運命のルーレット叩き壊して(後編) ◆d4asqdtPw2



(最悪だ……絶対に嫌われた……)
沈んだ気持ちのまま、新しい服に袖を通す。
普段であれば、買ったばかりの服を着るときというのは例外なく心が弾むものだ。
だが、そのあるはずのない例外が……今回だ。

「なにやってんだろ私……川田くんだって探さなきゃいけないのに……」
本当ならば一刻も早く川田章吾を探し出しに行かなくてはならない。
だが、放送も近いと言うことで、覚悟は動き回るべきでないと告げた。
そこで、ヒナギクの汚れた服の代わりを探しに近くの店へと駆け込んだわけである。
だが、『放送が近いから』というのは覚悟の方便だろう。
覚悟が服が汚れたヒナギクを気遣ってここに連れてきたのは明らかだ。
自分のせいで足止めを食らってるという事実も、彼女の心を締め付けた。

(私が覚悟くんの隣に立つ事が、彼の足枷になっている……)
覚悟の隣に自分が立ったところで、何の役に立ったのだろうか。
自分が何を成したのだろうか。
彼にとって自分はどんな存在なのだろうか。
考えれば、考えるほど……。

「とにかく……謝らなきゃ」
つかさに誓ったのだ。
川田を説得すると。殴ってでもアイツの馬鹿を止めてやると。
今できることは、ウジウジ悩むことなんかじゃあない。
とにかく前に進むことだ。
だけど……それは分かっているのだけど。

急いで服を着ると、覚悟の待つ部屋の扉を勢いよく開ける。
間を置かずに口を開いた。
「あの、本当にゴメン。覚悟くん、零」
「本当にすまなかった」
重なる、謝罪。
深く頭を下げた姿勢。その同じ姿勢のまま、2人は数秒間無言で停止する。
覚悟は返事を待っている。ヒナギクはなぜ謝られているかが分からず、戸惑っている。

「え? なんで覚悟くんが……」
「ヒナギクさんのことも考えずに、1人勝手に走り出した私の責任だ。
 つらい思いをさせてしまった。本当にすまない」
『覚悟に注意の1つもしなかった我らも同罪であろう。すまなかったな』
確かに問題の発端は覚悟にあった。
川田の発見を急ぐ余り、ヒナギクに自分のペースに合わせる事を強制してしまった。
常人があの姿勢、あの速度で動かされたら、耐えられないに決まってる。
ましてやヒナギクは1時間前まで、倒れるほど疲労していた身だ。
そのことを省みての覚悟の謝罪であったが、その事実はヒナギクの心をさらに締め付ける。

「……そうなんだ」
やはりそうなのか。
自分が覚悟の隣に立ち続ける限り、覚悟は自分に合わせなくてはならない。
走る時だって、足の遅い自分のために立ち止まる。
敵に襲われれば、自分を庇いながら戦う。

「だったら、私がいなければ覚悟くんは自由に……」
「違う。 それは……」
覚悟の反論はヒナギクに届くことはなかった。
彼の声を遮ったのは、老人の声。
彼らに絶望を告げる第5回放送である。

『それでは午前6時、5回目の定時放送じゃ』
流石に5回ともなれば慣れたのであろう。
話すのを即座に中止し、紙とペンを即座に取り出す。

『まずは禁止エリアの発表じゃ』
老人の擦れた声が禁止エリアを淡々と紡ぐ。
覚悟がしっかりとメモを取るのに対して、ヒナギクはどこか上の空で、その手の動きはぎこちない。
川田が呼ばれるとしたら、もし呼ばれたら……自分のせいだ。

『泉こなた』
最初に呼ばれたのは、川田が殺した人物。つかさの友人。
川田が殺した。バラバラに砕いた。

『津村斗貴子』
覚悟の筆が一瞬止まる。
アカギとパピヨンを信頼しきっていた彼からしてみれば、川田が殺したとしか考えられない。
恐らく彼女も、川田が殺した。

「…………そっか……」
覚悟に聞こえないほどの小さい声。
何も聞こえない。
覚悟から聞いた話より推測すれば、斗貴子を殺したのは川田だろう。
あいつは、もう戻れないところまで来ているんだ。

