状況は……? 勘違い真っ最中!! ◆hqLsjDR84w



 ――――定時放送。

 バトルロワイアルの哀れな参加者の大半が、それを聞くために行動を中断する。
 殺し合いに乗った者も、主催者へ対抗しようと心に決めた者も、未だどっちつかずの者も、等しく耳を傾ける。
 それが、6時間ごとに主催者が行う定時放送だ。
 バトルロワイアル開始から18時間経ったいま。

『さて諸君、午後18時の定時放送を始める。調子はいかがだろうか?』

 その定時放送の第3回目が始まり、徳川光成の声が会場全体に鳴り響く。

『午後19時からB-1、午後21時からD-7、午後23時からH-6』

 まず告げるのは禁止エリア。
 禁止エリアは2時間ごとに1つずつ増えていき、参加者の行動範囲は限定されてしまう。
 殺し合いを円滑に進たいという、主催者の意図が汲み取れる。
 主催者の思惑通りに動いてやるもんか。そう思っている参加者も、これには従わざるを得ない。
 何故なら、禁止エリア――そこに足を踏み入れた者は30秒以内にそこから脱出しなければ、首輪を起爆されてしまうのだ。
 そうなれば、主催者に反旗を翻す事は出来ない。死んでしまえば、そこで終わりなのだから。

『次に惜しくも脱落していった者達は――』

 次に告げるのは、前回の放送から今回の放送の間に命を落としていった参加者の名。
 今回呼ばれた名の数は、10。
 死に至るまでの経緯も、それまでの人生も、千差万別。
 全員に当てはまる共通点は1つだけ。
 呼ばれた10人その全てが、もうこの世にはいないということだけ。
 その10の名を聞いた参加者がどう思うのか、またどう動くのか。それもまた千差万別。

『では御機嫌よう、6時間後の放送を心待ちにしていたまえ』

 その次に徳川光成は何やら講釈を垂れていたが……、これに耳を傾ける者が何人いるだろうか。
 とにかく、かくして放送は終わり。
 ここ、D-8エリアには再び静寂が訪れた。

 それから数分が経った時だった。
 スタンドの酷使によって気絶していた三村信史が、意識を取り戻したのは。


「う……」

 目覚めて最初に感じたのは、錆びた鉄の味だ。
 少しの間、脳内で状況の整理を行い、その理由を思い出す。

「ああ、そうだ。あのせいだな」

 あのアーカードとかいう少女――吸血鬼とか言ってたな――に、顔面を蹴り飛ばされたからだ。
 吸血鬼。その単語を聞いて、思い出してしまうのは――

「ジョジョ……」

 つい言葉が零れてしまう。
 ジョジョは言っていた。
 波紋という原理は分からんが凄い能力で、吸血鬼とその上の存在である柱の男を全員ぶちのめした――と。
 そんなメルヘンやファンタジーみたいな話をしていた。
 俺にも――――『アイツ』にも。

 あの話は、動揺していたアイツの気を紛らわす為の作り話ではないかと思っていた。
 ジョジョが強いのは分かっていたし、波紋の凄さも教えられた。それでも、そんな話を信じられなかった。

 しかし今では、あの話は本当だったのではないかと思えてくる。

 吸血鬼、そんなものが存在するわけがない。
 そう考えていたし、今でも信じられないが、アーカードは少女の姿をしていながらまるで『人間じゃないみたいな』動きをしていた。
 そしてアーカードは言った。自分は吸血鬼だと。
 ジョジョの言葉、アーカードの人間のレベルを逸脱した動き、そしてアーカードの言葉。
 以上のことから考えて、導き出すべき結論は……

「信じるしかねえ……のかもな」

 信じるしかない。そう結論付けて、立ち上がる。
 周囲を見回すと、アーカードの置いていった原チャリが近くに転がっていた。
 壊れかけだが、消し炭になった自動車も直せたんだ。クレイジー・ダイヤモンドで直せるだろう。

 クレイジー・ダイヤモンドの拳を壊れた原チャリに叩き込んだら、時間をチェックしようと民家の中に足を踏み入れる。
 そして時計を見て……ケツの穴にツララを突っ込まれたような感覚に襲われた。

 ――既に放送が終わって、10分ほど経過している。

 死んだ参加者が聞けなかった事に関しては、あまり気にしない。
 杉村とジョジョがいなくなったいま、誰の名が呼ばれても関係ない。
 知り合いが1人だけいるが、大して話したこともない奴だ。
 しかし禁止エリアを知らないというのは、ヤバイ。
 知らないままその禁止エリアに入れば、ジョジョに助けられた命を落とすことになる。
 それだけは避けたい。
 その為には、一刻も早く他の参加者と出会い、放送の内容を訊かねばならない。

「クソッ!」

 そう吐き捨てて民家から飛び出し、既に修理が完了した原チャリに飛び乗る。
 北には、病院や学校などの施設がある。そこに行けば、参加者に出会えるはずだ。
 そう考えて少し北に向かってから、アーカードも北へ向かったことに気付く。
 さっきは何故か見逃されたが、今度アーカードと出会えば命の保障はない。

 ジョジョがいれば吸血鬼にビビることは無かっただろうが、ジョジョはもういない。『アイツ』に殺された。

 仕方が無い。
 一度F-8エリアまで移動した後、北上。このルートで参加者が集まりそうな病院を目指そう。
 参加者が集まるところには、危険人物も集まるかもしれないが……
 禁止エリアを知らないリスクの方が大きい。
 そうと決まれば、すぐに行動に移す。
 即座にハンドルを右に捻って、原チャリの向きを変える。
 目下の目的地は東。その後、北だ。


 三村信史は知らない。
 彼がそのまま北に向かっていれば、主催者に対抗する意思を持った2人の男達と出会えた事を。
 ジョセフ・ジョースターが生きていて、柊かがみと共に行動している事を。
 彼は、知らない。
 勘違いは、終わらない。


【D-8/一日目/夜】
【三村信史@BATTLE ROYALE】
[状態]:精神疲労(中)、鼻の骨を骨折、顎にダメージ有り(大)、原チャリで移動中
[装備]:トランプ銃@名探偵コナン、クレイジーダイヤモンドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険、銀時の原チャリ@銀魂
[道具]:七原秋也のギター@BATTLE ROYALE(紙状態)支給品一式×2
[思考・状況]
基本:老人の野望を打ち砕く。かがみはどんな手段を使ってでも殺す。
1:仲間になってくれそうな参加者に会う。
2:1の為にF-8エリアに向かった後に北上し、病院を目指す。
3:参加者に出会ったら第三放送の内容を訊く。そして「柊かがみという女は殺し合いに乗っていて、人を一人殺した」と伝える。
4:再度ハッキングを挑む為、携帯電話を探す。
5:集められた人間の「共通点」を探す。
6:他参加者と接触し、情報を得る。「DIO」は警戒する。
7:『ハッキング』について考える。
8:アーカードは殺す。

[備考]
※本編開始前から連れて来られています。
※クレイジーダイヤモンドは物を直す能力のみ使用可能です。
 復元には復元するものの大きさに比例して体力を消費します。
 戦闘する事も可能ですが、大きく体力を消費します。
※ジョセフは死亡したと思っています。
※マップの外に何かがある、と考えています。
※彼が留守番電話にメッセージを残したのは、以下13ヶ所です。なお、メッセージは全て同一です。
 老人ホーム(A-1)、市役所(D-3)、病院(F-4)、消防署(D-4)、学校(C-4)
 総合体育館(D-5)、ホームセンター事務室(H-5)、総合スーパー事務室(D-6)
 変電所(A-8)、汚水処理場(B-8)、ホテル(D-8)、パブ(F-8)、ボーリング場(G-8)
※第三放送を聞き逃しました。
※ジョセフの話(波紋、吸血鬼、柱の男 etc)を信じることにしました。(どの程度まで詳しく話したかは任せます)


178:情報戦的優位(ビバ=ノウレッジ) 投下順 180:真夜中のサーカス
178:情報戦的優位(ビバ=ノウレッジ) 時系列順 180:真夜中のサーカス
162:三村信史は砕けない 三村信史 185:誰がために