっても私にとっては関係なかったが、暗闇大使を足止めさせるには必要なことだった。
生き長らえさせたことには、別に感謝してもらわなくていい。
お前がそういう『運命』であっただけなのだからな、蝶野攻爵。
それにしても――――お前が、『帝王』とはな。
勝手に、拳に力が篭ってしまう。
笑わせるんじゃあないぞ、蝶野攻爵ッ! なまっちょろいクソガキがッ!
貴様は彼に憧れ、己を彼と同じ位置にいると『思い込んだ』にすぎない。
確かに人のレベルを超えた身体能力に、圧倒的な破壊力を持つ異能力、そして頭脳。
それらは、彼にもひけを取らないかもしれない。しかし貴様は、彼とは違う!
『深遠なる目的』も持たずに帝王?
BADANの技術を手に入れ、帝王として君臨する?
彼が帝王を名乗ったのは、『深遠なる目的』ゆえのことだッ。
全ては、『克服』する為だッ!
貴様のような薄っぺらい目的でッ、『深遠なる目的』の彼と並んだとでも思ったかッ!
貴様は、かつてドクトル・バタフライという男に言ったな。
『眩い光に惹かれてうろつくだけで、一人では高くも遠くへも飛べぬ醜い蛾』と。
そのような例えをするならば、貴様はギリシア神話に登場する工匠ダイダロスの息子、イカロスにすぎない。
彼という神々しいまでの光を放つ太陽に、貴様は己の身の程も知らず不用意に近づこうとしたから身を焦がしたのだ。
所詮、貴様はその程度の人間だ。『命令』に従ったまま、ゆっくりと己の身の丈をわきまえていろッ!
【マップ外/サザンクロス内部通路 二日目/昼】
【伊藤博士@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]後頭部に異変、少し興奮気味
[装備]無し
[道具]無し
[思考・状況]
1:バダンに反抗する覚悟を決めた。
2:現在の状況に混乱。とりあえず自室に戻る。
[備考]
※首輪をしていません。
※解除された首輪が、自室の棚に隠してあります。
※赤木しげるは、大首領により殺害されたものと判断しました。
【マップ外/サザンクロス内部通路 二日目/昼】
【エンリコ・プッチ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]骨を蘇らせた際に右掌に怪我、微植物化、強い決意、疲労(極大)
[装備]
[道具]死神13のDISC@ジョジョの奇妙な冒険、BADANより支給された携帯電話、リンプ・ビズキットのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本:天国に行く。
1:首輪を解除する。
2:トイレの『生まれたもの』を確認しにいきたい。
3:『生まれたもの』が動き出せば、承太郎の記憶より知った『支配』する方法をためす。
4:ジョセフ・ジョースターよ、私を押し上げてくれ。
[備考]
※首輪をつけています。
※空条承太郎の記憶DISCは、既に確認した後です。
※暗闇大使とプッチの部屋の近くのトイレのロッカーに、『生まれたもの』を隠しました。
※ホワイトスネイクの幻覚攻撃が制限により体力が大きく消耗し、『外部からの刺激』がなくとも矛盾点を見つければ幻覚から目が覚めます。
※ホワイトスネイクは、『出したスタンドが万人に見えてしまう』という制限がかけられています。
※ホワイトスネイクの命令のDISCには、『創り出してから二秒以内に何かに差し込まねば、『命令』は消えてしまう』制限がかけられています。
※蝶野攻爵の記憶を見ました。
【首輪について】
※エネルギー抑制装置 = 身体能力、異能力を弱体化させる装置。電源でなく、生体エネルギーにより作動。
スタンド適正付与装置 = 嵌めた者を強制的に、全てのスタンドDISCに対する『適性』が存在する状態にする装置。電源でなく、生体エネルギーにより作動。
起爆装置 = 爆薬を爆発させる装置。マップ外や禁止エリアに入った場合三十秒以内に安全地域に戻らねば、作動。また作動スイッチを押されれば、十秒ほどで作動。
盗聴器 = 振動を計測。その振幅を変調・音声として出力させる。
GPS = 上空の衛星に信号を送り、それを受信機で受け取ることで、現在位置を知るシステム
闘争心誤読装置 = 核鉄を誤起動させる装置。ただし、これがないと武装錬金世界出身の人物でないと、核鉄を発動できない。なお、機能は
・闘争本能を読み違いさせているのは核鉄のみ。
・シリアルナンバーごとに核鉄を誤読させている。
