弟(後編) ◆WXWUmT8KJE



 ラオウが階段を上りきり、見つけた相手は今までであったことのない男たちだ。
 女の方は一人見覚えがあるが、だからといってラオウの興味をそそるわけがない。
 男二人、一人は女顔であるが、それなりに腕が立つのかもしれない。
 しかし、それだけだ。
 もう一人の男はやれるのだろう。だが、どういうわけか今は地に伏している。
(見当違いか)
 そう思い、踵を返そうとする。
 怪我人を相手にする趣味は拳王にないし、弱い相手を一方的に虐殺することも興味がない。
 しかし、ラオウに立ち向かう影が現れる。

「武装錬金!!」

 ヒナギクが地面を蹴って、バルキリースカートの刃を煌かせる。
 ラオウはあっさりと刃を掴んだ。
「ほう、この拳王に挑むか」
「あんたを行かせるわけには……いかないのよ!」
 ヒナギクの瞳を覗き込み、ラオウは笑う。
「本郷の仇か?」
「それに、あんたみたいな奴を……野放しにして、覚悟くんみたいな人たちを犠牲には出来ない!」
 ヒナギクはバルキリースカートのロボットアームで跳躍して、ラオウから五メートルほど離れた地点に着地する。
 その隣に、ハヤテと村雨が並ぶ。
「ヒナギクさん、キューブを村雨さんに」
「ハヤテ……?」
「さっさと記憶を取り戻して、パワーアップしてください。
あいつはしばらくの間、僕が足止めしておきますから」
「あいつ、強いぞ」
「知っているわよ! だから、あなたの力が必要なの!!」
 ヒナギクはメモリーキューブを渡しながら、ラオウを睨みつける。
 その胆力にラオウは感心しながらも、闘気を開放する。
 神社が震え、空気が震え、人が震えた。
「いったはずだ、小娘。この拳王に立ち向かうなら……容赦せんと!」
 恐怖を振り払うかのように迫るハヤテとヒナギクを前に、拳王は仁王立ちをして向かえる。


 メモリーキューブを手に、村雨は戸惑う。
 たしか、ベルトにセットしろといっていたな……と考える。
「早くそいつを入れなさいよ!」
『その娘の言うとおりだ。この場で奴にまともに対抗できるのは、お前しかおらん!』
「かける言葉も無かったんじゃないのか?」
『今はそういっている場合ではないだろう!』
「分かっている」
 ベルトのバックルがスライドすると、ちょうどメモリーキューブをはめるところが現れる。
 こういう仕掛けになっているのか、と自分の身体ながら感心する。
 ハヤテやヒナギクでは、一分も持たない。それは、なぜか嫌な気分だった。
 散を失ったときのような。
 村雨は記憶を取り戻し、強さを得るためにメモリーキューブをはめ込んだ。


 突然の事故だった。
 幼い村雨は、両親の死に涙を流した。
 今と違い、身体も小さく、よく虐められて泣いていた。
 自転車に乗れないことを馬鹿にされ、泣いていた。
 そんな自分の手を、いつも姉は優しく包んでくれた。
 葬式の帰りもそうだ。姉は優しく手を握って、自分を守ると宣言してくれた。

 ―― 姉さんを守って見せるから

 幼く、非力な頃の村雨はそう誓った。
 唯一の家族となり、慕っていた姉。
 全てをかけて、男の自分が守ると。
 現実は無情で、村雨に優しくはない。
 姉は――――


 記憶が戻るのは一瞬だった。
 苦しみも、痛みもない。先ほどまでの頭痛が嘘のように軽い。
 だが、それ以上に抱えるものが重くなった。
「ねえ、大丈夫?」
「ああ、もう心配は要らない。かがみは零とここにてくれ。
零、何かあったら教えてくれ。頼む」
『……承知した』
 安心させるためにかがみの肩に手を起き、零にラオウ以外の敵の接近を知らせるように告げて、戦場へ向かう。
 その村雨の袖を、かがみが掴む。
「本当にあんた、大丈夫?」
「全て、俺が決着をつける。だから君はここで待っていてくれ。
あの男も、バダンも……俺が倒す」
 おそらく、自分の胸中を察したのだろう。表情に出していないのに、鋭い娘だと思う。
(散、すまない。お前の『星義』は俺は引き継げない。だが、お前のことは感謝している。
だから、俺はあのアーカードを倒す。目の前の男を倒す。バダンを――倒す!!)
 村雨の瞳に、倒すべき敵、BADANを怒りを持って映していた。


