「加害者=顔見知り」という仮説について

「「加害者=顔見知り」という仮説について」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

「加害者=顔見知り」という仮説について」(2010/06/05 (土) 10:28:24) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「子どもの性的被害」(いわゆる、child sexual abuse)における 「加害者=顔見知り」説について統計ベースで考えてみました。 結論を先に言うと、私個人は、この仮説は方向性としては間違っていないと思います。 ただし、この仮説を創作物規制推進派に対して持ち出すのはあまり有効ではないと思います。 また、本当に伝えたいと思っているのは、ここで書いた「数字や割合そのもの」ではなく 「【まとめ】に書いた考え方」なので、誤解しないでいただければと思います。 &color(grey){また、図は独自に考えたものなので、100%正確かと言われるとそうでないかもしれません。} &color(grey){そのへんは差し引いて「あー、こういう考え方があるのか」くらいに見てもらえればと。} 【加害者=顔見知り説って何?】 まず、大前提です。18歳未満の子どもが性的な被害(ここでは分かりやすくするために 強姦のみを取り上げます)にあった場合に、 ①児童相談所に相談してそこで終わるケース(警察は関知しない)もあれば、 ②児童相談所から警察に通報され強姦罪で逮捕起訴されるケースもあります(特に悪質な事例) 逆に、 ③児童相談所に相談せずに直接警察に持ち込むケースもあります。 第三者が加害者の場合、普通の親は警察にかけこむでしょうから、たいてい③でしょう。 他には ④被害者が警察に相談したが、その場では警察は自分の管轄内容ではないので対応せず 児童相談所に丸投げ、というルートもありますね。 (⑤もありますが、後で述べます) そして日本の行政は縦割りです。(児童虐待防止法で、児相と警察の連携も 少し規定されてますが、事実上機能していないと認識しています)よって、 児童相談所で詳細を認知した事案(①②④)と、警察が認知した事案(②③)は、 一部は重なっているが基本的には別であり、以下の【図1】で表されると考えられます。 【図1】&ref(1-1.png) この円の中身を考えていきましょう。 左の円:児童相談所が認知した件数 http://bit.ly/aPSLxB 神奈川県保健所の統計&u(){(18歳未満)}で「性器性交」は27件。 また、逮捕・告訴告発(警察も認知)が12件。(逮捕された事例が性器性交だと明示はありません が、普通に考えて悪質なものを告訴告発しますからおそらくそうでしょう)(*0) 神奈川県だけが特別ということはないでしょうから(*1) 人口比率で計算して全国だったらどうなるか、数字を出してみます。 神奈川県の人口は全国の約7%なので、全国で換算すると約386件、170件になるはず。 そして左の円の386件のうち、98%は親族(父、祖父、兄、おじ等あらゆる親族を含む)が 加害者です(378件)。真ん中の重複部分が170件ですね。 右の円:警察が認知した件数 http://www.npa.go.jp/toukei/seianki8/h21hanzaizyousei.pdfの120頁〜 H21年の警察庁犯罪情勢によれば、未成年者&u(){(20歳未満)}全体での強姦は603件。 うち170件は、児童相談所経由で告訴告発された被害者が18歳未満の件数で、 児童相談所も認知している案件です(真ん中の重複部分)。 児童相談所が認知していない案件は433件ということになります。 左と右は被害者の年齢が18歳未満と20歳未満で違います。 同じ年齢の統計が見つからなかったので近い年齢で手を打ちました。 しかし実は、警察認知の603件の内訳は、図表4-10-(2)-3より、 未就学が1件、小学生36件、中学生が101件、その他の未成年者(16歳〜19歳)は465件、 つまり16歳〜19歳の件数がとりわけぐっと多いのです。ですからこの中から 18歳と19歳の事例数を差し引かないと不公平になってしまいます。 4年分で465件ですから、少なくともその1/2は18歳19歳の事例と見なして問題ないと 思います。233件です。 18歳未満の事例は、433-233件で、200件ということになります。 【図1】に数字を書き込んで【図2】とします。 