夜空ノムコウ ◆bnuNxUeVnw



ラオウは駅に向かっていた。彼は先ほどの体内での戦いを終え、スッキリしていた。
このスッキリを誰かに伝えたい…わけではなく、今度は「闘い」を求めていたのだ。
自らの拳で、血肉沸き踊る「闘い」を。
そのために人が多く集まり、そして中心に近いS3の駅に向かっていたのだ。


静かな町に一人の男の歩く音が響く。月が綺麗で星も良く見える良い夜だ。
ふとなにか気配を感じた。
「逝ったか…」
夜空にひとつ流れる大きな流れ星を見ながら拳王はこの闘いの舞台から一人強敵が去ったのを感じる。
そのものは彼が一度拳を交わしたものなのか、それともまだ見ぬ強者だったのか。
ラオウにはわからなかったが心のなかで敬意をはらった。
そして敬意をはらった自分に驚く。
「この拳王も甘くなったものだな…」
今までの自分だったら他人に敬意をはらうなど考えられなかった。
否、他人などに興味をもったことさえなかった。
ただひたすら目の前のものは闘いに値するか、しないかにしか興味をもたなかった。
たがこの舞台で闘った相手は違った。

葉隠覚悟
本郷猛
坂田銀時
いずれも本来なら闘うはずがないものだろう。
それどころか自分がいた世界だったら弱者をかばって野垂死んでいただろう。
だが奴らには鋭く光る魂があった。
けっして曲げることの無い強い光を発する、刀のように鋭い魂が。

はたして自分の魂は真っ直ぐになっているのだろうか。
ふと、そんなことを思った。
自分は彼らに何か教えてもらった気がした。
この闘いで自分は変わったのだろうか。

その時だった。
「さすが…。その闘気、衰えないな」
目の前の暗闇より突如感じた気配に慌てず対処するラオウに感嘆の溜め息をつきながら現れた人物が一人。
「トキ……」
「また会ったな、ラオウ……いや、兄さん」
「貴様に兄と呼ばれる男は死んだ。今お前の前にいるのは世紀末覇者、拳王のラオウだ。」
「でも迷っているんだろう、兄さん?このゲームで戦った強敵の強い意志に、魂に。」
迷っている。意外だった。
「……」
「そしてこう思っている…。自分をここまで追い込んだ彼らの強さはなんだ?なぜ、彼らは強い?」
――供に歩きながら、すこし前を行くトキとラオウは遠くから見たらさぞかし仲良い兄弟が散歩しているように映ることだろう。
「それは愛だよ、兄さん」
――だが二人が実際に歩んだ『道』は全く違う道だった。
「愛が彼らを強き者にしたんだ」
――かたや、力が全てと感じ強さだけを追い求め続けた男 ラオウ
「守りたい、失いたくない。立ち止まれない」
――かたや、北斗真拳を弱者のための治療に使い医者として生きた男 トキ
「魂が折れてしまう。大切な大切な魂が」
――しかし別れていた二人の道が
「それが愛だよ。兄さん…」
――今再び一つになろうと…
「面倒だぁ…」

――ならなかった

突如現れた勇次郎の手刀がトキの心臓を正確に貫いていた。トキは血を吐き、その場に崩れ墜ちる。
「なにを迷う必要がある、ラオウッ!?闘いたい、強くなりたい。なら闘え、この俺とッ!!」

突然目の前の幻影が消える。
次に浮かんできたのは駅での大乱戦。
この拳王も認める猛者たち。

DIO
範馬勇次郎
ケンシロウ

「フン…」
先程までの自分の考えを鼻で笑う。
いや、自分は何も変わってない。
ただ目の前のものを倒すのみ。
「このラオウに敗北の文字はないわ!!」
そしてラオウは思う。
頂点に立つ、世紀末覇者拳王として世界に君臨する。
これが自分の魂ではないか?
自らが貫き通すべきものではないか?

夜空に光る北斗七星を見上げ呟く。
「決してセンチになったからではない…
俺にとって強い戦士こそ真理……勇者こそ友であり尊敬するもの
この拳王はうぬらのことを永遠に記憶のかたすみにとどめておくであろう」

神をも恐れぬラオウは歩みを止めない。

【F-3 東中央市街北 1日目 夜】
【ラオウ@北斗の拳】
[状態]内臓に小ダメージ 、鼻の骨を骨折、 胴体に刀傷 限界に近い程の全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている)
[装備]無し 核鉄(モーターギア)@武装錬金
[道具]支給品一式
[思考・状況]
1:ケンシロウを追うためにS3の駅へ向かう。
2:強敵を倒しながら優勝を目指す。
3:覚悟の迷いがなくなればまた戦いたい。
4:赤木が気に入った。
5:愛について知りたい。
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。又、秘孔を破られやすくなっている事にも
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました
※自らが認めた相手に敬意を払いその生き方をも認める事をしました
※コーラに対する耐性がつきました
※誰か猛者が逝ったの感じました。
※さらに強くなるにはもしかしたら愛が必要なのかもしれないと思っています。


月が鳥の影を映し出す。一羽の梟がラオウを追うように滑空していく。
一人の猛者が逝ったのを感じたラオウ。
その逝った猛者、アーカードによってできた梟。
これは果たして運命なのだろうか?
梟は飛ぶ。どこまでも……。


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187:『巨星落つ』 時系列順 185:誰がために
186:オラトリオ メサイア 第二部終章 ラオウ 197:天の道を往き、拳の王となる者