つかさを甦らせたい。
その思いは純粋な愛情だったのだろう。

それが、どこかで歪んだのか?
彼が、どこかで壊れたのか?
そんなことはない。そんなことはないのだろう。
ならば……彼が狂ってはいないのだとしたら……。

『川田章吾』
一瞬だけ心臓が跳ねた。痛くなるほど。
だが、それだけだった。
その一瞬を過ぎると、ヒナギクの心臓は平常を保っていた。
怖いほど落ち着いている。
本当ならば、声を上げて泣くべき状況だ。
だが、もういい。
もうどうでもいい。

『赤木シゲル。
 以上十一人』
そんな事、桂ヒナギクにはどうでもいいんだ。
泣いたって、想ったって駄目なんだ。
許されないんだ。

だってそうでしょ?


「川田は……そうか……」
おそらく、川田が学校を再襲撃したのだろう。
津村斗貴子と赤木しげるを殺したのも川田。
そして自身もその戦闘で死亡。
そう考えるのが最も自然だ。

「そっか。川田くんも死んじゃったのか……」
間に合わなかったという悔しさよりも、2人の心を支配しているのは脱力感。
全ての危機が去ったわけではないが、殺し合いに乗った人物はいなくなった。
となれば、学校へ急ぐ理由もないだろう。

「ヒナギクさん。さっきの話だが……」
だが覚悟には、解決しなくてはならない問題があった。
放送の直前にヒナギクが言った事。
彼女は、『自分が覚悟の邪魔をしている』と思い込んでいる。

「あぁ、あれはもういいの」
「ヒナギクさん?」
あまりの変貌に覚悟が困惑する。
さっきまで、あんなに気にしていたのに。
川田の死に動揺しているのだろうか。

「もう……いいから」
今はそっとしておこう。

何分が経過しただろうか。
おそらく、それほど時間はたっていない。
ヒナギクが店のドアを開け、外に出て行く。
おそらくは外の空気でも吸いたいのだろう。

覚悟も外へ出て、何も言わずに追いかけるが、すぐに立ち止まる。
目の前のヒナギクも同じように立ち止まっていた。
道路に誰かが立っているの確認したからだ。

2人の前に現れた人物は……。
「なんで……」
男が口に人差し指を当て、『黙れ』のジェスチャーを取る。
覚悟とヒナギクがその意味を理解するのに1秒も時間も要さなかった。

男は首輪をしていない。
つまり、主催は『この男が死んでいる』と思っている。

「覚悟くん、店内に戻りましょう」
「あぁ……パピヨン殿は村雨殿たちに任せよう」
どこかぎこちない会話を交わす2人の背中を追いかけ、赤木しげるも店内へと入っていった。


◆     ◆     ◆


紙の上を鉛筆が踊る。
紙面は既に大量の文字で真っ黒になっていた。
『津村さんを殺したのは川田で間違いないのだな?』
『あぁ。アンタが学校を離れてからのことだ』
書かれている事と言えば、学校で分かれた後にお互いが経験したこと。
それと、他の参加者の情報。
ちなみに、津村斗貴子をパピヨンと共に死に追いやった事実は、こうして偽って伝えている。

『その大首領があなたの首輪をはずしたわけね?』
『あぁ。奴はこの殺し合いに参戦したがっている』
中でも2人を驚かせたのが、この殺し合いの主催者、大首領とアカギの遭遇。
それは、覚悟たちの考察やエレオノールが夢で見た内容を裏付けるものとなった。
神社でアカギが見た強化外骨格に大首領を降ろす。
それがこの殺し合いの開催理由。