【図2】&ref(1-2.png) トータルの事例数は、386+200=586件です。加害者の割合を考えてみると そのうち、親族378件(65%)、それ以外208件(35%)ということになります。 もちろん右の円の中でも加害者が親族であるケースはゼロではないでしょう。 また、右の円には親族以外の顔見知りもいます。 (おそらく調べれば教師等が加害者となった事件の件数(報道件数レベル)ならわかるはずです。 どなたか記録や統計をご存じでしたら教えてください) 例えば右の円の200人のうち、20人が顔見知りだったとすると、 親族含む顔見知り68%、それ以外32%ということになります。 40人なら71%、29%です。 これが「加害者=顔見知り」という構図です。 (個人的には、これを等号で結びつけて良いかどうかは、少し微妙な気がします。 この程度でイコールというのは誇張的かもしれませんので、 加害者には顔見知りが多い、くらいに留めておくほうがよいのかな、と。) 【この話をもちださないほうがよい理由】 しかし、この理論には致命的な欠点があるのです。それは「統計上の暗数」です。 最初に述べた⑤がこれで「公的機関に相談しない」です。 つまり「児童相談所も警察も認知していないケース」です。 創作物規制派の方々は、このように反論してきます。 「暗数の部分の加害者は、過激な創作物に刺激されて犯罪に走る人々だ。」 暗数は、確かに存在します。ゼロでないことは確かです。 そして、誰にもその正確な件数はわからないのです。(*2) その内訳が、全体としてどんな傾向なのかも分からないのです。 でも規制派の方々は個人的あるいは団体での経験を持ちだし 「こんな事例があったからこうに違いない」と、この暗数の存在をここぞと強調してきます。 どういう強調っぷりかというと、こんな感じ。 【図3】&ref(1-3.png) まるでイスラム圏のようですね。(*3) これにたいして、反対派は反論する術があるでしょうか。 「いや、暗数の部分の内訳も、顕在化している部分とほぼ同じでしょう?もしくは、 被害者の心情を考えると、赤の他人より親族が加害者のほうがより告発しにくいから、 親族のほうがむしろ多いかもよ?」と言うことはできますが、しょせん推測にすぎません。 まったくこの件について中立な人が話を聞いたら、どう思うでしょうか。 例え針小棒大な話であっても、推測より実例のほうが根拠がある、と 思ってしまうんじゃないでしょうか。(もちろん、思わない人もいるでしょうが、 規制推進派は被害者の描いた絵を見せる等の感情に訴えるやり方をしてきますから、 それで彼らの主張を頭から信じ込んでしまう人もそれなりにいると思うのです) だから、持ち出さない方がよいと思うのです。 結局のところ、ケースバイケースだとは思いますが。 【まとめ】 今回はここまで。 正確な統計と事実把握があれば、もっと正確に割り出せますが、 ないので、数字遊びっぽくなってしまいました。 とにかく、私が声を大にして言いたいことは 「本来、こんなのは一市民である私が仮の数字で取り扱うべきことじゃない」ということです。 それこそ、しかるべき行政の方々がやるべきだと思います。こんなに長々と書いておいてアレなんですが、 はっきりいって、私が出した数字や結論なんてしょせん仮説で、どうでもいいんです。 行政に求められているのは「&u(){有効な対策をたてること}」と同時に「&u(){見当違いの対策をたてないこと}」です。 (例えば「力の強い者が手近にいる弱い者をはけ口にする」という構図の犯罪に対して 「創作物規制をする」は、全く見当違いです。血液検査もなにもせずに、副作用の多い薬を 「なんとなくこれが効きそうだ」と投薬するようなものです。) そのためには、まず児童相談所とか警察とか既存の管轄の枠組みを超えた現状分析が必要なのです。(*4) 家族から性的暴力を受けた子どもも、第三者から性的暴力を受けた子どもも、 同じchild sexual abuseの被害者と言えるからです。 そしてその暴力行為の過程を記録した「児童ポルノ」と呼ばれる動画や写真は、 どんな構図の元で行われたものであれ、全てがあってはならないものだからです。 当然、現在の政策は「全ての児童ポルノはダメ」という前提に基づくものです。 であるにもかかわらず、その「全ての児童ポルノ」がどういった構図で作られているのか、 さらにその前提条件となる性的暴行がどういった構図で行われているのか、 俯瞰的な視点があまりにも行政に欠けているように思います。