悪鬼(後編)  ◆05fuEvC33.



覚悟は満身創痍ながら、ヒナギクを愚弄された怒りに立ち上がる。
(怒りを胸に沈めてはならぬ。怒りは両足に込めて、己を支える礎とせよ)
「まだやらせてくれると言うのか……………………」
覚悟に勝算は無い。
だが、元より勝算を計っての戦いをする覚悟では無い。
(我が身は牙を持たぬ人の剣なり。この身が肉片になろうとも、牙を持たぬ人を守るのみ)
覚束無い足取りで立ち上がる覚悟に、喜色を浮かべ勇次郎が歩み寄る。

「範馬勇次郎は、主催者の打倒に必須だ!!!」

勇次郎が声のした方向へ向くと、コナンが立っていた。

勇次郎も覚悟もヒナギクも、意味が分からないと言った様子でコナンに注目している。
場に居る全員が、コナンの話を聞く体勢になっているのだ。
ここまではコナンの作戦通り。
「覚悟さん、勇次郎はこの先不可避な主催者との戦闘において必要不可欠な戦力だ!
 今は説明出来ないが、絶対に必要不可欠だという根拠が有る!」
主催の戦力は未知数である。故にコナンは、可能な限りの戦力を揃えるべく勇次郎を説得した。
しかし主催の戦力は未知数なのだから、勇次郎が必要不可欠だという根拠は無い。
つまりコナンの嘘である。
「だから勇次郎は殺すのは勿論、戦闘不可能になる程の負傷も負わせてはいけないんだ」
やはり覚悟もヒナギクも、コナンの意図が掴めない様子だ。
「勇次郎、これで覚悟さんとヒナギクさんはお前とまともに戦えないぞ!! 2人とも脱出を目的としてるんだからな!」
勇次郎の反応は無い。
「お前がこれ以上覚悟さんとヒナギクさんを攻撃する事は、お前の怯えと言う事になる。
 つまりお前の負けだ! 2人とまともに戦いたかったら、この殺し合いから脱出してからだ。そうだよな!?」
勇次郎は戦闘の相手を選ぶ。それは市役所で、コナンと新八を無視した事からも明らかだ。
ならば勇次郎と敵対する者を、条件から外せばいい。
例え勇次郎が求める様な強者でも、まともに戦えなくなれば弱者と変わらない。
そうなれば再び戦える様になるまでは、戦闘を保留せざるを得ない。
「それとも弱い者苛めをして、満足出来るのか勇次郎さんがよ!?
 偉そうに兵ぶっておいて、相手が抵抗出来ない状態でしか戦えないのか!!?
 だったら好きにしろ!! 俺の言う事なんか聞く必要ねーよ!! 俺の方も弱い者苛めしか能の無い腰抜けに、用は無いからな!!!」
勇次郎の強者を求め、己の強さを顕示しようとする気性ならこの指摘は無視出来ない筈だ。
そう信じて、コナンは叫んだ。
「……分かったぜ」
勇次郎はそう呟く。
そして次の瞬間に姿を消した。
(……!!)
何時の間にかコナンの顎が、勇次郎につかまれていた。
「よぅく分かったぜ、貴様は生かしておけないとな」

勇次郎自身は何を言われようと、笑って聞き流す事も出来る。
何を言われようが、いざとなれば無視すれば良いのだから。
だが今コナンがやった事は、目の前の覚悟という上等な料理に蜂蜜をぶちまけるが如き所業。
それは勇次郎にとって、絶対に許せない事だった。
勇次郎はコナンの顎の骨を、周囲の肉毎引き千切った。
コナンは内部が露出した喉と口から、大量の血を流し倒れる。

「キサマ…」
何処にそんな力が残っていたのか、覚悟が勇次郎に向かって行く。
路地から駆けて来た独歩が覚悟の腹を殴り、気絶させる。
そして覚悟を肩に担いだ。
「嬢ちゃん、逃げるぞ!!」
独歩はヒナギクに叫ぶ。