『これを見て欲しい』
アカギが取り出したのは、ケンシロウの死体が持っていたエニグマの紙。
そこに書かれていたのは『般若心境』の文字。

『この殺し合いのシステムの中枢に、霊が絡んでいるのは間違いない。
 そしてBADAN内部にこの殺し合いを止めようとしている人物がいるのも事実』
その人物とはDr.伊藤。アカギがチャットした相手のことだ。
さらに前々回の放送での徳川光成の台詞。
そしてさらに、『般若心境』、つまり念仏というキーワード。
明らかに少ない説明文。これでは何が入っているのか分からない。
まるで、何かを隠しているようだ。
それらを総合すると、答えは1つ。

『おそらく、強化外骨格の霊を成仏させるために、その者が用意したアイテムであろう』
このアイテムは希望の鍵。
ケンシロウが命を賭けて託そうとしたものだ。

『やはりそうか』
アカギはしばらくの間、他の参加者に接触するつもりはなかった。
だが、このアイテムを発見する事で状況が変わる。
明らかに『裏切り者』が混入したアイテムだ。
だが、アカギには肝心の強化外骨格についての知識がない。
詳しいものを探しているところに、運よく葉隠覚悟を発見したわけだ。

『開けてみるか?』
『あぁ……零を別の部屋へ避難させるから待っていてくれ』
もし、空けた瞬間に効果が発動するものなら零が成仏してしまう。
だが、その可能性は低い。
もしそうなら『開けた瞬間に効果が発動する』と書いてあるはずなのだから。
それでも零を避難させたのは万一を考えてのことである。

『開けるぞ』
戻ってきた覚悟を確認し、ゆっくりと紙を開くと、中から出てきたのは2枚の紙。
『紙の中に紙?』
『こっちは、手紙のようだ』
そこに書かれていたのは神社に眠る強化外骨格についての説明。
その強化外骨格が大首領の為につくられたこと。
その中に死んだ参加者の魂が閉じ込められている事。
大首領がその魂たちを支配して首輪の制限などを行っている事。
他にも、この『プログラム』のシステムの深いところまでの説明が記されていた。
手紙の最後は「どうかこの手紙が正しき心を持つものの手に渡らん事を」の1文で締められている。

『これを書いたのはおそらく、このプログラムに関わる技術に明るいものだ』
首輪のシステムや原理まで書いているあたり、ただの1構成員と言うわけではないだろう。
『Dr.伊藤か』
『おそらくな。支給された人物がなかなかこのアイテムを開けないから、チャットで俺たちに接触してきたのだろう』
『もう1つの紙は?』
『これは……』
もう1つの方はエニグマの紙。
そして、そこに書いてあったのは「成仏鉄球」の文字。
『説明によると……この鉄球の内部には経文が封印されている。
 その力で、強化外骨格内部の霊すらも成仏させる光線を出すらしい』
『決まりだ。これが、この殺し合いを破壊する鍵』
成仏鉄球とは、堀江罪子が戦術鬼として操られたときに使用したアイテムである。
散の部下、智久によって開発されたもの。
その効果は凄まじく、一撃で零の内に眠る3千の怨霊を成仏させてしまった。

『強化外骨格の霊を成仏させれば、つかさやナギたちも解放されるのよね?』
『あぁ、間違いない。強化外骨格を破壊すれば、大首領の復活も阻止できるはずだ』
そしてこの首輪も効力を無くす。
このアイテムを使うだけ。それだけでこの殺し合いは終了する。
絶望を振りまいた殺し合いが、今にも終わろうとしている。

『なら、今すぐ神社へ行って、つかさたちを解放しなきゃ』
『あぁ……だが……』
希望に満ちた顔のヒナギクに対して、覚悟の顔は浮かない。
殺し合いが終わる。ずっと望んできたことのはずだ。

『だが、本当にそれでいいのか?』
頬に手を添えてニヤリと笑う。
アカギは覚悟の迷いを読み取っていた。
彼も同じような事を感じていたのだから。

『どういうこと?』
『この殺し合いを終わらせたところで、大首領は死ぬわけじゃない。
 アイツなら、何度でもこの殺し合いをやり直す事ができる』
アカギの記した文字は、覚悟の心の声そのものであった。
死んでいった仲間を、今すぐに解放したい。
だが、それでは何も解決しない。
大首領が生きている限り、悲劇は永遠に繰り返される。
違う誰かが自分達と同じように苦しむ。
もしかしたら、また再び自分達が殺し合いに参加させられるかもしれない。