(*5) (イメージで語るのはなしです。悲惨な特定事例だけを強調するのもなしです。 できるだけ全ての事例を等しく分析しなくてはなりません) とにかく現状分析なしに、有効な対策は絶対にたてられません。 &color(grey){それと個人的意見ですが、小学生の行動範囲はけっこう限られています。} &color(grey){赤の他人との接触機会はそんなに多くない。} &color(grey){家庭、学校、習い事、塾、友達、近所、通学路くらいじゃないでしょうか。} &color(grey){高校生くらいになると、繁華街で遊ぶとか、年齢をごまかしてクラブに通うとか、} &color(grey){行動範囲が広がるので、赤の他人との接触機会が増えます。中学生はその中間でしょう。} &color(grey){年齢を無視して、ひとまとめに分析することにも、そもそも無理があると思います。} &color(grey){年齢層別で【図2】を作ってみたらどんな結果がでるのでしょう。} //創作物規制派の理論(と、その矛盾)については、また次に書いてみたいと思います。 (*0)http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/56/image/image/h005001006002h.jpg によれば、児童虐待事件として検挙された事件のうち「強姦」と「強制わいせつ」の 割合は、年度によって違います。強制わいせつのほうが多い年もあれば、強姦のほうが多い年も あり、しかも平成21年の統計がないので、どう扱うべきか困ってしまいました。 10年間の分を考慮するなら強姦:強制わいせつ=127:93でだいたい4:3なんですが。 しかもこの統計は認知件数ではなくて検挙件数なので、罪名ごとの検挙率(検挙しやすい罪、 しにくい罪とでも言えばいいのか)というのも関係してきます。 もし仮に、4:3なのだとしたら、共通部分は100件、トータル件数は656件になり、 親族割合は58%になります。 とにかく正確な統計と正確な事実の把握ができないので、数字が曖昧になってしまいます。 さらに、この表の数字と、後であげる170件という数字のズレもあまりにも大きいのは 家庭内犯罪は検挙率が低いということなんでしょうか。よくわかりません。 (*1)もしかしたら「人口密集地は殺伐としていて児童虐待が多いが過疎地はのどかだから少ない」 かもしれないし、逆に「過疎地のほうが他にストレス解消手段がなく虐待が多い」とか、あるかも しれません。統計をあたればなんとかなりそうですが、時間がないので、全国みんな同じくらい だろうと単純に考えて処理しています。あと「都会の児童相談所は熱心」とか、もしかしたら あるかもしれません。 (*2)実は暗数についても統計が少しあります。 http://www.moj.go.jp/content/000010429.pdf の「性的事件」がそれです。調査対象の0.9%=10万人あたり900人が被害にあい、 被害に遭ったうち13.3%が被害届を出しているので、被害届を出した1人に対して 6.5人の被害届を出さない被害者がいることになります。 なんだか上の【図3】に近くなってしまいました。 でもこの対象は「セクハラ」などの軽微なケースも含まれており(犯罪にならないものも 入っていると書いてあるので、言葉だけのセクハラも入っている可能性があります) 被害届を出さなかった理由が 「それほど重大ではない/損失がない/たいしたことではない」が最多であった(43.9%) というような性質の調査なので、重大な事案には適用できません。 (どうせ調査するなら、一問増やして軽微事案と重大事案を分けて調査して欲しかった) (*3)イスラムの厳格な国では、レイプの被害者の罪が非常に重く(被害者の罪ですので注意して ください)、被害にあっても誰も届け出ることができません。ですので、暗数がきわめて大きいのです。 【図3】よりもずっと暗数(グレーの□)は大きいです。 (*4)特化した取り組みを否定しているわけではないので誤解しないでください。 被害者保護という観点からいうと、特に家庭内のケースは特殊なので、特殊さに応じた取り組みが 必要なことは間違いないと思います。そしてそれはとても困難なことだと思います。 私は家庭内虐待における被害児童のケアに取り組んでおられる方を尊敬しています。 (*5)もし、行政が既にそういう分析研究をしており、私が知らないだけだったらすみません。 学術的研究はされているようですね。        .