「そう何度も逃がすかよ」
独歩に向かおうとする勇次郎の足が止まる。
まだ息があったコナンが、『ゴールド・エクスペリエンス』で殴ったマンホールから
蔦が伸び、勇次郎の両足に巻き付いているからだ。

「コナンくんはどうするのよ!?」
「顎を引き千切られたんだ、生きていられる訳ねぇだろ!!」
辛そうに顔を歪ませ、独歩が叫ぶ。
ヒナギクも奥歯を噛み締める。冷静に考えれば、コナンはもう助かるはず無いのだ。

「フン、足止めのつもりか?」
勇次郎は足下の蔦に手刀を打ち込む。
「ッッ!!!」
勇次郎は自分の手刀を打たれた様に、凄まじい勢いでアスファルトに叩きつけられる。
事実、勇次郎は自分の手刀を受けた。
『ゴールド・エクスペリエンス』で生み出された生物への攻撃は、そのまま攻撃した者に返っていくのだ。

「さあ逃げるぞ、早く!!」
「嫌よ! ここで逃げたら、何の為に来たのか分からないじゃない!!」
「そうかい! じゃあ、俺は覚悟を連れて逃げるぜ! こいつは絶対死なす訳にはいかねぇからな!!
 けど言っておくぜ。嬢ちゃんが残っても何にも出来ねぇ、無駄死にするだけだ! コナンは何の為に命を賭けた!!?」
ヒナギクは奥歯を痛い位に噛み締める。
その腹に独歩の正拳が入った。
意識が途切れたヒナギクを、覚悟と反対の肩に担ぎ元来た路地に走り出す。

顎を引き千切られたのに、コナンに痛みはほとんど無い。
痛みのみならず、感覚も意識も薄れていく。
ただ死が近いと言う事だけが、コナンに理解出来る。
殺人を止めに来た筈が、結局それは防げなかった。
江戸川コナン――この場合は工藤新一か?――という被害者が出てしまった。
(探偵が殺人を止めに来て、犯人に殺されるなんてよ…………小説だとしたら冴えないラストだぜ)
「取るに足らぬ、羽虫の如き餓鬼が…」
勇次郎が怒りの形相で、こちらに這って来る。
(誇り高い勇次郎様があんな無様な格好をさせられてるんだから、そりゃ怒るだろうな……)
「よくもここまで、この俺をコケにしてのけたものッッ!!」
(ハハッ……放っておいても俺は死ぬってのに、トドメを刺して楽にしてくれようってのか。
 それはご苦労なこった…………)
勇次郎はコナンの胴体の上へ、腕を振り上げる。
何時ぞやの時と違い、今度は外さないだろう。
コナンが最後に思うのは、服部や覚悟等この殺し合いの中でそれに反抗する者達の事。そして――
(後は頼んだぜ…………この殺人ゲームで、哀しいバッドエンドを迎えるのは…………俺で最後にしてくれ
 ……………………蘭、すまない…………最後までお前に真実を伝えられなくて…………………………………………)
勇次郎の腕が振り下ろされる、それがコナンの最後の知覚となった。

 ◇  ◆  ◇

予めエンジンを付けっぱなしにして待機させておいた車の後部座席に、怪我の重い覚悟を横たわらせ
ヒナギクは助手席に座らせて、独歩は車を発進させる。
バックミラーで、勇次郎が追って来ない事を確認しようやく一息ついた。
助けに来た筈のコナンを死なせ覚悟は重傷、救出作戦は無残な結果に終わった。
独歩は勇次郎を思い出す。
対峙してはっきり分かった。
もはや自分とは強さのレベルどころか、次元が違う。
元々人間離れした怪物だったが、今はもう映画に出てくる様な怪獣に近い。
為す術も無く逃げ出した事を、悔しいとさえ思えない。
一介の武術家が、1人でどうこう出来る対象では無くなったのだ。
仮に今の勇次郎を倒せたとしても、味方の被害は甚大なものになるだろう。
独歩は考える。もう今の勇次郎は避けて通る以外、脱出の可能性は無い。
(いや、もう一つ方法があったな……)
あるいはコナンがそうしようとした様に、味方に付けるしか無いと。