「クッ……」
「無駄だ、小僧。キサマの攻撃、かすりもしない」
 ハヤテとヒナギクは、ラオウとの間に広がる戦闘力の差に、絶望していた。
 数度、攻撃を仕掛けるが、その攻撃はことごとく外れ、掠るだけで致命傷になる拳を『オー! ロンサム・ミー』を使って回避するのがやっとだった。
 まだ一分も時間を稼いでいない。村雨が記憶を取り戻すのに、どれほど時間がかかるか分からないが、ハヤテたちに絶望がのしかかる。

 ―― 殺される

 しかし、ハヤテとヒナギクは頭を振るってその考えを振り払う。
 彼らは多くの犠牲を払った。失くしたものが多すぎた。
 すぐに希望は絶望へと変わることを知っている。
 だからこそ、足掻くのだ。今を失わないために。
 ハヤテは地面を蹴って、ピーキーガリバーの拳を巨大化させながら突進する。
 ラオウは片腕で巨大な拳を受け止め、ハヤテを目掛けて拳を振るう。
 身を捻ってどうにか避けるが、拳圧で身体が吹き飛ばされる。
 地面を転がり、切れた紐を掴んだハヤテに、ラオウが迫る。
 だが、その背後に……

「臓物をブチ撒けろぉぉぉぉぉぉ!!」

 身体をバラバラにし、再構成するヒナギクが迫る。
 ヒナギクの身体の一部が紐に引っかかっているのを目撃したため、ハヤテはヒナギクをバラバラにしたのだ。
 突然のことで驚いたヒナギクだったが、ラオウの背を眼にしたとたん、思考を切り替える。
 チャンスだと。
 四本の刃が、ラオウを切り裂かんと迫る。
 十メートル以上はあろうかと錯覚する身体を、四つに引き裂いた。
 ただし、それは幻影だ。
「妙な術を使う……その小僧の術か。間は良かった。だが、殺気を放ちすぎだ」                   
 ヒナギクの背後で、ラオウが拳を構える。
「ヒナギクさん!!」
 ハヤテは咽が裂けんばかりに声を張り上げる。
 無慈悲にも振るわれる、拳王の拳。
 風を裂いて、音を裂いて、空間を裂いて、女を貫かんと迫った。
 轟音が響き、地面に拳が当たり石畳が砕ける。
 そこにヒナギクの姿は無かった。
「無事か?」
「あ、ありがとう……」
「村雨さん!」
 ハヤテが喜色を浮かばせ、仲間を呼ぶ。
 前座は終わりだ。そう言わんばかりにラオウは獰猛な笑みを村雨に向けた。


 村雨はヒナギクを降ろし、二人に背中を見せながらラオウと対峙する。
「村雨さん、ここは一気に……」
「いや、俺一人でいい」
「!? 相手は……」
 ハヤテの言葉を無視して、村雨は一歩前に出る。
 ハヤテからは表情が見えないだろう。おそらく、今の自分は酷い表情をしている。
「見られたくないんだ……俺の、怒っている顔を」
 ゆっくりと、ラオウにあと十歩ほどの距離まで歩いて、止まる。
 その声は静かだが、溢れんばかりの怒りが込められていた。
「ほう……先ほどとは、まとう闘気が違うな」
「思い出した……やっと……。そして、もう二度と忘れん……」
 村雨が、怒りを持って右腕を右上へと真っ直ぐ伸ばす。
「バダンの無情」
 悲しみを込めて、左腕を右下へと真っ直ぐ伸ばす。
「そして俺の……」
 ポタッと地面に赤い雫が落ちる。
 それは村雨の瞳から流れ出る、血涙。
「無力を……」
 怒り、悲しみ、無念、喪失感、取り戻した感情を全て混ぜ、村雨の身体を粒子が纏わりつく。

