Climax Jump

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mangaroyale

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Climax Jump ◆05fuEvC33.



支給された時計で放送の時間が近いのを知った愚地独歩は、近くの民家に入っていく。
周囲の気配を読める独歩にとっては、遠隔から狙われる危険が少ない屋内の方が安全に放送を聞ける為だ。
玄関の下駄箱の前に座り込み、左肩の傷の状態を見る。
(出血は止まってるし、大事無いみてぇだな……)
長年に亘る空手の修行と実戦で、多くの負傷を経験してきた為
自分の怪我の度合いが深刻で無い事は、予め分かっていた。
(それにしたって一人で追うのは、少し焦り過ぎたかな…………)
ケンシロウが自分と同じく怪我の治療より、エレオノール等の追跡を優先していると理解したので
エレオノールをケンシロウに任せ、独歩は単独でジグマールを追う事にした。
独歩としては、最良の判断をしたつもりである。
それでも加藤鳴海とした約束が、気に掛かっていた。
(…………すまねぇな鳴海よ、エレオノールはできる限り何とかしてみせると言っておいて結局人任せにしちまった…………
 けどエレオノールはよ、もう完全に殺し合いに乗っちまってたんだ………………)
三千院ナギを殺害し、しかもその事実をケンシロウ相手に駆け引きの材料として使おうとしていたエレオノール。
その無感情な冷徹さを見て独歩は、エレオノールがそもそも殺し合いに乗る事に僅かな躊躇も持たない人間だと見抜いた。
ただ機械の如く目的の為に動き、殺人にも躊躇も後悔も無い。
そういう人間を説得するには、実利(メリット)を示し交渉をする他無い。
そして独歩に、エレオノールと交渉出来るだけの材料は無かった。
(悪いが鳴海よ、次にエレオノールに敵として会ったら殺す…………
 頭の出来の悪い武術家の俺には、やっぱりそうするしか無いみたいだわ………………)

―――さて諸君、頑張っておるかのう?

独歩の旧知である、徳川光成の声が聞こえてくる。
旧知の人物が殺し合いを進行している事にも慣れ、当初は感じていた違和感も無くなっていた。

―――それでは、また6時間後の放送が無事に聞けるといいの。

知った名前が脱落者として何人も呼ばれたが、それらの人物の死はどれも予め知っていた為に驚きは無い。
多くの人間の死を告げられる事にも慣れた自分に、僅かに自嘲的な気持ちが過ぎる。
(…………さて行くとするか、俺の頭で何時までも座りって考え込んでたって休んでるのと変わらねぇ。
 所詮、武術家は身体を張って動くいて結果を示すしかないもんだ)
脱落者と禁止エリアのチェックを入れ終えた独歩は、名簿や地図をデイパックに仕舞い込み民家を出発する。
自らの美意識に反して持つ、右手のイングラムM10がやけに重く感じられた。
(…………へっ、手前ぇの力が足りないから勝も、鳴海も、ナギも助けられなかったんだろうが。
 手前ぇにはもう、美意識や誇りに拘る資格なんざ無ぇんだよ。ええ、独歩ちゃんよ…………)
自らの力が足らぬ事を思い知り、武神の誇りを失ってなお
未だ折れぬ闘志と共に、独歩は戦いの場へ赴く。

 ◇  ◆  ◇

「……DIOが死んだか…………」
ケンシロウから逃れた後、手近の民家の中にあるベッドで身を休めていたマーティン・ジグマールは
4度目の定時放送を聞き終え、ベッドの真ん中で仰向けに天を仰いでそう呟いた。
空間を操る自分にすら不可能な、時間を操り停止させる能力者DIO。
ジグマールにとっては再び最強のアルター使いとなる為に、乗り越え倒すべき敵として思い定めていた相手だった。
それが自分の与り知らぬ所で、死んでいた。

ジグマールも胸中の空虚な失望感に、しばしその動きが止まり
「…………フン。なるほど……DIOを倒す程の者が、まだこの殺し合いの中に居るという事か」
やがて不敵な笑みを浮かべ、ベッドから身を起こした。
「DIOを倒したのは劉鳳か? ケンシロウか? それともまさかアカギか?
 フフフ、何れにしても殺し合いに勝ち残ればDIOと……そしてそれを倒した者を乗り越えた事になる!」
戦闘に支障が無い程には体力が回復し、傷口も出血が収まったのを確認する。
(フフン……アカギよ、お前ならこの程度の事で動じたりはしまい。そうだろう?)
自らが頂点に在らぬ事を思い知り、友を失ってなお
未だ折れぬ矜持と共に、最古のアルター使いは戦いの場へ赴く。
(……………………あ)

