君にこの言葉が届きますように(後編) ◆14m5Do64HQ



エレオノールが歩く。
念のため、あるるかんは仕舞わずに、己の斜め前方に立たせる。
エレオノールの視線の先には、小刻みに身体を震わせるナギの姿。
年端もいかぬ少女に、予想以上に時間をかけられた事にエレオノールは腹立たしく思う。
だが、それと同時に別の感情もあった。
それはナギに対しての一種の敬意ともいえる感情。
一人だけの力ではないものの、自分を相手に奮戦したナギの意地は賞賛に値する。

「あなたは何故、私が闘うのかと訊いたな?
どうせあなたが私に勝てる見込みはない。ならばあなたへのせめての礼として、教えてやろう。私の闘いの理由を」

そう考え、エレオノールはナギに、自分の闘いの理由について話す事を決めた。
その瞬間、うつ伏せに倒れていたナギの身体が、大きく揺れた事には気付いていない。

「あの記憶の中で見た、人形。彼女は人間になった後でも、人が無残に死んで行く惨状に顔を背けていなかった……。
きっと彼女はそれを望んでいたのだろう。人形の私にはわからないが、人間は他の人間が死ねば喜ぶものに違いない。
だからきっとナルミは笑ってくれる……私が人間を殺し回れば笑顔を見せてくれる……そのために私は闘っている!」

以前見た、フランシーヌ人形の記憶。
本来、フランシーヌ人形は人間が死ぬ惨状を見て、その後人間となった。
未だ幼い赤子である、エレオノールに笑ってもらい、彼女自身も心の底から笑えた事によって。
記憶を見た順番の違いにより、生じてしまったエレオノールの思い込み。
だが、エレオノールはその事になんら疑いは持っていない。
元々、人形繰りだけを学び、自動人形の破壊のみに費やしてきたエレオノール。
更に、笑う事が出来ない自分を、人形と思い込む彼女は一般の常識とは逸脱している。

「あなたの知りたいコトは話した。さぁ、そろそろナルミのコトを――――なっ!?」

鳴海が自分の行為を褒めてくれる未来。
そんな未来を思い浮かべ、つい気持ちが昂ったエレオノールが驚く。
エレオノールの視線の先にはナギの身体が映る。
但し、先程のようにうつ伏せに倒れているのではない。
懸命に身体を動かし、頭を上げ、エレオノールの方を向いている。
そのナギの表情にエレオノールは驚きを隠せない。

「ふざけるな……しろがね! お前のその言葉、鳴海への侮蔑にも等しいぞ!」

最早別人とも思えるかのような、ナギの怒りの表情。
確実な怒りをエレオノールは感じる。
何故、ナギがこんなにも怒っているのか?何故、自分の言葉が出てこないのか?
答えの出ない疑問が彼女の脳裏を駆け巡る。

「あの鳴海が、人が死んで嬉しがるわけがないだろう! 他人のために命を張って……
自分の命が燃え尽きてしまいそうな男が……嬉しがるわけがない!!」

ナギの全身には疲労は勿論として、痛みも未だ残り続けている。
だが、その痛みよりもナギには我慢できない事がある。
それは、意味不明ともいえる戯言を漏らすエレオノールへの怒り。
エレオノールが言っていた、記憶や人形などの話には興味がない。
只、鳴海のために殺人を行っている。 エレオノールがそう言った事に対しての怒りだけだ。
唖然するエレオノールを尻目に、ナギは二枚の紙を取り出す。

「そんな事もわからんお前には、鳴海のコトを口に出す資格はない!」

一枚目の紙を開き、一本の、何の変哲もない白のハチマキが出現する。
才賀善冶によって勝が誘拐された時に、鳴海が巻いた一本のハチマキをナギが己の頭に巻く。

(私にお前の力をかしてくれ鳴海……お前の大事な存在、しろがねの眼を覚ますためにも!)