【江戸川コナン@名探偵コナン:死亡確認】
【残り13人】

【F-3 中央部 2日目 早朝】
【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:体にいくつかの銃創、左肩に大きな裂傷
[装備]:キツめのスーツ、イングラムM10(9ミリパラベラム弾32/32)ニードルナイフ(15本)@北斗の拳454カスール カスタムオート(0/7)@HELLSING
13mm爆裂鉄鋼弾(35発)ベレッタM92(弾丸数8/15)
[道具]:基本支給品一式×2、神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂、ジャッカル@HELLSING(残弾数1)、 陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた、首輪×2
    ハート様気絶用棍棒@北斗の拳 、懐中電灯@現地調達、包帯と湿布@現地調達 スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
    鷲巣麻雀セット@アカギ、 空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本:闘う事より他の参加者(女、子供、弱者)を守る事を優先する
1:勇次郎から逃げる。
2:ジグマールを見付け出し倒す。
3:学校へ行き、アカギと合流。鳴海の事を伝える。
4:ゲームに乗っていない参加者に、勇次郎の事を知らせる。
5:劉鳳、ジョセフ、ケンシロウ、服部、神楽の捜索。勇次郎、エレオノール、川田、ジグマールには警戒。
6:可能なら、光成と会って話をしたい。
7:可能ならばエレオノールを説得する。
8:勇次郎を避けて脱出するか、味方に付ける。
[備考]
※パピヨン・勝・こなた・鳴海・覚悟・村雨・ヒナギク・かがみと情報交換をしました。
※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。
※こなたとおおまかな情報交換をしました。
※独歩の支給品にあった携帯電話からアミバの方に着信履歴が残りました。
※BADANの存在を知り、かがみから首輪のステルス機能の事、解除方を知りました。また零の暗雲についての推測も知りました。
※コナンから勇次郎が首輪解除と主催者側の強者との戦闘に興味を持っていると聞きました。


【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 顔と手に軽い火傷と軽い裂傷。右頬に赤みあり。気絶。
[装備] バルキリースカート(核鉄状態)@武装錬金 シルバースキン(核鉄状態)@武装錬金
[道具]支給品一式、ボウガン@北斗の拳、ボウガンの矢16@北斗の拳
[思考・状況]
基本:BADANを倒す。
1:ラオウに復讐する。(但し、仲間との連携を重視) 、斗貴子については戸惑い
2:覚悟と共にS-3駅 へ向かい、村雨と合流。その後神社に居ると思われるラオウを倒す。
3:劉鳳、ジョセフ、ケンシロウ、服部、神楽の捜索。勇次郎、エレオノール、ジグマールには警戒。
4:3が終わった後、学校へ行く。
5:川田を説得する。
6:勇次郎を倒す。
[備考]
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1~3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートが扱えるようになりました。しかし精密かつ高速な動きは出来ません。
 空中から地上に叩きつける戦い方をするつもりですが、足にかなりの負担がかかります。
※かがみから首輪のステルス機能の事、解除方を知りました。また零の暗雲についての推測も知りました。