そして民家から出るなり、それはすぐに見付かった。
通りすがった隻眼にイングラムM10を携えた男、愚地独歩に見付かったからだ。
(ど、どうする? どうする? どうする? 私はどうする?
 落ち着け! 見た所奴は単独で、私を追い掛けて来た様だ。
 ケンシロウが居ないのならば、勝ち目も有る。
 しかし奴は私とフランシーヌの二人を相手取り、あれだけ渡り合えた程の猛者だからな。
 それに今奴はイングラムを仕舞ってない……って言うか、こっちに向けてきた!!)
ジグマールが下した戦術的判断は撤退。
即座にイングラムの射線上から、駆け出す。
独歩もジグマールの後を追い走り出した。

 ◇  ◆  ◇

身を切る様な夜の冷気を、更に高速で以って切り裂くが如くに走るバイク―――クルーザー。
3人という人数にとっては、決して広くないそのクルーザーの座席部分に
桂ヒナギク、村雨良、柊かがみは、身を寄せ合い座っていた。
ヒナギクがS8駅で待ち合わせている、強大な戦力を持ち
今は村雨が持っている強化外骨格「零」の着装者、葉隠覚悟と合流すべく急いでいた。

「ちょ、ちょっと、スピード出し過ぎじゃない!?」
「ここには取り締まる警察は居ない、制限速度を守る必要は無いさ」
「そうじゃなくて、怖いって言ってるのよ!!」

クルーザーの運転をしていた村雨は、かがみの声に停車する。
かがみはようやく一息ついて、胸を撫で下ろした。
「あんた、街中で一体何キロ出してんのよ……」
幅5m程の車道を時速80キロ以上の速度で走り、そのまま速度を落とさず直角のカーブを曲がる運転は
村雨にとっては、同乗者を気づかって速度を抑えていたものだが
かがみにとっては村雨の卓越した運転技術を知り、クルーザーの高性能を知っていても生きた心地のしないものであった。
それでも先程まで村雨の背にしがみ付き、何とか耐えてきたが
結局は体力が持たなくなって、一旦クルーザーを止めて貰う事とした。

「すまん…………」
村雨は素直に謝罪をする。
「どうする、やっぱり電車で行く?」
平然とした様子で、かがみの更に後ろに座っていたヒナギクは問う。
「……………………大丈夫、休んだら行けるから…………
 でも、もう少し安全運転で行ってよ…………」
「……了解」
村雨はかがみに、苦笑いを浮かべながら答える。

クルーザーは先程より速度を抑えて、街道を走り始めた。
村雨は後ろに座る、かがみを伺う。
村雨の運転には、慣れてきている様子だった。
強い人だ。
村雨はかがみをそう思う。
妹の死を知らされて、まだほとんど時間も経っていないのに
前に進む事を止め様とはしない。
態度には出さなくても、それは決して容易ではないだろうと
姉の存在とその死を思い出した、村雨には思えた。
勿論かがみと村雨の心境を、一括りに出来るものではないが
強い悲しみを乗り越えたのは、充分に察する事が出来た。

『良、約100m前方に人の気配を確認』
零が警告を発すると、村雨は瞬時に思考を中断し前方の気配を捉える。
村雨は内心、懸念していた事態が起こったと苦虫を噛んだ。
零の索敵能力とクルーザーの機動力で、移動中の安全を守ろうと考えていたが
進行方向上に誰かが居た場合、発見した時には既に大きく距離を詰めている危険がある。
その懸念通りクルーザーを止めた時には、前方のカーブから姿を見せた長髪の男と大きく距離を縮めていた。
「逃げろ!! 私は殺人者に追われている!」
男はこちらを見て、一瞬驚いた様な表情を見せた後そう叫んだ。
その後ろから、スキンヘッドに隻眼の男が走って来る。
(クルーザーなら今からでも逃げられるか……
 いや方向転換と加速の間に、どうしても隙が出来る。それに…………)
接触か逃走か、刹那の判断を迫られた村雨は―――
「二人共、その場を動くな!!」
(俺は仮面ライダーだ、危機に陥っている人を見過ごせはしない!)
逃走できる距離を保っての、接触を試みた。