鳴海が使っていたハチマキを巻いた瞬間、ナギは不思議な感覚に囚われる。
身体の奥底から、心地よい熱が全身に行き通っていく。
その感覚にナギは僅かに両眼を細め、勢い良く開く
続いて、二枚目の紙をナギは開いた。
現れた小さな瓶のようなものをナギは手に取り、一気に飲み干す。

「私が……私が鳴海に代わってお前を叩きなおしてやる! お前達と同じ存在になった……この私がなッ!!」

その瓶の中に入っていたものは、生命の水(アクア・ウィタエ)。
昔、才賀正二がアンジェリーナから半ば強引に奪い、摂取したもの。
みるみる内に、ナギの毛髪、両眼が銀色に染まっていくのをエレオノールは、驚愕の表情で見つめた。
身体を最適な状態に適応させる生命の水により、ナギが遂に、前屈みにもならず、立ち上がる。
続けて、スパイスガールを発現し、武装錬金を発動させ、弓を構えるナギ。
今、再び二人の闘いが始まった。二人のしろがねによる闘争の舞台が。


「あるるかぁん! LES ARTS MARTIAUX! (闘いのアート!) 聖ジョージの剣!」

あるるかんが動く。
右腕の、聖ジョルジュの剣を横方向に振りぬく。
先程スパイスガールの肩に裂傷を与えた聖ジョルジュの剣が、スパイスガールに迫る。
だが、当たることなく虚しく空を切る結果となった。
バックステップをし、距離を取った事で攻撃を回避したスパイスガール。
先程より速い反応に違和感を覚えたエレオノールだが、構わずあるるかんを直進させる。
今度は左腕の聖ジョルジュの剣による、斬撃の一閃が切り裂かんと唸りを上げた。

「甘い!」
「なっ!?」

だが、聖ジョルジュの剣が切り裂く前に、スパイスガールの拳がそれを殴りつける。
瞬く間に軟体化し、不格好な音をたてて、スパイスガールの身体にぶつかる聖ジョルジュの剣。
当然切れ味などなくなっているため、スパイスガールにはなんのダメージもない。
何をされたのか皆目見当が付かないが、エレオノールは即座に次の行動に移る。
踏み込んだあるるかんの左脚を踏ん張り、そのままの勢いで右脚の動作繰りを行う。

「ナルミがお前のやっているコトを知ったら、きっと悲しむ! なんでそんな簡単なコトもわからんのだ!!」

振り上げられたあるるかんの右脚よりも早く、スパイスガールの拳が叩き込まれる。
顔面を殴りつけられた事により、あるるかんが後方へ吹っ飛ぶ。
苦い表情を浮かべながら、エレオノールは同じように後方へ距離を取った。
先程の戦闘で、スパイスガールがナギの近くしか行動できない事は既に知っている。
完全に崩れた、あるるかんの体勢を整えるためにも、エレオノールは一旦距離を取る事を選んだ。
だが、エレオノールの表情が再び驚愕の色に染まる。

「こ! これは!?」
「お前も知っているはずだ! あいつの強さを……あいつのバカみたいなお人良しさをッ!!」

スパイスガールがエレオノールの想像以上の速さ、行動距離を見せた。
朧気に感じていた、先程の動きとの違い。
それが最早、気のせいではないとエレオノールは判断する。
事実、ナギのスパイスガールは成長し、拳速、行動距離など、全ての能力が向上していた。
ジャン・ピエール・ポルナレフがヴァニラ・アイスと闘った時のように。
譲れない想いが、スパイスガールの成長を誘発していたという事だ。
射程外だと思っていたため反応が間に合わず、エレオノールはスパイスガールの拳を腹部にもらう。
あるるかんの繰りを行う指輪が外れるのを防ぎながら、エレオノールは後方へ吹き飛ぶ。
いや、空中であるるかんの右脚を繰り、聖ジョルジュの剣で攻撃を仕掛けた。
拳を合わせるタイミングが取れず、ナギの元へ戻ろうとしたスパイスガールの頬に切傷が生まれる。

「確かにそうかもしれない……ならば、確かめるまでだ!」

以前、自分と共に花火を打ち上げた人物の様子を見にいった鳴海。
そして、誇り高く範馬刃牙と闘った鳴海の姿に、一時は羨ましさを覚えた。
だが、刃牙に核鉄を渡し、不信感もあり、自分の師匠、ギイとも関係があるかもしれない鳴海。
あまりに鳴海に関する事が重なりすぎたため、エレオノールはもう一度彼に会い、話をする事に決めた。

「そのためにも私はナルミにもう一度会う必要がある……答えろ! ナルミは今どこで、なにをしている!?」

頬の血を拭っていたナギに、荒々しくエレオノールが叫ぶ。
そもそも自分の目的である、鳴海の情報を求め、エレオノールは駆け出す。
あるるかんと共に、走り来るエレオノール。
そんなエレオノールをナギは黙って見つめていた。