『俺たちが脱出したら、このアイテムを混入した人物は間違いなく殺される。
 これが大首領を殺す最初で最後のチャンス』
アカギの目が狂気満ちる。
覚悟とアカギ、2人は同じ意見を持っている。
しかしその意思はまったく別のものだ。
覚悟は悲劇を繰り返させまいとしているのだが、アカギはただ単に大首領を引き摺り下ろしたいだけ。
この狂気の沙汰を存分に楽しみたいだけだ。

『大首領を復活させるってこと? だったらつかさたちはどうなるのよ?』
『おそらくは大丈夫だ。強化外骨格は複数の魂を収納できるからな』
頭の中に直接響く声。
ヒナギクの質問に答えたのは、覚悟に連れて来られた零だ。
この紙を開かない限り、成仏鉄球は発動しない。よって零を避難させる必要もない。
そして今は強化外骨格が相手だ。彼の知識が必要になってくる。

『大首領を復活させ、この鉄球で纏めて全員成仏できるか?』
『可能だ。だが、ある程度大首領を弱らせる必要があるかもしれんがな』
答えを聞いたアカギがニヤリと笑う。
どうやら、大首領を殺す術は整ってきている。
あとは、流れ……!
最も最適な流れで大首領戦に持ち込むこと……!

『大首領に吸収されたりしないんでしょうね?』
『魂を吸収する力があるなら、初めから強化外骨格には頼らん。
 逆に、彼らの魂が大首領の邪魔をしてくれるかもしれん』
強化外骨格とは怨念を力に変えるもの。
零のように3千もの霊が同じ怨念を抱く事など稀だ。
今回の参加者にしてみれば、その怨念はバラバラでとてもじゃないが統一などできない。
そして大首領に喜んで従うものなど誰1人としていない。
ならば、『彼ら』が存在する事で、大首領の力を弱めてくれる可能性がある。

(死者の魂が大首領に反逆する、か。……なるほど……!)
その時アカギに電流走る。
エレオノールの夢の話を信じるならば、死者の思念同士が強化外骨格の中でやりとりしている可能性は高い。

彼女の夢の中で、死者同士が会話をしていたらしいからな。
つまり、強化外骨格内で参加者の魂が連携を取る事も可能……!
『こちらの意思を強化外骨格の内部に伝える事ができれば、死者に『こちらに都合のいいタイミング』で大首領を弱らせて貰う事も可能か?』
『……なるほど。それは可能だ。しかし、強化外骨格内部と交信する手段など……』

『俺に考えがある。葉隠。他の生存者についてもう少し詳しく教えてくれないか?』
『了解した』

(……戦うのね……)
大首領と戦う。BADANと戦う。
この殺し合いを破壊する上で、避けては通れない道だ。
いつかはそうなるのだと思っていた。
そしてその主戦力となるのが葉隠覚悟だ。
もう、彼は自分の隣にはいない。
彼は、人類全てのの牙なのだから。
「……つかさ。ゴメンね……」
アカギと話し合う覚悟を見ながら、ヒナギクは1人、『決意』を固めるのだった。


◆     ◆     ◆


覚悟たちと別れたアカギは、再び禁止エリアを歩いていた。
「なるほど。ククク……」
確かに大首領は強い。
首輪の制限が無くなったとしても、生存者全員で袋叩きにしても……。
勝てない。絶対に。
だが、奴を込める強化外骨格。これがキーポイントだ。
「魂を込める器……!」
そこにあるのは大首領だけではない。
この殺し合いで脱落した多数の魂がいる。
もしそいつらが大首領の魂を攻撃できれば……。
強化外骨格の内外から奴を、大首領を攻撃すれば……。