「「武装錬金」」
「変んっっっ身!」
かがみが激戦、ヒナギクがバルキリースカートを練成し、村雨は仮面ライダーZXに姿を変える。
動きを止めたジグマールと独歩の間に入る村雨達を見て、ジグマールは内心ほくそ笑んだ。
「逃げろ」と言ったにも関わらず、2人を制止して接触してきたという事は
村雨達は十中八九、殺し合いに乗っていない連中だろうと推測出来る。
(まあ一枚岩とは限らんし、油断は出来んがな。フフン、それでも幾らでも取り入って利用する余地は有りそうだ)
ジグマールは独歩を指し、焦った様子で話す。
「私はそこの殺し合いに乗っている男に追われていたんだ!」
「殺し合いに乗っているってのは、てめぇだろうが!!」
「私達に無断の言動を取ると死ぬわよ」
ジグマールと独歩の話に、ヒナギクが割ってはいった。
(殺すではなく、死ぬと脅してくる辺り中々強かな女だな……)
戸惑う演技をしながらジグマールは、村雨達を値踏みする。
3人を戦闘力で比べれば、村雨が最も強くかがみが最も弱いと推測される。
「あなた名前は?」
ヒナギクからの問いに、ジグマールは隻眼の男が独歩と呼ばれていた事を思い出しながら
更に大まかに暗記していた、名簿の内容を検索する。
「私の名前は愚地独歩。設定年齢19歳蟹座のB型ッ!!!」
現状から推して、マーティン・ジグマールより警戒されないであろう偽名を名乗った。

「よくもぬけぬけと、俺の名前を名乗れたもんだなジグマールさんよ―――アァ?」
怒り心頭といった笑みを浮かべ、独歩はジグマールに詰め寄ろうとする。

「動かないよう言った筈よ」
「姉ちゃんよ、俺はそこの兄ちゃんに大事な用があるんだ。姉ちゃんの用事は後にしてくれや」
「あなたが殺し合いに乗っていないと分かるまで、勝手な事は許さないわよ」
「おいおい、オメェさんは関係無いだろ……指図される云われは無ぇんだよ!!!」

独歩の応答に同じく怒り心頭といった笑みで、ヒナギクはクルーザーから降りる。

「そう……関係無いっていうなら、あんたの事情も私には関係無いわね」
「……だったらどうしようってんだ、ええ? おい!」
「あんた、自分の立場が分かってるの?」
「オメェさんがどうすんのか聞いてんだよ。一々脅し掛けなきゃ、口も利けねぇのかい?」
「こっちは、力付くで取り押さえても良いのよ?」
「ほう…………面白ぇ事言う姉ちゃんだな」

ヒナギクも独歩もお互い自分に似て、好戦的で負けず嫌いな気性の人間だと察知した。
好戦的な人物同士の会話は、往々にして不穏な方向に歯車が回っていき易い。
まして今ヒナギクは場を仕切る為高圧的になっているし、独歩はジグマールへの怒りを見知らぬ人間に阻まれ苛立っている。
結果、喧嘩の売り買いは実にスムーズに運んだ。
「へっ、久しぶりに気兼ね無く喧嘩を楽しめそうだ」
「へぇ……一方的に叩き潰されるのが楽しいんだ」
両者の覇気が、間の空間が歪みそうな程にぶつかる。

「ちょっと、落ち着きなよ2人共!」
『かがみの言う通りだ。今は二人の意思を知る事が急務だ』
かがみと零が、二人を止めに入る。
「俺とジグマールの意思を知る方法が、有るってのかい?」
『有る』
独歩の問いに答え、零の入った鞄が僅かに開き
ジグマールへ向けて、触手を伸ばした。