「――――だよ」

先程とは打って変わって、あまりに小さい声でナギは呟く。
何か様子がおかしい。そう思いエレオノールがナギの様子を観察する。
今すぐにでも泣き出しそうで、必死に涙を堪えているナギの顔が見えた。

「死んだよ……鳴海は……私達に後を任せてな。死んじゃったんだよ……鳴海は……」

ナギがポツリ、ポツリと呟く言葉。
駆け出していたエレオノールの、足の動きがピタリと止まる。
俯きながら、必死に涙を堪えるナギ。
だが、そんなナギを見る人物は一人も居ない。
どこを向いているかもわからない程、エレオノールの目線は泳いでいる。
ナギの言った内容が、エレオノールは直ぐには理解できなかった。

「嘘だ……ナルミが死んだなど……嘘だッ!!」

才賀勝を失い、優勝者の褒美の話もいま一つ信用性に欠ける話である。
そのため、鳴海を笑わせる事だけを目的としてエレオノールは闘ってきた。
だが、鳴海が死んでしまえば、自分の目的は無くなってしまう。
目的がない人形など最早人形ともいえない。言うなれば、ジャンク(欠陥品)だ。
碌に自分の役も演じられず、ジャンクとして人生を終える事になる自分。

「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!」

その事実を振り解くかのように、エレオノールが走り続ける。
浮かべる表情は怒り、疑念など様々なものが入り混じったもの。
両腕の繰りによって、同じように疾走するあるるかんの動きは荒い。
自分の目的を失い、冷静さを失ったエレオノールの人形繰りは、最早、鮮やかなものとはいえない。
只、目の前のナギを叩きのめし、先程の言葉を撤回させるためにあるるかんを操る。
これまでにない変則的な動きで、あるるかんの両腕がナギとスパイスガールに迫った。

「嘘じゃない! そんな悪趣味な嘘を言うもんか……。鳴海は最後まで、痛いのを我慢して、闘って……死んじゃったんだ!!」

悲痛な叫びを上げるエレオノールに対し、ナギが顔を上げ、力強く叫ぶ。
咄嗟にスパイスガールの左腕で大地を殴り、ナギがその地点に足を踏み込む。
軟化し、柔軟性に優れる大地を蹴り、ナギが跳躍する。
しろがねになる事によって、得る事が出来た身体能力を存分に引き出す。
更に、後方へ飛びながらエンゼル御前の矢を掃射する。
地上で打ち合うスパイスガールとあるるかんから、
少し離れた位置でナギを見上げていたエレオノールは、咄嗟に横に飛びのく。
だが、完全には避け切れず、左ふくらはぎ、左腰、右肩それぞれに一本の矢が突き刺さり、赤い鮮血が噴き出す。
負傷の事実に構わず、エレオノールはあるるかんを操り、右腕の聖ジョルジュの剣が斜め上に振り上がる。
両腕を伸ばしていたスパイスガールの腹部から肩までに、深く、そして長い亀裂が走った。
亀裂が入った部位から、砂のようなものが大気に向って昇っていく。

「ぐっ! まだだあああぁぁぁぁぁッッッ!!」

スパイスガールと同じ傷を受け、赤い鮮血を撒き散らしながらナギが大地に降り立つ。
以前のナギならとっくに致命傷となる程の負傷。
だが、今の彼女にはしろがねとしての生命力がある。
何より、こんなところで終わるわけにはいかない気持ちが、抑えきれない程強い。
少し色が薄くなったスパイスガール一点に、再び精神を集中させる。
今までより更に速い速度で、あるるかんに迫るスパイスガール。
大きく振りかぶり、前方に突き出した右の拳を胸部に受け、あるるかんが破片を散らしながら吹っ飛ぶ。

「では、ナルミが死んでしまったら……私はどうすればいい! 私はナルミを笑わせるために闘ったというのに……。
目的がない人形である私は……この先何をすればいいのだ!? それになんだ……? 胸が張り裂けそうな、この奇妙な感覚は一体……?」

