I bet my belief

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I bet my belief ◆O4VWua9pzs



ガタンゴトンと一定の間隔で揺らぐ車内。車窓から見える景色は車内から漏れる明かりに照らされたコンクリートの壁。
壁についた黒く汚れたシミが規則的な間隔で流れていく。眠気を誘うように流れてく。
そんな心地よい揺らぎの中、向き合ったまま座り込んでいたアカギとジグマール。
二人はお互いに知っていることやここに来た経緯など情報を交換した後、黙り込んでいた。
規則的に電車のうなる音、静寂を意味する音が響く。

沈黙が包み込む中、ジグマールは気まずい思いを抱いていた。
目の前でだらんと何もない空間を見つめるアカギをちらっと覗き見る。
一時的に協定関係を組んでいるとはいえ、元々お互いに何も知らない同士だ。
ジグマールはアカギの底知れぬ空気に圧倒させられていた。
この男が放つオーラ。自分の思惑も全て見透かれてしまうではないかと思わせる異様さ。
それに畏怖していた。

ジグマールはそんなことを振り切るかのように別のことを考えることにした。
先ほどS7駅で繰り広げられた戦いを思い出す。あの戦いで幾人のも猛者が乱闘を繰り広げていた。
自分は無駄な体力を消費したくなかったので、前線から一歩引いていたのだが。
そのなかで最も印象深い戦いがあった。ケンシロウとDIOと名乗る化け物との戦いであった。
見所はケンシロウの人間離れした戦闘能力? それとも、劉邦と吉良と同じ自動人形タイプのアルター使いであろう、DIOの人間離れした戦闘能力?
違う。確かに奴らの戦闘能力は目に見張るものがある。
だが、ジグマールが一番興味を抱いたもの。DIOの『人間ワープ』の疑惑だ。
私が見た限り、奴はケンシロウ相手に三度、私と同じ『人間ワープ』を使っていた。

ジグマールは記憶を手繰り寄せる。
最初の疑惑。ケンシロウがDIO目掛け、拳を振り上げた瞬間、DIOはケンシロウの側面にいた。
二つ目の疑惑。ケンシロウがDIOの背後に回った瞬間、DIOはケンシロウの背後にいた。
三つ目の疑惑。DIOが氷上を滑走中、瞬く間にケンシロウの目に指を突き入れたDIOがいた。
この三つは全て瞬きをする一瞬の出来事内で行われていた。明らかに自分の能力である『人間ワープ』と酷似していた。

だが、『人間ワープ』では説明の付かない違和感があった。

最初の疑惑時、ケンシロウの側面でDIOは剣を持っていた。
素手立ち向かっていた男が突然剣を持っていたのだ。素手の状態から剣を持った状態に変化する。
これは明らかに可笑しい。
奴はいつ剣を抜き出したのだ? そんな動作は一切見られなかった。
ワープ中に引き出したのか? いや……それは不可能だ。
『人間ワープ』は一瞬で移動する技であり、まさに一瞬である。
もし、私が素手の状態で『人間ワープ』したなら、素手の状態で移動先に着くのだ。
剣を抜き出すタイミングはワープ使用前か使用後しか出来ない。
現に『人間ワープ』の能力を持つ私が思うのだ、DIOの『人間ワープ』は明らかに可笑しい。
更にだ。二つ目の疑惑は可笑しくないのだが、三つ目も色々と変なのだ。
移動した瞬間、ケンシロウの目に指を突き刺した状態であったことだ。
ワープした瞬間、突き刺さっているのだ。
走っている状態から目に突き入れている状態への変化。
ありえない。『人間ワープ』ではありえない。
しかし、瞬間的に移動する点では『人間ワープ』である。
これ以上説明がつかない。

うーんと無意識のうちに頭を捻るジグマール。そんな悩める彼に不適な笑いが耳に付く。
「ククク……何か迷いごとかい? ジグマールさん」
アカギが声をかける。
「いや…少し分からないことがあって、悩んでいただけだ……別に気にすることではない」
ほんの些細な疑問なのでジグマールは言葉を濁す。
「ジグマールさん……分からないことは自分の中で溜めておくべきではありませんよ。
 時には……他人と相談することで…見聞が広がるってもんです」
アカギの尤もらしい意見にジグマールはそれもそうだなと納得し、己が感じた違和感を話す。


「―――というわけ何だが、形だけでは『人間ワープ』なんだが、どうも『人間ワープ』では説明できないことが起きているんだ。
 DIOの『人間ワープ』はどうしてもありえないのだ」
ありえない。殺し合いの舞台に来てからそんなことが多すぎる気がする。
自分に課せられた制限にしろ、自分と同等の強者が跋扈するにしろ、多すぎるのだ。
「…へえ……DIOというアルター能力者がねえ…」
アカギは虚空を見つめるように考えている。

ジグマールはケガの治療のスキンシップ時、自分が知る限りの情報をアカギに与えた。
アルター能力のことや自分が出会った人物たちの情報を簡単にだ。
元々殺し合いに参加していることを看破されたのだ。別段隠す必要はなかった。
もちろん自分が不利にならないように歪曲した事実で伝えてある。
それと、自分がアルター使いであることも隠している。
下手に自分の能力を晒すわけにいかない。一般人を装うことで最後まで生き残るために。

