ギャラン=ドゥ ジグマールのバトルロワイアル   ◆ZhOaCEIpb2



S8駅の車掌室の一室で正座をしている男がいた。顔立ちはかなり整っており、そこら男性アイドルよりも美形である。
しかし、その表情は折角の美形も台無しになるぐらい悲壮感が漂っていた。
その上、アフロの髪型がよりいっそう悲壮感を引き立たせている。
それもそのはず、目の前には古代ローマの戦士を思わせる鎧を着た大男。
口には葉巻をくわえ、椅子にもたれかけ、異質なオーラを纏わせながら美形を見下ろしている。
額には血管を引きつかせながら。

「マーティン・ジグマールゥ…この前、俺は言ったよなァ」
「は、はい!」
「確かこの俺は『ゲームに乗らない奴に匿ってもらえ』と言ったはずだが……?」
ギャラン=ドゥはギロリと鋭い視線をジグマールに向ける。
「だって、あれは…まさかアルター使いがいると思わなかったんだよう。
 ……もしいると知っていたなら、あんなことしなかったよ……」
と、ジグマールはまるでキューンと首を項垂れる子犬のように声を震わせ弁明する。

それを聞くと、ギャラン=ドゥは優しい笑みを浮かべる。
先ほどの怒りのオーラをどこか遠くの彼方に飛び去ったような暖かい口調で。
「そうかい……そうかい……それは大変だったなァ」
「そうなんだよ、ギャラン=ドゥ。だから許して―――」

「――――言い訳をするなッ!!」

雄たけびと共に隣にあったデスクに拳を叩きつける。
デスクは重量感のある音を残し、飴細工のようにグニャリと拉げた。
並べられていた書類の舞散り具合はまるで風で飛ばされるタンポポの房のようである。
「ひぃ!!」
「ジグマールゥ、普通に考えてみるんだァ。殺し合いを強要されているこの絶体絶命時。
 誰がわざわざ自分の飯の種であるアルター能力をばらすんだッ。
 そんなことする奴はとんだ馬鹿かお人好しぐらいだッ!」
ジグマールは地面に頭を擦り付けたまま身を震えさせている。
「お前にも分かっているだろう、この戦いに徒党を組む大切さが重要だってことをなァ。
 ただでさえ、お前の能力はクソ忌々しい光成のハゲによってかなり制限されているんだッ。
 どんな能力を待った奴が潜伏しているか分からない中、一人で生き残るのはかなりの難易度を要する。
 だから、殺し合いに乗っていない奴らに匿ってもらえと言ったんだァッ。
 それを――――」

ギャラン=ドゥは力の限り、歪んだデスクに拳で薙ぎ払った。
デスクは真っ直ぐ窓を突き破って、ホーム内の廊下へと転がる。
無人の駅内にガラスの金きり音が響き渡る。

「―――お前の浅はかな行為で殺し合いに乗っている事がばれちまったんだァッ!!
 これはどうしようもない失態だぞ、マーティン・ジグマールゥッ!!」

絶叫にも似た怒号がジグマールの耳朶を張り詰める。
周囲全体がギャラン=ドゥの声で轟き、ピリピリと振動で震える。

ジグマールは口をアワアワとさせながら、吹っ飛ばされたデスクに視線を向けたあと、すぐに眼をギャラン=ドゥへ戻す。
「ご、ごめんよぅ、ギャラン=ドゥ!」
「ふんッ、まあいい……今度こそ、乗っていない奴らに匿ってもらうんだ」
ギャラン=ドゥは怒りの限り大声を出したせいか、気持ちが収まり穏やかな口調で語りかける。
「でも、目的がばれてしまったんだよ。もうそんなことできないよう」
弱音を吐くジグマール。
そんな彼に歯を輝かせながらギャラン=ドゥは舌を鳴らし、人差し指を大きく振る。
「チッチッチ、ジグマール。今ならまだ間に合う。
 あいつらが他の参加者に合流する前に、奴らの悪評を振りまくんだ。
 突然五人組に襲われて死に物狂いで逃げ切ったんだ、とか色々と理由に出来るだろゥ。
 それにHOLY部隊で培った演技力でばれやしないさァ。そのうえ、お前はケガ人だから信ぴょう性もある。
 この殺し合いには疑心暗鬼が蔓延っているんだ。
 誰が殺し合いに乗っているか、いないかなんて分かりはしねえさァ」
「そ、それもそうだねぇ、ギャラン=ドゥ!」
消えかけた灯火のような希望が再び燃え上がる。
落胆した気持ちが晴れ晴れになるのが分かる。少し希望が見えてきたことで気分が良くなった。

ギャラン=ドゥも機嫌を取り戻したので、この機会にジグマールは今まで口にしなかった疑問を尋ねる。
「思ったことがあるんだ、ギャラン=ドゥ」
「なんだい…ジグマールゥ?」
「ギャラン=ドゥがこのまま表に出て、ずっと僕を守ってくれれば……」
と、最後まで言おうとする。
が、ギャラン=ドゥは言いたいことを感じ取ったのか、やれやれといった面持ちで深いため息をついて言葉を遮る。
「フゥ、それはできないなァ」
寝耳に水といった驚き様でジグマールは肩を竦める。
どうして、守ってくれないの? といった哀愁に満ちた眼差しで見つめる。