である。電源でなく、生体エネルギーにより作動。
生存感知装置 = 生存を感知する装置。
※上記の七つの装置に加え、爆薬が内蔵されています。
※能力制限装置は、制限する能力と制限の度合いを選択可能です。
※現在参加者に嵌められている首輪は、強者と弱者の格差をなくすように働いています。
※その為に弱者には軽い制限、強者には重い制限がかけられています。
※首輪が解除、或いは装着している者が死亡した場合、首輪はGPSを除く全機能を停止します。
ただし、爆弾のスイッチをオフにした場合は、GPS、起爆装置、盗聴器、生存感知装置の機能停止します(ガモンの首輪はその原理を利用)
※スタンド適正付与装置は、『スタンドが目視可能な身体になる』効果も持っています。その効果は、DISCを挿入していなくても発動しています。
■
パピヨンは、視界に入る全てのものを全力で以って破壊する。
額に挿入された命令のDISCに従って。
背とふくらはぎにニアデスハピネスで構成された漆黒の羽を生やして、周囲に黒死の蝶を浮かべる。
ニアデスハピネスを燃焼させることで宙に浮かび、デイパックからライドルを取り出す。
そして、目に入ったものを壊す。
ただ壊す。
黒死の蝶を向かわせて、起爆させる。
ライドルで斬りつける、打ち据える。
その人間をはるかに超越したパワーで、殴りぬける。
今のパピヨンに意思はない。
ただ、命令に従うだけのロボットも同然。
だから今は何も考えず、一切の手加減もなくただ破壊する。
瞳に映った全てのものを。
今、パピヨンは視界に入る瓦礫や怪人の死骸を破壊している。
この場に誰かが訪れたなら、本能的にパピヨンはその方向を確認するだろう。
そうなればパピヨンの瞳には来訪者が映り、パピヨンはその来訪者を破壊しようとする。
――問題は誰が訪れるか、である。
そんなもの、この場に向かっている暗闇大使以外にありえない?
いいや、違う。
もしかしたら伊藤博士が漏洩した情報により、首輪を解除した参加者がここを訪れるかもしれない。
村雨良にとって、伊藤博士は父親の親友の研究仲間。
研究所の場所を知れば、救助に来るのは自明である。
サザンクロス内の地図は、伊藤博士が紛れ込ませた地図に記されている。
それを見れば、研究所の場所は一目瞭然。
村雨良がそれを知れば、どうするかは考えずとも明らかであろう。
――パピヨンを止める方法がないわけではない。
額に衝撃を与えることで、命令のDISCを取り出せばいいのだ。
そうすれば、パピヨンは命令に縛られることになる。
しかしもしも命令のDISCを取り出せば、パピヨンは己がプッチに敗北したことを知るだろう。
敗北してなお生きながらえていることを。
己を帝王と称したパピヨンがそれを知り、いったいどういう行動を取るのか。
絶望? 激昂? 歓喜? 慟哭? 自殺? 失望? 懐疑? 暴走?
それは、まだ誰にも分からない。
【マップ外/サザンクロス内部研究室 二日目/昼】
【パピヨン@武装錬金】
[状態]:疲労(大)、ドブ川の濁ったような瞳、帝王への決意、首輪が解除、
[装備]:ライドル@仮面ライダーSPIRITS、マイクロウージー(9ミリパラベラム弾32/32)、予備マガジン2、
猫草inランドセル@ジョジョの奇妙な冒険、アラミド繊維内蔵ライター@グラップラー刃牙
サンライトハート(核鉄状態&首輪@パピヨンが巻かれている)@武装錬金
ニアデスハピネス・アナザータイプ=核鉄(激戦)@武装錬金、ヘルダイバー@仮面ライダーSPIRITS
ハルコンネン(爆裂鉄鋼焼夷弾、残弾1発、劣化ウラン弾、残弾0発)@HELLSING、ライダーマンのヘルメット@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:支給品一式、チョココロネ(残り4つ)@らき☆すた、
地下鉄管理センターの位置がわかる地図、地下鉄システム仕様書
ルイズの杖、参加者顔写真&詳細プロフィール付き名簿、首輪探知機@BATTLE ROYALE、
ターボエンジン付きスケボー@名探偵コナン
首輪(鳴海)、解除済みの首輪の残骸×2(赤木、川田)、ツールセット、不明支給品1(未確認)
[思考・状況]
基本:『視界に入ったもの』を『持ちうる全力』を使って『破壊』する
[備考]
※参戦時期はヴィクター戦、カズキに白い核鉄を渡した直後です
※スタンド、矢の存在に興味を持っています。
※詳細名簿を入手しました。DIOの能力については「時を止める能力」と一言記載があるだけのようです。