あるるかんと共に、後方へ跳んだエレオノールが両手を自らの胸に当てる。
鳴海が死んだという事を聞かされた後、馬鹿みたいに鼓動が早くなっている。
今までにない、不自然な感覚にエレオノールは動揺を隠せない。
鳴海にもう二度と会う事が出来ない。
その事実が何故か、エレオノールの心をがんじがらめに縛り付けている。

「しろがね……お前はきっと鳴海が死んだコトを認めたくないんだ……。
理屈じゃないんだ……お前もきっと鳴海のコトが大事な存在だと感じているハズだ……。
だから、あんなに怖い顔も出来た……鳴海を深く想っているからこそな……」

スパイスガールを依然発現したままのナギが、苦しそうに呟く。
しろがねといえども決して、不死の存在ではない。
出血が多ければ、常人と同じように死んでしまう。
頬と腹部から肩までに出来た裂傷は完全には修復していなく、未だ血は流れ続けている。
ナギの命が磨り減っている事は、最早明確な事だ。

「ナルミが私の大事な存在……? 私が……ナルミに想いを寄せているだと……人形であるこの私が……この私が……?」

心底不思議そうな顔で、エレオノールは言葉を繰り返す。
この殺し合いに呼び出される前には、人を想うなどという感情は持った事がない。
そのためナギの言う言葉通り、自分が鳴海を大切な存在であるかどうかすらわからない。
只、自分に笑顔を向けてくれた鳴海の姿を思い出すと、不思議な感覚には囚われる。
その事だけしか、今のエレオノールにはわからなかった。
そんなエレオノールに向って、ナギが決心したような表情で口を開いた。
ここ一番の大声を伴って、ナギが叫ぶ。

「バカもん! お前は人形なんかじゃない! 人形が……人形がそんな風に悩んだり、さっきみたいに怒ったりできるもんか!
お前も私や鳴海と同じで正真正銘の人間なんだ! 転んだり、迷ったりするけど自分一人で道を切り開ける……。
私達となにも変わらない……この世でたった一人の人間なんだよ! しろがね……いや、エレオノールッ!!」

ナギの言葉が何度も、何度もエレオノールの脳裏を揺さ振る。
自分が人形ではない?
とても信じられない事を叫ぶナギに、疑問が生じる。
だが、自分が捨て去った名前を呼ばれた瞬間、何か奇妙な感覚が走った。

「私達とこの殺し合いを潰そうエレオノール! 私達と鳴海もそれを望んでいる!
皆でここから抜け出す事が出来れば……お前もきっと笑顔になれるさ!
きっと……きっと鳴海が見惚れるくらいの笑顔が出来る……絶対にだッ!!」

エンゼル御前の矢を放ちながら、スパイスガールと共にナギが走り出す。
自分の言葉をエレオノールがどこまで、受け入れてくれるかはわからない。
そのため、力付くでもわからせるためにナギは仕掛ける。

「私は……私はッ!!」

長きに渡る闘いの癖で、半ば無意識的にエレオノールはあるるかんを繰る。
ナギを自分に危害をなす存在、敵と判断し、迎撃を行う。
エレオノールの闘志は未だ、折れてはいないからだ。
スパイスガールとあるるかんの、二体の人形が肉迫する。

――スパイスガールの右の拳が叩き込まれた衝撃により、あるるかんの顔が大げさに揺れる。
――体勢が崩れたあるるかんの左脚が上がり、聖ジョルジュの剣がスパイスガールの右脇を下方から上方へ向って突き刺さる。
――開いていた右脇を閉じ、あるるかんの左脚を固定し、スパイスガールの左腕が腹部に振り下ろされる。
――あるるかんの右腕がスパイスガールの左手首を掴み、動きをしっかりと抑えた

「エレオノールーーーーーッッッ!!」

先程スパイスガールを使い、柔らかくさせておいた地面を蹴り、ナギが両手を振りかぶる。
右脇に走った激痛、出血に表情を歪ませながらナギは跳んでいた。
その両手に握られたものは核鉄。
スパイスガール、そしてあるるかんを飛び越え、核鉄による打撃でナギはエレオノールの沈黙を狙う。
スパイスガールとあるるかんは互いに組み合い、行動は難しい。
ナギとエレオノールを邪魔立てするものはなにもない。

