月下の死闘、そして……(後編) ◆L9juq0uMuo



「残念だったなぁ、鳴海。このDIOの首をはねた時、貴様は『勝った』と油断した。だがな、首を落とした程度ではこの『帝王』を倒す事などできない」

地に落ちながらも首だけで笑顔を浮かべるDIOの姿が目に入った。
ドサ、と言う音と共に、鳴海が地に伏し、顔だけをDIOの首へと向ける。

「テメェ……」
「言っただろう? 『ザ・ワールド』以外にも力があると。もっとも、体力の消費はスタンド以上であるからあまり多様はしないがね、」

首が飛ばされた瞬間、DIOは気化冷凍法で血を凍らせ、首からの出血を抑えた。
そして、落下しながらも、先程鳴海の肩を抉った裂眼刺驚を発射、狙いはずれたが、鳴海のわき腹を抉る事には成功した。

「あの時、ジョナサン・ジョースターに敗れた時は、既に胴体は無く、ジョナサンの体を奪う事になったが、今回は我が体は無事。早々に我が体と結合した後、貴様をブチ殺すとしよう」

DIOの首から、凍った血を突き破り、血管が触手のように伸び。倒れている胴体へと向かう。
鳴海はそれを阻止する為に這いずりながら前へと進むが間に合いそうにない。

「無様な姿だ鳴海ィィッッ!! 貴様はその醜態をさらしたまま、このDIOに殺されて行くんだよォーッ!」

首だけとなったDIOが、無様に這いずる鳴海を見て勝ち誇る。
対する鳴海は歯を食いしばりDIOを睨みつけている。

(動け! 動いてくれ!! 今俺が何とかしねえとあいつらが、あいつらが危ねえんだ!!)

体に力を込める。僅かにだが体を起こす。
だが、DIOはそれを見逃さなかった。

「ぬう!?」

血管が目標を胴体から鳴海へと変え、蛇のように鳴海の首に巻きつき締め上げる。

「危ない危ない、まだ動く元気があったか。貴様は土壇場で何をしでかすかわからんからな、そんなに死にたいのなら今この場で締め殺してやる」

DIOは鳴海との戦いで、この男は自分を脅かしたジョースター家の人間のように、窮地に立たされる程にその実力以上の力を発揮する事を知った。
その恐ろしさを身を持って理解しているDIOは、鳴海が起き上がろうとしたのを見て、体に戻る事よりも鳴海を殺害する事を優先した。

「KWAAAAAAAA!! 終わりだ鳴海! 頚動脈を圧迫されてェーッ! 無様に、絶望の中で死んでいくがいい!」

勝利の雄たけびを上げるDIO。これでこの男との戦いも終わる。
そう思った時DIOは鳴海の目を見て戦慄した。
この状況でも鳴海の目は死んではいない。
まずい、漠然とそう思った瞬間。
鳴海の左腕、聖ジョルジュの剣が一閃、触手を切断し、右手がDIOへと続く触手を捕らえた。

「ゲホッ……捕……まえた……ぜ」
「悪あがきをォォォォォッッッ!」

今一度裂眼刺驚を放とうとするDIO。
しかし、鳴海は立ち上がりながら触手ごとDIOの頭を振り回した事により裂眼刺驚は明後日の方向へと飛んでいった。
そのまま鳴海はDIOの頭部を地面に振り下ろすように投げつける。