「なぜ…ジグマールさんはありえないと感じるんですか?
 話しを聞く限りでは……『人間ワープ』でいいと思いますが…」
「そ、それは…」
嫌の事を聞かれる。ここで適当なことを言えば、疑われてしまう。
自分が『人間ワープ』使えるからこそ、ありえないと感じるわけで、一般人が一見するぐらいではDIOの能力は『人間ワープ』と捉えられるのだ。
それは、目の前のアカギにしろ、同じに違いない。
ここは私の口八丁が試される正念場だ。
「わ、私の知り合いに同じ能力のアルター使いがいるのだ。だからこそ、ありえないのだよ……アカギ君」
「……そうですか…それなら納得だ」
咄嗟のデマカセが効いたのかアカギは何の疑問を浮かべず、思案状態に入った。
ジグマールはひやひやしながら胸を撫で下ろした。
ガタンゴトンとまた静寂を意味する音が聞こえる。目の前のアカギは黙ったままだ。

すると突然。

「カテイがないのだろ…」
アカギが静かに口開く。
「…かてい……それって、親子とか夫婦を形成する『家庭』」
「フフ…違う違う……『過程』だ。
 物事の進行の途中を意味するプロセスだ」
「プロセス?」
「そうだ……プロセスだ」
「それはどういう……」
突然。車内にアナウンスが鳴り響く。
S8駅に到着を意味するアナウンスがジグマールの言葉を遮る。
電車がS8駅に到着するとアカギは一通り、駅構内を眺めると、突然立ち上がり、ジグマールの手を取る。
「ど、どうしたのだ! アカギ!?」
「ジグマールさん、予定が変わった…ここで降りるぞ」
ジグマールはアカギの突如の変わりように驚きながらも、その気迫さに押し止められ、流されるようにS8駅に引っ張りだされた。
「一体どうしたのだ!? アカギがここに降りても……」
そうだ。本来ならボーリング場に向かうはずだった。
それなら、ボーリング場の最寄駅であるS9駅もしくはS10駅に降りるべきだ。
なのに…。

「くく……あと数分後に……三回目の放送が始まるんだ」
「……!!」
ジグマールはハッとする。失念していたのだ。
もうすぐ、放送が始まるというのに危険に合うことを恐れ、無理矢理アカギを引っ張り出し、南行きの電車に飛び乗ったのである。
そのとき、三回目の放送がそろそろ始まる時間だったのに、焦燥のあまり、時間など毛頭になかったのだ。
普通に考えれば電車内に放送が流れるだろう。
が、もし流れない仕様だったなら、完全聞き逃していたかもしれない。
アカギが時間に気づかなければ、電車に乗ったまま、聞き逃すところだったのだ。
アカギはズボンに手を突っ込みながら、横目でジグマールを覗く。
理解が早くて助かるといった目で見つめている。
ジグマールは何となくその小ばかにしたような目に苛立ちを覚える。

「で、どうするんだ。これから? 大幅に予定が狂ってしまったのだが」
「本当なら……もっと早くS10駅に着くと考えていたけどね……。
 ここは臨機応変ってことで行きましょう」
コツコツと駅構内を歩きながら、アカギは改札口に向かった。
「くっ」
ジグマールはなんとも性格を掴め辛いアカギに苛つきながら後を追う。
奴は私の僕ではなかったのか、と自問自答しながらジグマールは付いていった。

そのときである。アカギに対する苛つきを吹き飛ばす声が広がった。
『さて諸君―――』
糞忌々しい光成の声だ。
今の無様の現状に怒りを覚えるジグマール。
ほぼ無制限に使用できた『人間ワープ』がかなり制限によって使用できないこと。
本来の力さえ、解放できれば、恐怖に怯えず戦えるのに。
「畜生っ」
もやもやとした怒りをどう発散していいのかジグマールは言葉を漏らす。
怒りに打ち震えるジグマールを尻目にアカギは淡々と放送内容を聞き入っていた。
相変わらず表情に変化がみられないアカギ。
何を思っているのであろうか? 何を感じとっているのであろうか?
この男は何者だと更にアカギに対する認識が不透明になっていく。

+++

散乱したガラスの破片、散らかった書類。乱れたデスクの数々。
アカギとジグマールは壮絶な光景となっている車掌室に探りに入っていた。
争ったらしき形跡が根強く残った車掌室。

本来ならボーリング場に行くため、S10駅の電車に乗るつもりだったのだが。
その方面行きが半時間待ちになっていたのだ。
そこで、アカギの提案で空き時間を利用して、周囲を探索することになったのだ。
その途中、アカギが構内の廊下に途轍もない力で拉げられたデスクが転がっているのを発見したため、今の状態に至ったのだが。
ジグマールにとって、それは気が気になって仕方がなかった。

