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**偽りの勝利 ◆L9juq0uMuo 月光に照らされる境内に加藤鳴海は一人立っていた。 ギリッ、と歯軋りの音が、静寂が支配する境内に響く。 鳴海は回想する。自分は他のしろがねと共に真夜中のサーカスに突入し、休憩を終え今正にフランシーヌ人形のいる間へと向かう最中だった筈である。 が、気がつけばそこは巨大なテントの中ではなく、見知らぬホール。そして光成という老人からの殺し合えとの宣告。 その発言に憤った鳴海は光成に掴みかかろうとしたが、それは赤い髪の勇次郎と言う男、そして拳王と呼ばれた男の登場、そして首輪の説明により、結局、鳴海は飛び出す機会を失ってしまった。 そしてシエスタと呼ばれた少女の『見せしめ』と言う名の死。 「人の命を何だと思ってやがる……!」 一人の少女の命を奪った相手への憤怒、少女を助けられなかったという悲しみ、そして無力感が鳴海を襲う。 「もう、そんな真似はやらせねぇ……!」 あの場にいたのは鳴海のように死線を潜り抜けた猛者だけではなく、どうみても普通の生活をおくっている様な一般人や子供の姿があった。そんな人々が殺し合いに巻き込まれる事は何があっても許せない事だった。 鳴海の瞳に決意の灯が点る。 「どこのどいつかは知らねぇが、こんなイカレた殺し合いは俺がぶち壊してやる!」 そう、どこかでほくそえんでいるであろう主催者に向けて鳴海は吼えた。 「しかし、何だ?この核鉄って奴は?錬金術の産物らしいが俺の知っているのとは全然違うみたいだな」 右篭手の武装錬金、『ピーキーガリバー』を核鉄に戻し、デイパックにしまう。 鳴海の支給品は三つ。グリースの詰まった缶、AB型の輸血パック、そして右篭手の武装錬金『ピーキーガリバー』。 ルシールとギイからの話、そして白銀の記憶で知った錬金術と、この核鉄と言うものを作った錬金術。 共に錬金術という名を冠してはいるが、鳴海の知っている錬金術にはこの核鉄という物の記述は一切ない。 どこかひっかかる物を感じながら境内を捜索していると、どこからか、キリ、キリ、と聞き覚えのある音が聞こえてきた。 (あれは……人形の音?) 人形。しろがねが宿敵である自動人形と戦う為に作られた懸糸傀儡。その人形が駆動する時の音とよく似た音のする方へと鳴海は向かう。 人形を使いこなす事ができれば相応の戦力として使える。それが乗ってない人間の物となっていれば問題は無い。しかし、仮に乗っている者の手に渡っているとしたら……、鳴海の頬を汗が一筋流れる。 気配を殺し、音のする方へ歩いていくと、建物の角から音が聞こえてきた。 鳴海は慎重に角へと歩を進めていく。 音の発信地まで、 四歩、 三歩、 二歩、 パキッ、 小枝を踏む音が辺りに響き、角の向こう側からの音が止まった。鳴海の心臓が跳ね上がる。しかし、角の向こうにいるであろう人物は一向に動きを見せない。 (乗ってないのか?) そう思い鳴海が声を上げようとした時、角の向こうの人物が動いた。 再び流れる、キリ、キリ、という音に鈍い音が混ざり始める。その刹那、角から巨大な影が躍りだした。 (まずい!) 咄嗟に鳴海は駆け出し、その影の正体、人形をすり抜ける。そして鳴海はその人形から出ている糸の終着点、人形の繰り手へと視線を向ける。 そこには目鼻を覆う道化のマスクを被った男が立っていた。 「お前は―」 「武装、錬金」 鳴海の問いかけに男の声が被さる。男の核鉄が二つのチャクラムに変わり、男の靴へと装着された。 「!! 武装―」 「遅いな」 慌ててピーキーガリバーを展開しようとした鳴海の喉元に、高速回転するチャクラムが装着された片足が向けられる。 「グッ……!」 鳴海が飛び退る。しかし、飛び退る最中に衝撃がはしり、身動きが取れなくなる。飛び退った鳴海目掛け、マスクの男が人形を使い捕縛したのだった。 「クク……、単純すぎる……」 人形の手に捕まった鳴海の前へとマスクの男が歩みよる。 「テメェ……乗ったっていうのか?」 今にも食らいつかんばかりの表情で鳴海が睨みつける。