才賀勝 ◆1qmjaShGfE


才賀勝はまず確認すべき事を確認しようとした。
あの老人が言っていた言葉通りなのか否か。
地図の端に向かって大きな道路沿いにオリンピアを飛ばす勝。
境界線近くまで辿りつくと、オリンピアを降りて自分の足で歩き始める。
道路はそのまま何処までも続いていて、そこに境界があるとはとても思えなかった。
勝が隣に不動産屋が見える所まで歩くと、首輪から警告音が響いた。
『禁止エリアに抵触しています。あと30秒以内にここを脱出しなければ爆発します』
すぐに道路を戻ると、その警告音は消えた。
わかっていてやったのだが、冷や汗が止まらない。
現に目の前で人間の首が吹き飛ばされたのを見ているのだから。
一つ深呼吸をして落ち着きを取り戻すと、すぐに境界線から離れて今度は道路沿いに繁華街方面へとオリンピアを飛ばす。
『境界を越えて活動出来る時間は30秒だけ。予想通り最初に警告はあったね』
こんな手の込んだ真似までして人間を集めた理由はわからないが、境界を越えたら即死では知らずに越えてしまった人間も吹き飛ばす事になってしまう。
誰にでもわかる形での境界線が無い以上、こういう仕掛けではないのかと予想していたのだが、それでも危険には違いなかった。
後は首輪にどれだけの衝撃を与えたら爆発するかだが、こればっかりは確認のしようがない。
念の為に首周りに布を捲きつけておく。ちょっとやそっとでは爆発はしないだろうが、そのちょっとやそっとでない衝撃を何かの拍子に受けたとしても少しはこれで緩和してくれるだろう。
気休め程度とは思うが、思いついた事はやっておこうと思ったのだ。
警告音の音量も把握した、この音量なら何かを巻きつけた程度で聞こえなくなる事も無いだろう。
『後は、僕の分解が通用するかどうか……』
今までに判明している機能程度の首輪なら充分分解可能だが、あのフェイスレスを抑えるつもりでつけた首輪なら、他にも何かありそうである。
いずれにしても、研究解析用に幾つかの首輪が必要になるだろう。
しかし、この確認はまだ後にする。
ここが何処なのかがはっきりしていないからだ。
オリンピアだけでは、あの場所に集まった人数を連れて逃げる事は出来ない。
それにもし、勝の動きをあの老人が何かの手段で察する事が出来たなら?
下手な事をしては他の人間も危険に晒す事になってしまう。
そこまで考えて勝は大きく首を振り、思考を整える。
『ダメだ。わからない事がまだまだ多すぎてどう考えればいいんだか……』
一度オリンピアを地上に降ろし、地図を確認する。
一気にT字路まで来たがここまで誰とも遭遇はしなかった。
勝は最初にみんなが一同に介した時、その場に居た全員の顔を記憶していた。
生まれた時から見た全ての出来事を記憶している勝にとって、それは造作も無い事であったのだ。
一騎当千の兵とあの老人が言っていた通り、みんな一癖もふた癖もありそうな顔つきだったのを覚えている。
だが、その中にも普通の人としか思えない人達が居た。
あの時、首輪を爆破されたのもそんな人の一人だった。
勝の表情が険しくなる。
許せない、だが、許さない為には考える事が必要なのだ。
今の勝にあるものは、オリンピア、ギィとの特訓で得た戦闘技術、フェイスレスのダウンロード未遂の時得た『分解』と彼の知識。
そのありったけを用いてこの企みを阻止しなければならないのだ。
「そういえば支給品がもう一つあったっけ」
最初にオリンピアが出てきたのでついそのままにしてしまったが、それももしかしたら有効な何かかもしれない。
勝はデイバックを開いてもう一つの支給品を確認した。

『携帯電話』

ちょっとだけ微妙な顔になる勝だったが、何かの役に立つかもと二つ折りになっている携帯を開く。
ごく普通の携帯電話だ。一応自分の覚えている電話番号にかけてみるがつながらない。
何かの手がかりがあるかと幾つかある機能を見てみると、電話帳機能に一件だけ登録があった。
そこには『アミバ』と書かれており、すぐに勝はその番号にかけてみた。
「……おかけになった電話番号は現在電波の届かない場所にあるか電源が入っておりません……」
勝の携帯の方は電波が充分に入っている。ならば問題は向こう側のようだ。
勝は携帯をポケットに入れると、オリンピアの背に乗る。
とりあえずもう少し目立って行動する事にした。
こちらから見つけるだけではなく、相手側からも見つけられるように。
真南に向かってオリンピアを飛行させる勝。
殺し合いに乗っているのであれば、これを倒して他の人達の危険を減らす。
乗っていないのであれば、協力して脱出方法を考える。
勝はこれ以上の犠牲を許す気は無かった。


【C-2 空/1日目/早朝】
【才賀勝@からくりサーカス】
[状態]:健康。
[装備]:オリンピア
[道具]:支給品一式、携帯電話(電話帳機能にアミバの番号アリ)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない
1:鳴海・しろがねと合流する
2:乗っていない人を探して味方にする
3:フェイスレスには最大限注意を払う
4:みんなで脱出する
[備考]
※参戦時期はギイ死亡後から
※オリンピアで飛行しているので誰かに目に入りやすいです
※オリンピアに乗っている&飛行しているため、徒歩より移動速度は速いです


055:ピンクの髪のペッタンコ娘、そしてマダオ 投下順 056:無明の住人
054:貴重な貴重なサービスシーン 時系列順 056:無明の住人
031:花嫁は月輪に飛ぶ 才賀勝 061:偽りの共闘