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**夜空にコインが煌めいて…… ◆7jHdbxmvfI 普通の中学校制服である黒い学ランを華麗に着こなし、オールバックの髪型はスッキリと決まっている。 そして整った顔立ちはまるでアイドル。 何をやらせても一切の隙が無い。 無論慕う人間は数知れず。 王になるべくしてこの世に生を受けた男、桐山和雄は気が付いた時には、野球場のマウンドで立っていた。 「……プログラム……か」 感情の無い淡々とした声で呟く。 本来プログラムとは、中学生1クラスを対象にした物。 したがってこれはプログラムのそれとは大きく食い違う。だがそれは桐山にとっては些細な事である。 全く自然な手つきでバッグを開け、支給品であろう包装された紙を取る。 「…………!」 中から出たのは少し大きなショットガン。 紙のサイズとは明らかに一致しない。 物理法則を無視した出来事に、表情は変えないまでもほんのわずかながら驚く。 だがそれも一瞬。 さっさと二つ目の包装紙を開く。 出てきたものは二本の銃剣(バヨネット)。 「………」 しばし思考の末、銃剣をバッグに戻す。 そして最後に名簿を開き中を確認する。 中に記された名前で知っている者は自分を除けば、挨拶を交わしたかどうかという程度のただのクラスメート、川田章吾、 杉村弘樹、三村信史の名前が確認できた。 あいにく自らを特に強く慕う沼井充を初めとする取り巻きの面々の名は一つも記されていない。 だがそれを気にする事などありえない。 幼少期の事故で脳を傷つけ、喜怒哀楽を失った男には自分を慕う男がこの場いるかどうかなど、まるで問題ではないからだ。 鞄に名簿を戻しショットガンを構えると、表情を一切変えずに球場の外に歩き出した。 足音を立てずにモデルのような綺麗な歩き方で――    ☆   ☆   ☆ 「俺は……どうして………ちっ……くしょ……ぅ……」 民家を出て路上を一人歩く、彼の背中は酷く惨めに見える。 吐き出す言葉は絶望ばかり。 叫びかけた声も、誰かに見つかる恐怖の前で思わず縮こまる。 思えば一時間前。 DIOとアーカード。 二人の男に襲われながらも命からがら逃げ出した。 しかしそこで力は使い果たし、疲労はピークに達していた。 その疲労は一時間で回復するものではない。 でもそれでも、彼平賀才人は民家に留まる事は出来なかった。 その理由は一つ。 あそこはアーカードとDIOのいた位置から考えても、決して遠いところではない。 いつ自分の所に来るか分からない以上、とどまり続けることは出来なかった。 心に刻まれた恐怖は、疲労以上に回復する事はない。 静寂と闇夜に包まれた空間は、その恐怖をより深いものにしてしまう。  とりあえず夜は人の来ないところだ。落ち着け。南には汚水処理場があるじゃねえか。  あそこならまさか誰も来ないだろ。地図の端だし名前も汚いイメージだし……夜だけ。夜だけはあそこに隠れる。  逃げるんじゃないぞ。朝になればルイズを探すんだ。だから夜の間だけ…… 疲労が残りふらつく足に鞭を打つように、前に向かい歩き続ける。 恐怖で震える足を、必死で前へ動かし続けていた。 一時の安息を求めて。 そして更に数十分後。 もうどれぐらい歩いただろうか。 あとどれくらい歩けば目的地だろうか。 しかし目的地に着くことは無いまま、平賀才人の闇夜の逃亡劇は幕を下ろす。 「止まれ」 短い、僅か三文字の言葉。 しかし不意の言葉は才人には体を硬直させる。 全身から嫌な汗が流れる。 「……!?」 勇気を出してゆっくりと振り返る。 するとそこには、自分がかつて住んでいた世界で見慣れた学ランを着込んだオールバックの男が立っている。 自分より年下であるだろうが、それでも顔立ちや姿勢、といったものは風格を漂わせている。 だがそれよりも何よりも、気になるのは右手に持っているショットガン。  ……銃?まさか殺しに……とにかく落ち着け。いいか、こっちから話しかけるんだ。 「………おっ、お前の名前は?俺は……才人。平賀才人」 努めて冷静を心がける。いかにもいつも通りを装って。 「……桐山……桐山和雄」 淡々と告げる。抑揚無く、ただ事務的に名前を伝える。 「あんたは殺し合いには乗ってないよな!一緒に殺し合いの首謀者をぶちのめすだろっ!」 