しかし、猛獣ですら逃げ出すであろうその悪鬼のごとき形相を前にしてもマスクの男は動じるようすもなく、ただ笑みを浮かべる。 「答えろ!テメェはこんなイカレた殺し合いに乗ったってのか?ああ!?」 「イカレた、か。クク……、確かにイカレているな。狂っている」 鳴海の剣幕に臆することなくマスクの男はくつくつと笑う。 「娯楽の為に老若男女問わずに拉致し殺し合わせる……、まったくもって狂気の沙汰……、道徳的にも法的にも、いや何においても現代では禁忌であり、唾棄すべきその行動……」 「そこまで解ってて何で殺し合いに乗るんだよ!」 「狂気の沙汰程面白い……!」 「!!」 マスクの男の笑みが漆黒の闇を帯びる。その闇は何よりも暗く、そして底が知れない。鳴海の背筋を薄ら寒い物が通る。 「だが、俺にとってはこのゲームに勝ち残る事なんて意味がない」 そう言うと、マスクの男は人形の手を開く、予想外の事に鳴海は対応できず尻餅をついた。 「……は?」 事態が飲み込めず、鳴海はまぬけな声を出す。 「生憎と俺はこのゲームには乗っちゃいない」 マスクの男は相変わらず笑みを浮かべている。しかし、その笑みに先ほどまでの暗さは無くなっていた。 「どういうつもりだ……?」 「何がだ?」 「何がじゃねぇ!あんな真似しといて乗っちゃいないたぁ、どういうつもりだって聞いてるんだよ!」 怒り心頭、と言った表情で鳴海が詰め寄る。 「試しただけさ」 「試すだぁ?」 マスクの男の問いに鳴海が怪訝な表情を浮かべる。 「殺し合いに乗ってるかどうか試すにはあれぐらいやらないと意味がない……。もっとも一番最初に遭遇したのもあってやりすぎたきらいはあるがな……」 マスクの男の解説に鳴海はただ呆然とするだけだった。 「さて、ここからが本題だ。今までのあんたを見ていればこのゲームには乗っている確立は100%ないだろう。そこで、このゲームをぶち壊す手伝いを頼みたい」 「手を組め、ってことか?」 憮然とした表情で鳴海が返す。 「話が早くて助かる」 「ふっざけんじゃねぇ!」 鳴海の怒号が境内に木霊する。 「あんな真似されて『はいそうですか』と手を組むと思うか?」 「いや、思わないな、普通なら」 もっともだ、とマスクの男が頷く。 「だが、ここは普通じゃない。何人いるかもわからない対主催派だ。一時的にでも組んでみるのもいいと思うがな」 「……」 鳴海は目をつぶり逡巡する。数分の沈黙の後、鳴海の目が開く。 「一つ、質問がある。どうしてあんたは乗らなかったんだ?」 鳴海の問いに、マスクの男は数秒黙り込む。どうした、と鳴海が聞こうとした時、男の口が開いた。 「殺し合いに勝ち抜き、優勝したとしても、それは奴等の手の内で踊らされただけの偽りの勝利。俺は、偽りの勝利はごめんだ」 「偽りの勝利か、だけどそれを拒んだせいで死んだらどうするよ?」 鳴海の問いに、男は即答する。 「偽りの勝利を選ぶくらいなら、俺は死を選ぶ」 にやり、と笑みを浮かべて答えた男に、鳴海はこの男の本質を少し垣間見た気がした。 そして、鳴海の答えは決まった。 「さっきのあんたのやり方はいけすかねぇし、まだ腹も立ってる。だが…」 そこで、鳴海は一呼吸し、笑みを浮かべる。 「あんたの理論には大賛成だ。手を組んでやってもいいぜ」 「交渉は無事成立だな」 「だが二つ条件がある!」 そう言って鳴海は男の目の前で指を二本立てる。 「一つは、襲われてる奴がいたら助けに行くこと。もう一つはそのマスクを外す事だ。あんたに支給された物だろうがそれは元々俺のなんでな」 鳴海の出した二つの条件に男は考え込む。ややあって、男は口を開いた。 「わかった。一つ目については善処しよう。だが、助けた奴の面倒は極力あんたが見ること。それさえ飲めば俺から特に異論は無い」 そう言って、男はマスクを外し鳴海へと渡した。二つ目の条件も飲むと言う事だろう。マスクを外したその顔はまだ若く、だが、どこか近寄りがたい雰囲気を出していた。 「わかった。そういや名前を言ってなかったな。俺は加藤鳴海だ。宜しく頼む」 そう言って鳴海は手を差し出す。 「俺は赤木しげるだ。こちらこそ宜しく頼むよ加藤さん」 差し出してきた手を握り、赤木が答える。 