「うわああああああっっ!! い、一体何の真似だ!?」
『脳髄から情報を吸引する』
ジグマールは伸びてくる触手から、悲鳴を上げて逃げる。
「何故逃げる? 情報を吸引されて、不都合な事でもあるのか?」
「得体の知れない鞄から、触手が伸びて来るんだぞ? その鞄が、脳髄から情報を吸引するとか言ってるんだぞ!?
 そんなもの、何も無くても嫌がるに決まってるだろ! 常識的に考えて!!」
訝しげに問う村雨に、ジグマールは捲し立てた。
「……いや、今のは誰でも逃げるって…………」
「…………うん、今のはしょうがないわ…………」
若干引き気味になっている、かがみとヒナギクが擁護する。
『これなら確実に、あの男が殺し合いに乗っているか否かが確認可能だ』
「何と言われようと、生理的に受け付けないのでね……」
「なら、俺を調べてくれや。そうすれば、あの兄ちゃんがどんな奴かも分かる」
「そうそう。触手などと下品な物は、そっちの男にこそお似合いだ…………え?」
固辞するジグマールを余所に、独歩が名乗り出た。

「どうしたのよ? 急に物分りが良くなって」
「そこの鞄も含めて、悪い連中じゃないと分かったってだけだよ。偉そうな姉ちゃんは別にしてな」
「偉そうってのは、誰の事かしら?」
「このままじゃ埒が明かないだろ。一応聞いとくが、大丈夫なんだろうな?」
『危険は無い』
「じゃあ、さっさとやってくれや。ただし妙な気を起こしたら、俺も何するか分からんぜ?」」

ジグマールは慌てて口を挟んだ。
「いやいや、ちょっと待て! それでその鞄が私をクロだと言ったら、キミ達はそれに従うのか?
 そんな訳の分からない鞄に判断を委ねる等、無意味だ! 滑稽だ!! ナンセンスだ!!!」
もし鞄の情報吸引能力が本当なら、ジグマールは殺し合いに乗った事が明るみになる。
4人を相手にするのは無謀と考えたジグマールは、必死に零を留めようとする。
「零は俺達の仲間だ。信用出来る」
だがジグマールの強弁も、村雨は意にかえさない。
かがみとヒナギクも、同様の様子だ。
(その目 信頼を止めぬ瞳……って何、鞄と信頼関係を結んでるんだ!
 人間としてのプライドは無いのか、キサマ等は!!)
心中自分にも良く分からない抗議を上げるジグマールを余所に、零は独歩に触手を伸ばし始めた。
(どうする? あの鞄の言っていた情報吸引能力とやらは、どうもブラフでは無いらしい……)
ジグマールは考える。
例え鞄の情報吸引が無理でも、今の流れでは自分より独歩の方が確実に信頼される。
そうなればこの場で殺し合いに乗っていると断定されなくても拘束、良くても監視される可能性が高い。
そしていずれ自分の本性を知る者と接触し、殺し合いに乗っていると露見。
勝機の無い状況で殺される。
ならば出来るだけ早く機を見て、この場から逃げるのが最良手。
(そして、おそらくその好機は―――今だ!)
ジグマールは意を決して走り出した。

零の触手が独歩に接触する直前、ジグマールの方から小刻みな足音が聞こえた。
ジグマールは真っ直ぐ、村雨とかがみの乗るクルーザーへ駆けて行く。
村雨とヒナギクは向き直った時には、ジグマールはクルーザーとの間を大きく詰めていた。
マイクロチェーンとボウガンの矢を放たれ、ジグマールに接触する直前
フィルムのコマ落としの如く、その姿が消える。
村雨だけが、一瞬の時差も無く2m程クルーザーとの間合いを詰めたジグマールを捉えた。
マイクロチェーンを、手元の操作で横に振るう。
それも姿を消して避けたジグマールは、次に現れた時にはクルーザー上のかがみの腕を掴む。
村雨が手を伸ばすと今度はかがみごと消え、クルーザーから離れた地点に現れた。

ジグマールは片手で、かがみの腕を後ろに捻り上げる。
「きゃぁぁぁっ!」
かがみは痛みで力の抜けた手から、激戦を奪われた。
警察組織ホーリーの隊長を務めるジグマールは、逮捕術も身に付けている。
格闘戦の素人であるかがみを、片手で極めて抵抗出来ない様にするのも難しい事ではない。
「おっと、彼女を危険に晒したくなければおかしな真似はしないで貰おうか」
身構える村雨とヒナギクに、ジグマールはかがみを盾に差し出し制止を掛ける。
「あの野郎は、瞬間移動出来るから気を付けろ」
「もっと早く言いなさいよ、そんな事は!!」
「喧嘩売っといて、それかよ……」