「変んん…………身!!!」

 粒子が赤い強化スーツを精製し、白いボディーアーマーをその上に装着する。
 首から緑のマフラーが風を受けてなびく。
 カミキリムシを模した、触角を持つ赤い仮面へと怒りの表情の村雨の顔を変質させていく。
 緑の複眼が闇に光り、涙が一筋、流れ落ちる。
 その背中から漂う悲壮感に、ハヤテとヒナギクは圧倒される。
 村雨良、ZXは、大首領の身体として生まれ変わり、大切な者の命を糧に異形の力を得てしまった男だった。


「ほう……仮面ライダー……本郷と同じ力を持つ男か。その力、とくとみせい」
 ラオウが言うや否か、ZXは両腕をラオウに向け、シャッター部を開く。
「マイクロチェーン!!」
 ZXから放たれた鎖が、ラオウの両手首に巻きつかれる。
 眉を顰め、不快を露にするラオウがZXに言い放つ。
「この拳王を拘束しようなど、愚の骨頂!」
「トゥ!!」
 力の限り引き寄せるラオウの力を利用し、ZXは一瞬で距離を縮める。
 もっとも、ラオウもこのことは予測済み。
「ゼクロス……パンチ!!」
「ぬぅ!!」
 ZXが拳を弾丸のごとく打ち込む。
 ラオウはその拳目掛けて、剛拳を振るう。
 剛と剛のぶつかり合い。お互い、全力の拳の激突が、衝撃を生み石畳を、狛犬を破壊しつくす。
 心地よい力のぶつかりに、ラオウが不遜な笑みを浮かべ、回し蹴りを放つ。
 丸太のような太さの蹴りが、神速でZXに迫る。
 フワッと、体重を感じさせない跳躍で回避するZXにラオウは感心する。
 ZXが神社の屋根縁を蹴って、勢いを得る。
 蹴りを右腕で受けとめ、ギシギシと骨を軋ませるほどの重さを感じる。そのままの姿勢でラオウはZXと瞳を交わす。
 怒りに燃える、破壊の意思。その意思が、この重さを生んでいる。
 愛を持たずとも、強い敵がいる。ゆえにラオウは拳を振るう。
 目の前の男を、強敵と認めたがために。


 ラオウとZXの激闘が繰り広げられ、その余波が後退したヒナギクたちにも届く。
 渡り合う二人を目の前に、三人は呆然とする。
「凄い……これなら、本郷さんの仇を……」
「まずいですよ……これは」
『ああ、ハヤテの言うとおりだ』
 ZXの優勢を否定するハヤテと零に、かがみとヒナギクは振り向く。
「結構いいところまで渡り合っているじゃない」
「いいえ、かがみさん。見てください。
徐々に、村雨さんの攻撃が当たらなくなってきてます」
 ハヤテの言葉に、二人が振り向く。その言葉どおり、ZXの拳が、蹴りが空を切り始める。
 何故? 疑問を口にするヒナギクに、零が答える。
『理由は二つ。ラオウなる男が良の拳を見切ってきたこと。
怒りに任せて全力疾走を続けてきた良が、息切れを起こしてきたこと。
その二つが重なり、良の拳が避けられてきたのだ』
「そして、村雨さんは僕が始めて見るくらいの激しい怒りで周りが見えなくなっている。
たぶん……自分の状況に気づいていない。焦っている……」
 とたんに、不安がヒナギクたちを襲った。