「なっ!?」

だがそんな時、ナギは驚きの声を上げ、急に身体の動きが鈍くなる。
ナギの視界に、身体中が砂のようなものとなり、消えていくスパイスガールの姿が入る。
いくらしろがねになったといえども、スタンドを操るナギの体力、特に精神力は底を付いていた。
完全に消えたスパイスガールから、抜け出したあるるかんがナギに向って飛び上がる。
武装錬金を発動する暇もなく、そのまま核鉄をあるるかんにぶつけようとナギは両腕に力を込めた。

「……おしまいだ」

だが、核鉄はあるるかんにぶつかる事なく、あっけなく地に落ちた。
あるるかんの、右腕の聖ジョルジュの剣にはべっとりと赤い鮮血が張り付いている。
ドラゴン殺しの英雄の名を取った、聖ジョルジュの剣の切れ味は凄まじく、容易に物体を切断できる。
たとえ、しろがねになった人間の身体でさえも。
全身に、真っ赤な鮮血を浴びた、エレオノールの姿がそこにあった。

◇  ◆  ◇

「私を人間と言ってくれたコトは嬉しく思う……だが、私には実感が湧かない。
私が人間であるというコトも……ナルミが死んでしまったというあなたの話も……」

核鉄を回収し、エレオノールが呟く。
生身の身でありながら、とてつもない強さを誇った鳴海。
エレオノールにはそんな鳴海が死んでしまったという事実がとても信じられなかった。
いや、信じたくなかったかもしれない。
ナギが自分の事を惑わすために付いた嘘だと、思いたかったのかもしれない。

(でも本当にナルミが死んでいたら……私は……私は……どうすればいい……?)

心に疑念を持ちながら、エレオノールは走り出した。
仮初の同盟を組んだ相手、マーティン・ジグマールの元へ戻るために。
一人ぼっちではどうしようもなく、不安で自分自身を見失いそうな錯覚に脅えながら。
エレオノールは走り去った。
ナギの真っ赤な返り血を全身に浴びたままの姿で。
胴体を切断され、二つに分かれる事となったナギを残して。

【D-3 西部 1日目 真夜中】

【才賀エレオノール@からくりサーカス】
[状態]:全身に打撲と裂傷、腹部に中程度のダメージ、左ふくらはぎ、左腰、右肩に矢による傷
(しろがねの再生力、核鉄の治癒力で再生中)、精神不安定 、血まみれ
[装備]:本部の鎖鎌@グラップラー刃牙、あるるかん(白金)@からくりサーカス
(頭部半壊、胸部、腹部に大きな損傷、全身にへこみと損傷あり、血まみれ)、エンゼル御前の核鉄@武装錬金(核鉄状態)
[道具]:青汁DX@武装錬金、ピエロの衣装@からくりサーカス、支給品一式
[思考・状況]
基本:???????
1:取り合えずジグマールの元に戻る。
2:ナルミが本当に死んでいたら……
3:強い者とは無理に戦わないが、勝機を逃すつもりはない。
4:ジグマールと共に行動し、強敵を減らす。
[備考]
※ジグマールと情報交換をしました。
※参戦時期は1巻。才賀勝と出会う前です。
※夢の内容はハッキリと覚えていますが、あまり意識していません。
※エレオノールが着ている服は原作42巻の表紙のものと同じです。
※ギイと鳴海の関係に疑問を感じています。
※メイクは落としました。
※フランシーヌの記憶を断片的に取得しています。
※「願いを叶える権利」は嘘だと思っています。
※制限についての知識を得ましたが、細かいことはどうでもいいと思っています。
※ケンシロウとキュルケを恋人同士だと思っています。
※鳴海の死亡を嘘だと信じたい節があります
※エンゼル御前は使用者から十メートル以上離れられません。 それ以上離れると核鉄に戻ります。


『私――――――ト――――――――ない。が――――――う――――――ナル――――――たと――――――話も……』
(なにを……なにをいっているの……だ、エレオ……ノール……?)