(完全に隙を衝かれたわ! まさかワープが出来るなんて!!)
「そんな鞄の言う事に命を預けるなど、承服出来ないからね。
 まずそこのキミは変身とやらを解いて、そっちは武器を捨てて貰おうか。彼女を苦しめたくないだろう?」
「ちょ、離しなさ……痛っ!…………」
かがみは痛みの余り顔を顰めて、低く呻く事しか出来ない。
ジグマールからの要求に村雨は元の青年の容貌に戻り、ヒナギクはボウガンを地に落とした。
「独歩、キミもだ」
独歩も不承不承ながら、イングラムを地に置く。
「フフフ、よろしい。それでは私はそのバイクを頂いて、お暇させて貰うとしよう。
 キミはバイクから離れて貰おうか。」
村雨はジグマールを睨みながら、ゆっくりとクルーザーから降りて離れる。
ジグマールは腕を極めたかがみを、村雨達に向けながらゆっくりとクルーザーに近付く。
村雨とヒナギクと独歩は、ジグマールを睨みながら動きが取れない。
痛みに呻きながら睨み付けて来るかがみの耳元で、ジグマールが囁く。
「そう怖い顔で睨むのは止めてくれ、キミに危害を加えるつもりは無いんだからな。
 私が無事逃げ果せれば、キミは解放する」
ジグマール以外の全員が、その言葉を信用出来ずに居る。
事実ジグマール自身も逃げ果せば、かがみを殺害するつもりだ。
人質として利用できるとしても、ジグマールの体力でかがみを長期間連れ歩くのは無理が有る。
かがみは自分の生命の危機に対する自覚が強まり、恐怖に震えた。
ヒナギクは村雨に、話し掛けようと近付く。
「私の目の前で、こそこそ話すのは遠慮願おう」
それすらもジグマールに制止された。
(下手に動く事も出来ないわね。でもこのまま逃がしたら、かがみは殺される……)

かがみを捕らえたジグマールは、クルーザーの前まで来た。
―――タイミングを計る村雨
「それでは、おさらばだ諸君!! フフフハーッハハハハハハハハハハハハハハハワワッッ!!!?」
ジグマールが跨ごうとした瞬間、クルーザーが急発進する。
村雨の電子頭脳に拠って、遠隔操作された結果だ。
―――弾けた様に村雨はかがみへ向かい
体重を預ける筈のバイクが消え、ジグマールは派手に転倒。
―――ワンテンポ遅れて、ヒナギクがジグマールへ向かう。
村雨は重心が完全に崩れ、緩んだジグマールの手からかがみを引き離した。
「大丈夫か!?」
「……うん、ありがと…………」
「臓物をぉぉ――」
ヒナギクがバルキリースカートの刃を閃かせ、村雨とかがみの横を取り抜けようとする。
そのヒナギクに、かがみからの鮮血が飛ぶ。
「…………え?」
かがみの腕が宙を飛んでいた。
倒れていたジグマールがかがみの方へ伸びた糸を、両手で強く引っ張っている。

「イヤァァァアアアアアアアアアアア!!!」
ヒナギクがかがみに向いた途端、ジグマールは衝撃波を放ちかがみとヒナギクと村雨の3人を吹き飛ばす。
村雨は空中で体勢を立て直し、かがみとヒナギクを受け止めた。
『良、敵を逃がすな!!』
零の声がした時にはクルーザーが使えないと悟ったジグマールは、自分の足で逃げ出していた。

「ハア、ハア、……フ、フフン。どうやら追って来ない様だ」
しばらく脇目も振らず走っていたジグマールは、ようやく振り向き追っ手が来ていない事を確認する。
(女の腕にアラミド繊維を巻きつけておいたのが、功を奏したな……)
ジグマールが密かにかがみの腕へ、アラミド繊維を巻きつけたのは保険の為。
行動不能な負傷者は、死者以上に味方の足を引っ張るのは戦場の常識。
もし人質が自分の手から離れても、その腕を切り落とせば敵全体の隙を作り逃げる事が出来る。
事実、村雨達はジグマールを追って来れない。
「フン、悠久の時を過ごしアルターを強化させてきた私との駆け引きなど1000年は早い!!
 フフフハハハハハハハハハハ、ハア、ハア、ハア、ハア……………………本当に追って来てないんだよな?」
それでも村雨に追われる恐怖の為、ジグマールはもうしばらく足を止め休めそうに無かった。