 ZXの拳がラオウに受け止められ続け、ラオウの拳がZXに当たるようになっていく。
 ZXは焦る。しかし、怒りを抱えているZXにはそのことを分析する力を放棄している。
 苛立ちのままに、ZXはマイクロチェーンに電撃を流す。
「ぬ……うぉぉぉぉ!!」
 ラオウが電撃に身体を焼かれながらも、咆哮とともにマイクロチェーンを掴み、ZXを地面に叩きつける。
 バラバラになりそうな衝撃がZXに駆け巡り、マイクロチェーンが解ける。
「それがうぬの限界か!? 本郷は、仮面ライダーはもっと信念を見せたぞ!」
「クッ……トォォォォォォォ!!」
 ZXはラオウの挑発に乗るように天に跳び、右腕を右上へ、左腕を右下へ、真っ直ぐ伸ばす。
 すぐに、赤いオーラをZXは発し、右脚をラオウに向ける。
 対抗するように、ラオウは右掌をZXに向けて放つ。

「ゼクロスキィィィィィィィィック!」
「北斗剛掌波!」

 気弾と赤い弾丸が激突し、衝撃に神社へとヒビが入る。
 数秒続いた衝撃が収まる頃に、ZXは地面へと不時着した。
「く…………」
「やはり、本郷ほどの男にはまだ出会えぬか。敗者の結末を、受け入れるがいい」
 ラオウがZXの頭を砕かんと、右拳を振り下ろす。
 もう終わりか。ZXの脳裏に、悲しむ姉の姿が蘇る。瞬間、彼の前に風が舞い踊る。
 拳が激突し、金属の跳ね飛ばされた音が響いた。


「ぬ……」
「ハ、ハヤテぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 ZXの叫びが、彼を庇うハヤテに向けられる。
 とっさに出たのは、考えがあってのことではない。単純に、ZXが危ない。
 そう思うと、身体が勝手に動いた。
 盾代わりに使ったピーキーガリバーを腕ごと上に跳ね飛ばされ、ラオウの拳がハヤテの右胸を砕いている。
 致命傷だ。偶然、右腕に絡まる紐を見つけて、とっさにアイディアが浮かぶ。死に間際のアイディアかと、自嘲する。
 ハヤテは、血反吐を吐きながら紐をラオウに結びつけた。
「……これが、僕の最後のスタンドだ!」
 宣言と同時に、ラオウの身体が分解され、紐を使って移動される。
 ハヤテは瀕死の身体で、ZXへと向く。
「あそこの、紐の端で再構成されます。そこを目掛けて走ってください!」
「く……」
 ZXはハヤテの決意の瞳を受け、地面を蹴る。
 再構成されるラオウの身体を掴み、上半身を捻る。

「ライダーきりもみシュゥゥゥゥゥゥトォォォォォォ!!」

 竜巻が巻き起こり、風へと向けてラオウを投げ飛ばす。
 さすがのラオウも、本郷の技に翻弄され、天へと舞い上がる。
 すかさず、ゼクロスキックを決めようとするが、身体が光らない。
 理由は分からないが、ZXは最大の技が使えない。そう考えて、ハヤテはZXの傍に立った。
「行きましょう、村雨さん!!」
 一人では、ラオウに敵わなかった。一人では、アーカードに敵わなかった。
 だが、二人なら……
 そう考えた瞬間、ハヤテはZXと肩を組んで、ラオウ目掛けて跳躍する。
 右腕のピーキーガリバーが突進力を得て、ハヤテの身体を加速させていく。
 ZXの両脚からジェット噴射が吹き出て、ZXの身体を加速させていく。
 ハヤテが右拳を振りかぶり、ZXが左拳を振りかぶる。

「「ゼクロォォォォス!!」」

 咽が裂ける程の声量。血が抜けていくが、力は抜かない。

「「ダァァブゥゥゥル!」」

 胸が痛む。体温が抜けて、寒い。
 それでも、ハヤテの『魂』だけは熱を持ってZXと並んでいた。

「「パァァァァンチ!!!」」

 だから、いつかの未来、滝と仮面ライダー2号が行ったように、ハヤテとZXもダブルパンチを繰り出す。
 タイミング、速さ、威力、全てを合わせて、滝と仮面ライダー2号のダブルパンチと遜色のない威力を生み出す。
 両腕を交差して防御するラオウに、二人の拳が『魂』をこめて貫いた。
「ぬ……おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 ラオウは、階段の下へと落下していく。
 轟音が響き、地面が揺らぐと同時に、ハヤテの身体が崩れた。


