拳の雨降って地固まる ◆L9juq0uMuo


「おいおい、これは……」
自らの支給品を漁っていた防人がエニグマの紙を開き最初に出てきた物、それは自分の武装錬金『シルバースキン』……ではなく、それを模したオーダーメイドの服であった。
「本物じゃ無いのは残念だが、やはりこれを着るとしっくりくるな」
オーダーメイドスーツを装着し、そう一人ごちながら、ブラボーが次の支給品を確認しようとしたその時、
「おい、そこのお前」
後ろから聞こえる声に防人が振り向く。そこには劉鳳、そして彼のアルターである絶影がいた。
片や、全身を奇抜なコートに身を包んだ男。
片や、奇妙な生物を引き連れた男。
《怪しい奴!!》
故に、互いの第一印象が最悪な物となるのは致し方なかった。
暫しの睨み合いの後、劉鳳が口を開いた。
「貴様がこの公園で破壊活動を行ったのか?」
「そうだ、と言ったら?」
敵意のこもった劉鳳の眼差しに答えるように、防人が身構える。
「不用意に破壊行動を行う物を、俺の正義は許しはしない!」
「正義?まさかお前は殺し合いには乗っていな―」
「問答無用だ!絶影!」
正義、その言葉に警戒を解き話し合おうとした防人の言葉を遮り、絶影の刃が防人目掛け襲い掛かる。
「待て!俺は殺し合いには乗っていない!」
「乗ってない人間がこのような破壊活動を行う訳がない!」
誤解を解こうとする防人の言に耳を貸さず、劉鳳は絶影に命じ、二撃、三撃と攻撃を繰り出していく。
「くそっ!聞く耳持たずか、なら!」
紙一重で絶影の攻撃をかわし、改めて防人は身構える。
「何をするかは知らないが、この絶影からは逃れられん。やれ、絶影!」
絶影の体から無数の刃が防人目掛け放たれる。その刃が当たる刹那、防人は地を蹴り、後方へと飛び上がる。しかしその真後ろには木。逃げ場は無い。
「自分から逃げ道を無くすとはな、絶影!」
「流星、ブラボー脚!」
刃が、再度防人へと照準を合わせたその刹那、防人は空中で姿勢を変え、後ろにあった木を思い切り蹴り、強烈なとび蹴りを放つ。
加速する防人の体は絶影の放った刃をすり抜け、絶影へと突っ込んで行く。
「絶影を狙うか、だが……させん!」
劉鳳がアルターを解除する、それに送れて響く轟音、そして砂埃。
砂埃が劉鳳の視界を一瞬奪う。
「粉砕、ブラボラッシュ!」
間髪いれずに砂埃の中からの防人の奇襲、無数の拳が劉鳳の体を捉える。
「ガハァッ!」
全身に走る激痛と衝撃。だが、劉鳳は後ろによろめきながらも尚、両の足で地面を踏みしめる。
「オオオオッ!」
獣の如き咆哮を上げ劉鳳が反撃に移る。絶影の刃を螺旋状に纏った拳が防人の顔面を殴りぬける。
そこから先はまさに泥仕合だった。劉鳳が殴れば防人が殴り返し、防人が殴れば劉鳳が殴り返す。互いに顔は腫れ、足はふらついている、それでも尚、二人は殴りあう。
ぶつかり合うのは拳と拳、そして男の意地と意地。
「オオォォォォォッ!!」
「ハアァァァァァッ!!」
二人の怒声が重なり、鈍い音が響く。
クロスカウンター気味に互いの頬に拳が入り、二人は崩れる様にその場に倒れた。
「……一つ聞かせろ」
仰向けに寝転がりながら劉鳳が尋ねる。
「何故、遊具を破壊していた」
数秒の沈黙、ややあって防人が答える。
「……決意だ」
「決意?」
ブラボーの返事に劉鳳は首だけを防人へと向ける。
「ああ、決意だ。俺の手の届く範囲の命は守ってみせる。そう決意してあれを破壊した」
「……馬鹿だな、だからと言って遊具をいきなり破壊すれば警戒される事になる。現に俺とお前はこのざまだ」
あきれ返った表情で劉鳳が毒づく
「ああ、馬鹿だ」
そう言って防人は笑った。気づけば劉鳳も笑っていた。そこには二人が邂逅した時の険悪な雰囲気は微塵も存在していなかった。
「そう言えば名前も聞いていなかったな。俺は劉鳳だ。お前は?」
「キャプテン・ブラボー。名簿には本名の防人衛で載っているがな」
「キャプテン・ブラボー?、……一つだけ言わせてもらってもいいか?」
「ん?ああ、別に構わんが」
「キャプテンは英語でブラボーは仏語だ」
劉鳳の発言に、防人は一瞬、ぽかんとする。だがその顔は笑みへと変わり、口からは笑いが漏れる。
そしてボロボロの二人はまた笑い出す。いつのまにか空はうっすらと白み始めていた。


【A-6 総合公園/1日目/黎明】
【防人衛@武装錬金】
[状態]:疲労(大)全身打撲、顔面に腫れ
[装備]:シルバースキン形コート@武装錬金
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1~2、本人未確認)
[思考・状況]
基本:弱い者を守る
1:体力の回復を待ち、劉鳳と行動方針を話し合う
2:自分の知り合い、核鉄を探す
3:勇次郎と拳王には警戒

【A-6 総合公園/1日目/黎明】
【劉鳳@スクライド】
[状態]:疲労(大)全身打撲、顔面に腫れ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1~3、本人未確認)
[思考・状況]
1:体力の回復を待ち、防人と行動方針を話し合う
2:悪は断罪、弱者(シェリス)は保護
3:カズマ、ジグマールについて考えるのは後回し
[備考]
※絶影の制限による攻撃力の低下には気づいていません

[共通備考]
※花火は互いが殴りあいに集中していたので気づいていない可能性があります


037:信じるこの道を進むだけさ 投下順 039:北斗神拳の恐怖
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007:正義のカタチ 防人衛 060:Contact
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