スカイハイ(後編) ◆d4asqdtPw2



つかさと覚悟が2人で放置されてから、しばらくの時間が過ぎていた。
とはいっても特に会話はない。
と言うより、つかさは眠りこけていた。
いろいろなことがあったのだ、無理もないだろう。
彼女の上には覚悟が民家内で調達してきた毛布がかけられていた。

葉隠覚悟に久しぶりに訪れた静寂。
少女の寝息などはするものの、今までに比べたら遥かに静かだ。
今の川田たちに出会う前も、ルイズや志村などの心強い仲間と共にいた。
その声が妙に懐かしい。
この心地よい静寂よりも仲間たちの声がすることを望んでいる自分がいた。
騒がしいのが好きだったのか、と新たな自分の発見に少し驚く。

今までは一人で戦い、それが当然のことだと思っていた。
己を殺して。誰かの為に全力で。
それが葉隠覚悟の生き方のはずであった。
だが……
(心が揺れるのも、悪くないな)
そんな自分の変化にも驚くことは無かった。
揺らいだ不退転を笑顔で受け入れる覚悟であった。

(……な!?)
ガタ! ガタガタ!
敵襲でもあったかのように覚悟が突然立ち上がった。
「か……覚悟くんどうしたの!?」
机やら椅子やらを大きく鳴らして立ち上がったせいで、つかさが起きてしまった。
驚くつかさを無視して外へと駆ける。
空から降り注いだ夕日が覚悟の顔を薄紅色に染め上げる。
ドアの外から周りを見渡すが、先ほどと全く変わりのない静寂が覚悟を包んでいた。

「何かあったの?」
家の中に戻ると、つかさが寝ぼけ眼で毛布に包まっていた。
「いや、誰かに呼ばれた気がした。起こしてすまない」
実際に彼が立ち上がる瞬間まで周囲に一切の声は存在していなかった。
全ては覚悟の思い違い。
そうとしか言えない状況である。

だが、彼が立ち上がったその瞬間に彼を呼んだ人物は確かに存在していた。
遠く離れた場所で彼に願いを託して散った少女がいた。

彼女の願いは覚悟には届かなかったのだろう。
彼女が死んだ場所より近い位置で起こっていた、ビルの崩落すら聞こえなかったのだから。

だが、少女が命と引き換えに叫んだ声が、その僅かなかけらが彼の元に届いたのなら……

彼の耳を震わせたのが少女の発した振動の屑であるならば……

それはこの殺し合いの中で誰にも気づかれることのない、小さな、だが確かな奇跡なのだろう。

「毛布、ありがとね」


◆     ◆     ◆


桂ヒナギクは空を飛んでいた。

恐怖を振りはらって、高くジャンプした。
3,4メートルの木の上からの落下。これは高所恐怖症の彼女にとっては、とても出来ることではないはずだ。
それでも彼女は飛んだ、死に立ち向かう恐怖に比べたらまだマシだと言い聞かせて。
この高さから落ちたら人は死ぬのだろうか。
さすがに死にはしないだろうが、無傷と言う訳にはいかない。

さっきとは違い、彼女は回転はしていない。
4枚の刃を出来る限り大きく広げる。
下から彼女を見上げるものがいるとすれば、夕日に照らされた赤いX字が見えただろう。
そのまま風を受け、彼女は地面に近づいていく。
風になびいた長い髪は、夕日に照らされてもなおその桃色を失ってはいなかった。
同じように彼女の顔も恐怖に染められることなく、その闘志を両の眼に宿していた。

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」

叫び声を上げて己を鼓舞する。落下の恐怖は多少和らいだようだ。
地面に激突する直前、腰を後ろに思いっきり引いて、代わりに4枚の刃を切り株に叩きつけた。
巨大な切り株を爆音を立てて粉々に砕き、それでも刃は止まらない。
ガリガリと切り株を砕いた刃の束は、地面に大きな穴を開け、やっと停止した。
その穴の中心に本来あるべき切り株は、見るも無残な形となってそこらじゅうに散布している。

破壊と落下の衝撃は刃の先で一緒になり、刃を破壊した後、そのまま細い金属を伝っていく。
着地から1秒ほど遅れて、その衝撃はヒナギクの足で爆発した。
「ぐ……あぁあ! がああああぁぁぁぁ!」
太腿が千切れるのではないかと言うほどの痛み。
骨を軋ませ、肉を千切る衝撃はこの破壊力の代償としては余りにも大きい。

「ぁぁぁ……ぐ! もう……一度」
それでも彼女は立ち上がった。今の一撃でバルキリースカートの刃が破壊されていることにも気づかずに。
フラフラと、さっき飛び降りた木を再び向かう。
だが足のダメージは大きく、上手く前へ進めない。
ある程度力をセーブしたのにこのダメージだ。
全力で撃ったなら、覚悟の言うように足が完全に破壊されてしまう。
それを知ってヒナギクはこんな無茶をしている。
ラオウのような化け物を倒すには、このやり方しかないのだから。

「ぐっ……あ……」
ついに彼女の体が傾いた。疲労した両足が彼女の体重すら支えられなくなったのだ。
膝をつく事すら出来ずに地面へと倒れこんだ彼女を抱きかかえたのは、太い腕。
「知ってるか?」
その腕の持ち主、川田章吾が問いかけた。
「仲間に嘘をつくと、強烈なアッパーを食らうらしいぜ?」
川田の言うとおり、ヒナギクはつかさに嘘をついた。
もう無茶な戦いはしない、と。
ヒナギクが彼女に黙ってこんな真似をしていたとバレたら、彼女はとても悲しむだろう。

だが川田はそれ以上はなにも言わなかった。
嘘をついたヒナギクに笑顔を見せた。
「……もうしないわ。予想以上に痛いのよコレ。
 それに、高いところはやっぱり怖いもの」
ヒナギクも川田の背中に背負われながら笑顔でそう答えた。

「一度死んだ人間としてアドバイスさせてもらうが……」
背中のヒナギクが「なに?」と、か細い声で一言呟いた。
「誰かを助けて死んだ人間の中に、死にたいと思って死んだやつなんか1人もいないぞ」
おそらく川田は全てを見透かしているのだろう。
ヒナギクが、誰かの死と引き換えに生き延びた自分の価値に疑問を抱いていることも。
全てを投げ打って戦うことが、自分の存在価値だと思い込んでしまったことも。

それを理解しているから、アッパーではなくこの一言を食らわせたのだろう。
「分かってるわよ……そんなこと」
「そうか。……疲れただろ。運んでってやるから寝ちまいな」
それから覚悟たちの元に帰るまで、川田が口を開くことは無かった。
ここから先は彼がどうこうできる問題ではない。
ヒナギクが自分で答えを見つけなければならない。
川田に出来るのはヒナギクを信じてやることだけだ。

だが、ヒナギクの頭に広がっていたのは、空を飛ぶイメージ。
恐怖を振り払って大空を飛ぶ確かなイメージが、彼女の脳を支配していた。
仲間に嘘をつくことの罪悪感は、以前よりほんの少しだけ減っていた。

つかさの瞳にも、今なら耐えられる気がした。


【E-5 中央部 1日目 夕方】

【葉隠覚悟@覚悟のススメ】
[状態]:全身に火傷(治療済み) 胴体部分に銃撃によるダメージ(治療済み) 頭部にダメージ、両腕の骨にひびあり、 強い決意
[装備]:滝のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS(ヘルメットは破壊、背中部分に亀裂あり)
[道具]:ハルコンネン(爆裂鉄鋼焼夷弾、残弾5発、劣化ウラン弾、残弾6発)@HELLSING 大阪名物ハリセンちょっぷ
[思考]
基本:牙無き人の剣となる。この戦いの首謀者を必ず倒し、彼らの持つ強化外骨格を破壊する。
1:川田、ヒナギク、つかさと行動を共にし、その後病院に戻る。
2:病院に残った人々が気になる。
3:杉村を弔う。
4:再びラオウと会い、自分の決意を伝えたい。
5:怪我が治ったらルイズとゲームセンターに行く
[備考]原作一巻第一話、逆十時学園入学初日より参戦
※決意が強まりました、殺し合いに乗った者が戦士であるならば容赦はしません。
※戦士でないと判断した者(一般人の女性や子供など)に対しては決して抵抗せず、 説得を試みます。
※戦士であるかどうかの判断は次の書き手さんにお任せします。


【川田章吾@BATTLE ROYALE】
[状態] 健康
[装備] マイクロウージー(9ミリパラベラム弾16/32)、予備マガジン5、ジッポーライター、バードコール@BATTLE ROYALE
[道具] 支給品一式×2、チョココロネ(残り5つ)@らき☆すた
    文化包丁、救急箱、ZXのメモリーキューブ@仮面ライダーSPIRITS、裁縫道具(針や糸など)
    ツールセット、ステンレス製の鍋、ガスコンロ、缶詰やレトルトといった食料品。
    薬局で手に入れた薬(救急箱に入っていない物を補充&予備)
    マイルドセブン(二本消費) ツールナイフ
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗っていない参加者を一人でも多く救出し、最後は主催者にカウンターパンチ
1:仲間と一緒にPCと村雨を探す。PCが見つかったら、ハッキングを試みる。
2:つかさの姉や友人、ヒナギクの友人を探すのに協力する。
3:ゲームに乗っている参加者と遭遇した場合は容赦なく殺す
4:ヒナギクのことが心配
参戦時期:原作で死亡した直後
[備考]
※桐山や杉村たちも自分と同じく原作世界死後からの参戦だと思っています
※首輪は川田が以前解除したものとは別のものです


【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 両足に痛み(核鉄で治療中)
[装備] ボウガン@北斗の拳
[道具] 支給品一式。ボウガンの矢18@北斗の拳 、核鉄(バルキリースカート)@武装錬金
[思考・状況]
基本:ハヤテ達との合流
1:放送まで寝る。
2:仲間と一緒にPCと村雨を探す。。
3:やれることを探してやる。だが無理はしない。
4:敵を倒す為なら死んでもいい。
[備考]
※ ヒナギクが聞いた轟音の正体は、三影の大砲の音です
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1~3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※ロードローラー@ジョジョの奇妙な冒険と捕獲網@グラップラー刃牙は【H-4 林】に落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートが扱えるようになりました。しかし精密かつ高速な動きは出来ません。
 空中から地上に叩きつける戦い方をするつもりですが、足にかなりの負担がかかります。


【柊つかさ@らき☆すた】
[状態] 健康
[装備] なし
[道具] 支給品一式、ホーリーの制服@スクライド、ターボエンジン付きスケボー @名探偵コナン 、ツールナイフ
[思考・状況]
基本:ゲームには絶対に乗らない
1:放送まで寝る。
2:仲間と一緒にPCと村雨を探す。
3:お姉ちゃんやこなちゃんたちと合流したい
4:みんなの力になりたい。でも無理はしない
[備考]
※川田、ヒナギク、覚悟、新八を完全に信用しています

【備考】
※4人は、総合スーパーで捜索を行い、 その後病院に戻る予定ですが、
放送で呼ばれた死者によって行き先が変化する場合もあります。


※4人の主催者の目的に関する考察

主催者の目的は、
①殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
②最強の人間の選発、
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。


※4人の首輪に関する考察及び知識

首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首輪には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている



165:ターミネーターゼクロス 投下順 167:ラオウ敗れる
165:ターミネーターゼクロス 時系列順 167:ラオウ敗れる
144:らき☆すた 第X話 あるいはこんな日常 葉隠覚悟 175:たとえば苦しい今日だとしても
144:らき☆すた 第X話 あるいはこんな日常 川田章吾 175:たとえば苦しい今日だとしても
144:らき☆すた 第X話 あるいはこんな日常 桂ヒナギク 175:たとえば苦しい今日だとしても
144:らき☆すた 第X話 あるいはこんな日常 柊つかさ 175:たとえば苦しい今日だとしても