 崩れたハヤテの身体を抱え、ZXはクルーザーを呼び出す。
 電子頭脳で呼び出されたクルーザーはライトを光らせ、姿を見せる。
「かがみ、ヒナギク、ハヤテを治療する。早く乗れ!」
「ええ! 無茶をしすぎよ……ハヤテくん!」
「で、でもあいつは倒したよね!?」
「……まだ、死んでいない」
 ZXがクルーザーに零をくくりつけ、無理矢理クルーザーに四人で乗る。
 ズシンという地響きをたて、ラオウが姿を現した。
「逃げるのか?」
「……ハヤテを治療したら戻る。お前は……俺が倒す!」
「なら、うぬの名を名乗るがいい。我が名はラオウ! 世紀末の覇者なり!!」
「村雨良……ZXだ!」
 宣言と同時に、クルーザーが空を駆ける。
 ラオウとZX、お互いに敵として認めた瞳が交差する。
 やがて、残されたラオウは不敵に天を見つめた。


 ハヤテが目を覚ますと、白い天井が見えた。
 包帯が巻かれ、止血の用意がされているものの、血が止まらない。
 僅かな目覚め。残された時間は少ない。だが、自分の望みを伝えることは可能だ。
 誰か、いないか。上半身を起こそうとして、叶わないハヤテに声がかかる。
「無理するな。一命は取り留めたらしい」
「……村雨さん」
 ハヤテは笑う。表情を取り戻し微笑む村雨は、以前の無機質さを捨てていた。
 同時に、悲しくも思う。
「記憶を……取り戻したら、嘘もつけるようになったんですね……」
 村雨は無言。その態度が、何よりもの証明となった。
 やがて、廊下を駆け抜ける足音が響いて、ドアが開かれる。
 現れたヒナギクとかがみの無事を確認して、ハヤテは安堵のため息を吐く。
「どうして……無茶をするのよ!」
「そうしなければ……みんな死んでいましたから。……ヒナギクさん、僕に兄がいたんです…………」
 突如語りだすハヤテにヒナギクは戸惑う。
 ハヤテがここまで踏み込んだ話はをしたのは、初めてだからだ。
「年が随分はなれて……似てもいないのに……勝手に村雨さんを重ねちゃって……」
 だんだん声が小さくなるハヤテの様子に、かがみが耐え切れず嗚咽を漏らす。
 彼女は一度、激戦の特殊能力を話した上で核鉄を試そうと提案した。
 しかし、激戦の力を使うには、ある程度ハヤテに体力が残っていないといけない。
 ハヤテに意識がなければならない。結果、激戦でハヤテを救うことは無理だという結論になった。
「村雨さん……お願いがあります。お嬢様を……守って……」
「何で諦めるのよ! あなたが、自分の手でナギを守りなさいよ!!」
「出来れば……僕もそうしたかった……」
 涙を流すハヤテは右手を天井へと伸ばす。
 声には、悔しさに満ちていた。身体にまとい、治癒力を増幅している核鉄三つのうち、ピーキーガリバーの核鉄を村雨に向ける。
「村雨さん。お嬢様を……守ってください! BADANを潰してください!
お願いです……僕の代わりに……戦って…………」
 痛みに呻きながらも、搾り出すように願いを村雨へと告げる。
 村雨は、迷わずその右手を握った。
「後は任せろ」
「はい……よかった。あなたに……託せ……て」
 ハヤテの脳裏に、ナギとであった雪景色の公園が蘇る。
 あの日から、自分の輝かしい日々が始まった。マリアが死に、絶望を抱えながらも抗うことをやめなかった。
 承太郎がいれば、ハヤテに宿るもの、黄金の意思だと答えただろう。
 その思い、村雨は無駄にしないと右手を強く握る。
「これで……お嬢様は……大丈……夫」
 ハヤテの意識が闇に落ちる。
 自分の名を呼ぶ声がいくつも聞こえ、応えれないのが悔しい。
 承太郎も、同じ考えだっただろうか?
 答えは知らない。ただ、ハヤテの顔にはやり遂げた男の、笑みが浮かんでいた。