「勝てる……!」

しかし、ここで問題が発生する。
大首領は降りてくるのか? ということだ。
我々がそのような作戦を練っている事は大首領にもお見通しのはず。
そして、大首領はこの殺し合いを何度でもやり直す力を持っている。
殺し合いなどしなくても、時が来れば村雨良の体に降りる事もできる。
今、危険を冒してでも強化外骨格に降りる理由など……。

「ある……! あるんだ、アイツには……!」
前にも言った通り、大首領は『飽いている』。
戦場に降りたいと彼が望んでいる。
これは奴が待ちに待った『戦い』だ。
奴が舞う事のできる『戦場』だ。
これが奴がこの戦場に舞い降りる理由の1つ。
そしてさらにもう1つ。これが重要だ。

「奴は俺に惚れている……!」
奴に接触した最大の理由……。
自分に興味を持たせる事……!
こいつなら……こいつとなら、綺麗に舞えると思わせる事。
俺の体なら、味わった事のない興奮を体験できる……!

「俺に会いたいんだろ……?
 俺の体が欲しいんだろ……? なぁ?」
蝶人パピヨンより、仮面ライダーより、オーガより、不死王より、拳王より、しろがねより、スタンド使いより……!
俺を欲している。全世界の誰より……俺だ。
だから奴は降りてくる。
物的証拠はなにもない。
だが、確信している。
大首領は俺の体に降りてくる……!
この『プログラム』が、俺に出会える最初で最後のチャンスだから。

それは、俺の死を意味するのだが……構わない。
それならそれでいい。
戦って死のうなんて望みは、初めから持ち合わせちゃあいない……!
あっさり死ぬくらいでちょうどいい……!
ちょうどいいんだ……!

「だが、まだ早い……!」
まだだ。
他の参加者の首輪も外れていない。
今はその時じゃない。
ならば、今できる事をやらなくては。

「強化外骨格の中にコンタクトをとる……!」
内部から大首領を攻撃するに当たって、最も重要な事。
それは『強化外骨格に眠る死者たちに今回の作戦を伝える』事。
『大首領を成仏させるために、奴を弱らせる必要がある』ということを強化外骨格内部に伝える事だ。

そして、強化外骨格の中にメッセージを伝える方法……それは……。
「簡単だ……死ねばいい……!」
至極簡単な答え。
死者になって強化外骨格に入ればいいのだ。
そして『大首領が強化外骨格に入ってきたら奴を攻撃しろ』と伝えればよい。

(だが、それを行うのは俺じゃない)
アカギには強化外骨格を纏うという役割がある。
それに、他の参加者からの信頼がない。
強化外骨格内の死者に伝えても、信じてもらえるかどうか……!
そこで葉隠覚悟に他の参加者の情報を尋ね、適任者を探した。
で、選んだのが『コイツ』だ。

選んだ理由としては、まず、こいつは他の参加者からの信頼が厚い。
こいつが言うのであればあれば、強化外骨格内部の死者たちも信じるはずだ。

2つ目の理由。この作戦を即座に理解し、自分が死ぬことの重要性を感じ取る事ができる。
『コイツ』には『自分が死ぬことが、この作戦には不可欠だ』と判断する力がある。

3つ目。首輪を外したら戦力外である。
葉隠覚悟や村雨良など、大首領やBADANと戦う上での戦力はどうしても残しておきたい。
だが、首輪を外してスタンド適正がなくなってしまったら、『コイツ』は糞の役にも立たない……!

4つ目。『コイツ』は人を殺している。
誰かを殺しておいて、『自分は死にたくない』。そんな理屈が通るなんて思ってはいないはず……!
その殺人に、少しでも責任を感じているなら喜んで死ぬ……!

だから『コイツ』が適任だ……!
俺の次の行動方針は『コイツ』に作戦の内容を伝え……そして。
自殺させること。

お前ならやるよな?

なぁ?


服部平次……!