 ◇  ◆  ◇

村雨は素早く視線を巡らし、2人の状態を改める。
ヒナギクは大事無い。
かがみは―――――腕からの出血が酷い。
イングラムを拾った独歩が駆け寄り、かがみの上腕内側の動脈を圧迫し止血。
ヒナギクが慌ててバルキリースカートを核鉄に戻し、かがみの傷口に当てる。

かがみは薄れていた意識を、何とか奮い起こし現状を確認する。
衝撃波を受けて痛む全身。亡くなった自分の左腕。そこに当てられた核鉄に体力は奪われていく。
何より一言も喋らず、悲壮な顔で自分を治療する周囲の人間を見て漠然と直感した。
(………………私、死ぬのかな……………………)
かがみは、夜の冷たさがますます辛くなっていった。

【D-2 南部 2日目 深夜】
【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:体にいくつかの銃創、頭部に小程度のダメージ、左肩に大きな裂傷
[装備]:キツめのスーツ、イングラムM10(9ミリパラベラム弾32/32)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:闘うことより他の参加者 (女、子供、弱者) を守ることを優先する
1:かがみの治療後にヒナギク、かがみ、村雨と情報交換する。
2:ジグマールを見付け出し倒す。
3:学校へ行き、アカギと合流。鳴海の事を伝える。
4:ゲームに乗っていない参加者に、勇次郎の事を知らせ、勇次郎はどんな手段をもってでも倒す。
5:その他、アミバ・ラオウ・ジグマール・平次(名前は知らない)、危険/ゲームに乗っていると思われる人物に注意。
6:乗っていない人間に、ケンシロウ及び上記の人間の情報を伝える。
7:可能なら、光成と会って話をしたい。
8:可能ならばエレオノールを説得する。
9:手に入れた首輪は、パピヨンか首輪解析の出来そうな相手に渡す。
[備考]
※パピヨン・勝・こなた・鳴海と情報交換をしました。
※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。
※こなたとおおまかな情報交換をしました。
※独歩の支給品にあった携帯電話からアミバの方に着信履歴が残りました。

【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 顔と手に軽い火傷と軽い裂傷。右頬に赤みあり。
[装備] バルキリースカート@武装錬金
[道具] 支給品一式。ボウガンの矢17@北斗の拳
[思考・状況]
基本:BADANを倒す。
1:かがみを治療する。
2:村雨、かがみと共にS8駅で覚悟と合流する。その後、首輪、BADAN、強化外骨格について考察する。
3:ラオウ、斗貴子に復讐する。(但し、仲間との連携を重視)
[備考]
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1~3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートが扱えるようになりました。しかし精密かつ高速な動きは出来ません。
 空中から地上に叩きつける戦い方をするつもりですが、足にかなりの負担がかかります。

【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]全身に無数の打撲。
[装備]十字手裏剣(0/2)、衝撃集中爆弾 (0/2) 、マイクロチェーン(2/2) 核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金
核鉄(モーターギア)@武装錬金
[道具]地図、時計、コンパス 454カスール カスタムオート(0/7)@HELLSING、13mm爆裂鉄鋼弾(35発)、ニードルナイフ(15本)@北斗の拳 女装服
    音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾、ベレッタM92(弾丸数8/15)
[思考]
基本:BADANを潰す!
1:かがみを治療する。
2:ハヤテの遺志を継ぎ、BADANに反抗する参加者を守る
3:かがみ、ヒナギクの安全の確保後、ラオウを倒しに行く。
4:ヒナギク、かがみと共にS8駅で覚悟と合流する。
5:ジョセフ、劉鳳に謝罪。場合によっては断罪されても文句はない。
6:パピヨンとの合流。
[備考]
※傷は全て現在進行形で再生中です
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※D-1、D-2の境界付近に列車が地上と地下に出入りするトンネルがあるのを確認しました。
※また、零の探知範囲は制限により数百メートルです。
※零はパピヨンを危険人物と認識しました。
※零は解体のため、首輪を解析したいと考えています。
※記憶を取り戻しました