 ハヤテの死を確認して、重苦しい雰囲気が民家に訪れる。
 かがみが、ヒナギクが力なく嗚咽を漏らす。零がヴヴヴと友の死を悼むように、唸る。
 村雨は……
「見ているんだろ?」
 虚空に話しかける。一体どうしたのか?
 零が疑問に持ち、探知しようとするが、その必要はなかった。
 そいつは、村雨たちの前に姿を見せる。

『何を悲しむ。我が器よ』

 黄金のZXに似た怪人。その姿を認め、零は叫ぶ。
『キサマ! 何奴!!』
『我が名はJUDO。全ての生命の長』
 その言葉に、寝室に集まる全員の視線がJUDOに注がれる。
 構わず、村雨はZXへと姿を変えて、拳を放つ。
『無駄だ。ここに、我の実体はない』
「黙れ……」
『何を悲しむ? たかが、虫(ワーム)が一匹死んだだけではないか。村雨よ』
「黙れぇぇぇぇ!」
 ZXの拳が、ピーキーガリバーをまとって、JUDOを壁ごと殴り、破壊する。
 もっとも、実体のないJUDOはすり抜けるだけだが。
「聞こえるか……バダン! 俺を……『村雨良』と呼ぶな……」
『ほう……』
「キサマらは、俺の名を…………」
 ZXの腕が横凪に払われ、JUDOの幻影が消える。
 それを確認したZXは天に叫ぶ。

「お前ら、バダンは……俺を……『仮面ライダー』と呼べ!!」

 ZXの宣言が天を貫く。完全なる、バダンへの宣戦布告。
『バダンに服従した時期から連れてきて、与えてやったチャンスを無碍にする気か?』
「お前らは……姉さんを奪い、散を、ハヤテを、俺から奪った。
もはや、許しはしない。聞け、俺は……」
 復讐心が蠢き、ZXの胸に渦巻く。
 復讐の闇に身を任せることも考えた。それも悪くはない。
 だが……それではハヤテに申し訳ない。美を第一とする、村雨の中の散が復讐を醜いと否定する。
 だからこそ……

「俺の、ハヤテの、『正義』を貫く!」

 虚空に響く、戦士の決意。
 十人目の仮面ライダーが、本来の歴史と違うが、たしかに生まれた瞬間だった。
『ククク……なら駆け上がれ。優勝でも、ここから抜け出してでもどちらでも構わない。
我の前に現れよ。もしも、そうなることが出来たのなら……褒美に相手をしてやろう』
『一体、何がしたい! キサマの目的は……』
『ただの余興だ。強化外骨格『零』よ……。何なら、『仮面ライダー』以外の、誰でも連れてきていいぞ?』
 そう高笑いを残して、JUDOの気配は遠のいていく。
 ZXへの変身を解き、村雨は怒りを宿した瞳でJUDOの存在した場所を睨みつける。
 怒りを、悲しみを、正義を、力を、全てを仮面に放り込む。
 仮面ライダーという名の、仮面へと。