エレオノールが何か言っているようだが、ナギにはよく聞こえない。
身体をしろがね化させたといっても、無理やりに動かしていた分疲労は大きかった。
最早碌に言葉を出す気力も、腕一本も動かす力もない。
腹部に走る焼けるような痛みがナギの力を、気力を奪っていた。
しろがねの強靭な生命力により、なんとか生きている事が出来ている状態。
うつ伏せの状態で、自分の下半身を見る力もないナギだが、自分の身体に起きた事はわかる。
空中であるるかんに胴体を切断され、地に落ちていく自分の下半身を見届けたからだ。
エレオノールに声をかけようとしたが、彼女が立ち去る音が彼女の気配が消えたのでナギは諦めた。

(まぁ……十分に……時間は稼いださ……あとは独歩さんや……ケン、こなた達に任せて……ちょっとだけ……寝ようかな……。
……カズキ……ジョジョ……マリア……鳴海……私は……私なりに…………頑張ったぞ。
だから……もうすこし…………待ってく…………れ……)

今まで出会った仲間、知人達の顔を思い浮かべ、ナギが両眼を細める。
皆、いい人達で自分をお金持ちのご令嬢としてではなく、一人の少女として見てくれた掛替えのない仲間。
何故か彼らの事を思い浮かべると、心地よい気持ちになってくる。
もうすぐ、自分の命が尽きようとしているというのに。
その不自然さに、いいようのないナギは可笑しさを覚え、同時に悲しくなってきた。
自分の愛する人、そして尊敬する人である二人に会いたくなってしまったから。

(ハヤテ………………ヒナギク…………もっと…………遊びた……かったんだぞ
…………私は…………いっぱい……いっ……ぱい……だ。
でも……………………悔いはない…………やれるだ…………けのコトは
…………やったから……な……………………。
しろがね…………のコト…………が…………すこし気に…………なるが…………)

身体が段々と固くなり、全身のコントロールが効かなくなるのがわかる。
以前、鳴海が死んだ時のように、自分の身体にひびが走っていくのをナギは確認した。
それはしろがねがこの世を去る印。
ナギの両頬に涙がポロポロと滴る。

(ごめんよ…………ハヤテ…………お前を…………残して………………
死んでしま…………う…………私を…………ゆるし…………てくれ……。
…………こんな私だが…………ハヤテ…………最後に…………もう一つ
……………………おねがいして…………もいいか…………)

運命の人、ハヤテと過ごした日常をナギは振り返る。
――クリスマス・イブの日、暴漢に襲われた自分を助け、情熱的な告白をしてくれたハヤテ。
――自分の我侭を聞き、自転車を漕いで一緒に初日の出を見に行ってくれたハヤテ。
――狂言誘拐で誘拐され、東京の地下で暴走したロボットから自分を助けてくれたハヤテ。
――秘密のダンジョンを探索中に、悪霊がついたロボットの囚われた自分を助けてくれたハヤテ。
数え切れない程の、大切な思い出を思い出す度に、ナギは涙を零す。

(もし私が…………うまれ…………かわるコトが…………できて…………ハヤ……テ…………の前に……あらわれた……ら……。
その時は…………ま…………た……私…………の…………)

だが、その表情は決して暗いものではない。
それどころか、どことなくナギは嬉しそうな表情を浮かべていた。

(執事を…………やらない…………か……? ずっと…………ずっ……と……
私の執事を………やってくれ…………。
私の…………一番…………大切な……人……大好きな…………ハヤテ…………)

その瞬間、バリンと、何かが割れるような音が辺り一面に響いた。
その音を聞いた者は誰一人として、居ない。
只、赤い鮮血に塗れた一本のハチマキ。
そして、以前三千院ナギであったモノが辺り一面に散らばっていた。
粉々に砕け散った、破片が。
だが、彼女の顔の破片はどこか満足げなものであった。
実際には、心の中で呟いただけであったが、ナギは綾崎ハヤテに最後の言葉を言う事が出来た。
その事がナギを満足させる事が出来たのかもしれない。

君にこの言葉が届きますように――――――そんな願いを込めた言葉を、言う事が出来たから。


【三千院ナギ@ハヤテのごとく!:死亡確認】
【残り21人】


207: 投下順 209:らきすた ~闇に降り立った輝星
207: 時系列順 209:らきすた ~闇に降り立った輝星
202:何をしても勝利を 三千院ナギ 死亡
202:何をしても勝利を 愚地独歩 210:運命の罠
202:何をしても勝利を ケンシロウ 210:運命の罠
202:何をしても勝利を 才賀エレオノール 210:運命の罠
202:何をしても勝利を マーティン・ジグマール 210:運命の罠
202:何をしても勝利を 泉こなた 209:らきすた ~闇に降り立った輝星
201:笑顔 赤木しげる 209:らきすた ~闇に降り立った輝星