【C-2 南東部 2日目 朝】
【赤木しげる@アカギ】
[状態]:脇腹に裂傷、首輪がありません。
[装備]:基本支給品、ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス(残り9本)、マイルドセブンワン1箱
[道具]:傷薬、包帯、消毒用アルコール(学校の保健室内で手に入れたもの)
 始祖の祈祷書@ゼロの使い魔(水に濡れふやけてます)、水のルビー@ゼロの使い魔
工具一式、医療具一式、沖田のバズーカ@銀魂(弾切れ)、成仏鉄球@覚悟のススメ 、伊藤博士からの手紙
[思考・状況]
基本:対主催・大首領の肉体となる。
1:神社へ行き、服部平次に作戦を伝えて、自殺するように薦める。
2:大首領との再会。バトルロワイアルに引きずり込む。
3:対主催を全員説得できるような、脱出や主催者、首輪について考察する。
4:強敵を打ち破る策を考えておく
5:覚悟に斗貴子を死に追いやった事を隠し、欺く。


[備考]
※マーティン・ジグマール、葉隠覚悟と情報交換しました。
※エレオノールとジグマールはもう仲間に引き込むのは無理だと思っています。
※光成を、自分達同様に呼び出されたものであると認識しています。
※参加者をここに集めた方法は、JUDOの能力であると思っています。
※参加者の中に、主催者の天敵がいると思っています(その天敵が死亡している可能性も考慮しています)
 そして、マーティン・ジグマールの『人間ワープ』は主催者にとって、重要であると認識しました。
※主催者のアジトは200メートル以内の雷雲によって遮られていると考察しています
※ジグマールは『人間ワープ』、衝撃波以外に能力持っていると考えています
※斗貴子は、主催者側の用意したジョーカーであると認識しています
※三千院ナギは疫病神だと考えています、また彼女の動向に興味があります。
※川田、ヒナギク、つかさの3人を半ツキの状態にあると考えています。
※ナギ、ケンシロウと大まかな情報交換をし、鳴海、DIO、キュルケの死を知りました。
※こなたのこれまでの経緯を、かなり詳しく聞きだしました。こなたに大きなツキがあると見ていますが、それでも彼女は死にました
※『Dr.伊藤』の正体は主催側の人間だろうと推測しています。
※葉隠覚悟、桂ヒナギクと情報交換をしました。


『Dr伊藤』とのチャットによりわかった事
1:首輪は霊的に守護されている
2:首輪の霊的守護さえ外せれば、後は鋭い金属を継ぎ目に押し込む程度で爆発無しに外せる
3:既にその霊的守護を外した者が居る。そいつが首輪を外したかは不明だが、おそらく外してはいない
4:監視カメラは存在せず。首輪についた盗聴器のみでこちらを監視。その監視体制も万全ではない
5:敵には判断能力と機転に乏しい戦闘員が多い
6:地図外に城? がある
7:城には雷雲を突破しなければならず、そのためには時速600キロ以上の速度が必要


※大首領との接触により、大首領とBADANとの間のズレを認識。
※BADANという組織はあまり合理的に動かないと認識。

『大首領を殺す作戦』

大首領を強化外骨格の中に降ろしてから、成仏鉄球で成仏させる。
そのためには大首領を弱らせる必要がある。
強化外骨格内部の死者ならば、大首領を内側から攻撃できる可能性が高い。

◆     ◆     ◆


アカギと分かれた後、覚悟とヒナギクは再び学校へ歩き出そうとしていた。
「もしかしたら、川田も生きているかもしれん……急ごう!」
アカギという前例がいる以上、放送で呼ばれたからと言って死んでいると決定したわけじゃない。
川田がまだ生きている可能性は僅かながら残されている。

だが、ヒナギクの顔は浮かない。
覚悟にもそれは分かっている。
川田はおそらく死んでいる。
パピヨンと和解して、川田だけ首輪を外した。
状況的に考えても、あり得ない。
そんな事……あるわけない。

「ごめん、覚悟くん……私を置いて、先に行ってくれないかしら?」

「……そんなことできるわけがないだろう」
「覚悟くん、私ね……」
覚悟が歩み寄ろうとすると、ヒナギクが後ずさる。
一定の距離を保ったまま、彼女が言葉を続ける。

「……なんでこんな事になっちゃったのか、私なりに考えてみたんだ」
こんな事、とはつかさが死んだ事。そして川田が人を殺し、ヒナギクと再会することなく死んでしまったこと。