「ところで悪いんだが、このグリモルディとかいう人形を今のうち慣らしときたいんだがいいかな?加藤さん。終わったらこれに乗って動けばいい」 そう言って赤木は自分が操作している人形、グリモルディを指す。 「ああ、俺は別に構わねぇよ。それと赤木さん、俺の事は鳴海でいい。さんづけされるのはどうもむず痒くてな」 「なら俺の事も赤木でいい。お互い、生き延びるぜ、鳴海」 赤木の呼びかけに鳴海が笑顔で頷く。 二人の前に待つものは、本当の勝利か、死神の鎌か。その答えは誰も知らない。 【D-1神社/1日目 深夜】 【加藤鳴海@からくりサーカス】 [状態]:健康 [装備]:聖ジョルジュの剣@からくりサーカス [道具]:核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金、輸血パック(AB型)@ヘルシング、グリース缶@グラップラー刃牙、道化のマスク@からくりサーカス [思考] 基本:対主催・誰かが襲われていたら助ける 1:赤木の人形繰りの練習が終わったら仲間になってくれる人物を探す。 [備考] ※聖ジョルジュの剣は鳴海の左腕に最初からついていますので支給品ではありません ※参戦時期はサハラ編第19幕「休憩」後です ※サハラ編から参戦しているので勝、しろがねについての記憶は殆どありません 【D-1神社/1日目 深夜】 【赤木しげる@アカギ】 [状態]:健康 [装備]:グリモルディ@からくりサーカス [道具]:核鉄(モーターギア)@武装錬金、 [思考] 基本:対主催 1:人形繰りの練習が終わったら仲間になってくれる人物を探す。 |015:[[再生怪人アンデルセン]]|[[投下順>第000話~第050話]]|017:[[トラップ発動!]]| |015:[[再生怪人アンデルセン]]|[[時系列順>第1回放送までの本編SS]]|019:[[月光下]]| |&COLOR(#CCCC33){初登場}|加藤鳴海|057:[[:無明の住人]]| |&COLOR(#CCCC33){初登場}|赤木しげる|057:[[:無明の住人]]| ----
**偽りの勝利 ◆L9juq0uMuo 月光に照らされる境内に加藤鳴海は一人立っていた。 ギリッ、と歯軋りの音が、静寂が支配する境内に響く。 鳴海は回想する。自分は他のしろがねと共に真夜中のサーカスに突入し、休憩を終え今正にフランシーヌ人形のいる間へと向かう最中だった筈である。 が、気がつけばそこは巨大なテントの中ではなく、見知らぬホール。そして光成という老人からの殺し合えとの宣告。 その発言に憤った鳴海は光成に掴みかかろうとしたが、それは赤い髪の勇次郎と言う男、そして拳王と呼ばれた男の登場、そして首輪の説明により、結局、鳴海は飛び出す機会を失ってしまった。 そしてシエスタと呼ばれた少女の『見せしめ』と言う名の死。 「人の命を何だと思ってやがる……!」 一人の少女の命を奪った相手への憤怒、少女を助けられなかったという悲しみ、そして無力感が鳴海を襲う。 「もう、そんな真似はやらせねぇ……!」 あの場にいたのは鳴海のように死線を潜り抜けた猛者だけではなく、どうみても普通の生活をおくっている様な一般人や子供の姿があった。そんな人々が殺し合いに巻き込まれる事は何があっても許せない事だった。 鳴海の瞳に決意の灯が点る。 「どこのどいつかは知らねぇが、こんなイカレた殺し合いは俺がぶち壊してやる!」 そう、どこかでほくそえんでいるであろう主催者に向けて鳴海は吼えた。 「しかし、何だ?この核鉄って奴は?錬金術の産物らしいが俺の知っているのとは全然違うみたいだな」 右篭手の武装錬金、『ピーキーガリバー』を核鉄に戻し、デイパックにしまう。 鳴海の支給品は三つ。グリースの詰まった缶、AB型の輸血パック、そして右篭手の武装錬金『ピーキーガリバー』。 ルシールとギイからの話、そして白銀の記憶で知った錬金術と、この核鉄と言うものを作った錬金術。 共に錬金術という名を冠してはいるが、鳴海の知っている錬金術にはこの核鉄という物の記述は一切ない。 どこかひっかかる物を感じながら境内を捜索していると、どこからか、キリ、キリ、と聞き覚えのある音が聞こえてきた。 (あれは……人形の音?) 人形。しろがねが宿敵である自動人形と戦う為に作られた懸糸傀儡。その人形が駆動する時の音とよく似た音のする方へと鳴海は向かう。 人形を使いこなす事ができれば相応の戦力として使える。それが乗ってない人間の物となっていれば問題は無い。しかし、仮に乗っている者の手に渡っているとしたら……、鳴海の頬を汗が一筋流れる。 気配を殺し、音のする方へ歩いていくと、建物の角から音が聞こえてきた。 鳴海は慎重に角へと歩を進めていく。 音の発信地まで、 四歩、 三歩、 二歩、 パキッ、 小枝を踏む音が辺りに響き、角の向こう側からの音が止まった。鳴海の心臓が跳ね上がる。しかし、角の向こうにいるであろう人物は一向に動きを見せない。 (乗ってないのか?) そう思い鳴海が声を上げようとした時、角の向こうの人物が動いた。 再び流れる、キリ、キリ、という音に鈍い音が混ざり始める。その刹那、角から巨大な影が躍りだした。 (まずい!) 咄嗟に鳴海は駆け出し、その影の正体、人形をすり抜ける。そして鳴海はその人形から出ている糸の終着点、人形の繰り手へと視線を向ける。 そこには目鼻を覆う道化のマスクを被った男が立っていた。 「お前は―」 「武装、錬金」 鳴海の問いかけに男の声が被さる。男の核鉄が二つのチャクラムに変わり、男の靴へと装着された。 「!! 武装―」 「遅いな」 慌ててピーキーガリバーを展開しようとした鳴海の喉元に、高速回転するチャクラムが装着された片足が向けられる。 「グッ……!」 鳴海が飛び退る。しかし、飛び退る最中に衝撃がはしり、身動きが取れなくなる。飛び退った鳴海目掛け、マスクの男が人形を使い捕縛したのだった。 「クク……、単純すぎる……」 人形の手に捕まった鳴海の前へとマスクの男が歩みよる。 「テメェ……乗ったっていうのか?」 今にも食らいつかんばかりの表情で鳴海が睨みつける。しかし、猛獣ですら逃げ出すであろうその悪鬼のごとき形相を前にしてもマスクの男は動じるようすもなく、ただ笑みを浮かべる。 「答えろ!テメェはこんなイカレた殺し合いに乗ったってのか?ああ!?」 「イカレた、か。クク……、確かにイカレているな。狂っている」 鳴海の剣幕に臆することなくマスクの男はくつくつと笑う。 「娯楽の為に老若男女問わずに拉致し殺し合わせる……、まったくもって狂気の沙汰……、道徳的にも法的にも、いや何においても現代では禁忌であり、唾棄すべきその行動……」 「そこまで解ってて何で殺し合いに乗るんだよ!」 「狂気の沙汰程面白い……!」 「!!」 マスクの男の笑みが漆黒の闇を帯びる。その闇は何よりも暗く、そして底が知れない。鳴海の背筋を薄ら寒い物が通る。 「だが、俺にとってはこのゲームに勝ち残る事なんて意味がない」 そう言うと、マスクの男は人形の手を開く、予想外の事に鳴海は対応できず尻餅をついた。 「……は?」 事態が飲み込めず、鳴海はまぬけな声を出す。 「生憎と俺はこのゲームには乗っちゃいない」 マスクの男は相変わらず笑みを浮かべている。しかし、その笑みに先ほどまでの暗さは無くなっていた。 「どういうつもりだ……?」 「何がだ?」 「何がじゃねぇ!あんな真似しといて乗っちゃいないたぁ、どういうつもりだって聞いてるんだよ!」 怒り心頭、と言った表情で鳴海が詰め寄る。 「試しただけさ」 「試すだぁ?」 マスクの男の問いに鳴海が怪訝な表情を浮かべる。 「殺し合いに乗ってるかどうか試すにはあれぐらいやらないと意味がない……。もっとも一番最初に遭遇したのもあってやりすぎたきらいはあるがな……」 マスクの男の解説に鳴海はただ呆然とするだけだった。 「さて、ここからが本題だ。今までのあんたを見ていればこのゲームには乗っている確立は100%ないだろう。そこで、このゲームをぶち壊す手伝いを頼みたい」 「手を組め、ってことか?」 憮然とした表情で鳴海が返す。 「話が早くて助かる」 「ふっざけんじゃねぇ!」 鳴海の怒号が境内に木霊する。 「あんな真似されて『はいそうですか』と手を組むと思うか?」 「いや、思わないな、普通なら」 もっともだ、とマスクの男が頷く。 「だが、ここは普通じゃない。