「子どもの性的被害」(いわゆる、child sexual abuse)における 「加害者=顔見知り」説について統計ベースで考えてみました。 結論を先に言うと、私個人は、この仮説は方向性としては間違っていないと思います。 ただし、この仮説を創作物規制推進派に対して持ち出すのはあまり有効ではないと思います。 また、本当に伝えたいと思っているのは、ここで書いた「数字や割合そのもの」ではなく 「【まとめ】に書いた考え方」なので、誤解しないでいただければと思います。 &color(grey){また、図は独自に考えたものなので、100%正確かと言われるとそうでないかもしれません。} &color(grey){そのへんは差し引いて「あー、こういう考え方があるのか」くらいに見てもらえればと。} 【加害者=顔見知り説って何?】 まず、大前提です。18歳未満の子どもが性的な被害(ここでは分かりやすくするために 強姦のみを取り上げます)にあった場合に、 ①児童相談所に相談してそこで終わるケース(警察は関知しない)もあれば、 ②児童相談所から警察に通報され強姦罪で逮捕起訴されるケースもあります(特に悪質な事例) 逆に、 ③児童相談所に相談せずに直接警察に持ち込むケースもあります。 第三者が加害者の場合、普通の親は警察にかけこむでしょうから、たいてい③でしょう。 他には ④被害者が警察に相談したが、その場では警察は自分の管轄内容ではないので対応せず 児童相談所に丸投げ、というルートもありますね。 (⑤もありますが、後で述べます) そして日本の行政は縦割りです。(児童虐待防止法で、児相と警察の連携も 少し規定されてますが、事実上機能していないと認識しています)よって、 児童相談所で詳細を認知した事案(①②④)と、警察が認知した事案(②③)は、 一部は重なっているが基本的には別であり、以下の【図1】で表されると考えられます。 【図1】&ref(1-1.png) この円の中身を考えていきましょう。 左の円:児童相談所が認知した件数 http://bit.ly/aPSLxB 神奈川県保健所の統計&u(){(18歳未満)}で「性器性交」は27件。 また、逮捕・告訴告発(警察も認知)が12件。(逮捕された事例が性器性交だと明示はありません が、普通に考えて悪質なものを告訴告発しますからおそらくそうでしょう)(*0) 神奈川県だけが特別ということはないでしょうから(*1) 人口比率で計算して全国だったらどうなるか、数字を出してみます。 神奈川県の人口は全国の約7%なので、全国で換算すると約386件、170件になるはず。 そして左の円の386件のうち、98%は親族(父、祖父、兄、おじ等あらゆる親族を含む)が 加害者です(378件)。真ん中の重複部分が170件ですね。 右の円:警察が認知した件数 http://www.npa.go.jp/toukei/seianki8/h21hanzaizyousei.pdfの120頁〜 H21年の警察庁犯罪情勢によれば、未成年者&u(){(20歳未満)}全体での強姦は603件。 うち170件は、児童相談所経由で告訴告発された被害者が18歳未満の件数で、 児童相談所も認知している案件です(真ん中の重複部分)。 児童相談所が認知していない案件は433件ということになります。 左と右は被害者の年齢が18歳未満と20歳未満で違います。 同じ年齢の統計が見つからなかったので近い年齢で手を打ちました。 しかし実は、警察認知の603件の内訳は、図表4-10-(2)-3より、 未就学が1件、小学生36件、中学生が101件、その他の未成年者(16歳〜19歳)は465件、 つまり16歳〜19歳の件数がとりわけぐっと多いのです。ですからこの中から 18歳と19歳の事例数を差し引かないと不公平になってしまいます。 4年分で465件ですから、少なくともその1/2は18歳19歳の事例と見なして問題ないと 思います。233件です。 18歳未満の事例は、433-233件で、200件ということになります。 【図1】に数字を書き込んで【図2】とします。 【図2】&ref(1-2.png) トータルの事例数は、386+200=586件です。加害者の割合を考えてみると そのうち、親族378件(65%)、それ以外208件(35%)ということになります。 もちろん右の円の中でも加害者が親族であるケースはゼロではないでしょう。 また、右の円には親族以外の顔見知りもいます。 (おそらく調べれば教師等が加害者となった事件の件数(報道件数レベル)ならわかるはずです。 どなたか記録や統計をご存じでしたら教えてください) 例えば右の円の200人のうち、20人が顔見知りだったとすると、 親族含む顔見知り68%、それ以外32%ということになります。 40人なら71%、29%です。 これが「加害者=顔見知り」という構図です。 (個人的には、これを等号で結びつけて良いかどうかは、少し微妙な気がします。 この程度でイコールというのは誇張的かもしれませんので、 加害者には顔見知りが多い、くらいに留めておくほうがよいのかな、と。) 【この話をもちださないほうがよい理由】 しかし、この理論には致命的な欠点があるのです。それは「統計上の暗数」です。 最初に述べた⑤がこれで「公的機関に相談しない」です。 つまり「児童相談所も警察も認知していないケース」です。 創作物規制派の方々は、このように反論してきます。 「暗数の部分の加害者は、過激な創作物に刺激されて犯罪に走る人々だ。」 暗数は、確かに存在します。ゼロでないことは確かです。 そして、誰にもその正確な件数はわからないのです。(*2) その内訳が、全体としてどんな傾向なのかも分からないのです。 でも規制派の方々は個人的あるいは団体での経験を持ちだし 「こんな事例があったからこうに違いない」と、この暗数の存在をここぞと強調してきます。 どういう強調っぷりかというと、こんな感じ。 【図3】&ref(1-3.png) まるでイスラム圏のようですね。(*3) これにたいして、反対派は反論する術があるでしょうか。 「いや、暗数の部分の内訳も、顕在化している部分とほぼ同じでしょう?もしくは、 被害者の心情を考えると、赤の他人より親族が加害者のほうがより告発しにくいから、 親族のほうがむしろ多いかもよ?」と言うことはできますが、しょせん推測にすぎません。 まったくこの件について中立な人が話を聞いたら、どう思うでしょうか。 例え針小棒大な話であっても、推測より実例のほうが根拠がある、と 思ってしまうんじゃないでしょうか。(もちろん、思わない人もいるでしょうが、 規制推進派は被害者の描いた絵を見せる等の感情に訴えるやり方をしてきますから、 それで彼らの主張を頭から信じ込んでしまう人もそれなりにいると思うのです) だから、持ち出さない方がよいと思うのです。 結局のところ、ケースバイケースだとは思いますが。 【まとめ】 今回はここまで。 正確な統計と事実把握があれば、もっと正確に割り出せますが、 ないので、数字遊びっぽくなってしまいました。 とにかく、私が声を大にして言いたいことは 「本来、こんなのは一市民である私が仮の数字で取り扱うべきことじゃない」ということです。 それこそ、しかるべき行政の方々がやるべきだと思います。こんなに長々と書いておいてアレなんですが、 はっきりいって、私が出した数字や結論なんてしょせん仮説で、どうでもいいんです。 行政に求められているのは「&u(){有効な対策をたてること}」と同時に「&u(){見当違いの対策をたてないこと}」です。 (例えば「力の強い者が手近にいる弱い者をはけ口にする」という構図の犯罪に対して 「創作物規制をする」は、全く見当違いです。血液検査もなにもせずに、副作用の多い薬を 「なんとなくこれが効きそうだ」と投薬するようなものです。) そのためには、まず児童相談所とか警察とか既存の管轄の枠組みを超えた現状分析が必要なのです。(*4) 家族から性的暴力を受けた子どもも、第三者から性的暴力を受けた子どもも、 同じchild sexual abuseの被害者と言えるからです。 そしてその暴力行為の過程を記録した「児童ポルノ」と呼ばれる動画や写真は、 どんな構図の元で行われたものであれ、全てがあってはならないものだからです。 当然、現在の政策は「全ての児童ポルノはダメ」という前提に基づくものです。 であるにもかかわらず、その「全ての児童ポルノ」がどういった構図で作られているのか、 さらにその前提条件となる性的暴行がどういった構図で行われているのか、 俯瞰的な視点があまりにも行政に欠けているように思います。(*5) (イメージで語るのはなしです。悲惨な特定事例だけを強調するのもなしです。 できるだけ全ての事例を等しく分析しなくてはなりません) とにかく現状分析なしに、有効な対策は絶対にたてられません。 &color(grey){それと個人的意見ですが、小学生の行動範囲はけっこう限られています。} &color(grey){家庭、学校、習い事、塾、友達、近所、通学路くらいじゃないでしょうか。} &color(grey){赤の他人との接触機会はそんなに多くない。} &color(grey){高校生くらいになると、繁華街で遊ぶとか、年齢をごまかしてクラブに通うとか、} &color(grey){行動範囲が広がるので、赤の他人との接触機会が増えます。中学生はその中間でしょう。} &color(grey){年齢を無視して、ひとまとめに分析することにも、そもそも無理があると思います。} &color(grey){年齢層別で【図2】を作ってみたらどんな結果がでるのでしょう。} //創作物規制派の理論(と、その矛盾)については、また次に書いてみたいと思います。 (*0)http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/56/image/image/h005001006002h.jpg によれば、児童虐待事件として検挙された事件のうち「強姦」と「強制わいせつ」の 割合は、年度によって違います。強制わいせつのほうが多い年もあれば、強姦のほうが多い年も あり、しかも平成21年の統計がないので、どう扱うべきか困ってしまいました。 10年間の分を考慮するなら強姦:強制わいせつ=127:93でだいたい4:3なんですが。 しかもこの統計は認知件数ではなくて検挙件数なので、罪名ごとの検挙率(検挙しやすい罪、 しにくい罪とでも言えばいいのか)というのも関係してきます。 もし仮に、4:3なのだとしたら、共通部分は100件、トータル件数は656件になり、 親族割合は58%になります。 とにかく正確な統計と正確な事実の把握ができないので、数字が曖昧になってしまいます。 さらに、この表の数字と、後であげる170件という数字のズレもあまりにも大きいのは 家庭内犯罪は検挙率が低いということなんでしょうか。よくわかりません。 (*1)もしかしたら「人口密集地は殺伐としていて児童虐待が多いが過疎地はのどかだから少ない」 かもしれないし、逆に「過疎地のほうが他にストレス解消手段がなく虐待が多い」とか、あるかも しれません。統計をあたればなんとかなりそうですが、時間がないので、全国みんな同じくらい だろうと単純に考えて処理しています。あと「都会の児童相談所は熱心」とか、もしかしたら あるかもしれません。 (*2)実は暗数についても統計が少しあります。 http://www.moj.go.jp/content/000010429.pdf の「性的事件」がそれです。調査対象の0.9%=10万人あたり900人が被害にあい、 被害に遭ったうち13.3%が被害届を出しているので、被害届を出した1人に対して 6.5人の被害届を出さない被害者がいることになります。 なんだか上の【図3】に近くなってしまいました。 でもこの対象は「セクハラ」などの軽微なケースも含まれており(犯罪にならないものも 入っていると書いてあるので、言葉だけのセクハラも入っている可能性があります) 被害届を出さなかった理由が 「それほど重大ではない/損失がない/たいしたことではない」が最多であった(43.9%) というような性質の調査なので、重大な事案には適用できません。 (どうせ調査するなら、一問増やして軽微事案と重大事案を分けて調査して欲しかった) (*3)イスラムの厳格な国では、レイプの被害者の罪が非常に重く(被害者の罪ですので注意して ください)、被害にあっても誰も届け出ることができません。ですので、暗数がきわめて大きいのです。 【図3】よりもずっと暗数(グレーの□)は大きいです。 (*4)特化した取り組みを否定しているわけではないので誤解しないでください。 被害者保護という観点からいうと、特に家庭内のケースは特殊なので、特殊さに応じた取り組みが 必要なことは間違いないと思います。そしてそれはとても困難なことだと思います。 私は家庭内虐待における被害児童のケアに取り組んでおられる方を尊敬しています。 (*5)もし、行政が既にそういう分析研究をしており、私が知らないだけだったらすみません。 学術的研究はされているようですね。        .

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: