桐山の戦略

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桐山の戦略  ◆NIooiMe9JM



「ふぅ……」
 キャプテン・ブラボーこと防人衛は、心身ともに疲れていた。

 ここは、A-8にある変電所内の警備員室。
 この部屋は、台所があり、水や火の入手が楽で、
 なおかつ4~6人待機できる広さであり、さらに窓が対面の北と、東側にあるので、
 もし強敵が来ても、すぐ逃げることが出来る。
 桐山は、この場所を発見し、すぐこの部屋を休憩室にすることをブラボーに提案。
 そして変電所を一通り回った後、この部屋にもう一度来て、休憩しているところだった。

「どうぞ」
 桐山が防人に、この部屋にあったお茶を沸かしたものを渡した。
「すまない」
 お茶を貰い、息でお茶を冷ましながら、一口飲んだ。

「ふぅ…………」
 冒頭と同じような、ため息を吐く。
 もっとも、このため息は、独り言ではなく、桐山と話しをする為に一旦
 心を落ち着かせたものである。

「桐山…… お前さぁ…… もうちょっと、慎重になれないか?」
 防人が桐山に最初に発した言葉はこれだった。
 防人がこう言うのは無理もない。
 A-6エリアの西端に行ったとき、一つ防人は迷っていた。
 エリア外に出たときにいつ首輪が爆破されるか、をである。
 何秒か猶予があるのかもしれない、しかし
 出た瞬間爆破される可能性も0ではない。

 防人が若干だが躊躇していたとき、桐山は防人の相談も躊躇いも無く、エリア外に入っていった。
 そしてその結果、30秒ルールを発見したので結果オーライとは言え無くもないが。

「あの老人が、もし快楽殺人者、もしくは無差別殺人好きであったら、
 瞬間爆破もありえなくはない。
 しかしあの老人は、俺たちにわざわざ殺し合いをしろと言った。
 つまり、入った瞬間爆破したら、事故や俺たちみたいに
 端を調べておきたい輩が、何も考えず死んでしまう。
 だから老人は、30秒の猶予を与えた。
 不測の事態で、出来るだけ死者をださせないように。
 おそらく…… 時間ごとに増える禁止エリアも同じように。
 俺たちに、恐怖や、安全性、そして戦略性を……」
 戦略性という言葉を聴き思わず防人は桐山の話を遮る。
「戦略性だって? 前の二つは同意できるが、このルールが戦略に関係あるのか?」
「ああ、例えば……」
 桐山は、自分の地図と部屋あったノートを取り出した。
「例えば、地下鉄を使うとしたらだ
 もしA-4が禁止エリアになったとする。
 そうすると、必然的にB-3駅から西側の駅に向かう電車には乗られないだろう。
 しかしC-2もしくは、それ以上東側にある駅からは西に向かう電車には乗る可能性がある、
 逃げる場所や隠れる場所もそれなりにあるからな。
 だから、東側から来る電車に敵を乗せたまま、自分だけ脱出、
 もしくは手錠やロープのような物でで電車内に束縛出来たら……」
「自分よりはるかに格が上でも怪我、旨くすれば無傷で敵を倒せるって事か」
「その通り。つまり、この30秒ルールを制したものは、
 必然的にこの殺し合いを制する事が出来る」

 そんな簡単なもんかね、と防人は少し思ったが、
 そんな戦略も一理あるな、とも思っていた。

(つまり、強敵と戦うときは自滅覚悟で、この行為やそれに近いことをすれば
 結果はどうあれ……いや無論生き残ったほうがいいが、強敵に
 一泡吹かせることが出来るってことだろ)

 防人はこの殺し合いは、能力が一番重要だと思っていた。
 いや、ほとんどの参加者が、自分の能力だけを信じて、この殺し合いにいるはずだ。
 では桐山はどうか? 桐山は確かに身体能力は人一倍良い、
 だが生まれてからずっと戦場で育った者、日ごろから殺人や怪物狩りをしている者と比べたら、
 かなり差がでているであろう。

 だからこそ桐山は確信していた。この殺し合い、弱者が強者にも勝つ可能性があるということを。
 桐山はこの殺し合いのルールを使って殺人狂を撃退する。
 それが不可能だったら道具を使って逃走することを優先するべきだと。
 そして真正面に向かい、一対一で自分の能力だけで戦うことは無駄であり
 この殺し合いは敵に情けをかけずただ殺す、
 それがどんな卑怯な手、一対多数や、奇襲など関係ない
 少なくともこの殺し合いでは、それはしょうがないことだと。

「そういえば…ここに入る前にDISCについて何かわかったとか、言っていたよな?
 そのことについても話してくれないか?」
 桐山は変電所内に入る前に、DISCのことを、後で話すと防人に伝えていた。
「ええ、『一応』ですが。だが、今はまだ話すべきときではない」
「今は……? それは、劉鳳たちがここに来たら話すってことか?」
「劉鳳はあんまり関係はない……
 いや別に今話しても構わないが、盗聴されている可能性もあるからな」

 この発言に、我を忘れて防人は取り乱す。

「おいおい……?! お前はなんてことを言っているんだ?! 
 盗聴されていることがわかっているならなんで、 されているということを口にだした?!」
 防人はほんお少しだけだが何となく、盗聴されている事がわかっていた。
 もちろん桐山も理解していた、だがあえて言った。
「意味のないことなんだよ、例え筆談していてもそれ以外の何かの力で……
 盗聴以外、つまり盗撮や、記憶を見られている可能性も無くはない」
「だったら尚更…… 大体そういう発言こそ筆談するべきだろ……?!」
 防人はまだ取り乱している。
 それもそのはず、普通なら盗聴されているのをわかっていたら口にはださない。
 少なくとも、脱出関係や主催者のことは、必然的に筆談で話すべき。
 例え、それが盗聴じゃなく盗撮でも。しかし、桐山の考え方は違った。
「少し長くなるが、俺が言いたいことを書かせてもらうぞ」
そう言うと、桐山は、地図の上にある、ノートに文字を書き出した