 星を見つめるラオウの瞳に、流れ星が映る。
 また一つ、死が訪れた。
 あの少年だろうか? ラオウの興味は尽きない。
 怒りを持って戦っている時点でも村雨はたしかに強かった。
 しかし、あの少年が乱入したとたん、その強さが何倍にも膨れ上がった。
 少年自体の戦闘能力は、ラオウにとっては歯牙にもかける必要もなかったはずだ。
 二人揃ったとたん、ラオウを退けるほどの爆発力を見せる。
(やはり、愛を持って力を得たのか?)
 考えられるのは、それだけ。
 やはり、村雨は本郷と同じく、愛を持って強くなる男。
 ならば、
「今度こそ、見極めよう。愛を持っての力が、いかなる程か。
早く来い、村雨良。この拳王に、愛の力を見せてみろ! それを、拳王が打ち砕いてみせる!」
 拳王は、戦う。
 そこに天への道があるゆえに。

【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!:死亡確認】
【残り22人】

【D-1 神社/1日目 真夜中】
【ラオウ@北斗の拳】
[状態]内臓に小ダメージ 、鼻の骨を骨折、 胴体に刀傷 限界に近い程の全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている)
[装備]無し 核鉄(モーターギア)@武装錬金
[道具]支給品一式
[思考・状況]
1:村雨良を待つ。
2:強敵を倒しながら優勝を目指す。
3:覚悟の迷いがなくなればまた戦いたい。
4:赤木が気に入った。
5:愛などいらぬ!が、他人の愛によって得る力は、知りたい。
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。又、秘孔を破られやすくなっている事にも
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました
※自らが認めた相手に敬意を払いその生き方をも認める事をしました
※コーラに対する耐性がつきました
※誰か猛者が逝ったの感じました。
※さらに強くなるにはもしかしたら愛が必要なのかもしれないと思っていますが、表面上では愛を否定しています。

【D-2 中央民家/1日目 真夜中】
【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 顔と手に軽い火傷と軽い裂傷。つかさに続き、ハヤテの死に精神的ダメージ
[装備] ボウガン@北斗の拳、核鉄(バルキリースカート)@武装錬金
[道具] 支給品一式。ボウガンの矢18@北斗の拳
[思考・状況]
基本:ナギたちとの合流。BADANを倒す。
1:ハヤテの遺言どおり、ナギを探して守る。
2:ラオウ、斗貴子に復讐する。
3:かがみにつかさの死を伝えづらい。
[備考]
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1~3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※ロードローラー@ジョジョの奇妙な冒険と捕獲網@グラップラー刃牙は【H-4 林】に落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートが扱えるようになりました。しかし精密かつ高速な動きは出来ません。
 空中から地上に叩きつける戦い方をするつもりですが、足にかなりの負担がかかります。

【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]全身に無数の打撲。ダメージ(大)。疲労(大) ハヤテの死に精神的ダメージ。
[装備]クルーザー(全体に焦げ有り)、十字手裏剣(0/2)、衝撃集中爆弾 (0/2) 、マイクロチェーン(2/2)
    核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金
[道具]地図、時計、コンパス 、強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメ
    454カスール カスタムオート(0/7)@HELLSING、13mm爆裂鉄鋼弾(35発)、ニードルナイフ(15本)@北斗の拳 女装服
    音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾、ベレッタM92(弾丸数8/15)
[思考]
基本:バダンを潰す!
1:ハヤテの遺志を継ぎ、ナギを守る。
2:ナギ、かがみ、ヒナギクの安全の確保後、ラオウを倒しに行く。
3:アーカードを倒し散の仇を討つ。
4:DIOを倒す。
5:ジョセフ、劉鳳に謝罪。場合によっては断罪されても文句はない。
6:覚悟、パピヨンとの合流。
[備考]
※傷は全て現在進行形で再生中です
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※D-1、D-2の境界付近に列車が地上と地下に出入りするトンネルがあるのを確認しました。
※また、零の探知範囲は制限により数百メートルです。
※零はパピヨンを危険人物と認識しました。
※零は解体のため、首輪を解析したいと考えています。