※こなたの死体を『食べ』ました。
※覚悟、アカギのことを快く思っていません。
※首輪の構造を理解しました。少なくとも、死体(川田)の首輪の分解には成功しました。
ちょっとした神棚と簡単な工具さえあえれば十分に解除の条件は揃うようです。
首輪の外装を外し、電源をオフにすれば外せます。しかし、制限装置、闘争心誤読装置は沈黙しません。
スタンド適正付与装置はどうなるか、不明です。少なくとも、首にまかない限りはスタンドは使えません。
また、首輪がなければ核鉄は武装錬金世界出身者以外の闘争心には反応しません。
※命令のDISCにより、命令以外の思考はしません。
※額に強い衝撃を与えれば、命令のDISCは取り出せます。
■
その場を捜索することもなく早々と移動を開始したプッチは、気付くことはなかった。
先ほどまで伊藤博士がいた付近に散らばっている、破片や怪人の亡骸の下に埋もれた携帯電話に。
その携帯電話に表示された、『送信完了』の文字に。
パピヨンがサザンクロスに侵入し伊藤博士と接触した際に、最初に伊藤博士の身を心配して声を上げた研究員。
その後、彼はその場から逃走した。
安全を求めて逃げた先で、プッチに記憶をDISC化されてしまうという不幸っぷりであったが、それは今はどうでもいい。
問題は、彼が逃走する際に携帯電話を落としたということ。
パピヨンとプッチが戦闘している最中に、その携帯電話を伊藤博士は拾い上げると、一気にメールを書き上げて送信した。
時間が無かったこともあり、送信出来た場所は一つだけ。
――学校。
理由は、彼が最後に首輪管理用のモニターを見た際、村雨良がそこに向かっていたから。
記憶を取り戻した村雨が、まだそこにいることを願って。
伊藤博士が送信したメールの内容は、以下の通りだ。
『ホワイトスネイクは、記憶とスタンド以外に『視覚』もDISC化出来るようだ。その場合、DISCはスタンドや記憶のそれよりは小型となる。
そして幻覚を見せて相手を昏睡させる能力、物体をドロドロに溶かす能力も持っているようだ。 Dr.伊藤』
プッチがBADAN側についたスタンド使いで、スタンド名はホワイトスネイク。
スタンドや記憶をDISC化して抜き取ることが出来る。
という点や、プッチの見た目については、伊藤博士は既に『成仏鉄球』と『列車』に同封した手紙に記しておいた。
しかしその手紙を誰かが確認したのかどうかは、伊藤博士は知らない。
それにしては、メールの内容が短すぎるのではないか。
唐突に『ホワイトスネイク』と言われても、意味が分からないのではないか。
そう思うかも知れない。
しかし長々と携帯を弄り続けた結果、パピヨンやプッチにバレてしまって携帯を破壊されてしまえばどうしようもない。
だからこそ、伊藤博士はメールには上記の内容しか打たなかったのだ。
実際、彼の手紙はBADANに反抗する意思を持つ者が、目を通してある。
その者達の誰かが、伊藤博士の送ったメールに気付けば、ホワイトスネイクの能力はほぼ全て知られてしまうことになるだろう。
エンリコ・プッチは現在、己の運命に少なからず感謝している。
しかし伊藤博士の行動に気付かなかったことは、彼にとって大きすぎる不手際であろう。
今はまだ、エンリコ・プッチはそのことに気付いていない。
いずれ、嫌でも気付かざるを得ない事態に巻き込まれるのか。
はたまた彼の運命は、そんな事態を引き寄せないのか。
それもまた、今はまだ誰も分からない。
――いや、もしかしたら牢獄に幽閉された彼は、知っているのかもしれない。
※エリアC-4の学校に、以下の内容のメールが送信されました。
『ホワイトスネイクは、記憶とスタンド以外に『視覚』もDISC化出来るようだ。その場合、DISCはスタンドや記憶のそれよりは小型となる。
そして幻覚を見せて相手を昏睡させる能力、物体をドロドロに溶かす能力も持っているようだ。 Dr.伊藤』
[[前編>帝王賛歌]]
|246:[[雛菊想恋]]|[[投下順>第201話~第250話]]|248:[[ダイヤモンドダスト・クルセイダース]]|
|243:[[帝王無双BADAN~白蛇対峙~]]|[[時系列順>第6回放送までの本編SS]]|250:[[集結]]|
|243:[[帝王無双BADAN~白蛇対峙~]]|蝶野公爵(パピヨン)|:[[]]|
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