『おそらく、先程の発言に対して第二回放送で盗聴に関する話しを、
 確実にしてくるはず。この事を放送で言った場合、
 まだ盗聴に気づいていない、または気づく暇もない、
 他の参加者に盗聴の有無を教えることが出来る。
 もっとも、先程も言ったとおり、奴は殺し合いをしろと言った。
 だから、脱出関係のことや、乗っていないということを口にだして発言をしても、
 あの老人は何もしてこない。だから、別に口にだしていっても別に問題は無い。』

 このことについては、さすがに防人は驚いていた。
 桐山和雄と言う目の前の男はどういう頭をしているんだと。
 禁止エリアに入った時の躊躇の無さも、
 ルールを利用した、殺しの仕方も、一応考えられる範囲内だった。
 しかし、盗聴されていることを平気で言い、なおかつ、
 それを、逆に利用し参加者全員に伝える手立てとした。
 考えられるであろうか、普通ならこんな危なくてハイリスクなことが考えれるはずがない。

「まぁ、こんなところだ。ついでに言いと、DISCはパソコンを使って何かをやる、
 というものではないだろう。
 劉鳳がこのDISCの取扱説明書に書いてあったという、
 ─ここの参加者の誰かの記憶─と言っていたのを思い出して、少しひらめいた。
 もっともまだ6割ぐらいしか理解してないから、深くは言えないが
 俺のこのDISCに対する考察が外れていなければ、
 なぜあの変な場所から、この地図内に現れたかも証明は可能」
「そこまで言えるのなら、別に6割全て話してもいいんじゃないか?」
 そう防人が聞くと、桐山はまたノートに何かを書き出した。

『2度も手間の掛かる筆談をしたくない』

「ああ…… それもそうだな、お前の気持ちを考えていなかった、すまん。
 劉鳳たちが来たらでいいだろう。でこれからどうする?」
「とりあえず、第二回放送までここで休憩しておくのが無難。
 体を休めて体調を万全にするのも、また一つの戦略だ」
 と言うことで、二人は変電所内で放送を待つことにした。

☆ ☆ ☆

 防人は考えていた、斗貴子とカズキのことを。
(戦士カズキ、戦士斗貴子、二人とも気分はどうだ? 俺はとってもいい感じだ。
 なんせすごく頼もしい男がいるからだ。
 カズキの数倍頭が良い奴だが、少々無謀なことをする奴だがな。
 お前らはどうだ? 良い仲間が出来たか? 合流できたか?
 頼むから死んでくれるなよ……! 少なくても俺よりは先に、放送でお前らの名前を聞きたくない)

 第二回放送が流れる時まで、刻々と時計は進む。
 誰かが誰かを殺し、そしてまた誰かを殺す。
 最後の一人になるまで。
 それがバトルロワイヤルの醍醐味。
 時間が進むたびに、一人、また一人儚い命が無くなっていく。
 はたしてこの二人は、それらの一人に入ってしまうのか、それとも生き残るのか。
 すべては、己の能力と知力と運が導いてくれるだろう。
 その道が、修羅なのか、天国なのかは、今は誰もわからない。

【A-8 変電所内1階警備室(北東)/1日目/昼】
【桐山和雄@BATTLE ROYALE】
[状態]:健康
[装備]:レミントンM31(3/4)@BATTLE ROYALE
[道具]:支給品一式、レミントン M31の予備弾24、空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険、
劉鳳の名簿の写し、スタングレネード×2、お茶葉(残り100g)
[思考・状況]
基本:首謀者の思惑を外すべく、死者が一人でも減るように行動する
1:第二回放送を聞く。
2:DISCと戦略についてさらに考察をする。
3:体力を回復させながら、劉鳳を待つ。
4:乗ってない人間を見つけ協力するなら仲間にする。
5:襲ってきた人間に対しては一切の手加減をしない。
6:首謀者を倒す。
※承太郎の記憶DISCは、6部3巻でホワイトスネイクに抜き取られたものです。
※DISCに対する残りの4割の考察は、後の書き手にお任せします。

【防人衛@武装錬金】
[状態]:健康
[装備]:シルバースキン形コート@武装錬金
[道具]:支給品一式、スタングレネード×2
[思考・状況]
基本:弱い者を守る
1:第二回放送を聞く。
2:桐山の言ったとおり体力を回復しながら、劉鳳を待つ
3:錬金の戦士・パピヨン・カズマ・シェリス・三村・川田、核鉄を探す。
4:勇次郎・拳王・ジグマール・DIOには警戒。

※二人の名簿に青い丸印が付けられているのは、
カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・ルイズ・防人・カズキ・斗貴子
赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード
緑色の丸印が付けられているのは、蝶野


104:以前の彼女 投下順 106:人の名前とか間違えるの失礼だ
104:以前の彼女 時系列順 106:人の名前とか間違えるの失礼だ
078:フライトコードなし! A-6/ホテルへ向かえ! 桐山和雄 108:倒れるまで走るくらい、熱く生きてみたいから――DORAGON LOAD――
078:フライトコードなし! A-6/ホテルへ向かえ! 防人衛 108:倒れるまで走るくらい、熱く生きてみたいから――DORAGON LOAD――



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