この惨状を作り出したのは自分のアルターであるギャラン=ドゥであったので、ここを調べても何も情報が得られないからだ。
それに、末恐ろしい観察力を持つアカギにあまり詮索されたくなかったのだ。
ジグマールは次のところに行かないかと、アカギに促していた。
「まあまあ……ジグマールさん……そんなに急ぐことはありませんよ」
アカギは室内に放置されていたバズーカーを手に取りながら、中に弾が込められていないことを確認すると辺りを見渡す。
「ジグマールさん……変だと思いませんか…」
壁を見渡しながらジグマールに尋ねる。
「特におかしい所はないと思うが……」
アカギ弾切れになったバズーカーの引き金をカチカチと鳴らす。
「弾切れになっているのに、この部屋には銃創が一切残っていない……変だと思いません?」
「それも……そうだな」
適当に相槌を入れるジグマール。

「……一見…この部屋は争いごとがあったとしか思えない…しかし……それが全く感じられない」
どうしてそんなことが分かるんだ、とジグマールはアカギに疑いのまなざしを向ける。
「簡単なことだ…足元を見れば分かる」
ジグマールは足元を見る。
そこには自分の顔が映るほど綺麗に透き通った白いタイルが規則的に並んでいる。
「ただ白いタイルが敷かれているぐらいじゃないか」
「ククク……床には一切跡が残ってない…。
 普通争いがあればなんらかなの形で跡を残す。
 人間である以上……逃げるにしろ…闘うにしろ…自分の脚力を奮い立たせ地を蹴る。
 だが…ここには一切擦り切れた靴の跡がない。つまり……ここで争いなんてなかった」
「争いがなかったことに何の意味がある? それにあれはどう説明する」
ジグマールは指差す。その方向には無残な姿になったワークデスクがあった。
「オレが思うに…あれは怒りのあまり…投げ飛ばしたんだ」
なんとも根拠のない答え。だが、アカギが次に紡ぐ言葉にジグマールの中で戦慄が走る。
「手に取るように分かる……自分が強者であると自覚した奴で…プライドを逆撫でされたんだ。
 気にくわないことがあったのだろう……思い通りにならなかっただろう。
 ……怒りの限りね…」
アカギは目を閉じ、想像しながら語った。
ジグマールに身の毛が弥立つ。
アカギはまるでここでギャラン=ドゥと自分の出来事を見たかのように語るのだ。
「まるで根拠がない。それに、それを知って何の意味がある?」
アカギの馬鹿げた推論に無意識に声を荒げる。
いや、違う。ジグマールは恐れていたのだ。
もしかして、アカギは自分の能力を暴いてしまうではないかと。
アカギの悪魔じみた洞察力に身を凍えさせていた。
「ククク…相手の思考を読み上げることは……駆け引きには重要なことだ」
そう言うと、アカギは興味がなくなったのか車掌室からそそくさと出て行った。
ジグマールも置いていかれないように付いて行く。思考が付いていけない、そう思いながら後を追う。

S8駅に出ると、空はもうすっかり夕方の名残を鳴り潜め、外には紺碧の夜空が広がっていた。
そんな夜空の下にアカギとジグマールはマンションに向かっていた。
間隔ごとに並んだ電灯を灯りに二人は目的地に突き進んでいた。
一度マンションに立ち寄ったことがあるジグマール。
アカギに特に何もなかったことを進言するが、アカギはお構い無しに歩き進んでいた。
ジグマールは頑固な奴だと、ため息をつきながら一緒に行動していた。

相変わらず、会話のない二人。
何も会話がないのも難だったので、ジグマールはこの機会に聞き忘れていた疑問を尋ねた。
電車の中でアナウンスに邪魔され、聞きそびれたアカギの回答。DIOの能力の考察を。
「そういえば、アカギ……DIOの能力のことだが…」
いまさら聞くのは何となく負けたようで胸がむかつくがそんなことは言ってられない。
答えがまだ分からないのだ。仕方なしに聞く。
「何を言おうとしていたのだ?」

不適な笑みを浮かべるアカギ。その目は全てを吸い込みそうなぐらい深い。
ジグマールは目を背けたくなる。が、負けじと視線を交差させる。
「……プロセスがないのだろ…DIOの『人間ワープ』は…」
「プロセスだと……『人間ワープ』には元々『過程』などない」
現在地から目的地に一瞬で移動する『人間ワープ』。
空間を支配したこそ可能にしたこの能力。
空間と空間を繋げることで一瞬の内に移動することが可能なのだ。
過程という概念など最初からありはしない。

「フフ…言い方が悪かったな……言い直す。
 DIOの『人間ワープ』は『過程』が省略されている…」
「省略…それはどういう意味だ?」
「そのままの意味さ。『過程』が省略されているのさ」
「だからどういう意味なのだ!?」

ジグマールはアカギのもったいぶった言い回しに苛立つ。

すると、アカギは足を止め、視線に上に上げる。
「おっと……目的地に着いたようだな…」
目の前には大きく聳え立つマンションがあった。
どの部屋も光が灯らず、暗鬱な空気を漂わせていた。

アカギはそんなマンションに立ち寄ろうと入り口に進む。
しかし、ジグマールはそれを遮る。
「ここには何もない!! その前に先ほどの意味をおしえてもらいたい」
ジグマールにとってケンシロウとキュルケの出会いの場所。
これといって何も変哲もないマンション。
「フフ……そんな焦る必要はありません…」
アカギは掻き割るように突き進むが。
身体を大の字に広げ、反復横跳びの要領でマンションの入り口をとうせんぼするため、中に入れなかった。
「教えるまでここは通さんぞ!! さあ、私に教えるがよい」

「……やれやれ」
アカギは勝てないなと呆れながら、視線をジグマールから逸らす。
その視線の先に興味深いものがあった。崩壊したビルの瓦礫である。
それは約200メートル先に不気味に佇んでいた。
戦闘があったのだろうか、ジグマールの情報に無い光景。
アカギは埒があかないと話をすりかえる。
「分かったよ……ジグマールさん…あそこの瓦礫に着いたら……教えてやりますよ」
「いいだろう。しかし……歩きながら教えろ」
「……やれやれ…分かりました」

瓦礫のまでの道中。闇夜が覆い尽くす道路を歩く影。
ランタンの明かりだけが瓦礫へと続かせる道しるべ。
ジグマールは歩きながらアカギの考察の続きを聞き入れていた。

「…ジグマールさんが指す『人間ワープ』は瞬間的に目的の場所に移動するんだろ…。
 つまり……『始動』から『始動』に移動するというわけだ…」
ジグマールは理解できずに言い噤む。
「……例えば何らかの状態で『人間ワープ』を使えば……同じ状態で移動する。
 そこから…攻撃するなり…防御するなり…行動を『始動』させるということだ…
 さっきも言った通り……『始動』から『始動』に移動するわけさ…」

アカギは更に言葉を続ける。
「だが…DIOの『人間ワープ』は『始動』から『結果』に一瞬で移動すると考えられる。
 つまりだ……

始動→過程→結果
 とする、当たり前の流れが…

始動→結果
 と、『過程』が省略されていることだ…
 そしてだ。ジグマールさんの三つ目の疑惑に当てはめてみる……

DIOがケンシロウの元へ向かう→ケンシロウの側に移動→目に指を突き刺す
 という流れになり、そこに『過程』である『ケンシロウの側に移動』を取り除けば…

DIOがケンシロウの元へ向かう→目に指を突き刺す
 ジグマールさんが知覚した光景に当てはまるわけさ……まさに一瞬の出来事だ…」

ジグマールはアカギの凄まじい考察力に驚愕した。
「つまり…奴の能力は最初から『人間ワープ』ではなく」
「そう……元々別の能力だったわけさ……」
アカギがそう言うといつの間にか目的の瓦礫に到着していた。

瓦礫。崩壊したビルの面影は一切無く、ただ不気味であった。
全面に敷き詰まれたガラスの破片。
所々に散漫したコンクリートの塊、突き出た鉄柱のオブジェが飾られ、電灯の明かりと合わさって不気味さを演出させている。
タンクから漏れ出す水滴の音、歩くたびにガチガチとガラスの金切り音がまるで鎮魂歌を思わせるメロディーを奏でる。
そんな情景にジグマールはなんともいえない不気味さを感じた。

「一つ聞いていいですか? DIOが能力を使用した時……周囲の状態は変化していましたか?」
アカギは瓦礫を探索しながら問いかけた。
「いや…別段変化はなかったが?」
「そうか……それなら……DIOの能力が判明した」
またもやジグマールは驚愕する。
「奴の能力は……何秒かその場にいる人間の知覚と動きを止める能力だと考えていた。
 しかし……その能力だと周囲の変化は止められない。
 ジグマールさんの意見を踏まえると…この線は無い…
 そこで……知覚も動きも周囲を止める能力だと判断できる・・・
 つまりDIOの能力は―――」
アカギが言い終える前に、ジグマールは理解した。
ここまで来れば、ほとんどの者は自ら答えを導けるだろう。
奴の不自然なワープ移動の謎が解けていく。
知覚も動きも周囲を止めるだと、だとすれば…

「―――時を止める能力」

ジグマールの膝が瓦礫の上に崩れ落ちる。
ガラスの破片が膝に少し喰い込んだが、痛みは感じなかった。
まさに自分のプライドが崩壊した瞬間であった。

空間を支配した『人間ワープ』。世界を制することが出来る最強のアルター能力だ。
だが、しかしDIOはそれを遥かに上回る能力。
時間を支配した『タイムストップ』。まさに神がかりの能力だ。
本当に世界を制することが出来るアルター能力だ。
そして、何の対抗策も無い。

最強のアルター使いDIO。
優れた運動神経を有しており、目からビームを放出し、周囲を凍らし、高い再生能力を持ち、更に時を止める具現体を持つ化け物。
それがDIO。
勝てるはずない。僕の能力でも勝てるはずない。
ギャラン=ドゥですら勝てない。DIOの能力は反則だ。馬鹿げている。
奴は三度も『タイムストップ』の能力を使っている。いや、もっと多く使用していた可能性さえある。
しかも、反則に近い能力なのに体力もそんなに消費してないように見える。

自分は『人間ワープ』を使用するたび、かなり体力が消費されるのに何故……奴は?
何故? 僕の能力だけ、こんなにも制限されるのだ。
何故? 僕が何をしたっていうのだ。
畜生!! 畜生!! 畜生!!

あまりのショックで茫然自失となっているジグマール。
そんな彼にため息をつきながらアカギは近づく。
「ジグマールさん……ボーとしている暇はありません」
アカギの励ましの言葉。
衝撃は大きかったがジグマールは聞き入れる。

「確かにDIOの能力は世界を制することが出来る力。
 俺たち人間では……到底太刀打ち出来ない能力。
 ……まさに不条理な能力」
「だけど…敵いっこないじゃないか……」
「フフフ…今俺たちは殺し合いという名のギャンブルの世界にいる。
 運の無い奴……力が無い奴が……無残にも食い殺される。
 まさに不条理な世界だ…。
 くく…だけど……おもしろいと思いません?」
ジグマールは涙目でアカギを見る。

「な、なにが?」
「不条理こそギャンブルの本質……
 そんな不条理に打ち勝ってこそ高みに登れる……
 そう思うと…おもしろくありませんか?」
ジグマールはアカギに振り向く。
視線を虚空の空に向け、不気味なほど真剣な表情のアカギ。
その瞳は暗黒を思わせるほど黒い。
全てを塗り潰してしまいそうな、全てを吸い込んでしまいそうな黒だった。
邪な目。だが、子どものように無邪気で純粋な目であった。
「でも……でも……時を止められたら…どうしようもないよ」

生き残れない。自信を失っていくのが分かる。
能力であるギャラン=ドゥは制限で半時間ぐらいしか表に出られないし、
頼みの綱である『人間ワープ』もそう何度も行使できない。
無残にも殺されてしまう。

それだけではない。
敵である劉鳳やシェリス・アジャーニはまだ生きているし、
先ほどの放送でマリアや銀時、ルイズは死んだようだが、
私の素性を知っている吉良やコナンはまだ生きている。
刻々と自分の悪評が広まりつつあるのだ。
それに、ケンシロウとキュルケを見限った自分には味方すらいないのだ。
自分は生き残れる可能性はかなり低いのだ。
でも、どうして? 目の前の男は…

「DIOだけじゃない。ただでさえ…勇次郎やラオウ、僕たちを圧倒的に凌ぐ強敵までいるのだ。
 どうしようもないじゃないか!!何も出来ないまま、殺されてしまうんだ。
 アカギは恐ろしくないのか……死んでしまうのだぞ……?
 今までの功績も名誉も全て無意味に失ってしまうんだ。
 …お前は恐くないのか?」
夜空を見つめていたアカギは間を切り、不意に顔を向ける。

「確かに真向からDIOや勇次郎とぶつかれば、何も出来ないまま殺される。
 まさに無意味な死。けれど……。
 『無意味な死』ってやつがまさにギャンブルなんじゃないの……
 俺はずいぶん長くそう考えてきたが違うのかな…?」
「あくまで、それはお前の考え方だ。普通の人間は死を恐れる。だが、お前は…」
狂人。死を恐れぬ狂人。
こいつは狂っている。気が触れている。
現実から目を逸らした臆病者だ。
ハッタリに違いない。
自分と同じように臆病なだけだ。

「普通、人なら死を恐れる。お前は本当に人間なのか? …アカギ?
 だったら、死を恐れないお前は何を恐れるのだ?」
ジグマールは自嘲気味に問いかける。
アカギの目は相変わらず虚無の世界に引き込まれそうなぐらい深い。

「くくく…俺は少々捻くれているだけで…普通の人間さ。
 アルターもスタンドも使えやしないただの人間さ…ジグマールさんと同じように。
 …死ぬことは恐くない。俺がただ恐れるのは……」
アカギは少し間を置く。

「自分が自分でなくなるときだ。
 この俺の 『俺』 だという気持ち意識が吹っ飛ぶ。そこが問題だ。
 俺が恐れるのは…俺が 『俺』 でなくなること…それだけはご免だ
 だから、俺は常に自分の意志を貫いている。
 どんな逆境が降りかかろうとも俺は 『俺』 でいる。
 ……ただそれだけさ」
圧倒的に力はないのに、何故そこまで自分を信じられる。
アルター能力も無い、ただの人間であるアカギにジグマールは驚いた。

なぜ、そこまで自分の信念を誇れるのか。
私はただただ怯えていただけなのに。
自分の力を信じず、ただ死を恐怖して。
ギャラン=ドゥに頼りっぱなしであった。何一つ己を出さずにいた。
けれど、目の前にいる儚い人間であるアカギは……

―――自分を貫いている。

ジグマールはそんなアカギを羨んだ。
そして、自信を失ったジグマールは尋ねる。
とても殺し合いに乗っているとは思えないアカギ。
そこまで自分の意志を貫こうとするアカギの目的を。
この殺し合いの舞台で何をしたいのか?
至極興味が湧いてきた。
アカギはこの場で何を見据え、行動しているのか?
それを聞けば…自分も…

―――アカギのように信念を貫けるような男に

なれるかも知れないという甘い期待を願って。
「アカギ……お前は―――」
「しっ…ジグマールさん。黙ってください…」
突然、アカギは耳に手を当て、音を探るように指を広げる。
「ど、どうしたのだ…アカギ!」
「変な…音が何か聞こえませんか?」
そう言われると、ジグマールは耳を澄まし、周囲に集中させる。

パキパキ
ガラガラ

そんな押しつぶれたようなか細い音が交互に聞こえる。
埋もれた死者が甦るように地面から這い上がってくる。そんな感覚を思わせる音だ。
「何の音だ? アカギ」
「まだ分かりません…でも用心に越したことはありません」
アカギとジグマールに緊張が走る。
この瓦礫の山で、奇怪な音がするのだ。周囲を見渡し、警戒を怠らない。
ランタンの灯りを消し、自分たちの存在を消す。
すでに遅いかもしれないが、場所を特定されないよりましである。
辺りは薄暗い、ここから離れた道路に立っている電灯だけが頼りだ。

パキパキ
ガラガラ

音は弱まるどころか、強まるばかりだ。
二人は周囲に警戒を強める。
そんなときである。

ボコ

音が変わった。

すると突然アカギが叫ぶ。いや、叫ぶというよりは語気が強くなったと言うほうが的確である。
冷静なアカギの口調が強くなったことに驚いて、ジグマールは思考が追いつかなかった。
すぐに一瞬の間を置いて下を見る。

「ジグマールさん。下です」
「……何!?」
薄暗い足元を見ると地面に膨らみが現れる。
瓦礫の山を押し切り、そこから現れたのは髑髏だった。
ジグマールはその髑髏と目が合う。
そして、死神を想像させる髑髏が唐突に断末を上げるように絶叫する。

『コッチヲ見ローーーー!!』

その瞬間、髑髏から爆炎が舞い上がる。

ジグマールの視界に炎が映る。炎がスローモーションのようにゆっくりと迫り来る。
徐々に身体を包み込もうとする。
死を覚悟する前にジグマールは咄嗟に動く。身体が死を認識する前に発動させた。
己の武器である『人間ワープ』を。

爆心地から離れること、2メートルの地点にジグマールがいた。
アカギはジグマールのいる方に振り向く。
その表情は落ち着いている。が、爆発に巻き込まれたはずの男がぴんぴんとしているのだ。
さすがに驚いたのであろう、小さな笑みを浮かべる。

身体が咄嗟に『人間ワープ』を使ったために思考が混乱するジグマール。
「ジグマールさん! 安心するのは早いですよ、ここは一度引きましょう……」
思考が自動的に回復するまえに、アカギが喝を入れる。
「!? 分かった」
安心するにはまだ早いかった。
あの髑髏はさっきの爆発に壊れずに、続けてアカギに向かっていたのだ。
『コッチヲ見ロウ』
と、声を上げる。それは先頭に髑髏を施した悪趣味な玩具の戦車であった。
しかし、それは見た目だけであり、動く爆弾であった。
「とりあえず、あそこに逃げましょう」
アカギは住宅街を指差すと、すぐに全力で走り去った。
「く」
遅れてジグマールはアカギを追う。
髑髏の戦車はいつの間にか自分のほうに目標を定め、後ろから追ってきていた。
歩きと走りの中間ぐらいの速さで後を追う爆弾。
ジグマールは全身の痛みを堪えて全力で走った。

「あの髑髏、どこかで見たときあるぞ…」
走っているとはいえ、ジグマールの思考が澄んでいく。
自信を失っているとはいえ、HOLYの隊長を任されるほどの持ち主だ。思考の回転力は劣ってはいない。
あの悪趣味な髑髏。確か吉良の自動人形タイプのアルターに施されていたアクセサリーにそっくりだ。
一度、戦ったあるから見間違いは無い。明らかに同じ髑髏である。

気配は一切感じられないがこの近くに吉良がいるということか?
まだ、分からん。しかし、一つ言える事は、奴の能力は追尾爆弾を作るの能力だと考えられる。
パワーだけの劣化した劉鳳かと侮っていたが、有効範囲もかなり長く、恐ろしい能力だ。
「こんな能力を隠し待っていたとはなア…侮れない男だ。暗殺者としてHOLYに欲しい人材だ」
今更ながら感心した。

ジグマールは疲労困憊ながらも爆弾から目視できないほど距離を離し、
手招きするアカギに誘われ、民家の中へと入った。
真っ暗闇に包まれる部屋の一室。
電灯にスイッチが入れば、もっと明るく出来るが、先ほどの爆弾のこともあり、
敵に居所を悟られるわけもいかないのでランタンの灯りのみが光源であった。
ジグマールは息を切らし、水分を取り、気を落ち着かせる。
会話はすぐに先ほどの出来事に向いた。

「ここまで来れば大丈夫だろう」
ジグマールはフウと息を漏らし安堵する。
「一応警戒はしておいてください。まだ、どんな能力か分かっていませんから…」
アカギが進言すると、ジグマールは鼻息を鳴らす。
「フフ。もう大方予測が付いたよアカギ」
勝ち誇った笑みで語る。爆弾の正体が何であるのか。
考察の全てを誇らしく語った。

「―――だと、するとアレは吉良吉影のアルター能力だと言うんですね」
「ああ、そうだ。私のビューティフルな頭脳を働かせれば簡単なことだったよ……
 本体である吉良を倒せば、NO問題だ。
 そぉぉして、たぶん奴はどこか近くにいるはずだ」
ポーズを決めながらアカギに笑みを向ける。
「ククク……奴はここにはいないさ」
がくっとポーズが崩れる。

「何だと? 何故分かる?」
「簡単なことさ……あの爆弾が現れたときを思い出してほしい」
「確か……地中からだったな」
ジグマールは適当に相槌を打つ。
「そうだ。たぶん、ビルの崩壊もこれが大いに絡んでいるだろうが。
 …あの爆弾は最初から瓦礫に埋もれていたということになる。
 吉良は何らか理由でこの能力を使わざるをえなかった。
 本来なら、回収するところが……瓦礫に埋もれたおかげで回収できなかった。
 ……俺たちはたまたま埋もれた爆弾が飛び出すところに出くわしたってとこだろ」
「だが、そうとも限らない。アルターは使用者の思い通りに形成できるのだ」
「……今更だな……ジグマールさん。ここには未知の能力が蔓延っているんだ。
 今更、『ありえない』は無しだ…」
鼻に付く言われようにジグマールはそっぽ向く。
「それに、ジグマールさん……あなたの能力について伺いたい。あなたの能力は―――」
ついに来たかとジグマールは言われる前に全詳細を語った。


「『人間ワープ』だ。アカギ! 有効範囲は半径2メートル。
 持っている物は自分の意志で持ち運び可能で、使用するたびかなり体力を消費する」
屈辱であった。自分の能力を詳細に語るほど、怒りが湧いてくる。
どれだけ現在の『人間ワープ』が劣化しているのかを。
本来の力を全く以って引き出されていないかを。
自分から認めているようで、無性に怒りが溢れ出す。
かなりの制限を施した光成に対して怒りが満ち溢れる
「本当なら、もっと広範囲に移動できるのに、疲れ知らずの技なのに。
 …畜生……光成め」
恨みの篭った口調で言い終える。

アカギはそれを聞き終えるとすぐに問いかける。
「ジグマールさん。一つ聞いてもいいですか」
「構わん。知っていることは全て話そう」
「…本来の『人間ワープ』はどれくらい距離を移動できたのですか?」
「そんなことを聞いて何になる? ……まあ、いい教えてやる。
 本来なら最大200メートルは可能だ。少々疲れるから使いはしないがね。
 短い距離なら疲れることなく、何度も使用可能だ」
「そうですか……ありがとうございます」
一礼すると、アカギは質問を続ける。
「『人間ワープ』以外に他に能力をお持ちですか」
ジグマールは一瞬顔をしかめ、答える。
『人間ワープ』がばれたとはいえ、能力を全て話す気にはなれなかった。
手の内を公開するわけにはいかない。
ギャラン=ドゥにいたっては絶対に話すわけにはいかなかった。
ここは適当に嘘ついておこう。

「残念だが、アカギ。私は『人間ワープ』以外―――」

その瞬間。
ガラスの割れる音と共に。聞き覚えのある声が聞こえる。
『コッチヲ見オウ』
あの吉良の追跡爆弾が窓を突き破って迫ってきたのだ。
更にジグマール目掛け。
「何にィ!!」
タイミングが悪すぎと心の中で雄たけびをあげる。
ジグマールは咄嗟に腕を翳す。
すると、ジグマールの腕から衝撃波が巻きおきる。
その衝撃によって髑髏爆弾はビデオの巻き戻しのように屋外に吹き飛んでいった。
「なるほど……分かりました」
アカギはジグマールのもう一つの能力を見ると笑った。

最悪だと、頭を引きつかせ涙交じりで
「ああ……そうだ。これが私のもう一つの能力だ…」
と、ジグマールは笑みをこぼした。

「……とにかく、ここを出ましょう」
「嗚呼…分かった」
あまりの運の無さに涙が溢れそうだった。

外に出ると当ても無く走り出した。あの追尾爆弾がどこまでも追いかけてくるからだ。
後ろの暗闇から髑髏の爆弾が迫ってくる。そして、そのプレッシャーは計り知れない。
ただでさえ全身のケガで体力が消費されやすいのに。
このままでは、爆発に巻き込まれるのは自明であった。
「くっ、どうして奴は私たちの居場所が分かったのだ」
完全に巻いたと思ったのに、完璧に追跡してくるのだ。
何らかの機能が働いているに違いない。
「まだ、分かりませんよ。ジグマールさん。
 言える事は…何らかの方法で俺たちの居場所を把握しているぐらいですよ」
アカギの冷静な態度にちっと舌打つジグマール。
まるで焦っている自分が馬鹿みたいじゃないか。
嫉妬に似た感情を覚える。
「くく…早く対処しないといけませんよ。
 あの爆弾はまるで……蛇のように獰猛で執念深い」
一瞬喜びに満ちた笑みを浮かべるアカギ。
ジグマールは見間違いかなと目をこする。
そこにはいつものように表情の無いアカギであった。
「く、どうにかしないと…」
このまま走り続けても体力がもたない。
ジグマールは必死に考える。あの蛇のように執念深い爆弾から逃げる術を。

(蛇ような能力だ。ん……へび? 蛇だと……分かったぞ)
インスピレーションが舞い降りる。
ピコーンと豆電球が頭上に現れることが分かるほど、天啓のような閃きだ。

「分かったぞ、アカギ。奴は蛇だ。蛇のように私たちの熱を感知して、追跡しているのだ」
どこかで蛇の生態を聞いていたからこそ到達できる考察。
アカギでは到達できない知識の領域。
科学が発展した未来から来たジグマールと昭和の時代からアカギ。
知識では圧倒的にジグマールのほうが上であった。だからこそ、到達できる考察。
しかし、アカギなら本能で嗅ぎ取るかもしれないが。こ
こではいち早くジグマールが嗅ぎ取ったのだ。
「…なるほどね」
アカギはジグマールの考察を聞くと、すぐにパックから斗貴子から奪ったランタンを道路のど真ん中に置いた。
だんだんと離れていくランタン。背中越しに灯りが漏れている。
一分もしないうちに爆発が起きた。二人は後ろを振り向くとランタンの置いた場所が炎に包まれていた。
ランタンの光は無く、新しく火の灯りが生まれていた。
「ビンゴじゃないか、アカギィイ」
ジグマールは誇らしくアカギの肩をオーバーに叩く。
「そうですね…」
アカギは頷く。

ここからが正念場であった。
熱源で探知していることが判明してもまだ根本は解決していない。
ここからはどうにかして、爆弾を追い払う必要があるからだ。
「アカギ、何か策はあるか?」
ジグマールは何気にアカギに相談する。
こいつの考察力ならあっという間に解決策を捻り出すだろう。
そう期待して問いかける。
アカギはそんな問いに間を置いて、答える。
「……ここはリスクを細分化させましょう」
「リスクを細分化させる? どう言う事だ?」
「つまり…」
アカギは突如方向を変え、走る速度を上げる。
「二手に別れるってことさ……確立は1/2の博打。
 運のいい奴が生き残り、悪い奴が追われる。
 簡単だろ…」
そう言うとアカギは一目散に闇にまぎれていった。
「ちょ…おま…そんな無責任な」
ジグマールは無責任なアカギの後を追うが、すでにアカギは闇に溶け込んでいった。
アカギを見失ってしまった。
「くっ…仕方がない」
ジグマールは気持ちを改め、全力でアカギとは反対の方向へ走り出す。
アカギの言うとおり、今ここで運が試されているのだ。
いくら力を誇る奴でも、運が悪ければ死に至ることすらあるのだ。
HOLYの隊長に上り詰めた私の運は底無しにある。それは、自負できる。

(アカギの奴め…血迷ったな)

運の良さでは、私の右に出るものはいない。
爆弾に追われるアカギを想像すると笑いが溢れそうだ。

『ハア、ハア……こんなことなら賭けなければ良かった…ジグマールさん!! 助けてくれー!!』

あの冷静沈着なアカギの焦り姿が目に見える。
「ハッハッハ、この勝負。このジグマールが勝利した」


その数分後。

『コッチヲ見ロォォーー!!』

「ひぃいぃいーーー!! 何故この私がぁあぁああああーーー!!?」
シアーハートアタックはアカギではなくジグマールを追っていた。
「ギャラン=ドゥ…アカギ…いや誰でもいい!! 助けてくれー!!」
ジグマールの悲痛な叫び声が木霊する。
彼の受難はまだ続きそうである。


【E-4 池の公園前 1日目 夜】

【マーティン・ジグマール@スクライド】
[状態]:全身に負傷中(治療済み) 美形 中程度の疲労 
[装備]:本部の鎖鎌@グラップラー刃牙
 アラミド繊維内蔵ライター@グラップラー刃牙(未開封)
 法儀礼済みボールベアリングのクレイモア地雷(リモコン付き)@HELLSING(未開封)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:生き延びて全宇宙の支配者になる
1:シアーハートアタックから逃げ延びる
2:アカギの目標が聞きたい
3:ギャラン=ドゥの言うとおりに行動する
4:ギャラン=ドゥが活動できるまで戦闘は避ける
[備考]
※アカギと情報交換しました
※人間ワープにけっこうな制限(半径1~2mほどしか動けない)が掛かっています
連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます
(例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)
※ルイズと吉良吉影、覚悟、DIO、ラオウ、ケンシロウ、キュルケはアルター使いと認識しました
※吉良吉影の能力は追尾爆弾を作る能力者(他にも能力があると考えています)だと認識しました。
※DIOの能力は時を止める能力者だと認識しました。

【ギャラン=ドゥ@スクライド】
[状態]:ジグマールに潜伏状態 全身に負傷小(自己治癒中) 小程度の疲労
[思考・状況]
1:成り行きを観察中
[備考]
※ギャラン=ドゥは制限によりジグマールと命運を共にしています
 そのため、ジグマールを生かしています
※ギャラン=ドゥは制限により、30分前後しか表に出られません(それ以降は体力を大幅に消費してしまいます)
※表に出られる時間はギャラン=ドゥ本人の体力と精神力に依存しています
※一度引っ込んだら2、3時間ほど間を置かないと、表に出られません(無理をすれば出られますが、体力を大幅に消費してしまいます)
※人間ワープにジグマールほどではないが、けっこうな制限(半径3~4mほどしか動けない)が掛かっています
連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます
(例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)

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