ギャラン=ドゥはジグマールを慰めるように答えた。
自分が制限によって半時間位しか助けられないこと、人間ワープがジグマールほどではないが制限されていること、
ジグマールと一心同体であることを説明する。
ジグマールはそれを聞くと、肩を落とし項垂れる。希望の灯火がまた小さくなる。
「だからな、お前がくたばってしまうと、この俺まで死んでしまうんだ。軽率な行為は自重することだなァ」
「そんなあ、もし乗った奴に遭遇したら、このケガだとどうしようもないよお……」
嫌な沈黙が心の中に広がっていく。
ジグマールは不公平なほど制限をかけた光成を、その場で殺したくなるほど恨んだ。

「なーに、ピンチになればお前を全力で守ってやるから心配するな。
 とにかく、お前はケガを治療することと匿ってくれる奴を探すことを考えるんだッ。
 制限を掛けられているとはいえアルターのおかげで回復力は一般人より早いんだ。簡単なことだろゥ?
 ……というわけで、ジグマール、もうお別れだ。それじゃあ、頑張れよォゥ」
ジグマールは抑揚のない声で「頑張るよ」と、声を返す。
その声は婦警との交戦後のときよりも小さい。
それもそのはず、殺し合いに参加してからプライドを二回もズタズタにされているのだ。
HOLY部隊の隊長である自分がここに来てからギャラン=ドゥに助けられっぱなしであった。
自分の知らない強敵が跋扈する、この舞台に生き残れるのであろうか。
ギャラン=ドゥがいなければ死んでいたかもしれないのに。
そんな事実がジグマールの自信を喪失させた。

そんな絶望に打ちひしがれている、ジグマールにさらなる追い打ちの言葉が掛けられる。
「おっとゥ、そういえば言い忘れていたッ。今から2,3時間は表に出られないんだ。
 だから死にたくなければなァ。俺のいない間は交戦は控えることだな。
 信じているぞッ、ジグマールゥ」
これも制限によってと、半ば投げやりな台詞を言い残すとギャラン=ドゥは光の粒子へと散っていった。
「え、ええっーーーーーーー!?」
無責任に消えていったギャラン=ドゥの最後の言葉。
驚きのあまりジグマールは正座を崩し、立ち上がろうとする。
しかし、正座で痺れを切らしていた足は立つこともままならず、その場に無様に崩れ落ちる。

ジグマールの驚愕に満ちた悲鳴が駅内に響き渡る。
その瞬間、その叫び声を遮るように二回目の放送が鳴り響いた。

【F-5 S8駅の車掌室 1日目 昼】

【マーティン・ジグマール@スクライド】
[状態]:全身に負傷大 疲労大 美形+アフロ状態
[装備]: 本部の鎖鎌@グラップラー刃牙 アラミド繊維内蔵ライター@グラップラー刃牙(未開封)
    法儀礼済みボールベアリングのクレイモア地雷(リモコン付き)@HELLSING(未開封)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:生き延びて全宇宙の支配者になる
1:ギャラン=ドゥの言うとおりに行動する
2:ギャラン=ドゥが活動できるまで戦闘は避ける
3:誰かに匿ってもらう(美貌が使えそうなら使う)
4:素性を知っている吉良、コナン、マリア、銀時、ルイズたちの悪評をばら撒く
[備考]
アフロ状態が次の話まで続くかどうかは他の書き手に任せます
※人間ワープにけっこうな制限(半径1~2mほどしか動けない)が掛かっています
連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます
(例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)
※ルイズと吉良吉影と覚悟はアルター使いと認識しました
※沖田のバズーカ@銀魂(弾切れ)をS8駅の車掌室に放置しています

【ギャラン=ドゥ@スクライド】
[状態]:ジグマールに潜伏状態 全身に負傷小(自己治癒中) 中程度の疲労
[思考・状況]
1:まったく…役に立たないご主人様だぜッ
[備考]
※ギャラン=ドゥは制限によりジグマールと命運を共にしています
 そのため、ジグマールを生かしています
※ギャラン=ドゥは制限により、30分前後しか表に出られません(それ以降は体力を大幅に消費してしまいます)
※表に出られる時間はギャラン=ドゥ本人の体力と精神力に依存しています
※一度引っ込んだら2,3時間ほど間を置かないと、表に出られません(無理をすれば出られますが、体力を大幅に消費してしまいます)
※人間ワープにジグマールほどではないが、けっこうな制限(半径3~4mほどしか動けない)が掛かっています
連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます
(例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)


108:倒れるまで走るくらい、熱く生きてみたいから――DORAGON LOAD―― 投下順 110:バトルロワイヤルの火薬庫
108:倒れるまで走るくらい、熱く生きてみたいから――DORAGON LOAD―― 時系列順 115:LOVEサバイバー
100:気に入らない奴ほど、コンビネーションの相性はいい マーティン・ジグマール 125:涙を拭いて