「川田くんは歪んでも壊れてもいなかった。
 うぅん……むしろ『正常』だったんだと思う。
 だからこそ、『正常』だったからこそ……人を殺した」
事実、川田の愛情は一貫していた。
優勝する事、その事だけを考え、冷徹に優勝に向けて走り続けた。
だからこそ、弱者ながらにここまで奮闘できたのだろう。

もし彼が狂ったとして、それができたのか?
否。絶対に不可能。
彼が最初から最期まで『正常』であるが故に。彼は人を殺し続け、殺人者として死んだ。
『愛した』から殺した。
単純且つ明快。

「私もそう」
その声は冷たく、突き放すような音であった。
だが、ナイフのように尖ったものではない。
優しく、静かに、葉隠覚悟を遠くへ押しのけるような、そんな声だった。

「私のこの気持ちも、邪魔なんだなって気がついた」
バルキリースカートを使いこなした。身体能力が高まった。
だけど、覚悟や村雨、独歩の足元にも及ばない。
波紋を使わないジョセフに勝てるか否か。
これでは一般人に毛が生えた程度であろう。

「『私達の間違い』は『愛した事』
 この殺し合いが終わったら、私たちは2度と会えないのに……そんな相手を『愛した事』」
弱者なのは重々承知だ。
それでも戦わなくてはならないのだ。
足手まといの自分が戦うのなら、せめて彼の足を引っ張るのは止そう。
彼の足枷になるのが何よりつらいから。

「だから……ここでは、『誰かを愛する事』は間違いだから」
涙が伝う。
この液体と一緒に、この想いも流してしまおう。
もう二度と、思い出さないように。

「もう、忘れるね」
「ヒナギクさん!」
覚悟がヒナギクの肩をグイと掴む。
彼女に何か言わなくてはならないのに……言葉が紡げない。

「さわらないで!」
窓ガラスがピリピリと鳴いた気がした。
覚悟の手を振り払った彼女は酷く小さく見えた。

「……! ヒナ、ギク……さん?」
「……ごめん。ごめんね覚悟くん」

「間違えた……『葉隠君』」
「……っ!」
彼女が、遠ざかる。
信じられないほど速いスピードで、遠ざかる。
もう、この腕の届く距離には……彼女はいない。


「私は、あなたの事が……好きでした」

「でも、もう私はあなたを愛さない」


涙に濡れた、その笑顔は、エレオノールが見せた笑顔とはまるで違う。
つかさが見せた笑顔とはまるで違う。
悲しい、笑顔だった。
覚悟が吐き出そうとした全ての反論を……飲み込ませるような。

冷たい笑顔だった。


「だから……私を置いて、先に行って……おねがい葉隠君」

「ヒナギクさん…………了解した」
『覚悟よ!』
「何も言うな! 零よ……」
彼女が自分の隣にいられないのならば、こちらからかけてやる言葉などない。
彼女は彼女なりに戦っていて。自分は自分の戦いがある。
今大事なのは、生き残ってBADANを潰す事だ。
自分の横に彼女がいる事がその妨げになるなら、それは彼女にとって一番辛いこと。
それに、この戦いが終われば、二度と交わらない運命ならば……忘れた方が幸せだ。
この想いを抱いたまま別の世界で生きていくのは、あまりにも辛すぎる。

「それでは先に学校へ行っている。……お気をつけて」
静かに告げると、覚悟は学校へと全速力で走り抜けて行った。
後に残されたのは少年の残した乾いた風と、1人の少女。

「つかさぁ……やっぱり、無理、だった、んだよ……
 こんな、ところで……誰か、を、好きに、なる、なんて……」
自分と彼じゃあ違いすぎる。
力も意思も、住んでいる世界も。
初めから、彼を愛する資格など、存在してはいなかったのだろう。