【葉隠覚悟@覚悟のススメ】
[状態]:全身に火傷(治療済み)、頭部他数箇所に砲弾による衝撃のダメージあり、胴体部分に銃撃によるダメージ(治療済み) 頭部にダメージ、
    両腕の骨にひびあり、全身に強度の打撲、肋骨8本骨折、鼻骨骨折、胸骨粉砕骨折、気絶、零式鉄球在庫7個。
[装備]:滝のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS(ヘルメットは破壊、背中部分に亀裂あり)
[道具]:大阪名物ハリセンちょっぷ
[思考]
基本:牙無き人の剣となる。この戦いの首謀者BADANを必ず倒し、彼らの持つ強化外骨格を破壊する。
1:川田を説得する。
2:ヒナギクと共にS-3駅 へ向かい、村雨と合流。その後神社に居ると思われるラオウを倒す。
3:劉鳳、ジョセフ、ケンシロウ、服部、神楽の捜索。勇次郎、エレオノール、ジグマールには警戒。
4:斗貴子を牙無き人々の一人と見なし、守る。
5:2が終わった後、学校へ戻る。
6:村雨が再び記憶を失い、殺し合いに乗るようならば倒す
7:勇次郎を倒す
【備考】
※パピヨンの詳細名簿からケンシロウ、独歩の情報を得ました。
※こなたの死を知りました。それが川田のせいである事も知っています。
※パピヨンとアカギを全面的に信用しています。
※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。
※かがみから首輪のステルス機能の事、解除方を知りました。また零の暗雲についての推測も知りました。
※主催者の目的に関する考察
主催者の目的は、
①殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
②最強の人間の選抜
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。
※2人の首輪に関する考察及び知識
首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首2には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている
※2人の強化外骨格に関する考察。
霊を呼ぶには『場』が必要。
よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論
※三村とかがみについて
三村の吹き込んだ留守禄の内容を共有しています。
かがみと三村に対してはニュートラルなら姿勢です。
とにかくトラブルがあって、三村がかがみを恨んでいると事実がある、
とだけ認識しています。
※BADANに関する情報を得ました。
【BADANに関する考察及び知識】
このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は驚異の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。

【零の考察】

ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外に発見。放電しているのを目撃。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。


【F-3 北部 /2日目 早朝】
【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
[状態]右手に小度の火傷、左手に大きな噛み傷。 胸板に軽い切り傷。 全身に中度の打撲。
   全身の至るところの肉を抉られており、幾つかの内臓器官にも損傷あり。
[装備]ライター
[道具]支給品一式、打ち上げ花火1発、拡声器@現地調達、フェイファー ツェリザカ(0/5) 、レミントンM31(2/4)
   色々と記入された名簿×2、レミントン M31の予備弾22、 お茶葉(残り100g)、スタングレネード×4
[思考] 基本:闘争を楽しみつつ、主催者を殺す。 (ただし、倒れた相手にトドメは刺さない?)
1:花火と放送に引き寄せられた参加者を待つ
2:アーカードが名を残した戦士達と、闘争を楽しみたい。 (ただし、斗貴子に対してのみ微妙)
3:首輪を外したい
4:S7駅へ向かいラオウ、ケンシロウを探す。
5:未だ見ぬ参加者との闘争に、強い欲求
6:コナンの言う、「主催者側にいるはずの強者」と戦いたい
7:鳴海の血中に在った物と同じ成分(生命の水)を摂取したい
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。
※ラオウ・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました。
※生命の水(アクア・ウィタエ)を摂取し、身体能力が向上しています。
※再生中だった左手は、戦闘が可能なレベルに修復されています。
※アーカードより、DIO、かがみ、劉鳳、アミバ、服部、三村、ハヤテ、覚悟、ジョセフ、パピヨンの簡単な情報を得ました。
ただし、三村とかがみの名前は知りません。
是非とも彼等とは闘ってみたいと感じていますが、既に闘っている斗貴子に関しては微妙な所です。
※拡声器を使って他の参加者を皆殺しにすると宣言しました。宣言通りに行動するかは、後の書き手さんにお任せします。
※どの程度コナンの言葉に心動かされているかは、後の書き手さんにお任せします。
※近くにあるコナンの死体の頭部に『ゴールド・エクスペリエンス』のDISC@ジョジョの奇妙な冒険が挿入されています。


230:Reckless fire 投下順 232:神に愛された男
230:Reckless fire 時系列順 232:神に愛された男
227:鬼が来たりて笛を吹く 範馬勇次郎 233:決戦
227:鬼が来たりて笛を吹く 江戸川コナン 死亡
229:心を縛るものを ひきちぎればすべてが始まる 葉隠覚悟 233:決戦
229:心を縛るものを ひきちぎればすべてが始まる 桂ヒナギク 233:決戦
229:心を縛るものを ひきちぎればすべてが始まる 愚地独歩 233:決戦