必死に、説得するように話しかける。 過去に二度であった人間は、二度とも殺し合いに乗っていた。 『二度あることは三度ある』という諺がある。 この諺がこれほどまでに憎らしいと思ったことは無い。 だからこそ、この諺通りにならないよう祈りを込めて語りかける。 「…………」 だが桐山和雄は答えない。 ただ無言、無表情で立っているだけ。 「なっ、一緒にさ!もちろん乗ってない人はみんなで協力して首謀者を倒すんだ。あんなジジイの言いなりになんかなりたくないだろ。  仲間になろうぜっ!」 もう一度話しかける。 とにかく自分の思いを伝えるように。明るさと強さも見せるように必死で。 「………………」 それでも桐山は答えない。 才人は不安になる。 ただ無言。アーカードやDIOとはまた違う。動ではない静。返答を待つ間、言い知れない恐怖を感じ始める。  なんで黙ってるんだ。……くそっ、こんなところでいつまでも居たらあいつらが来るかも知れねえじゃねえか。  もう……時間が無い。 「黙ってるなら俺はもう行くぞっ!」 焦り、遂に会話を打ち切り別れを切り出す。 とにかくこの沈黙から逃れたかった。 しかし、離脱を桐山は許さない。 「待て」 最初に発したのより更に短い言葉。 だが次は銃を自分に向ける、その行動が才人をその場に固定する。 「くっ!?」 凍りつく。 桐山は無表情で銃を構える。  撃つのか?……くそっ。ルイズを守ってないのに……。マジで撃つのかよ……死ぬのかよ。 『撃つ』 このキーワードが脳裏から消えない。 手元にある紫外線照射装置には最後の一発があるが、それを向けようとした瞬間、相手は引き金を引く。 そんな予感がしてしまい、取り出すに取り出せない。 どうしようもない、絶望しかない状況に、死を覚悟し目を閉じる。 時間が悪戯に流れる。 本当は一瞬である時間が、才人とっては何時間にも感じる。 しかしいつまで経っても銃弾は来ない。 恐る恐る目を開くと、桐山はポケットから一枚のコインを取り出していた。 そしてそのままコインを宙に投げる。 才人と桐山、両者の視線が宙に向かう。 投げられたコインは星が輝く夜空を舞い、空中で一瞬の停止。その刹那を逃さないように月明かりがコインに反射。 月に煌く星となったコインはそのまま落下。アスファルトで覆われた路上へと流星のごとく降り立つ。 降り立ったコインは、アスファルトとアルミの反響音を大きく響かせる。それはまるで二人の沈黙に割ってはいる交響曲。 交響曲と化した反響音は二度三度として響き続ける。 やがて運動エネルギーを使い果たしたコインは二人の中央で静止し、交響曲は静かに終わる。 華麗な音楽を奏でたコインを一瞥し、桐山はそっと呟く。 「………そうだな。それも悪くない」 銃を下げて桐山が三度目の口を開く。 思っても見ない返答。だがそれは銃を下げた動きから考えても、才人が待ち望んでいた答えを意味していた。 「……えっ!?……じゃあ」 驚きと嬉しさが混じり、上手く思考が纏まらない。 「……」 「ちょっ……あっ……ありがとう」 桐山は無言のままバッグから出した二本の銃剣を才人の足下に投げる。 もちろん才人はそれをすぐに拾い上げて――  あれ?この感覚どこかで……そうだ。ギーシュと決闘した時だ。俺あのときもボロボロだけど戦ったんだよな。  何とか勝ったけど、その後で気を失って三日も眠り続けて……それなのに今の俺は……くそっ!俺は男だ。  男なんだよ。何の因果かしらねえが男に生まれたんだ!怖いさ。怖いけど……でも、それでも…… 才人は両の手のバヨネットを握り締め、全てが始まったあの日を思い出す。 まだ二人に植え付けられた恐怖は消えていない。自信も無い。 けど意地だけは、男の意地だけは確かに心の片隅に残っている。  まだ……戦える! 気付くと桐山は既に才人に背を向けて先を歩いていた。 才人は桐山の隣に、小走りで追いつく。 両手には慣れた武器と用途が似た、バヨネットを持って。 一見すると再起を遂げたかのように見える。 しかし彼には知らない事が二つある。 一つは彼が持つバヨネットは、ほんの数時間前に彼を襲った男アーカードの好敵手、神父アンデルセンの武器であること。 だけどこれは些細な事。ほとんど問題とはいえないかもしれない。 そしてもう一つ、こちらはとても重要な事である。だがそれを彼、平賀才人は知らない。 桐山は単純に『コインの表裏』で決めただけなこと。