「がッ!」

ガン、と鈍い音と共に叩きつけられたDIOの頭がバウンドし、鳴海がその頭部目掛け咆哮と共に駆ける。

「馬鹿なァァァァッッッ!? DIOが、この『帝王』DIOが東洋のイエローモンキーごときにぃぃぃぃぃぃ!!」

叫ぶDIO、そして……、

グシャ

鳴海の拳が、DIOの頭部を完全に粉砕した。
ボンっというくぐもった音共にDIOの頭部に埋め込まれた爆弾が爆発し、至近距離にあった鳴海の右手首が吹き飛ぶ。

「あばよ、吸血鬼野郎。あの世でテメェが食い物にした奴等に侘びやがれ」

手首から先が吹き飛んだ右手を押さえながら、DIOの血液と自らの血で朱に染まった鳴海が呟いた。

「鳴海ぃぃぃ!」

道路の向こうから聞こえる声に目を向ける。
そこにはナギをかついだ独歩とパピヨン、こなたがこちらへと走ってきている。

「よかった、皆、無事か……」

安堵の溜息を着き、鳴海が仰向けに倒れた。

「鳴海!!」
「お、おい! 鳴海、しっかりしろ!」

独歩が鳴海に駆け寄り、抱き起こす。
その傍らでナギが目に涙を浮かべている。

「独歩さん、ナギ、しっかりと仇は取ってやったぜ」

満身創痍の体で、鳴海は二人に微笑みかける。

「ただ、シェリスって子は……」
「……そうか」

独歩の視界に首の無いDIOと頭が砕けたミイラとなったシェリスの無残な姿が目に入る。
結局、劉鳳に会わせてやる事ができなかった事、むざむざ殺されてしまった事に独歩は悲しみを隠せなかった。
そして遅れてパピヨンとこなたが来る。
シェリスの無残な姿が目に入り、人質に取られたとは言え、三人で銭湯に行った事や食べ歩きをした事を思い出し、こなたも悲しそうに顔を伏せる。
対するパピヨンはシェリスの死体を一瞥しただけで終わる。
そのパピヨンに、鳴海が声をかけた。

「……あんたがこなた達を助けてくれたんだってな。」
「別に貴様に礼を言われるような事じゃない。それより……」

パピヨンは何かを探しているのか、しきりに周囲へ顔を動かしている。

「……DIOの頭が無いようだが」
「それなら、俺が一発入れたら、俺の右手首ごと吹き飛んじまった。爆弾みたいによ」

そう言って鳴海は手首から先が消失した右手を見せる。

「そうか、頭が吹きとべば流石の吸血鬼も生きてはいないだろうしな……」

それだけを言うと、パピヨンは何かを考え始め、鳴海は申し訳無さそうに独歩を見る。

「シェリスの件はすまねえ」
「何言ってやがる。お前はDIOを倒したんだ、よくやってくれたよ。それよりもまずはお前の体だ」
「大丈夫だって、しろがねは丈夫だからよ、これぐらい……」

鳴海は体を動かそうとする。だが、うまく動かない、それどころか徐々に動かなくなってきている

「あ、あれ? ハハ、おかしいな……」
「お、おい、鳴海!その腕は……」

驚愕に満ちたナギの声に全員が鳴海の右腕を見る。
鳴海の右腕がパキパキ、という音と共に石化し始めていく。
しろがねの不死性は永遠ではない。生命の水の入った血液が殆ど無くなれば、その体は石化し、死に至る。
刃牙、勇次郎との戦い、そして此度のDIOとの激戦。それにより、鳴海の血液はほとんど無くなっていた。

「……何でもねぇさ、気にすん……」
「それがしろがねとやらの死のサインなのか?」

無理に笑おうとする鳴海にパピヨンが尋ねる。
独歩も、そしてパピヨンも薄々感づいてはいた。鳴海は血を流しすぎていた。長くはもたないのではないかと。

「…………」

鳴海は答えない。それが意味する物は肯定。

「何、まだ行けるさ」

自力で起き上がろうとする、だが、体が言う事を聞かない。

「大丈夫だ、すぐに立ち上がるからよ、なぁにすぐ……」

体を無理やり動かそうと試みる鳴海を、独歩が制した。

「独歩さん……」
「もう、無理はするんじゃねえ」
「……すまねぇ」

誰も喋らない月夜の下、風が彼らを撫ぜるだけだ。
ピキ、パキと響く破滅の音だけが無人の繁華街に響く。

「鳴海よぉ」

不意に、独歩が口を開いた。

「ありがとよ、刃牙やシェリスの仇を討ってくれてよ」
「……いいってことさ」
「その礼って訳でもねぇけどさ、エレオノールって嬢ちゃんの事は、できる限り俺がなんとかしてみせらぁな」
「……迷惑かけちまうな」

申し訳無さそうな顔をする鳴海を独歩が笑い飛ばす。

「そんな顔すんじゃねぇよ。さっきも言っただろ、俺達は仲間だ。気にするなって」
「そうだな……、そうだったな」

鳴海の顔にうっすらと笑顔が浮かぶ。

「しかしよ、やっぱお前とは一戦やりあってみたかったぜ」
「だから、俺は戦うのは好きじゃねえんだって」
「へっ、そんなつれない事言うなよ」

二人は笑いあう。まるでこれから訪れる死など気にしていないかのように。

「……皆」

静寂が支配する夜の闇の中、鳴海の声が響く。

「こんなふざけた殺し合い、ぶっ壊してくれよな」

既に石化は胸まで達しっている。

「ふん、貴様に言われずともこの蝶・天才な俺が叩き潰してやる」

不敵な笑みを浮かべ、パピヨンがぶっきらぼうに答える。
反りが合わないと感じていたが、パピヨンは、DIO倒した事については鳴海を評価する。
これで、一つの障害を取り除く事ができた。それは微々たる物かもしれないが、打倒主催を掲げる自分達にとっては重要な一歩。