【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:左肩、左脇腹に打撲、精神消耗(大)
[装備]:核鉄「激戦」@武装錬金、
    巫女服
[道具]:
[思考・状況]
基本:生きる
1:ハヤテの死にショック。
2:仲間と共にジョセフと合流。
3:さっき見た首輪の異変について、考えてみる。
4:神社の中にある、もう一つの社殿が気になる。
5:ジョセフが心配。
6:こなた、つかさと合流する。
7:三村に謝りたい。
[備考]
※少しZXに心を許しました。
※アーカードを不死身の化け物と思っています。
※「激戦」は槍を手から離した状態で死んだ場合は修復せずに死にます。
 持っている状態では粉々に吹き飛んでも死にませんが体の修復に体力を激しく消耗します。
 常人では短時間で三回以上連続で致命傷を回復すると意識が飛ぶ危険があります。
 負傷して五分以上経過した患部、及び再生途中で激戦を奪われ五分以上経過した場合の該当患部は修復出来ません。
 全身を再生した場合首輪も再生されます。
 自己修復を利用しての首輪解除は出来ません
 禁止エリア等に接触し首輪が爆破した場合自動修復は発動しません。
※三村の留守電を聞き逃しました。
※ボウリング場にかがみのメモを張っています。
※主催者は目的は強者を決めることであり、その中にはイレギュラーもいると考えています。
※波紋、ジョセフが知る吸血鬼の能力について知りました


【備考】
※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。
※主催者の目的に関する考察
主催者の目的は、
①殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
②最強の人間の選発、
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。
※2人の首輪に関する考察及び知識
首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首2には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている
※2人の強化外骨格に関する考察。
霊を呼ぶには『場』が必要。
よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論
※三村とかがみについて
三村の吹き込んだ留守禄の内容を共有しています。
かがみと三村に対してはニュートラルなら姿勢です。
とにかくトラブルがあって、三村がかがみを恨んでいると事実がある、
とだけ認識しています。

※ハヤテのDIOの能力についての知識と考察の情報を得ました。
目から弾丸を発射する能力(空裂眼刺驚)を持っている。
血を吸って仲間を増やすことができる(肉の芽については知りません。
一度DIOの仲間にされてしまった者は、救えないと考えています)

①時を操作する ②超スピードで動く+超高速の麻酔針発射装置、③その場にいる全員に集団幻覚を見せる。
DIOの力は、①~③のどれか、特に①が有力だと考えています。

※『オー! ロンサム・ミー』のDISCはハヤテの死に引きずられました。


※BADANに関する情報を得ました。
【BADANに関する考察及び知識】

このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。


※かがみの主催者に対する見解。
①主催者は腕を完璧に再生する程度の医療技術を持っている
②主催者は時を越える"何か"を持っている
③主催者は①・②の技術を用いてある人物にとって"都合がイイ"状態に仕立てあげている可能性がある
④だが、人物によっては"どーでもイイ"状態で参戦させられている可能性がある。


※首輪の「ステルス機能」および「制限機能」の麻痺について
かがみがやった手順でやれば、誰でも同じことができます。
ただし、かがみよりも「自己を清める」ことに時間を費やす必要があります。
清め方の程度で、機能の麻痺する時間は増減します。
神社の手水ではなく、他の手段や道具でも同じことが、それ以上のことも可能かもしれません。


※ステルス機能について
漫画版BRで川田が外したような首輪の表面を、承太郎のスタープラチナですら、
解除へのとっかかりが見つからないような表面に 偽装してしまう機能のことです。
ステルス機能によって、首輪の凹凸、ゲームの最中にできた傷などが隠蔽されています。

※S1駅にハヤテのジョセフに対する書置きが残っています。


206:バカは死ななきゃ治らない 投下順 208:君にこの言葉が届きますように
206:バカは死ななきゃ治らない 時系列順 208:君にこの言葉が届きますように
201:笑顔 葉隠覚悟 215:交差する運命
201:笑顔 桂ヒナギク 213:Real-Action
189:――の記憶 綾崎ハヤテ 死亡
200: 村雨良 213:Real-Action
200: 柊かがみ 213:Real-Action
197:天の道を往き、拳の王となる者 ラオウ 213:Real-Action