決して正義感のような感情など持ち合わせていないことを。 この事実の誤認が幸となるか不幸となるか――今は誰にも分からない―― 桐山は決して表情を変えず、前に向かい歩き続ける。 月の光りを浴びてなお、無表情の男は前に向かい歩みを止める事はない。 二人が去った後も、コインは路上で月の光りを受けて静かに輝きを放つ。 ――植物模様が描かれた『表』を星空に向け―― 【B-6東部 路上 一日目 黎明】 【平賀才人@ゼロの使い魔】 {状態}中程度の疲労 自身消失(ほんのわずかだが意地で回復) アーカードとDIOへの潜在的恐怖は健在 {装備}バヨネット×2@HELLSING {道具}紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回) {思考・状況} 1:とりあえず桐山についていき一緒に行動する。 2:ルイズを探し出して守る。 3:竜の羽衣、デルフリンガーを始めとする身を守る武器が欲しい。 4:武器を手に入れて、シェスタの仇(光成、他)を討つ。 5:キュルケ、タバサ、葉陰覚悟《名前は知らない》との合流、武器の捜索。 【桐山和雄@BATTLE ROYALE】 {状態}健康 {装備}レミントン M31(4/4)@BATTLE ROYALE {道具}支給品一式 レミントン M31の予備弾24 {思考・状況} 1:乗ってない人間を見つけ協力するなら仲間にする 2:平賀才人が協力するなら仲間にする 3:襲ってきた人間に対しては一切の手加減をしない 4:首謀者を倒す。 基本行動方針 首謀者の思惑を外すべく、死者が一人でも減るように行動する |017:[[トラップ発動!]]|[[投下順>第000話~第050話]]|015:[[再生怪人アンデルセン]]| |017:[[トラップ発動!]]|[[時系列順>第1回放送までの本編SS]]|022:[[MIND YOUR STEP!!]]| |&COLOR(#CCCC33){初登場}|平賀才人|055:[[去るものは追わず]]| |&COLOR(#CCCC33){初登場}|桐山和雄|055:[[去るものは追わず]]| ----
**夜空にコインが煌めいて…… ◆7jHdbxmvfI 普通の中学校制服である黒い学ランを華麗に着こなし、オールバックの髪型はスッキリと決まっている。 そして整った顔立ちはまるでアイドル。 何をやらせても一切の隙が無い。 無論慕う人間は数知れず。 王になるべくしてこの世に生を受けた男、桐山和雄は気が付いた時には、野球場のマウンドで立っていた。 「……プログラム……か」 感情の無い淡々とした声で呟く。 本来プログラムとは、中学生1クラスを対象にした物。 したがってこれはプログラムのそれとは大きく食い違う。だがそれは桐山にとっては些細な事である。 全く自然な手つきでバッグを開け、支給品であろう包装された紙を取る。 「…………!」 中から出たのは少し大きなショットガン。 紙のサイズとは明らかに一致しない。 物理法則を無視した出来事に、表情は変えないまでもほんのわずかながら驚く。 だがそれも一瞬。 さっさと二つ目の包装紙を開く。 出てきたものは二本の銃剣(バヨネット)。 「………」 しばし思考の末、銃剣をバッグに戻す。 そして最後に名簿を開き中を確認する。 中に記された名前で知っている者は自分を除けば、挨拶を交わしたかどうかという程度のただのクラスメート、川田章吾、 杉村弘樹、三村信史の名前が確認できた。 あいにく自らを特に強く慕う沼井充を初めとする取り巻きの面々の名は一つも記されていない。 だがそれを気にする事などありえない。 幼少期の事故で脳を傷つけ、喜怒哀楽を失った男には自分を慕う男がこの場いるかどうかなど、まるで問題ではないからだ。 鞄に名簿を戻しショットガンを構えると、表情を一切変えずに球場の外に歩き出した。 足音を立てずにモデルのような綺麗な歩き方で――    ☆   ☆   ☆ 「俺は……どうして………ちっ……くしょ……ぅ……」 民家を出て路上を一人歩く、彼の背中は酷く惨めに見える。 吐き出す言葉は絶望ばかり。 叫びかけた声も、誰かに見つかる恐怖の前で思わず縮こまる。 思えば一時間前。 DIOとアーカード。 二人の男に襲われながらも命からがら逃げ出した。 しかしそこで力は使い果たし、疲労はピークに達していた。 