「忘れなきゃ……わす、れ、な、きゃ…………」
立っていられない。
店の壁に寄りかかると、もう足の力は入らなくなった。

「う……うぁ……」
そのままズルズルと下がり、ついには地べたに寝転がる。
服が汚れる、髪が汚れる。
だけどそんな事はどうでもいい。
今は、もう全てがどうでもいい。

「うあああああぁぁぁぁぁぁっ!!」
泣き叫ぶ少女の声は、彼には届いただろうか。
それだって、もはや、どうだっていいことなのだけれど。

4人で笑いあった時間は永遠に帰っては来ないのだから。


【C-3 南部 2日目 朝】

【葉隠覚悟@覚悟のススメ】
[状態]:全身に火傷(治療済み) 胸に火傷、腹部に軽い裂傷。頭部他数箇所に砲弾による衝撃のダメージあり
    胴体部分に銃撃によるダメージ(治療済み) 頭部にダメージ、
    両腕の骨にひびあり、零の推進剤により高速移動中
[装備]:強化外骨格『零』@覚悟のススメ
[道具]:大阪名物ハリセンちょっぷ 滝のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS(ヘルメットは破壊、背中部分に亀裂あり)
[思考]
基本:牙無き人の剣となる。この戦いの首謀者BADANを必ず倒し、大首領を殺す。
1:学校で川田の死体を確認して、パピヨンたちと合流する。
2:1が終わり次第、繁華街のホテル(E-2中心部)で再集合
3:村雨が再び記憶を失い、殺し合いに乗るようならば倒す
【備考】
※こなたの死を知りました。それが川田のせいである事も知っています。
※パピヨンとアカギを全面的に信用しています。
※ラオウを倒した男が劉鳳だと知りました
※零と一体になる事に迷いはありません
※服部、ジョセフ、エレオノールと情報交換をし、友好関係を取っています。
※アカギと情報交換をしました。


【零についての備考】
※零の探知範囲は制限により数百メートルです。
※零はパピヨンを危険人物と認識しました。
※零は解体のため、首輪を解析したいと考えています。
※零は村雨の体を調べ、その構成が、極めて高位の霊魂ならば、強化外骨格同様受け入れられる構造になっていると知ります

『大首領を殺す作戦』

大首領を強化外骨格の中に降ろしてから、成仏鉄球で成仏させる。
そのためには大首領を弱らせる必要がある。
強化外骨格内部の死者ならば、大首領を内側から攻撃できる可能性が高い。

【C-3 中央部 2日目 朝】

【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 顔と手に軽い火傷と軽い裂傷。右頬に赤みあり。右肩が外れている、手の平に裂傷、勇次郎平手によるダメージ 、核鉄の治癒力により回復中
[装備] バルキリースカート(核鉄状態)@武装錬金、木刀正宗@ハヤテのごとく
イングラムM10(9ミリパラベラム弾0/32)454カスール カスタムオート(6/7)@HELLSING 13mm爆裂鉄鋼弾(28発) 陵桜学園高等部のセーラー服@らきすた
[道具]支給品一式、ボウガン@北斗の拳、ボウガンの矢17@北斗の拳
[思考・状況]
基本:BADANを倒す。
1:しばらく泣く
2:学校へ向かい、覚悟、村雨、かがみ、エレオノール、パピヨン、アカギ、斗貴子と合流。
3:2が終わり次第、繁華街のホテル(E-2中心部)で再集合

[備考]
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1~3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートを使いこなしました。バルキリースカート本来の戦い方ができるようになりました。
※エレオノールと和解しました
※服は現地調達したものに着替えました
※服部、ジョセフ、エレオノールと情報交換をし、友好関係を取っています。
※アカギと情報交換をしました。


239:鬼酔酒 投下順 241:神社にて
239:鬼酔酒 時系列順 241:神社にて
235:束の間の休息 赤木しげる 248:ダイヤモンドダスト・クルセイダース
237:信じるということ/GET WILD 葉隠覚悟 249:あの忘れえぬ思い出に『サヨナラ』を
237:信じるということ/GET WILD 桂ヒナギク 246:雛菊想恋