【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:全身に強度の打撲、左腕欠損(止血済み)、体力精神共に極度の消耗
[装備]:巫女服
[道具]:
[思考・状況]
基本:BADANを倒す
1:…………私、死ぬのかな…………?
2:村雨、かがみと共にS8駅で覚悟と合流する。その後、首輪、BADAN、強化外骨格について考察する。
3:仲間と共にジョセフと合流。
4:さっき見た首輪の異変について、考えてみる。
5:神社の中にある、もう一つの社殿が気になる。
6:ジョセフが心配。
7:こなたと合流する。
8:つかさとハヤテ、ナギの死にショック(大分収まり、行動には支障なし)
※極度の体力消耗の為、時間が経つと衰弱して死亡します。どれ位の時間かは、後の書き手さんに任せます。

【三人の備考】
※一通りの情報交換は終えています
※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。
※主催者の目的に関する考察
主催者の目的は、
①殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
②最強の人間の選発、
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。
※3人の首輪に関する考察及び知識
首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首2には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている
※3人の強化外骨格に関する考察。
霊を呼ぶには『場』が必要。
よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論
※BADANに関する情報を得ました。
【BADANに関する考察及び知識】
このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。
※かがみの主催者に対する見解。
①主催者は腕を完璧に再生する程度の医療技術を持っている
②主催者は時を越える"何か"を持っている
③主催者は①・②の技術を用いてある人物にとって"都合がイイ"状態に仕立てあげている可能性がある
④だが、人物によっては"どーでもイイ"状態で参戦させられている可能性がある。
※首輪の「ステルス機能」および「制限機能」の麻痺について
かがみがやった手順でやれば、誰でも同じことができます。
ただし、かがみよりも「自己を清める」ことに時間を費やす必要があります。
清め方の程度で、機能の麻痺する時間は増減します。
神社の手水ではなく、他の手段や道具でも同じことが、それ以上のことも可能かもしれません。
※ステルス機能について
漫画版BRで川田が外したような首輪の表面を、承太郎のスタープラチナですら、
解除へのとっかかりが見つからないような表面に 偽装してしまう機能のことです。
ステルス機能によって、首輪の凹凸、ゲームの最中にできた傷などが隠蔽されています。
※S1駅にハヤテのジョセフに対する書置きが残っています。
※ボウガン@北斗の拳と強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメとクルーザー(全体に焦げ有り)はD-2 南部の路上に置いてあります。

【D-3 北部 2日目 深夜】
【マーティン・ジグマール@スクライド】
[状態]:全身に負傷中、顎に打撲、HOLY部隊長状態、疲労(大)
[装備]:アラミド繊維内蔵ライター@グラップラー刃牙、道化のマスク@からくりサーカス)、 激戦@武装錬金
[道具]:支給品一式 、不明支給品0~3(未確認)、首輪×2(フェイスレス、シェリス)、首輪探知機@BATTLE ROYALE、光の剣(ただのナイフ)@BATTLE ROYALE、
輸血パック(AB型)@ヘルシング、グリース缶@グラップラー刃牙、イングラムM10の予備マガジン×5、スタングレネード×1、ライドル@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本:アカギを越える
1:ヒナギク、かがみ、村雨、独歩から逃げる。
2:優勝を目指す。
[備考]
※エレオノール、アカギと情報交換しました。また、彼女本人の名前を知りました。
※人間ワープにけっこうな制限(半径1~2mほどしか動けない)が掛かっています。
連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます。
(例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)
※ルイズと吉良吉影、覚悟、DIO、ラオウ、ケンシロウ、キュルケはアルター使いと認識しました。
※DIOの能力は時を止める能力者だと認識しました。
※ギャラン=ドゥはエネルギー不足で外には出てこられなくなりました。
 ですがジグマールは、人間ワープの能力を問題なく使えます。


215:交差する運命 投下順 217:エレオノール、明日を創る
215:交差する運命 時系列順 217:エレオノール、明日を創る
211:運命の罠 愚地独歩 223:深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても……!
213:Real-Action 村雨良 223:深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても……!
213:Real-Action 柊かがみ 223:深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても……!
213:Real-Action 桂ヒナギク 223:深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても……!
211:運命の罠 マーティン・ジグマール 221:たとえ罪という名の仮面をつけても――



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