その疲労は一時間で回復するものではない。 でもそれでも、彼平賀才人は民家に留まる事は出来なかった。 その理由は一つ。 あそこはアーカードとDIOのいた位置から考えても、決して遠いところではない。 いつ自分の所に来るか分からない以上、とどまり続けることは出来なかった。 心に刻まれた恐怖は、疲労以上に回復する事はない。 静寂と闇夜に包まれた空間は、その恐怖をより深いものにしてしまう。  とりあえず夜は人の来ないところだ。落ち着け。南には汚水処理場があるじゃねえか。  あそこならまさか誰も来ないだろ。地図の端だし名前も汚いイメージだし……夜だけ。夜だけはあそこに隠れる。  逃げるんじゃないぞ。朝になればルイズを探すんだ。だから夜の間だけ…… 疲労が残りふらつく足に鞭を打つように、前に向かい歩き続ける。 恐怖で震える足を、必死で前へ動かし続けていた。 一時の安息を求めて。 そして更に数十分後。 もうどれぐらい歩いただろうか。 あとどれくらい歩けば目的地だろうか。 しかし目的地に着くことは無いまま、平賀才人の闇夜の逃亡劇は幕を下ろす。 「止まれ」 短い、僅か三文字の言葉。 しかし不意の言葉は才人には体を硬直させる。 全身から嫌な汗が流れる。 「……!?」 勇気を出してゆっくりと振り返る。 するとそこには、自分がかつて住んでいた世界で見慣れた学ランを着込んだオールバックの男が立っている。 自分より年下であるだろうが、それでも顔立ちや姿勢、といったものは風格を漂わせている。 だがそれよりも何よりも、気になるのは右手に持っているショットガン。  ……銃?まさか殺しに……とにかく落ち着け。いいか、こっちから話しかけるんだ。 「………おっ、お前の名前は?俺は……才人。平賀才人」 努めて冷静を心がける。いかにもいつも通りを装って。 「……桐山……桐山和雄」 淡々と告げる。抑揚無く、ただ事務的に名前を伝える。 「あんたは殺し合いには乗ってないよな!一緒に殺し合いの首謀者をぶちのめすだろっ!」 必死に、説得するように話しかける。 過去に二度であった人間は、二度とも殺し合いに乗っていた。 『二度あることは三度ある』という諺がある。 この諺がこれほどまでに憎らしいと思ったことは無い。 だからこそ、この諺通りにならないよう祈りを込めて語りかける。 「…………」 だが桐山和雄は答えない。 ただ無言、無表情で立っているだけ。 「なっ、一緒にさ!もちろん乗ってない人はみんなで協力して首謀者を倒すんだ。あんなジジイの言いなりになんかなりたくないだろ。  仲間になろうぜっ!」 もう一度話しかける。 とにかく自分の思いを伝えるように。明るさと強さも見せるように必死で。 「………………」 それでも桐山は答えない。 才人は不安になる。 ただ無言。アーカードやDIOとはまた違う。動ではない静。返答を待つ間、言い知れない恐怖を感じ始める。  なんで黙ってるんだ。……くそっ、こんなところでいつまでも居たらあいつらが来るかも知れねえじゃねえか。  もう……時間が無い。 「黙ってるなら俺はもう行くぞっ!」 焦り、遂に会話を打ち切り別れを切り出す。 とにかくこの沈黙から逃れたかった。 しかし、離脱を桐山は許さない。 「待て」 最初に発したのより更に短い言葉。 だが次は銃を自分に向ける、その行動が才人をその場に固定する。 「くっ!?」 凍りつく。 桐山は無表情で銃を構える。  撃つのか?……くそっ。ルイズを守ってないのに……。マジで撃つのかよ……死ぬのかよ。 『撃つ』 このキーワードが脳裏から消えない。 手元にある紫外線照射装置には最後の一発があるが、それを向けようとした瞬間、相手は引き金を引く。 そんな予感がしてしまい、取り出すに取り出せない。 どうしようもない、絶望しかない状況に、死を覚悟し目を閉じる。 時間が悪戯に流れる。 本当は一瞬である時間が、才人とっては何時間にも感じる。 しかしいつまで経っても銃弾は来ない。 恐る恐る目を開くと、桐山はポケットから一枚のコインを取り出していた。 そしてそのままコインを宙に投げる。 才人と桐山、両者の視線が宙に向かう。 投げられたコインは星が輝く夜空を舞い、空中で一瞬の停止。その刹那を逃さないように月明かりがコインに反射。 月に煌く星となったコインはそのまま落下。アスファルトで覆われた路上へと流星のごとく降り立つ。 降り立ったコインは、アスファルトとアルミの反響音を大きく響かせる。それはまるで二人の沈黙に割ってはいる交響曲。 交響曲と化した反響音は二度三度として響き続ける。 やがて運動エネルギーを使い果たしたコインは二人の中央で静止し、交響曲は静かに終わる。 華麗な音楽を奏でたコインを一瞥し、桐山はそっと呟く。 「………そうだな。それも悪くない」 銃を下げて桐山が三度目の口を開く。 思っても見ない返答。だがそれは銃を下げた動きから考えても、才人が待ち望んでいた答えを意味していた。 「……えっ!?……じゃあ」 驚きと嬉しさが混じり、上手く思考が纏まらない。 「……」 「ちょっ……あっ……ありがとう」 桐山は無言のままバッグから出した二本の銃剣を才人の足下に投げる。 もちろん才人はそれをすぐに拾い上げて――  あれ?この感覚どこかで……そうだ。ギーシュと決闘した時だ。俺あのときもボロボロだけど戦ったんだよな。  何とか勝ったけど、その後で気を失って三日も眠り続けて……それなのに今の俺は……くそっ!俺は男だ。  男なんだよ。何の因果かしらねえが男に生まれたんだ!怖いさ。怖いけど……でも、それでも…… 才人は両の手のバヨネットを握り締め、全てが始まったあの日を思い出す。 まだ二人に植え付けられた恐怖は消えていない。自信も無い。 けど意地だけは、男の意地だけは確かに心の片隅に残っている。  まだ……戦える! 気付くと桐山は既に才人に背を向けて先を歩いていた。 才人は桐山の隣に、小走りで追いつく。 両手には慣れた武器と用途が似た、バヨネットを持って。 一見すると再起を遂げたかのように見える。 しかし彼には知らない事が二つある。 一つは彼が持つバヨネットは、ほんの数時間前に彼を襲った男アーカードの好敵手、神父アンデルセンの武器であること。 だけどこれは些細な事。ほとんど問題とはいえないかもしれない。 そしてもう一つ、こちらはとても重要な事である。だがそれを彼、平賀才人は知らない。 桐山は単純に『コインの表裏』で決めただけなこと。決して正義感のような感情など持ち合わせていないことを。 この事実の誤認が幸となるか不幸となるか――今は誰にも分からない―― 桐山は決して表情を変えず、前に向かい歩き続ける。 月の光りを浴びてなお、無表情の男は前に向かい歩みを止める事はない。 二人が去った後も、コインは路上で月の光りを受けて静かに輝きを放つ。 ――植物模様が描かれた『表』を星空に向け―― 【B-6東部 路上 一日目 黎明】 【平賀才人@ゼロの使い魔】 {状態}中程度の疲労 自身消失(ほんのわずかだが意地で回復) アーカードとDIOへの潜在的恐怖は健在 {装備}バヨネット×2@HELLSING {道具}紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回) {思考・状況} 1:とりあえず桐山についていき一緒に行動する。 2:ルイズを探し出して守る。 3:竜の羽衣、デルフリンガーを始めとする身を守る武器が欲しい。 4:武器を手に入れて、シェスタの仇(光成、他)を討つ。 5:キュルケ、タバサ、葉陰覚悟《名前は知らない》との合流、武器の捜索。 【桐山和雄@BATTLE ROYALE】 {状態}健康 {装備}レミントン M31(4/4)@BATTLE ROYALE {道具}支給品一式 レミントン M31の予備弾24 {思考・状況} 1:乗ってない人間を見つけ協力するなら仲間にする 2:平賀才人が協力するなら仲間にする 3:襲ってきた人間に対しては一切の手加減をしない 4:首謀者を倒す。 基本行動方針 首謀者の思惑を外すべく、死者が一人でも減るように行動する |017:[[トラップ発動!]]|[[投下順>第000話~第050話]]|015:[[再生怪人アンデルセン]]| |017:[[トラップ発動!]]|[[時系列順>第1回放送までの本編SS]]|022:[[MIND YOUR STEP!!]]| |013:[[吸血鬼]]|平賀才人|055:[[去るものは追わず]]| |&COLOR(#CCCC33){初登場}|桐山和雄|055:[[去るものは追わず]]| ----

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