「任せてよ、パピヨン達がいればきっとなんとかなるからさ。……みゆきさん達の仇を討ってくれて、ありがとうね」

喫茶店でよくここまで来てくれたと、自分の頭を撫でて微笑んでいた鳴海。
面識もないみゆき達を殺したDIOに、自分の仲間を殺されたかのように激怒していた鳴海。
ぼろぼろになりながらもみゆき達の仇を討ってくれた鳴海。
涙を浮かべながら、こなたは精一杯の感謝の気持ちを告げた。

「この虎殺しの愚地独歩がついてるんだ、安心しな」

抱きかかえている独歩が笑いかけながら答える。
一人の少年を助けられずに泣いた男を独歩は見ていた。
自分の甘さのせいで人を死なせてしまい、嘆く男を独歩は見ていた。
新たな決意を胸に立ち上がった男を独歩は見ていた。
そして今、思いを託し死んでいく男の最後を独歩は見送る。

「皆の言うとおりだぞ。……だから、だから心配するな、鳴海」

『すまねえ』と大粒の涙をこぼし謝っていた。
ナギの決意に答え、仲間だと、辛い時には全力で助けると言ってくれた。
ぼろぼろのその体で『仇は取った』と微笑んだ。
そんな鳴海を心配させまいと、ナギは涙声で鳴海に話しかける。

彼らのその姿を見て鳴海は安堵し、笑みを浮かべた。
彼らの強い意志に、潰えない希望に、そして最後の最後で守りたい物を守れた事に。
石化はもう、顔の右半分まで侵食している。

ピキ、パキ、

「まぁ……、俺の手でぶっ飛ばせな……いのは悔しい……けどよ」

ピキ、ピキ

「すま……ねえ……後の……事……は」

パキ、ビキ

「任……せ……た……」

パァン

完全に石化した鳴海の体は粉々の破片へと姿を変えた。
ゴトン、と人形の腕であった為に唯一石化しなかった左腕が落ちた。
月光が破片に反射し、光を放つ。
それはあまりにも悲しく儚く、そして幻想的な光景。

ナギが泣いていた、こなたが泣いていた、パピヨンはただ、その幻想的な光景を眺めていた。

「馬鹿野郎が、そんな未練な顔して逝きやがってよぉ」

その目を悲しみに染め、独歩が呟いた。

彼らは忘れないだろう、一人の男が散った事を。
彼らは忘れないだろう、この悲しくも儚い、一瞬の幻想的な光景を。

【加藤鳴海@からくりサーカス:死亡確認】
【シェリス・アジャーニ@スクライド:死亡確認】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険:死亡確認】
【残り25人】


【E-2 繁華街/1日目 夜中】
【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:軽い打撲、深い悲しみ
[装備]:エンゼル御前@武装錬金
[道具]:支給品一式、フレイム・ボール@ゼロの使い魔(紙状態)、んまい棒@銀魂、
     綾崎ハヤテの女装時の服@ハヤテのごとく
[思考・状況]
基本:みんなで力を合わせ首輪を外し脱出 。
1:独歩・ナギ・パピヨンと行動を共にする。
2:かがみ、つかさを探して携帯を借りて家に電話。
[備考]
※エンゼル御前は使用者から十メートル以上離れられません。 それ以上離れると核鉄に戻ります。
※独歩・シェリスと情報交換をしました。

【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:健康、深い悲しみ
[装備]:キツめのスーツ
[道具]:支給品一式×3(独歩、勝、承太郎)、フェイスレスの首輪、不明支給品0~2(承太郎は確認済。核鉄の可能性は低い)、不明@からくりサーカス、書き込んだ名簿、携帯電話(電話帳機能にアミバの番号あり) 首輪探知機@BATTLE ROYALE 、干からびた肉の芽の残骸
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、乗った相手には容赦しない。
1:こなた・ナギ・パピヨンと共に行動する。
2:基本姿勢を、闘うことより他の参加者 (女、子供、弱者) を守ることを優先する事に変更。
3:パピヨン、こなた等や、他のゲームに乗っていない参加者に、勇次郎の事を知らせ、勇次郎はどんな手段をもってでも倒す。
4:その他、アミバ・ラオウ・ジグマール・平次(名前は知らない)、タバサ(名前は知らない、女なので戦わない)、危険/ゲームに乗っていると思われる人物に注意。
5:乗っていない人間に、ケンシロウ、及び上記の人間の情報を伝える。
6:赤木と合流するために、学校へ行く?
7:可能なら、光成と会って話をしたい。
8:劉鳳に会ったらシェリスの事を詫びたい。
9:可能であればエレオノールの説得。
[備考]
※パピヨン・勝・こなた・鳴海と情報交換をしました。
※不明@からくりサーカス
 『自動人形』の文字のみ確認できます。
 中身は不明ですが、自立行動可能かつ戦闘可能な『参加者になり得るもの』は入っていません。
※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。
※鳴海、ナギと情報交換をしました。

【三千院ナギ@ハヤテのごとく!】
[状態]全身に打撲、右頬に中程度のダメージ、首に痣あり、精神疲労(中)、深い悲しみ
[装備]スパイスガール@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]無し
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、家に戻る。
1:ハヤテ、ヒナギク、ジョセフと合流する。
2:カズキの恋人という『斗貴子』とやらに会って、カズキの死を伝える。
3:こなた・独歩・パピヨンと共に行動する。
4:ハヤテに事の真相を聞きだし、叱りつける。
5:可能であればエレオノールの説得。
参戦時期:原作6巻終了後。
[備考]
※スパイスガールが出せるかは不明です。
※ヒナギクが死んだ事への疑念は晴れました。
※独歩の話を聞き、光成の裏に黒幕が居ると睨んでいます。
※鳴海、独歩と情報交換をしました。


【パピヨン@武装錬金】
[状態]:動きすぎで疲れて吐血。全身に打撲。
[装備]:猫草inランドセル@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:地下鉄管理センターの位置がわかる地図、地下鉄システム仕様書
    ルイズの杖、参加者顔写真&詳細プロフィール付き名簿、
    支給品一式×2(パピヨン、灰原)(灰原の方はデイパックの肩紐破損)
[思考・状況]
基本:首輪を外し『元の世界の武藤カズキ』と決着をつける。
1:こなた・独歩・ナギと行動を共にする。
2:エレオノールに警戒。
3:核鉄の謎を解く。
4:二アデスハピネスを手に入れる。
5:首輪の解体にマジックハンドを使用出来る工場等の施設を探す。
[備考]
※参戦時期はヴィクター戦、カズキに白い核鉄を渡した直後です。
※スタンド、矢の存在に興味を持っています。
※猫草の『ストレイ・キャット』は、他の参加者のスタンドと同様に制限を受けているものと思われます。
※エレオノール、鳴海に不信感(度合いはエレオノール>鳴海)
※独歩・シェリスと情報交換をしました。
※逃げられてしまったゼクロスにさほど執着はないようです
※詳細名簿を入手しました。DIOの能力については「時を止める能力」と一言記載があるだけのようです。

[共通備考]
※DIOの所持品(ダーツ(残弾数1)、デルフリンガー@ゼロの使い魔、時計型麻酔銃(1/1)麻酔銃の予備針8本。
イングラムM10サブマシンガンの予備マガジン×9、ライドル、スタングレネード×1、 支給品一式×3(DIO、桂、みゆき))と
鳴海の所持品(支給品一式×2(刃牙、鳴海)、不明支給品0~3(フェイスレス・ナギ)  輸血パック(AB型)@ヘルシング グリース缶@グラップラー刃牙 道化のマスク@からくりサーカス)、鳴海の左腕@からくりサーカス
シェリスの所持品(光の剣(ただのナイフ)@BATTLE ROYALE、ボンテージファッション一式、支給品一式)はE-2の繁華街に放置してあります。
※E-3の喫茶店で黒王号が独歩達の帰りを待っています。


194:Cool or Fool? 投下順 196:地獄へ道連れ
194:Cool or Fool? 時系列順 196:地獄へ道連れ
173:君らしく 誇らしく 向ってよ 三千院ナギ 199:蜘蛛の糸~キラキラと輝くもの
173:君らしく 誇らしく 向ってよ 加藤鳴海 死亡
173:君らしく 誇らしく 向ってよ 愚地独歩 199:蜘蛛の糸~キラキラと輝くもの
178:情報戦的優位(ビバ=ノウレッジ) パピヨン 199:蜘蛛の糸~キラキラと輝くもの
178:情報戦的優位(ビバ=ノウレッジ) 泉こなた 199:蜘蛛の糸~キラキラと輝くもの
178:情報戦的優位(ビバ=ノウレッジ) シェリス・アジャーニ 死亡
178:情報戦的優位(ビバ=ノウレッジ) DIO 死亡