何人いるかもわからない対主催派だ。一時的にでも組んでみるのもいいと思うがな」 「……」 鳴海は目をつぶり逡巡する。数分の沈黙の後、鳴海の目が開く。 「一つ、質問がある。どうしてあんたは乗らなかったんだ?」 鳴海の問いに、マスクの男は数秒黙り込む。どうした、と鳴海が聞こうとした時、男の口が開いた。 「殺し合いに勝ち抜き、優勝したとしても、それは奴等の手の内で踊らされただけの偽りの勝利。俺は、偽りの勝利はごめんだ」 「偽りの勝利か、だけどそれを拒んだせいで死んだらどうするよ?」 鳴海の問いに、男は即答する。 「偽りの勝利を選ぶくらいなら、俺は死を選ぶ」 にやり、と笑みを浮かべて答えた男に、鳴海はこの男の本質を少し垣間見た気がした。 そして、鳴海の答えは決まった。 「さっきのあんたのやり方はいけすかねぇし、まだ腹も立ってる。だが…」 そこで、鳴海は一呼吸し、笑みを浮かべる。 「あんたの理論には大賛成だ。手を組んでやってもいいぜ」 「交渉は無事成立だな」 「だが二つ条件がある!」 そう言って鳴海は男の目の前で指を二本立てる。 「一つは、襲われてる奴がいたら助けに行くこと。もう一つはそのマスクを外す事だ。あんたに支給された物だろうがそれは元々俺のなんでな」 鳴海の出した二つの条件に男は考え込む。ややあって、男は口を開いた。 「わかった。一つ目については善処しよう。だが、助けた奴の面倒は極力あんたが見ること。それさえ飲めば俺から特に異論は無い」 そう言って、男はマスクを外し鳴海へと渡した。二つ目の条件も飲むと言う事だろう。マスクを外したその顔はまだ若く、だが、どこか近寄りがたい雰囲気を出していた。 「わかった。そういや名前を言ってなかったな。俺は加藤鳴海だ。宜しく頼む」 そう言って鳴海は手を差し出す。 「俺は赤木しげるだ。こちらこそ宜しく頼むよ加藤さん」 差し出してきた手を握り、赤木が答える。 「ところで悪いんだが、このグリモルディとかいう人形を今のうち慣らしときたいんだがいいかな?加藤さん。終わったらこれに乗って動けばいい」 そう言って赤木は自分が操作している人形、グリモルディを指す。 「ああ、俺は別に構わねぇよ。それと赤木さん、俺の事は鳴海でいい。さんづけされるのはどうもむず痒くてな」 「なら俺の事も赤木でいい。お互い、生き延びるぜ、鳴海」 赤木の呼びかけに鳴海が笑顔で頷く。 二人の前に待つものは、本当の勝利か、死神の鎌か。その答えは誰も知らない。 【D-1神社/1日目 深夜】 【加藤鳴海@からくりサーカス】 [状態]:健康 [装備]:聖ジョルジュの剣@からくりサーカス [道具]:核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金、輸血パック(AB型)@ヘルシング、グリース缶@グラップラー刃牙、道化のマスク@からくりサーカス [思考] 基本:対主催・誰かが襲われていたら助ける 1:赤木の人形繰りの練習が終わったら仲間になってくれる人物を探す。 [備考] ※聖ジョルジュの剣は鳴海の左腕に最初からついていますので支給品ではありません ※参戦時期はサハラ編第19幕「休憩」後です ※サハラ編から参戦しているので勝、しろがねについての記憶は殆どありません 【D-1神社/1日目 深夜】 【赤木しげる@アカギ】 [状態]:健康 [装備]:グリモルディ@からくりサーカス [道具]:核鉄(モーターギア)@武装錬金、 [思考] 基本:対主催 1:人形繰りの練習が終わったら仲間になってくれる人物を探す。 |015:[[再生怪人アンデルセン]]|[[投下順>第000話~第050話]]|017:[[トラップ発動!]]| |015:[[再生怪人アンデルセン]]|[[時系列順>第1回放送までの本編SS]]|019:[[月光下]]| |&COLOR(#CCCC33){初登場}|加藤鳴海|057:[[無明の住人]]| |&COLOR(#CCCC33){初登場}|赤木しげる|057:[[無明の住人]]| ----

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